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肩を大きくしよう ~ 中・上級者のための集中的トレーニング法 ~

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[ 月刊ボディビルディング 1968年9月号 ]
掲載日:2017.11.29
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◎ 日本のビルダーは肩と腕が貧弱

 さきほどの遠藤選手の言葉のように、アメリカのビルダーに比較すると、日本のビルダーはたしかに肩と腕が貧弱です。では、日本人は先天的に肩と腕が発達しにくいのでしょうか?いや、そんなことはぜったいにないはずです。

 だれでも、ボディビルをやりはじめたころは、体の中心部の発達を望むものです。まず最初に、ビルダーの誇りともいえる大きく厚い、そして形のよい胸を、次に、圧倒的な大きさと迫力を感じさせる広背筋を、そしてそれから太い腕や、大きく盛り上がった三角筋を、と考えるのがふつうでしょう。肩や腕の迫力を求めるのは、いっばんにあるていどレベルの上がった人たちです。

 アメリカのボディビルダーにしても、肩・腕のスゴミが出て、全体的にまとまり、すみずみまでよく練習がいきとどいてきたのは、一部のトップ・クラスをのぞくと、ごく最近のことです。以前は、胸や広背などの中心部の発達はいまとそれほど差はなかったにしても、その他の部分では、現在のレベルよりはだいぶ見劣りしていたように思われます。

 日本のボディビル界の現況は、ちょうどアメリカのそのあたりの水準にあるといえるでしょう。アメリカのボディビルの歴史は古く、その現在のレベルは、残念ながら、日本のそれよりは数段上であると認めざるをえません。しかし、もう何年かたてば、日本にも現在の世界のトップ・ビルダーていどの実力をもつ選手がひしめき合い、その中でコンテスト優勝の栄冠を獲得すためには、頭の先からつま先まで、たとえば顔の各部筋肉のひきしまりぐあい、表情筋の豊かさ、手足指の力強さと美しさ、さらにはビルダーの精神力、知性、それに社会的な行動力など、いまとは比較にならないほど広範囲で高度の完成が要求されるようになるでしょう。

 現に、ミスター日本を争うクラスになると、いままでのビルダーがあまり重視しなかった、というよりは、わかってはいたけれども手がまわらずに、あとまわしにしていた前腕・首・フクラハギなど、末梢部の鍛練にも大いに力をそそぐようになってきています。

◎ 練習量の差

 では、練習量さえふやせば、すぐにラリー・スコットやビル・パールのように、大きく盛り上がった力強い肩ができるかというと、そうはうまく問屋がおろしてくれません。人間の体は、粘土細工のように、簡単に変えられるものではないのです。それに、とくに肩のばあいは、各自の体型が問題になってきます。

 最初から肩幅が広くて胴の細い人は、それほど三角筋が発達していなくても、あんがい大きく見えるものですが、肩幅がせまく、胴から足腰が太い、いわゆるスポーツマン体型の人は、三角筋が発達していても、そのわりには目立ちません。

 三角筋は、大胸筋、広背筋、大腿筋などにくらべると、比較にならないほど小さい筋肉です。小さい筋肉は、練習量をふやしたからといって、すぐに目立って発達するものではありません。発達の度合いの少ないところは、時間をかけて鍛えこまなければならないのです。

 機能的に見ると、三角筋は腕をもち上げる筋肉です。そしてその練習種目を大別すると、プレス系とラテラル系およびスタンディング・ローイングの3つになります。その中でも、バルクをつけるためでしたら、だんぜんプレス系統の中に有効な種目が多いのですが、そのどれもがわりとむずかしく、いっぱんに上腕三頭筋ばかりにきいて、狙いの三角筋に対しては確実な効果をあげにくいものです。効果をあげるには、相当の年期を入れることを覚悟してかからなければなりません。
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◎ 簡単には大きくならない

 では、練習量さえふやせば、すぐにラリー・スコットやビル・パールのように、大きく盛り上がった力強い肩ができるかというと、そうはうまく問屋がおろしてくれません。人間の体は、粘土細工のように、簡単に変えられるものではないのです。それに、とくに肩のばあいは、各自の体型が問題になってきます。

 最初から肩幅が広くて胴の細い人は、それほど三角筋が発達していなくても、あんがい大きく見えるものですが、肩幅がせまく、胴から足腰が太い、いわゆるスポーツマン体型の人は、三角筋が発達していても、そのわりには目立ちません。

 三角筋は、大胸筋、広背筋、大腿筋などにくらべると、比較にならないほど小さい筋肉です。小さい筋肉は、練習量をふやしたからといって、すぐに目立って発達するものではありません。発達の度合いの少ないところは、時間をかけて鍛えこまなければならないのです。

 機能的に見ると、三角筋は腕をもち上げる筋肉です。そしてその練習種目を大別すると、プレス系とラテラル系およびスタンディング・ローイングの3つになります。その中でも、バルクをつけるためでしたら、だんぜんプレス系統の中に有効な種目が多いのですが、そのどれもがわりとむずかしく、いっぱんに上腕三頭筋ばかりにきいて、狙いの三角筋に対しては確実な効果をあげにくいものです。効果をあげるには、相当の年期を入れることを覚悟してかからなければなりません。

◎ 筋肉優先法

 1日のトレーニング時間の初めの部分は、各部筋肉もエネルギーに満ちあふれ、元気はつらつとしていて、練習の意欲や効果が大きいときです。多くのビルダーは、このときを胸のトレーニングにあてているようです。だれもが胸の発達を第一番に望み、また、自分の力の強さを見せたいという気持からでしょうか、最初のうちにベンチ・プレスを行なう人が多いのですが、三角筋の集中的トレーニングをして、力強い肩を獲得しようとする人は、その一番効果的なときに肩の練習をするとよいでしょう。

 1日のトレーニングも終りに近づき、身体各部の筋肉が疲労しているときに、むりに心をはげまして練習しても、思ったほど効果はあがらないものです。疲労している筋肉に刺激をあたえてもあまり効果は期待できないし、かえってオーバーワークの逆効果となることさえあります。筋肉にエネルギーが満ちあふれているときでしたら、最大限の効果が期待できようというものです。このように、トレーニングの初めのうちの、まだ体が疲れていないときに一番発達させたいと思う部分を、他の部分に優先させて鍛えようとする方法が筋肉優先法です。
(なお、先月号で「上腕の筋肉の1/3を占めるといわれる上腕三頭筋」となっていましたのは、2/3の誤植ですので訂正いたします)

私の食事法 ~ 逮藤 光男 ~

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 初心者の人はともかく、コンテストを狙うビルダーたちで、体の発達(筋肉)は練習方法だけに左右されるものと思っている人が多いようですが、私はそうは思いません。

 なぜなら、筋肉を発達させる条件の3つ(練習・休養・栄養)のうち、練習の部分は全体の1/3の役割しかはたしておりません。むしろ、かなりのレベルに達したビルダーであれば、栄養の面のほうが練習の面より比重は重くなると私は信じております。ですから、これからコンテストを狙うビルダーたちは、練習方法の研究はもちろんたいせつですが、食事(栄養)の方面も。これから大いに研究する必要があると思います。

 私の食事のとり方としては、やはり筋肉をつくるのにもっとも大切であるたんぱく質を多くとるように心がけています。したがって食事そのものも、たんぱく質を主とした副食物中心です。牛肉や豚肉ばかりでなく、豆腐や納豆などの豆類、焼魚やフライなどからもたんぱく質は充分にとれます。それから生野菜や新鮮な果物もビタミン類の摂取のために欠かすことはできません。私は果物は季節のものをたくさん食べております。食事は朝、昼、夕、夜の4回とりますが、朝はパンと牛乳ていど、あとの3食は、経営のつごうでジムに寝泊りしていますので、近くの食堂でとるわけです。食堂の御主人が私のファンで、普通より安く栄養タップリなものを提供してくれるので助かります。

 なお、食事のほかに、1日に牛乳4本、卵5個、クラーク・ハッチのハイ・プロティーン“リアル・プロ”を30粒くらいとっています。
[ 月刊ボディビルディング 1968年9月号 ]

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