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新ナルシスな奴ら!Vol.16 笹沼俊介

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[ 月刊ボディビルディング 2013年4月号 ]
掲載日:2017.07.31
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今回ご登場願った選手はこのコーナー初の学生ボディビルダー、笹沼選手です!
 小柄ながらプロモーションが良く、一つ一つの筋肉に立体感があり、バランスが良いことから、数年後にはボディビルシーンを熱く盛り上げるであろうと予感させる期待の逸材です。
ナルシス(以下NY)まずはトレーニングを始めたきっかけを教えて下さい。
笹沼(以下SS)高校生まで野球をしていまして、冬に補強としてトレーニングを始めた…といってもグラウンドで腕立て伏せやランジなんかを延々やっている程度だったんですが。たまに陸上部にあったベンチプレスを使わせてもらったら、周りより回数ができて。そういうのは嬉しかったし、肉体は徐々に変わっていくし。野球より楽しくなってきまして(笑)。
NY 肉体の変化に喜びを感じるようになってきたわけだ。では本格的にウェイトトレーニングをスタートしたのは? 
SS 大学ではウェイトトレーニングをやりたいと思いまして、ユーチューブでトレーニング動画を見ていたら、"関連動画"に学生ボディビルという項目があったのです。「こういう大会があるんだ!」と思いました。それまでは月ボ等の雑誌を見ても「ボディビルダーになるのは遠いかな~?」なんて思っていたんですが、学生大会を動画で見て、「あれ!?自分でもいけるかな?これぐらいならやれるかな」と。そしてボディビル大会に出場できる大学を探しました(笑)。
NY え! 学生大会に出られる大学を探した!?
SS はい! それで神奈川大学に入りました。親にはちょっと言えませんでしたが…。
NY はっはっは。それで神大のボディビル部の門を叩いたわけだ。入部してからの本格的トレーニングは、どんなレベルからのスタートだった?
SS 振り返ると笑っちゃいますね。初めはビッグ3を10回3セット。脚だけは8セットほどしていましたが、インターバルを10分ぐらい取ってダラダラとやっていました。
NY トレーニング理論ややり方などは、ボディビル部の先輩たちから教わるわけ?
SS 理論は自分で勉強しました。先輩たちのトレーニングを見ながら真似てやりつつ、栄養やメニューの組み方などは自分で本から探して覚えました。
NY 最初は基本種目メニューのスタートからだったんだね。その後は今までどのようにプログラムを変化というか分割させていったの?
SS 最初は3分割でした。①ベンチプレス・ダンベルプレス・フライマシン②スクワット・レッグエクステンション・レッグカール③デッドリフト・ラットプルダウン・ワンハンドローをしていました。
NY 大学の限られた設備で、代表的な種目をやっていたわけだ。
SS はい。その後は肩の種目としてショルダープレスを入れ、背中はプルオーバーやベントロウと種目を増やしていきました。
NY 気になったんだけど、腕の種目は入っていなかったの!?
SS はい。胸や肩のプレス系や背中のロウイング系で腕にも効いてしまっていて。本当にいい加減でした(笑)。
NY 始めてから間もないとサポート筋である腕はどうしてもパンパンに効いてしまうよね。それではいつ頃から腕のトレーニングはスタートしたの?
SS 初めて学生大会に出た後からです。大会に出て腕を意識するようになりました。
NY 大会後の雑誌での評価や写真写りで必要性に気がついたのかな?
SS そうです。
NY 身体は未完成でも大会に出場すれば、自分の現状を客観的に見てもらって評価してもらえるから、それは大切な経験の場だよ。これは必要なことだよね。
SS はい。実際のところ、大会の評価などでは「バランスが良い」との評価だけでしたから、「バルクがまだまだ足りない」と感じました。本を読んでいくにつれ、自分には種目数やセット数が足りなかったことに気付き、増やすようにしました。あと、学生連盟で知り合った先輩方から、他大学の練習に誘われる機会があって、そこで練習していくうちに、ある先輩は1セット6レップスだったり、また他の先輩は1セット12~15回で追い込んでいたりと違いがあるということに気がつきまして! 「1セットって10回だけじゃないんだな~」と勉強になりました。
NY ということは、それまでは1セット10レップス法をやり続けていたわけだ!ちなみに大学では週に何回トレーニングしているの?
SS 5、6回ですね。
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昨年の関東学生ボディビル選手権.初出場ながら3位に入る

昨年の関東学生ボディビル選手権.初出場ながら3位に入る

NY メインのトレーニング場所は大学の部なんだね。
SS はい。メインは部ですが、先輩に「ゴールドジムウエストに土曜日に行けば日本チャンピオンの鈴木雅さんから指導してもらえるよ」と誘われたので、ビジターで行きはじめました。そして現在はゴールドジム横浜馬車道でもトレーニングをしています。
NY さっき「他の大学の人に誘われてトレーニングをした」と言っていたけど、よく他大学へ武者修業へ行くの?
SS 東大に同級生のライバルがいまして、何回かお邪魔しています。
NY 時に場所を変えることで、いろんな良い刺激をもらっているのはいいことだね。今は伸び盛りだから、積極的に活動してガンガントレーニングしていってもらいたいね。では、いろんな情報経験をしてきた今は、どんなトレーニングルーティンになっているのかな?
SS 今は①脚から始まりまして、②上背部③胸と二頭④下背部⑤肩と三頭で、一日オフを入れた5分割です。
NY なかなか良い分割だね。トレーニング時間は?
SS 背中に関しては分けているので60分ほどで、他は2時間弱です。
NY では今はどんな方向性でトレーニングを進めているのかな?
SS とにかくサイズをつけることですね。まだバルクよりバランスで見てもらっているようなので、アウトラインを意識しながらトレーニングしています。
NY では理想のバルクアウトラインは?「誰のような」とか、理想はある?
SS う~ん。全日本で活躍している山田幸浩選手のような独特のアウトラインですかね。
NY 確かに魅力的だね~。
SS あと、太い脚にしたいですし、上体をワンサイズもツーサイズも大きくして、ビッグサイズのTシャツをピチピチに着たいです。
NY バルクへの純粋な憧れだね。解るよ、その気持ち!!  それにはハードトレーニングも必要だけど、ガンガン食べて体重を増加させないとね。調整は大変になるけど、若いうちはトレーニングが辛いよりも食事が辛くなるほど食べないと(笑)! これがナルシスからのバルクアップの一つのアドバイスだな。では、そんな食事でのエピソードはあるかな? 
SS 今は常に空腹を感じさせないようにしています。トレーニング前は別なんですが、寝る前にもプロテインやらお菓子など食べています。
NY 1回の量や食事の回数は?
SS 1日3、4回で、朝はご飯一合、卵3個、プロテインなどで、お昼は学食で食べるんですけど、ご飯を1合持って行って、おかずだけ買って食べています。晩は炊飯器にご飯が残っていれば家で食べますが、ない時は近所の学生向けの安い食堂で食べています。
NY 一人暮しなんだね?
SS はい、出身は栃木なんで。
NY それを聞くとますます応援したくなるね~。
SS あと、プロテインは2、3回摂っています。結構ズボラなので⁝。それでも入部してから先輩に「食え!」と言われてご馳走してもらった当初は、3カ月で10㎏増量したんです。
NY そうなんだ! でもまだまだバルクアップを目指していくなら、若いし、もう少しプロテインの量を増やしても良いんじゃないかな。ナルシスも若い頃のオフは今とは違ってもっと食べていたし、プロテインなら1日に5回は摂っていたからね。だからオフの体重は90㎏以上は当たり前だったから! まぁ、まだキャリアが短いから仕方ないけど、今後の参考にしてもらってバルクアップしていってもらいたいね。
SS はい!!
大会後の評価では『バランスが良い」という事のみで、自分にはまだまだバルクが足りないんだと思いました。

大会後の評価では『バランスが良い」という事のみで、自分にはまだまだバルクが足りないんだと思いました。

ですから、毎年驚かれるようにスケールアップして行きたいです

ですから、毎年驚かれるようにスケールアップして行きたいです

NY それでは最後の質問だけど、今後の目標を聞かせてくれる!
SS ボディビルをやっていれば当たり前なんですけど、やっぱり毎年毎年皆に驚かれるようにスケールアップしていきたいです。大会の目標としては、今年は全日本学生の上位陣が卒業して抜けてしまいますので、できれば学生チャンピオンになりたいです。あと神奈川県ジュニアと神奈川県クラス別の60㎏級に出場します。
NY 頼もしい目標が聞けて嬉しいよ! ぜひ全日本学生大会の優勝を目指し頑張って下さい!
ここでは書ききれないほど熱い話をしましたが、筋肉そしてバルクへの憧れや、それらを進化させていくぞ! という闘志と情熱が純粋に響いてきた初々しいインタビューとなりました。笹沼選手の素質を感じさせるポテンシャルと、努力を重ねる姿を見ていると、数年後には必ずや注目を集める選手に変貌するであろうと強く思いました。
文/山本昌弘
著者プロフィール:やまもと・まさひろ(通称ナルシス)/抜群のシェイプと類希なポージングセンス、そして自らをナルシストと公言してはばからない特異なキャラクターで人気を集める元日本選手権ファイナリスト。これまでに東京クラス別70㎏級・75㎏級、日本クラス別75㎏級、東日本選手権、ジャパンオープンを制している
http://blogs.yahoo.co.jp/wwrcf122
[ 月刊ボディビルディング 2013年4月号 ]

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