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[ 月刊ボディビルディング 1968年6月号 ]
掲載日:2017.10.26
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〔質問〕
 私は神経質な性格をなおそうと思い,ボディビルを始めてから9ヵ月になります。身長164cmで,胸囲は6cmふえて86cm,脚囲は4cmふえて50cm,腕囲31cmと発達しましたが,体重のほうは51~53kgを上下している状態です。
 トレーニングは週3日,1時間30分くらいずつ行なっており,ベンチ・プレス60kg,スクワット65kgで10回は可能です。毎日迷いながらも,トレーニングだけは欠かしたことがありません。素質がないんだとあきらめてみたり,死ぬ覚悟でやろうと考えてみたりしています。トレーニング方法や重量等についてはだいたいわかっており,そのとおりにやっていますが,これ以上発達しない体にコンプレックスを感じている毎日です。(愛知県・一大学生)
〔答〕

 まずあなたに申し上げたいのは,あまり深刻に考えるな,先を急ぐな,ということです。いわゆる〝スポーツと健康〟とは,気晴らしに楽しんで行ない(=スポーツ),肉体的,精神的,さらに社会的に良好な状態(=健康)を作り出すことです。あなたは気晴らしに楽しむことを忘れ,精神的不健康な状態におちいっているようですね。
 あなたはまず,トレーニングを中断して,長期(1週間〜1ヵ月)の休養をとり,精神的,肉体的疲労をとり去らなければいけません。休養期間中にやせはしないかなどとくよくよ考えずに,のんびり読書でもして気分転換を図ってから,あらたな気持でトレーニングを再開してください。
 ご承知のように,筋肉の発達は,刺激―栄養―休養のくりかえしにより得られますが,それとともに不可欠なのが精神面の安定です。精神面の安定は物事に対してつねに楽しみ,満足しようという心がけから生まれます。あなたは,いままで作り上げてきた体に満足し,さらによくなる日を楽しみに,トレーニングをつづけるべきです。よく〝気はやまい〟といいますが,〝ダメだ!〟と思うよりも〝できる!〟と考えたほうが,結果もよくなるばあいが多いものです。また,どんな人でも機械のように単調に同じ運動をつづけたのでは,疲れたり,あきたりして,スランプにおちいることにもなりますあなたも,多くの人が一度は経験するように,スランプにおちいっているようですが,とくにあなたのばあいは,精神的スランプが肉体的なものよりひどいように思われます。
 登山で高い山に登ろうとすれば,それだけ高度の技術,体力,意志力などが必要となりますが,ボディビルのばあいもこれと同じです。自分の実力に不相応な高い山に登ろうとすれば,遭難や転落は必至でしょう。自分の実力に見合った山(計画目標)をあせらずひとつひとつ征服していき,さらに高い山(高度な計画目標)をめざして,楽しみながら努力すれば,やがてはエベレストやマッキンレイ(ミスター・ユニバースやミスター日本)の頂上をきわめることもできるのです。しかし,だれもがそこまで行けるというわけではありません。それが素質の差というものでしょう。
 あなたはまだ丘を登ったにすぎません。前途は洋々です。素質をうんぬんするのはまだまだ早すぎます。最後にボディビルの目的は健康を作るにあるということを心に銘記してください。
〔質問〕

 私は16才の高校生です。学校の授業でハンドボールをやっていますが,ハンドボールの練習で体が疲れてしまって,ボディビルのトレーニングが思うようにできません。よいスケジュールの立て方を教えてください。現在のスケジュールは
月火水木金土日
B B H H B H 休
で(Bはボディビル,Hはハンドボール),ボディビルは初心者用6種目と他に3種目を行なっています。(下関市・大畑耕四郎)
〔答〕

 あなたのスケジュールはかなりきついようですね。このままつづけると,疲労が蓄積して体の不調をまねく可能性が大いにあります。週1日の休養だけでは疲れるのが当然で,どんなによいトレーニングでも,十分な休養をとらなければ,その効果は半減してしまいます。
 あなたのばあいは,正課体育としてハンドボールを週3日は義務的にやらなければならないようですので,惜しいと思うでしょうが,週3日のボディビルのトレーニング日のうち,1日を休養日としてください。その休養日は火曜がよいでしょう。トレーニング種目は,ハンドボールでかなり下半身を使っているので,上半身の鍛練を重点的に行なえるものを選びましょう。
 また,ハンドボールを行なうときはあまり義務感にとらわれないように楽しみながらやってください。義務感にしばられると,精神的に疲れやすいからです。ボディビルのトレーニングについても同様で,疲れているときにむりして行なうのは禁物です。疲労を翌日に残さないように気をつけ,トレーニング種目やセット数,重量は,調子が出るまでは,少なめにすることをおすすめします。
[ 月刊ボディビルディング 1968年6月号 ]

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