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ビルダー教養講座 やさしいボディビル英語(最終回)

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[ 月刊ボディビルディング 1973年9月号 ]
掲載日:2017.10.13
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高山勝一郎

ポージング

 ボディビルはその昇華するところにポージングの分野がある。
 Posing is an art.(ポージング イズ アンアート)といわれる。
 〝ポージングは芸術なり〟だが,芸術にもいろいろあるものである。
 posing-art(ポージング・アート)という言葉がよく出てくるが,これは〝ポージング芸術〟というより〝ポージングのやり方〟というような意味で使われている。
 ポージングをやる人のことをposer(ポーザー)という。
 「彼はポージングがうまい」というときには,〝He is a good poser〟(ヒーイズ ア グッド ポーザー)である。
 反対は,〝He is a bad poser〟(ヒーイズ ア バッド ポーザー)。goodの反対はbadだから,これはもうあたりまえだが,「彼のポーズはどうも下手クソだネ」などとけなすときは 〝His posing looks clumsy〟(ヒズ ポージング ルックス クラムジー)といっている。
 clumsy(クラムジー)は,まさに,〝みっともない〟のであって,審査員に 〝His posing looks clumsy〟といわれては,みっともなくて二度とステージにあがれないことになる。

難易

 ポージングが下手だということは,つまるところ,自分の体のタイプに合ったポーズがとれていない,ということになるようだ。
 〝His poses are not suited to his type.〟(ヒズ ポージーズ アー ノット スーティット ツー ヒズ タイプ)なのである。
 「彼のポーズは,彼のタイプにはピッタリこないね―」といわれないように研究が大切だ。
 それにはどうしたらよいか。
 無理に難しいポーズをとり入れないことも解決の一つ。
 〝Stick to easy-to-do poses〟(スティック ツー イージーツゥドゥ ポージーズ)と,よくトップ・ビルダーがアドバイスしている。
 stick toというのは,何かに〝しがみつく〟ことだから,「自分のやり易いポージングにしがみつけ」すなわち「ポーズし易いと思うものだけでルーティーン(posing routine)を作れ」ということだ。

道程

 トレーニングにtarining routine(トレイニング・ルーティーン)があるように,ポージングにはposing routine(ポージング・ルーティーン)がある。
 欧米では,とくにポーズとポーズのつなぎを重視する。
 〝Going from one pose to the next should be a pose itself〟(ゴーイング フラム ワンポーズ トゥザ ネクスト シュッドビー アポーズ イトセルフ)といわれる。「一つのポーズから,次のポーズへ移ること自体が,ポーズそのものでなければならない」という意味である。
 パール,ゼーン,ディカーソン……およそポージングの名手といわれる人たちは,みなこの言葉を守っている。
 バランスもまた大切だ。
 彼らは〝Standardize your leg and foot position〟(スタンダーダイズ ユア レッグ アンド フット ポジション)と教えている。
 先ず(ポージングをとるための)足の位置を(いつでもとれるように)標準化しておけ,ということだ。
 皮フの色も健康的に焼いておきたいもの。
 〝Always tan your skin〟(オール ウェイズ タン ユア スキン)(常に皮フを日焼けさせておくこと)もビルダーの資格の一つである。

惜しまれて去る

 長々とポージングをやっていると,自分の体の欠点をさらけ出すことにもなる。
 〝Quit while you're ahead〟(クイット ホワイル ユーアー アへッド)という教えがある。「一番調子の出ているときに去れ」ということだ。「借しまれているうちに去る」こともビルダーの条件だろう。
 さて,長々と20回にわたって,この「ボディビル英語」は連載された。
 もはや皆さんに飽きられているのではないかとも思うが,私としては「惜しまれているうち」にとウヌぼれて,この連載を終わりたいと思う。
 長いご愛読を感謝いたします。
 では Good luck!


(筆者は政府公認通訳,科学技術翻訳士,株式会社国際交流サービス社長)
[ 月刊ボディビルディング 1973年9月号 ]

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