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知っていると有利 栄養ミニ知識

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[ 月刊ボディビルディング 1973年11月号 ]
掲載日:2017.11.28

☆豪華なタ食は太る原因になるか

 女性を対象とした美容教室で,フード・コンサルタントが話をしているのをきいたが,ちょっとおかしな点がある。「日本人は夕食に豪勢な食事をしすぎる。夜は活動しないのだから,少しでいいはずだ。夜食べすぎると太ってくる」――はて,そうだろうか?
 われわれが食べた食事は腸で吸収されるまでに7~8時間以上かかる。便として排出されるまでに,平均48時間かかるのだ。夜寝ているときは身体活動こそ行わないが,内臓や筋肉の修繕作業をおこなう重要な時間なのだ。
 そのうえ,12~13時間のあいだはエネルギーが補給されないときている。日本ばかりでなく,西洋でも夕食はディナーと呼ばれ,ごちそうを食べるのが当り前になっている。

☆アセトン体

 食物中の脂肪は,カロリーのバランスがとれているときは体内に蓄積されず,どんどんエネルギーに変わるのだろうか? アイソトープを使用した実験によると,どんなに飢えた状態でもいったん体脂肪にかわり,それから代謝されていくという。
 脂肪が燃焼するには炭水化物が一定量必要で,もし不足したときは,脂肪の酸化が困難となり,Bオキシ酪酸やアセト酢酸などの不完全燃焼物質ができる。これらをアセトン体と呼ぶ。
 アセトン体ができたとき,これらを中和するために体内のアルカリ分が動員され,体液の酸性化(アチドーシス)をおこす。疲労はこのときおこるので,あまり脂肪をとりすぎるのもよくないのである。

☆ローレル指数

 栄養的にみて,望ましい状態にあるかどうかをみる方法の1つで,体重を身長の3乗で割り,1万倍したもの。すなわち,身長を一辺とする立方体を考え,この容積に対する体重の割合を示そうというもの。いわば比重を表わすと考えてよい。
 ローレル指数は骨格・筋肉・内臓諸器官などの充実度を示しており,数字が高いことは,身長に応じて体重,すなわち体の充実度も高いことを示し,数字が低いことは,ヒョロッとやせすぎであることを示す。
 近年青少年の体位は伸びたもののローレル指数が低下していることから内臓などの発達具合はどうなのか危ぶむ声もある。

☆リノール酸・リノレン酸

 油脂は脂肪酸とグリセリンが結合したものである。植物性の油脂は脂肪酸が不飽和のリノール酸やリノレン酸でできており,容易に酵素作用を受けやすい。そのためコレステロールとして血液中に残存しにくいので,体に良いといわれている。
 飽和とか不飽和というのは,化学構造式中に二重結合を持ち,水素で還元されやすいものを不飽和という。
 ピーナッツやサフラワー油(ベニハナ油)小麦胚芽油(ジャームオイル)などは不飽和油であり,これらに同時に含まれるビタミンEは身体の発育やセックスに関係が深い。
 また,これらの脂肪酸はビタミンFとも呼ばれている。

☆アチドーシス

 アチドーシスは酸血症ともいい,体液のPHが低下し酸性になることをいう。ふつう血液はPH7.3~7.5ぐらいであり,組織液についてもほぼ同様であるが,肉類を食べたり,糖質を食べると炭酸ガスを生じ,血液中で炭酸となってPHを低下させる。
 われわれの体には平衡作用があり,バランスがくずれたとき元へ戻そうとする。クエン酸ソーダ・重そう・クエン酸カリなどの,陽性イオンを含んだ物質や,一般にアリカリ食品といわれる食品がこのときに役立つのだ。
 海藻や野菜,大豆製品などは体の酸性化をふせぎ,疲労を回復させる作用を持つ。作業能率をあげるためにも,これらの食品を大いに食べたいものだ。
[ 月刊ボディビルディング 1973年11月号 ]

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