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ボディビルの基本⑰ 初心者のための基礎知識と実技【知 識 編】

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[ 月刊ボディビルディング 1973年2月号 ]
掲載日:2017.10.17
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竹内 威(NE協会指導部長’59 ミスター日本)

◇呼吸法と怒責

 ボディビルの運動は重量を使用して行う性質上,とかく息ばって無理をしがちになる。このように息をとめてリキむことを怒責という。
 スポーツによっては怒責をともなうことはめずらしいことではなく,また日常生活においてもそのようなことはいくらでもある。そのように考えれば怒責に対する訓練も必要と思われるが強度な怒責をひんぱんに行うことは,ときには健康を害することにもなる。したがって,ボディビルの運動は,そのことを考慮して息をしながら運動を行うことが原則となっている。
 運動種目によっては,怒責して運動を行うことは非常に危険をともなうことがある。すなわち,怒責することによって胸圧が上昇し,著しいときは頭部への動脈が強く圧迫され,血液の循環が抑制されて,瞬間的に失神状態になることもある。このため,とくに重量を使用して行う運動としては非常に危険である。
 事実,スクワットやスタンディング・プレスの運動中に意識を失い,倒れてケガをした例もある。このような不測の事故に対処するためにも,できるだけ怒責して運動することは慎しまなければならない。
 ボディビルのほとんどの運動が,重量を使用して行うので,全然リキまずに行うことは無理であるが,息をとめずにリキむ程度なら危険はない。またその程度のリキみで充分に怒責に対する訓練にもなる。
 予測できない事故から身を守るために,より安全な方法で,かつ慎重に運動を行うように心掛けて欲しいものである。このような意味から,ボディビルの運動における呼吸法は,あくまでも生理にかなった方法で行なわなければならない。
 個々の運動の呼吸法については,運動種目の説明の項で述べるが,運動種目によっては,呼吸法が運動の重要なポイントになる場合もある。
 運動中の呼吸の深度は,特定の運動種目をのぞいては,運動の動作に合わせて自然に吸える量を吸い込み,自然な気持で吐くようにする。深呼吸をするようなつもりで無理に多く息を吸い込むことは,胸圧が著しく上昇し,怒責するのと同じような状態になるので危険である。また,息を吐くときは,一時に大量に出しすぎては苦しくなってしまうから,吐くというよりも唇からもらすような感じで少しずつ出すようにする。

◇トレーニング中の休息

 運動を行えば,当然のことながら心臓と肺の動きが一時的に亢進し,呼吸が乱れる。したがって,運動の合い間に適当な休息をとることが必要になる
 休息時間は,運動種目と実施者個々の体力によって異なるので,いちがいにはいえないが,だいたい30秒〜3分ぐらいである。要するに,呼吸の乱れがある程度しずまり,次の運動をやる気になるまで休めばよい。
 逆に,休息をあまり長くとりすぎると筋肉が冷えてしまい,運動能力が低下し,トレーニングに対する意欲も減退してしまう。とくに冬期においては保温が非常に重要な要素を占めるので,休息時間には充分留意しなければならない。(次号へつづく)
[ 月刊ボディビルディング 1973年2月号 ]

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