健全なる精神は健全なる肉体に宿る/実業家 南原竜樹
掲載日:2015.06.05
かつて、「マネーの虎」の出演で一斉風靡した南原竜樹氏 54歳。順風満帆で、経営する会社の業績はうなぎ登りに躍進し、上場への準備をするまでに成長していた。ところが2005年、主要仕入れ先である英MGローバーが経営破綻。そのあおりをまともに受けて、金融機関からの融資が滞り、自社ビルやショールームはすべて売却、そして最終的には263名全従業員解雇という選択をしなければならなくなってしまった。
その後はたった一人で資金ゼロという状況から会社再建を成し遂げ、現在は10社の経営をし、約3,000名の従業員をかかえるまでに再浮上した。
そしてフィットネス業界にも参入し、2011年からはライフタイムフィットネス「LIVITO」を開業し、同時に自らの肉体を鍛え始め、現在では体脂肪10%を切るところまで絞り込み、トレーニングによる劇的な変化を自らの身体で証明している。
まずは知ることから始めよう
フィットネス業界参入を期に開始したトレーニングの実践により、自らの肉体改造を成功させ、その効果を実証させている
今はパーソナルトレーニング専用ジム「LIVITO」やっていますが、今までボクらのやってきた事は正しい事だと思う。身体を鍛えるとやっぱり本当に仕事もできるようになるし、メタボの人達を見ると開いた口がふさがらない。医療費の問題だって、今後日本の医療費はどんどん増えていって、もっと言うとスタイルの問題だって。僕なんかZARAの5,000円のジャケットを着ているけど、これヴィトンですか?なんて言われるし。
今のフィットネス業界の問題点は何かと言うと、本当のことをあまりにも多くの人が知らなさ過ぎるってこと。フィットネス業界の大きさから比較して、ほんのひと握りのコアな本物のトレーナー達だけが本当のトレーニングの仕方を知っているんですよ。ボクたちLIVITOはそれを教えるためにやっているんです。
ウチにきた人はそれを教えてもらってそれに対して「ありがとう」って言ってくれるんです。それ以外にゴルフ業界はどうかと言うと、ボクが今持っているこのゴルフ雑誌、2割は広告、1割はおちゃらけた話、ところがあと7割は“どうやりゃあ打てるか”という方法が書いてある。これを一生懸命読んでゴルフをやる人はレッスンプロに何らかの形で教えてもらう人です。教えてもらえば、ちゃんと当たるようになるんですよ。フォームも大体同じようなフォームで打つようになるんです。
ところがトレーニングやっている人達、僕もさんざんぱらグルーポンでどれだけトレーニング行ったかというと、あっちにもこっちにも行きました。月10万円会費の銀座のジムでもトレーナーさんいいんだけど、そこでさえトレーニングの方法を教えてくれてはないですね。そこで教えてくれるのは機材の使い方なんですよ。
じゃあ、そのへんのスポーツクラブのトレーナーさんに聞くと、全員教えてくれるのはすごい安全な機材の使い方。それも機材の使い方もひとつの方法で表面を軽くなでるだけの使い方。そんなの教えられても、ゴルフに例えるならば、クラブの持ち方くらいは教えてくれる、もしくはゴルフクラブの性能とスペックを教えてくれるよと。でも中身何にも教えてくれないんですよね。ああいうところの教え方ってのは、点(単発)でしか教えないし、点でしか聞かないから。
ウチにいるそこそこトレーナー経験のある方も、こんな風に線で(一定期間継続的に)お客さんをみたことは初めてだと言う。でもそれは、ずっと線を経験してきた人にとっては当たり前なんですよ。だから僕たちはそれを線でみえるようにして、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、半年、一年と線で見ていって、全然知らなかった人達をフィットネス業界に引き込みたい。
最近小さなパーソナルジムが多くなってきているけど、残念ながら人間だから同じことだけやっていると飽きてしまう。ウチみたいに(ゴールドジムほどじゃないけど)マシンがいっぱいあれば飽きずに続けられる。使い方を工夫して、動かす視点を変えたりとかレジスタンストレーニングだとかいろいろ取り入れると一周するのに結構な時間がかかるんです。そうすると飽きずに続けられる。
あと、バランスボールとか遣って工夫してやっているところもあるけど、あれはマシンを揃える費用がないからそうしているけど、お客さんにとっては決していいものとは言えない。例えば、二頭筋のマシンなんか、あれを使ってトレーナーがつけば、あっという間に追い込めるけど、パワーラックだけのジムでは何もできない。
最初はパワーラックだけの小規模なジムをやろうと考えた時もあったけど、ウチが結論に達したのは今のモデルで、少し個室があって、オープンなスペースにマシンを並べるという形式。お客さんも最初は個室を使うんだけど、3回くらいやると外へ出たがる、そしてお客さん同士で、「なんか腕太くなったね」とかお互い声をかけあって、競い合って友達になってくれる。そういう意味ではゴールドジムなんかは他の人のトレーニングを見て、ちょっとパクろうって言ってやれるところが良いところだね。
スマートな人はビジネスも成功する
ボクはシャツとかにあんまりお金をかけない人なんだけど、最近、既製だとサイズがあわなくなってきてオーダーしたんですよ。さっきも言ったけど、このスーツZARAなんだけど、ZARAって普通僕らの歳の人って着られないんですよ。何でかって言うと、青年のようなスタイルじゃないと着られないから。
やっぱり社員と対応していて鼻毛のはみ出したおじさんより、きちんとスマートな人の言うことの方が浸みる。ボクなんか有言実行だから、例えばウチのトレーナーたちはボクのことを信用しているし、ちょっと尊敬もしてくれているんですよ。
ところがデブのおじさんがフランチャイズを開発しようって言っても、みんなフンって感じでしょ。社内でボクが朝トレしているのみんな知ってるんですよ。社員が朝早めにきたら、上のジムでガチャーンって音がして、しばらくすると社長がさっぱりした顔して下りてきたって。
やはり、さきほども言った、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」という話は昔からある話だけれど、そういった意味で身体をきちんと作っていかないとすべてに於いてうまくいかない。
みんながボクのことを凄いと言うんだけど、ボクは普通にしているだけで、元来あるべき姿を取り戻しているだけなんで、そのあるべき姿が人間として効率良くスムーズに動けるし、仕事もその方が的確にできるし、判断力も冴えてくる。
体脂肪率30%で心筋梗塞を患う人、僕らの歳になると結構多いですよ。仕事が忙しいからトレーニングができないって言う人が多いけど、そんなのみんな嘘つきなんだよね。ボクなんか朝6時半からトレーニングしちゃうけど、ボクより忙しい人はそうそういない筈。
以前、面白いことに、ウチの子会社の社員10人くらいに、店が暇な時にトレーニングをやらせたら、結果が出た者から出なかった者まで斜めに10人並ぶ訳ですよ。それで、結果が出なかったのは一番売れない営業で、逆に結果をバリッと出したやつは、どう見てもこいつが一番忙しいっていう社長。結局仕事ができる順に並んじゃう。
残念ながら見栄えも大事で、特に恋愛に関してはそれが言える。ある女性に対して、ボクの友達、ハゲ・デブだけどすごくお金を稼いでるからいいでしょ?って紹介しようとしても、ハゲ・デブは嫌って言われちゃうんだよね。でもスマートでカッコ良くて、ハゲは短くすればなんとかなるとして、スポーツマンでがっしりした体格で、そこそこ仕事もできるっていうと女性はみんないっちゃいます(笑)。
まずは一番最初はトレーニングのとっかかりをどこかで見つけて、知らないことはやれないので、トレーニングを知ることから始めるべきだよね。もしそれを知っている友達がいれば教えてもらえばいいし、少し余裕があれば、それを教えてくれるジムに通えばいいし、独学でやってみたいという人はゴールドジムみたいな所でガンガンやってもいいし、選択肢は多分にあるので、その中から選んでみたらいい。
何度も言うけど、知らないっていうことを埋めなきゃいけない。既存のジムに知らないながら通うという時間の無駄を費やすのは即刻やめるべきだ。みんな人間なんで、自分を変えるためにはどこかから知識、つまり頭を使ってトレーニングに反映させることが最も重要。
もし、ボクのインタビューを見ている人がいたら、さっそく突き出たお腹を6パックに割って、きちんと元に戻そうよと。人間あるべき姿のスラッとしたちゃんとした逆三角形のボディを手に入れながら、仕事もちゃんとやっていく。そうすると着る物も変わってくるし、ライフスタイルも変わってくる。ぜひ一度チャレンジして欲しいね。
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- 南原 竜樹(なんばら・たつき)
1960 年東京都生まれ。
大学在学中に高級外車の並行輸入で起業し、88 年オートトレーディングルフトジャパンを設立。輸入車ディーラー、インポーターとして事業を拡大。人気テレビ番組「マネーの虎」への出演などで知名度を上げる。2005 年に英国MGローバー社の経営破綻の影響を受け、全従業員の解雇という事態に見舞われるも、会社を再生し、現在は旅館経営、自動車の個人売買、メディカルケア、レンタカー、出版事業など多方面で展開する。
- 取材協力 :
- ライフタイムフィットネス「LIVITO」
http://livito.co.jp
フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 003 ]
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