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なんでもQ&Aお答えします 1973年12月号

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[ 月刊ボディビルディング 1973年12月号 ]
掲載日:2017.11.17

ボディビルは柔軟性を失うか?

Q
 私は現在,学校のクラブ(バレーボール)といっしょに補強の目的で少々ボディビルを行なっています。ところが,ボディビルで体がたくましくなるのはよいのですが,筋肉がついてきて体の柔軟性がなくなるのではないかと少し心配しております。友達や先生の話だと,筋肉がついてしまうと身長ものびにくくなるというのを耳にし,調和のとれた体というものが望めないように思えてなりません。本当のことなのでしょうか? お教えください。(東京都江東区・田中幸男)
A
 筋肉が肥大すると柔軟性がなくなるのではないか?とのご質問ですが,そんなことは全くありません。筋肉リュウリュウの体からは,人工的,機械的な感じが受けとられてしまい,ロボットのようにギコチない動作しか出来なくなってしまうような気がするために,想像力の逞しい人々がその想像力の逞しさ故に,ロボットに柔軟性があるはずもないので,当然の結果として,筋肉リュウリュウの体は柔軟性がなくなると言う分ったような分らないようなことを,本人はすっかり信じ切って言いふらすものですから,人から人へと伝わって,ボディビルは体が堅くなると伝わっているのでしょう。
 しかし,筋肉が肥大したために柔軟さがなくなることは全くありません。その上,ボディビルのトレーニングは,とくに柔軟性を目的とした運動でもなく,ボディビルをしている人の中には柔軟性のとくにない人がいるのも事実です。だからと言って,すぐに「ボディビルは体が堅くなる」とは理屈が合いません。
 一般人とボディビルをしている人ではどちらが柔軟性があるかについてはボディビルをしている人の方がずっと柔軟性があると立証されているのです。ただボディビルは普通の基本的種目ではとくに柔軟性を必要としないので,その種目が出来るだけの柔軟性はあるが,それ以上軟らかくなることもあまり期待出来ないだけのことです。
 関節はそのスポーツの運動が十分に出来るだけの可動性があれば良いのでそれ以上の可動を加えれば逆効果になってしまいます。たとえば,ベンチ・プレスでは多少ブリッヂをするとより重いものを挙げることが出来ますが,足の先が自分の背中の方迄来るほどブリッヂをすると,たとえ重い重量が挙げられたとしても,大胸筋のトレーニングなのか腰の運動なのか分らなくなってしまいます。
 そのようなやり方はプラスでないばかりか,せいぜい腰を痛めるのがおちでしょう。ボディビルを普通に行なっていればそれが出来るだけの柔軟性は身につきます。どんなに筋肉が発達しても柔軟性のなくなることはありません。あなたのいうような「筋肉がついてしまうと身長も伸びにくくなる」との説も全然根拠のないことです。
 ボディビルを非難する人たちに必ず共通している点は,その人たちは絶対と言えるほどボディビルを経験したことがない点です。教師であれ医師であれ,まだまだボディビルを悪いものだと言いふらしている人たちが多いのには困ってしまいます。
 現在ではあらゆるスポーツの基礎体力としてウェイト・トレーニングが効果のあることは知られているのですから,勉強不足のために分らないで非難しているとは思われません。ボディビルで鍛えた筋肉美に対してコンプレックスの反動としてボディビルを非難しているとしか考えられません。
 うそのような本当の話ですが,あるとき私のコーチしているジムで,入会手続を済ませてから体操着をスポーツ用品店へ買いに行った人が,戻って来て入会手続を取り消したいと言うのです。どうしてですかと質問をしたところ,スポーツ用品店の主人にボディビルの害を得得と説明されたので取り消したいと言い,体操着も買ってこなかったのです。こんなあきれた話にさぞ読者は下手な作り話だと笑うことでしょう。
 筋肉が発達することと,身長が伸びなくなることは関係ありませんが,発育途中の年代に過度にトレーニングするのは良くないことです。しかし,これとて身長が伸びなくなる原因でもなく,発育途中の練習は筋発達が遅く,ましてオーバー・トレーニングは体の成長が完成していない時期にはストレスが大き過ぎて良くないだろうというだけのことです。そこで,未青年者はその年代に適したトレーニングをするべきであり,また持久力や柔軟性を重要視したスケジュールを作成するのが理想的でしょう。
 ボディビルは,ベンチ・プレスやスクワットばかりがトレーニングではないのですから,あなたが望む「バレーボールの補強」のためのトレーニングには,軽いウエイトを使用したサーキット・トレーニングが良いでしょう。
 運動能力とは,柔軟性,パワー,持久力,敏捷性,バランス等全てのことで,それら全部を理想的に発達させることが可能なスポーツを望む方が無理で,たとえば,どのスポーツでも一長一短があり,それが各スポーツの個性となっているのですから,ボディビルに限って全てを完全に要求するのは間違っています。
 ボディビルへの非難内容のほとんどが,立派な肉体を持つ重量挙の選手たちが,100mを10秒で走れないのか?と追求するのと変わらないように思うのです。ボディビルのコンテストはスポーツかも知れませんが,毎日毎日のトレーニングは「スポーツ」とはどこか少しニュアンスが違っていて,そこの多少違っているところが全てに通じる基礎体力運動なのでしょう。ボディビルに対して無理な期待をし過ぎるのは間違っていると思います。

女性向きのトレーニング法を

Q
 前略,いつも御誌愛読しておりますが,女性向きの記事が少なくて淋しい感じです。女性も美容体操だけではなく,器具,機械によって積極的なプロポーションづくりが必要と思われます。現在,スタファー機2台,西式健康器1台,アレイ,エキスパンダー等があります。ト
レーニング・ルーム新設に必要な女性向きの機械,器具,およびトレーニング方法等誌上でご教示願いたいと思います。
 また,女性の公認指導員の資格認定はどのような方法でとればよいのでしょうか,その点もお教えください。お願いいたします。(神戸市・一女性)
A
 女性のためのトレーニング指導は不勉強な私には全く判らない有様です。その根本的理由は,私が男らしくないにもかかわらず男であるからでしょう。たとえ机上の理論を知っていたとしても(それも欠けていますが)実技面での指導経験がなくてはどうしようもなく,また指導経験があっても,女性ではないことが体験的アドバイスを不可能にしているのです。
 体験こそすべてとも言えるこの世界では,私にとって女性のトレーニング知識は無に等しいものです。私自身は科学的トレーニング法とやらを全知全能の神のごとく崇拝することに全面的には賛成出来なく,トレーニングに科学の占める比率は20%くらいで,残る80%は体験上のトレーニング法ではないかと,一昔前の古い考え方かも知れませんが,そう思っています。
 理論上は男性と同様に女性もウエイト・トレーニングで美しいプロポーションを創造出来ますと説明しても,一向に日本では盛りあがらなく,笛を吹いても踊らないコブラみたいになっている現状です。このままでは何年経っても本格的レディス・トレーニング・ジム等は経営困難でしょう。
 人間は本能的に理論だけでは納得したくないと考えるもので,つい女性がトレーニングすれば筋肉が異常に肥大するのではないかとか,男性化して女性らしさがなくなってしまうのでは?と考えてしまいがちです。
 ある人にはなんと馬鹿らしい疑問だろうと思うでしょうが,そう思える人は一歩も二歩も進んでいる人で,その他大勢の人は相変わらず単純な疑問が意識の中に潜在していると思います。私でも少しはそう思っているのですから……。いくら女性はホルモンの関係で男性のような体にはならないのだと言っても,それだけでは解決しない何かがあるのです。筋肉隆隆の腕をした女子テニス選手を写真で見たこともありますし,オリンピックに出場するような女子選手は,どうみてもスジばった体をしていたり,ゴツゴツした体である人が多く,女性としての理想的な体とは感じられません。この場合は少し別ですが,トレーニングも程度問題なのではないでしょうか。ではどの程度のトレーニングが適当なのかといわれても私には分りません。
 最近流行のアスレティック・クラブでの女性コーチによる女性のトレーニングでさえも,美容体操の域を出ていないようです。また日本のボディビル関係の書物で,女性トレーニングについて詳しく解説したものはほとんどなく,その原因はボディビル指導者がすべて男性であり,体験的説明が出来ないためにいつまでも女性トレーニングはこうあるべきだと決定的なことをいえない弱さのためではないかと思います。
 ウェイト・トレーニングに関しての詳しい書物は次第に多くなりつつある現在ですが,それらのどの本にも女性に関してのトレーニングについては述べられておらず,たとえ1~2冊あったとしても,とても理想には程遠いものです。基礎が確立されていなくて発展だけを望んでも先が見えていると言うものです。このままでは女性のボディビルはかっこ良く見えても,やはり美容体操の何々式みたいなものと同レベルで終わってしまうのではないでしょうか。
 女性用トレーニング・マシンの種類は多くありますが,良いと思われるものは,自分自身で筋力を使用するマシンです。他力本願的なバイブレーターのようなマシンは効果があまりないでしょう。チェスト・ウエイト,レッグ・プレス・マシン,レッグ・エクステンション・マシン,バタフライ・バスト・マシン,ローイング・マシン,バイシクル,ランニング・マシン等が前者で,バレル・ローラー,ベルト・バイブレーター,スタイリー等は後者です。バイシクルも電動式で自動的に動くものは良くありません。その他の器具はバーベル,アレイの軽いウェイトのものを数種で十分でしょう。
 最後の女性の公認指導員の資格認定方法ですが,現在のところ,日本体育施設協会のトレーニング指導士講習会および認定試験が最適と思います。女性の受講者も大勢いますので,受け易い試験です。毎年10月頃講習がありますので,詳しくは東京の国立競技場内にある財団法人・日本体育施設協会へお問合せください。

バー・ディップスの効果は大胸筋か上腕三頭筋か?

Q
 私はいままで大胸筋のトレーニングとしてベンチ・プレスとディップスをスーパー・セットで実行していましたが,先輩にディップスは上腕三頭筋の運動だから,フレンチ・プレスと合わせたスーパー・セットにすべきだと注意されました。考えてみれば三頭筋にも効果が感じられますし,どちらの種目といっしょにすれば良いのか判らなくなってしまいました。ディップスの効果は大胸筋なのか上腕三頭筋なのか教えてください。ボディビルを始めてちょうど1年になる22才の会社員です。
(東京都・松沢)
A
 どの種目にも共通している点は,その運動効果は1カ所の筋肉だけではなく,複数の各筋肉群を鍛えることです。トレーニング法の説明書にも,どの種目をみても効果を及ぼす筋肉は複数であることが書いてあります。
 そうであるが故に,あなたの質問のように,ディップスは一体どこの筋肉の運動なのかと疑問を持ってしまうのではないかと思います。ディップスに限らず,すべての種目について,この運動は大胸筋のトレーニングに効果があるが,三角筋と前鋸筋にも効果があります,等と説明してありますので,深く考えると迷ってしまうのです。たしかにそれも本当のことなのですが,トレーニングをする側の立場になってみると,そのような説明が逆に分かりにくくなってしまって,どうもすっきりしないのです。
 さて,ディップスの効果ですが,私は大胸筋,上腕筋,上腕三頭筋,三角筋にやはり効果があると思います。またまた複数の筋肉群を書いてしまったので,あなたも一体どうなっているのだ,と思う事でしょう。
 そこで,私の意見を述べてみましょう。私は解説書に表わされていることは事実として認め,トレーニングする時はトレーニングし易いように考え直してスケジュールを作ることが良いと思います。どの種目でも一番効果の大きい筋肉があるのですから,その種目はその筋肉だけの運動として解釈するのです。そうしないとトレーニングが非常にややこしいものになってしまいます。
 たとえば,アーム・カールをしているときに,手首を巻き込むと上腕二頭筋といっしょに前腕も鍛えられるんだ等と考えて練習していたら,意識の集中力が2ヵ所に分散されてしまうので,逆に効果が弱くなってしまうかも知れません。
 ベンチ・プレスは大胸筋,スクワットは大腿四頭筋,フレンチ・プレスは上腕三頭筋,ベント・ローイングは広背筋,バック・プレスは三角筋,アーム・カールは上腕二頭筋と,1種目に1筋肉として考えて練習すべきだと思います。
 ディップスはある人には大胸筋に効き,またある人には上腕三頭筋に効きある人には両方に同じように効く場合もある種目なので,このような種目はどう解釈すれば良いのかというと,個人,個人が練習してみて,とくに効果のある部位と感じられるところのトレーニングだと考えるのです。
 ディップスやプル・オーバーは,初心者のときにはトレーニングしている本人がどこに効果があるのか判らないような気がするものです。あなたの質問ではディップスが大胸筋にも,上腕三頭筋にも効くらしいので,大胸筋のトレーニングとしてベンチ・プレスとディップスを合わせたことは間違っていませんが,先輩とか言う人がフレンチ・プレスとディップスにした方が良いと教えてくれたことも間違ってはいないことになります。
 ですから,両方のトレーニングをそれぞれ行なっても全然逆効果ではないのです。しかも,それではまぎらわしいと思うのでしたら,自分で少しでも効果の大きい方の筋肉の運動だと割り切って考えるのが良いでしょう。そして,今後の練習にはディップスのときに自分はいま大胸筋なら大胸筋,三頭筋なら三頭筋の運動をしているのだと,そこに意識を集中してトレーニングしてください。
 よく,ベンチ・プレスが肩に効いてしまって胸には効かないとの声を耳にすることがありますが,だからと言ってベンチ・プレスを肩の運動と解釈してトレーニングするのもどうかと思います。そのようなときには手幅を変えたりして胸に効くようにすることです。

蛋白質の過剰摂取は害があるか?

Q
 ボディビルと健康に関しておたずねします。タンパク質の取り過ぎは糖尿病になるということを耳にしますが,ビルダーの場合,つとめてタンパクの摂取をしているようですが,その場合,どのように気をつければ良いのでしょうか。また,具体的にはどれぐらい摂取すれば危険なのでしょうか。できるだけ詳しくお教えください。(愛媛・D・A)
A
 タンパク質の過剰摂取が直ぐに糖尿病になるとは限らないと思います。しかし,タンパク質中心のかたよった食事を続けていても全く害が無いのだろうか,とは誰でも考える事でしょう。いままでのボディビルでの考え方は,タンパク質を必要以上体内に取り入れた場合には体内で熱源として消費されるか,または尿として体外へ排出されてしまうのでとくに心配はないとのことでした。
 だが何事にも断定可能な物事ばかりでもなく,「しかし」とか「だが」とか「ただし」等のことばが付くことが多く,表があれば裏があるもので,ここではタンパク質の裏の面だけを説明してみることにします。
 そう言っても,決して「タンパク質」を悪者にしようと思っているのではありません。タンパク質の筋肉,いや体構成上での役割たるや非常に大でありタンパク質なくして筋肉はあり得ないのは事実です。ですから,もう少しタンパク質を注意深く考えてみようと思っているのです。
 では,タンパク質は果たして有害の可能性があるのだろうか。もしあるならば,その程度はどのくらいなのだろうか。そんな疑問を持っているあなたや,その他の読者に対して少しでも参考になればという気持で思ったことを書いてみます。ただ,誌面の都合上プラスの面は省略して,マイナス面を一方的に述べることになりますので,害ばかりが目立ってしまうかも知れませんが,割合から見ればプラス面が比較にならないほど大きなのですから,その点を誤解しないでください。
 糖質,脂肪,蛋白質の三大栄養素の内の蛋白質だけでは正常の代謝をすることは不可能で,それはタンパク質だけではどうしても体内で合成出来ない物質があり,タンパク質や動物性の脂肪を摂り過ぎると,糖尿病,痛風,神経痛,その他の循環器系統の臓器の病気になると言うことです。かたよったタンパク質中心の食事は,当然このような病気になる可能性も出てこようと言うものです。
 筋量増加に効果があるからといってタンパク質しか食べようとしないような食事をしていると,血液を酸性化させるため,糖尿病などの病気を起こすだけでなく,アレルギー,高血圧,心臓病等数え切れないほど多くの病気を起こす原因となるのです。また,どの程度のタンパク質摂取ならば良いかは一概に言えないのです。それは,タンパク質がどれだけ必要かを決めるには1日の運動量から決めなければならず重労働者では約130g前後となっていますが,130gのタンパク質を摂れば十充と計算で割り切れないからなのです
 なぜなら,タンパク質には質の良し悪しがあり,それをタンパク価と言いますが,そのタンパク価の低い130gでは,同じ130gでも必要量を満す事が出来ないのです。では130g以上摂取すればいいかというと,タンパク価の低いタンパク質を多く摂ると,逆に悪い影響があらわれます。タンパク質はアミノ酸の合成であり,アミノ酸の比率の悪いタンパク質を多く摂るとバランスを失うばかりでなく,逆にタンパク質の合成が妨げられてしまうこともあるのです。また,タンパク質は植物性と動物性タンパク質があり,そのどちらも一長一短があって難しく,植物性タンパク質は経済的ではあるが,アミノ酸組成のリジンやトリプトファン等が少く,タンパク価が低いのです。
 しかし,値段の高い動物性タンパク質の方は,タンパク価も高いので,激しい運動時の場合,約60%は動物性タンパク質が含まれていることが理想的だとされています。
 植物の大豆から作られた豆腐にはタンパク質が多く含まれているからと考え,毎日豆腐を食べてもそれだけで理想的だと思うことは間違っているのです。それを知らないで,多くの人たちが苦労して大豆製品ばかりを食べているのではないかと老婆心ながら思っています。植物性タンパク質は,動物性タンパク質よりタンパク価が低く,不可欠アミノ酸が欠けているので,それ以外のアミノ酸がいくらあっても,タンパク質を構成出来ないので,それらのアミノ酸はすべて無駄になってしまうのです。
 たとえタンパク価の高い食事をしたとしても,タンパク質を蓄積することは出来ないので,タンパク質を摂るために高価な食事をしても無駄であったかも知れないのです。その上余分に摂ってもそれが害になるのでは苦労が水の泡となってしまいます。タンパク質が余分にあるときは分解されてアンモニアや尿素となって排出されるが,それと同時に血液や体液を酸性化させて病気ばかりでなく疲労も早めるので,野菜や果物等のアルカリ性食品を食べるように注意した方が良いでしょう。タンパク価100である卵は最高食品ですが,やはりその卵にも多食すると害があるのです。
 卵を多食すると,卵黄に含まれている非常に多いコレステロールのために血管がつまって,だんだんひどくなるとついには血管が裂けて脳溢血になります。
 あなたもここ迄読むとタンパク質が良い食品なのかどうか不信になってきていることと思います。別に驚かす訳ではありませんが,タンパク質タンパク質とあまり摂取量に神経質にならないのが一番良いのではないかと私は思います。
 最後にもうひとつ,気を安める話があります。日本人はそんなにタンパク質を摂取しなくても,糖質や脂肪でカロリーを摂る長い間の食事体形が,自然にタンパク質の必要量を少なくしてよいようにしていると言う事実です。日本人の体のしくみがそうなっているのですから,食生活のリズムを狂わすことのないように,平均的日本人の食事に加えて,われわれビルダーはほんの少しだけタンパク質に気をつけるくらいで良いのではないかと思います。
 食事での効果的な三大栄養素の摂取率は,タンパク質1,脂肪1,糖質4です。それなのにタンパク質80%くらいの食事をしているビルダーが日本中には随分多いのではないかと思います
「栄養はボディビルの7割である」と有名外国ビルダーの1人が言ってますが,私は間違った食事は逆に7割のマイナスではないかと思います。難しく考えなくても普通に何でも食べていれば理想的な栄養を無意識にとれるようになっているはずと思います。

(解答は五反田トレーニングセンター 位田達穂コーチ)
[ 月刊ボディビルディング 1973年12月号 ]

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