【海外ビルダー紹介】ボディビル界の巨星 ジョン・グリメック
[ 月刊ボディビルディング 1968年6月号 ]
掲載日:2017.11.14
巨星の光いまなおおとろえず,ボディビル界を照らす
ボディビルディングという宇宙に,燦然たる光を放つ巨星,ジョン・グリメック――彼くらい世界のポディビル界に影響をあたえ,啓蒙したビルダーはいない。リーブス,パークなど,彼のあとをおそったトップ・ビルダーたちのほとんどが,彼の感化を受けているといっても,過言ではあるまい。
今回は,このグリメックの全貌を,限られた紙数の中でではあるが,データを中心として,把握してみよう。
今回は,このグリメックの全貌を,限られた紙数の中でではあるが,データを中心として,把握してみよう。
●コンテスト常勝ビルダー
グリメックの経歴は,〝常勝〟の2字で飾られていた。ミスター・アメリカには,1940年,1941年と2連覇しているが,彼の肉体があまりに群を抜いていたため,この分でいくと,ミスター・アメリカを開催するたびに,彼に優勝をさらわれてしまう,という不平の声が高まり,こんごミスター・アメリカ優勝者の再出場は認めないという規定が設けられたという裏話もある。
●ベスト・ポーザー
ボディビル史上最高のポージング・フォームと定評のある,低いドーリア式コラムに腰かけ,片手を頭上にかざしたグリメックのポーズをとくと観賞されたい。のちのトップ・ビルダーがいかにまねても,これほどの迫力は出せないといわれたきわめつきのポーズだ。この丸みをもった迫力こそ。彼の多角的トレーニングが生んだ成果であり,群雄ビルダーに一段まさる評価をほしいままにするゆえんでもある。
コンテストにおける彼のポージングは,一つのポーズを長くとらず,またポーズとポーズの間で動きをとめない。スピーディでしかもスムーズであって,いみじくも〝筋肉のパレー〟と表現されている。現在行なわれているコンテストのポージングも,彼に端を発しているのである。
コンテストにおける彼のポージングは,一つのポーズを長くとらず,またポーズとポーズの間で動きをとめない。スピーディでしかもスムーズであって,いみじくも〝筋肉のパレー〟と表現されている。現在行なわれているコンテストのポージングも,彼に端を発しているのである。
●パワー・リフトの記録
グリメックは,1936年のベルリン・オリンピックに,アメリカ重量あげチームの1員として参加している。彼のパワー・リフトの記録を次にあげてみよう。
・1940年に,ライトへビー級プレスで285ポンド(120kg)を上げている。これは当時の非公認世界新であった
(計量の結果,体重0.5kgオーバーのため)。
・コンチネンタル・プレスでは,つねに300ポンド(135kg)をマークしていた。
・シアー・ダンベルというグリップの太いダンベル250ポンド(112kg)を片手べント・プレスで9回。
・頭上重量支持(量重あげのフィニッシュの姿勢で)1000ポンド(450kg)等々。
・1940年に,ライトへビー級プレスで285ポンド(120kg)を上げている。これは当時の非公認世界新であった
(計量の結果,体重0.5kgオーバーのため)。
・コンチネンタル・プレスでは,つねに300ポンド(135kg)をマークしていた。
・シアー・ダンベルというグリップの太いダンベル250ポンド(112kg)を片手べント・プレスで9回。
・頭上重量支持(量重あげのフィニッシュの姿勢で)1000ポンド(450kg)等々。
●トレーニング方法
グリメックのボディビルがめざすものは,現在のアメリカの多くのビルダーに見られるような筋肉第一主義ではなく,パワーのある強い肉体の完成であった。これは,彼がすぐれたビルダーであると同時に,ウェイト・リフター,パワー・リフターであり,また,ハンド・バランスの名手であったことからもうなずけよう。
グリメックは,パワー・トレーニングを,①筋肉の力を増すためのトレーニング(主として動的抵抗運動による),②関節,腱,じん帯の力を増すトレーニング(ウェイト・サポーティング,アイソメトリックス等による)の二つの角度から行なった。
また,コンテストにそなえては,バルク・アップ――トレーニング・ダウン方式を採用した。
グリメックは,パワー・トレーニングを,①筋肉の力を増すためのトレーニング(主として動的抵抗運動による),②関節,腱,じん帯の力を増すトレーニング(ウェイト・サポーティング,アイソメトリックス等による)の二つの角度から行なった。
また,コンテストにそなえては,バルク・アップ――トレーニング・ダウン方式を採用した。
●現在のグリメック
ことし満59歳。アメリカのボディビル誌〝Muscular Development〟の編集長として,ボディビルの発展に全力を傾注している。トレーニングも欠かさず,窪田登氏がレッグ・パーク氏から聞かれた話では,いまもなお19インチ(48cm)の腕を保持し,トップ・クラスのビルダーとして尊敬されているという。ボディビル界の指導者としての,グリメックのこんごの活躍を大いに期待しよう。(磯部俊行)
[ 月刊ボディビルディング 1968年6月号 ]
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