スキーとボディビル
[ 月刊ボディビルディング 1968年8月号 ]
掲載日:2017.11.22
プロ・スキーヤー 三浦雄一郎
富士山の頂上から一気にすべり降りたプロ・スキーヤー三浦雄一郎氏のスキーは、“マウンテン・ダイバー”といわれるほどダイナミックではげしいものだ。時速170キロの滑降ーーわれわれにはちょっと想像もつかない。全身に受けるものすごい風圧。これに負けて体のバランスをくずしたが最後、そのまま死の世界へ直行することになる。
この決死的な“すべり”にそなえて、三浦氏は綿密な計画と、1歩1歩積み上げていくトレーニングをきびしく自己に課している。近くメキシコのポポカテペトル(5500m)の高峰にいどむべく準備中とのこと。
現在三浦氏は、山にはいって指導やトレーニングを行なうのが週4日ぐらい、あとの3日は事務的な折衝のために上京する。ボディビル・ジムをおとずれ、コンディションづくりとスキーに必要な筋力を養うのはこのときである。
この決死的な“すべり”にそなえて、三浦氏は綿密な計画と、1歩1歩積み上げていくトレーニングをきびしく自己に課している。近くメキシコのポポカテペトル(5500m)の高峰にいどむべく準備中とのこと。
現在三浦氏は、山にはいって指導やトレーニングを行なうのが週4日ぐらい、あとの3日は事務的な折衝のために上京する。ボディビル・ジムをおとずれ、コンディションづくりとスキーに必要な筋力を養うのはこのときである。
上:まず、柔軟体操を入念に。とくに足首、ひざ、股関節などをやわらかくほぐすことに集中する。
下:ダンベルを両手に下げて、すべるフォームをえがきながら、脚の屈伸を数百回。
下:ダンベルを両手に下げて、すべるフォームをえがきながら、脚の屈伸を数百回。
上:ラット・マシーンで背を強化する。
下:腹筋運動。上半身をしっかりきたえておかないと、滑降のときのすさまじい風圧にたえられない。
下:腹筋運動。上半身をしっかりきたえておかないと、滑降のときのすさまじい風圧にたえられない。
マット運動で最後の調整。
三浦雄一郎
昭和7年10月青森県生れ。3才でスキーをはく。昭和22年中学3年のとき岩木山大会に初優勝。23〜25年 青森県アルペン競技高校大会に3連覇。27〜29年 北海道大学在学中インターカレッジ2部に3連覇。27年 宮様スキー大回転優勝。31年 全日本スキー滑降第5位。34年7月 奥穂高直登ルンゼおよび第二ルンゼ初滑降。37年 プロ転向。世界プロ・スキー選手権大会回転8位。39年7月 世界スピード・スキー大会(イタリア)に時速174.084キロの世界新記録を出す。(その直後この記録は破られて第7位の成績だった)。47年4月富士山をパラシュートを使用して直滑降(このときの瞬間最高時速180キロ)。現在JAS(ジャパン・アクション・スポーツ)を経営、スポーツによる人間能力の開発に情熱をもやしている。
「スキーのためのボディビルは、スキーに不可欠な体の形と動きをデザインするものでなければならない。あらゆるスポーツに共通していえることだが、とくにスキーでは、スピード、パワー、バランスの三つをつくりあげ、しかもこの三者をうまく調和させることがトレーニングのポイントになる。限界ギリギリまできたえあげられた体力というものは、一度低下しても、再度上昇したときは、以前のレベルより上回る力を発揮することができる。これはボディビルでも同じことだろう。この生命の自然の反撥力を引き出して、自分の心身に感覚としてうえつけることが、めまぐるしい現代生活には必要なのではなかろうか。現代人が生活のバイタリティを養うためにも、ボディビルを行なうことを、私は推奨したい」
三浦氏はこう語っている。(玉 利 斉)
三浦氏はこう語っている。(玉 利 斉)
[ 月刊ボディビルディング 1968年8月号 ]
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