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1968年度
ミスター日本コンテストを予想すると……

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月刊ボディビルディング1968年10月号
掲載日:2017.12.06
(写真は1967年ミスター日本コンテスト)

(写真は1967年ミスター日本コンテスト)

 '68年ミスター日本コンテストは,細目の決定までにいろいろの紅余曲折があったが,別記のとおり,最終的な決定を見た。
 さて,全国から選ばれて出場する強豪選手のうち,だれが14人目の〝ミスター日本〟の栄冠を獲得するだろうか? 出場を予想されるトップ・レベルの選手たちの名をあげながら,その
実力を検討してみよう。
 まず,北から。北海道には山田清治選手がいる。66年,67年と2期連続全国大会に出場しているので,今年も出場が予想されるが,昨年のレベルから見て,まだ優勝を争うまでにはいたっていないだろう。
 青森,秋田は,いわばボディビルの未開発地帯で,まだまだこれからといったところ。
 宮城にきて,ミスター宮城2連覇の藤原達也選手ががんばっている。のびのびとむりなく発達した体は将来性十分だが,しかし現時点では,優勝ラインにはちょっとくいこめそうもない。
 福島では,福島ボディビル・センターを主宰する大野次男選手がいるが,せっかくめぐまれた素質をもちながら,現在ジムの運営に苦斗しているため練習不足なのが惜しまれる。
 栃木にはいって,まっさきにあげなければならないのは,東日本コンテストに優勝した小林淳選手。小兵ながらバルク,デフィニション,プロポーション,ポーズなど申し分なく,有力な優勝候補の1人といってよいだろう。今回の大会では,トール・マンとショート・マンの上位が表彰されるので,ショート・マンの1位はまず動かないのではなかろうか。
 北陸にいくと,'68年ミスター石川の糸崎大三選手がいるが,あらゆる点でこれからの選手だ。富山では四十四善一選手が初出場するが,ミスター日本の壁の厚さを思い知らされることだろう。
 次に関東だが,埼玉はジムやクラブが多くあるわりには,これといった選手は見あたらない。山梨は都留ボディビル・クラブから選手が出るかどうか。
 神奈川は多士済々だ。まずベテラン中村鉄郎選手が斗志満々,'68年ミスター日本をうかがっている。昨年までのシャープさを失わず,しかもバルクが増していれば,あとはポーズに迫力さえともなえば,栄冠の獲得も夢ではない。
 さて,東京に移ろう。さすがに東京である。ベテラン後藤武雄選手を初めとして,鈴木正広選手,吉田実選手,小島一夫選手,飯島幸夫選手ら一流どころがひしめいている。
 吉田選手は,ミスター東京大会のときよりも全身のデフィニションとポージングに進境を見せていれば,優勝圏内に突入するだろう。小島選手は,若くて素質にめぐまれているだけに,調子にのれば一発屋的な力を発揮する選手だ。ダークホースの1人である。後藤選手は長年にわたって1歩1歩つみあげた底力の持ち主だから,上位入賞はまずまちがいなかろう。安定した力をもつ鈴木選手も,上位への進出はかたい。
 静岡からは海野久男選手が出場する。上半身がもうひとまわり大きくなれば,3位以内にくいこむチャンスはあるのだが。
 愛知からは,先日行なわれた中日ボディビル・センター主催コンテストの上位入賞選手たちが出場するだろうが,まったくの未知数。
 岐阜からも初出場の選手が出る。
 三重にいくと,ベテラン東勝選手の存在が大きい。上半身とくに広背筋のみごとさには定評があるが,今年は下半身の鍛練に力を入れているだろうか。下半身さえ充実していれば,上位をおびやかす存在となろう。また,鈴鹿市からは大井康裕選手が初出場する。彼は関西で一昨年まで行なわれていた全日本コンテストに4回出場しているベテランだから,大いに期待して
よい。
 地元の滋賀はどうだろう。中西理事長の話では,これからを見ていてくれとのことだから,現在はあまり期待できる選手はいないと見る。
 となりの京都は,過日のミスター京都コンテストの入賞者たちが出場するだろうが,ベテラン吉田馨選手が出れば上位入賞も可能ではなかろうか。
 いよいよ大阪。まず第一に指を屈しなければならないのは武本宣雄選手である。ミスター・アジア選抜コンテストでこそふるわなかったが,それから1カ月後のミスター大阪コンテストで見せたゲスト・ポージングでは,別人のような精彩を発揮した。筋肉的にはとくに腕と脚については,圧倒的な力強さをもっているだけに,ポージングさえよければ,〝ミスター日本〟の悲願も今年あたり成就できるのではないか。
 吉村太一選手は,ミスター・アジア選抜で先生格の武本選手を抜きはしたが。また,素質的にすばらしいものをもってはいるが,まだまだ鍛えは足りない。しかし,下半身が大きくなっていれば,恐ろしい存在となる。
 重村洵選手は,細身ながら線の美しいビルダーで,関西には珍しく,バランスに重きをおいたポーズが持ち味。どんな活躍を見せるか,楽しみだ。
 兵庫からの出場者は,第2回兵庫コンテスト上位入賞者たちだろう。力いっぱいの健斗を期待しよう。
 広島からは,今年の広島フィジカル・フィットネス・センター主催コンテストで1位になった宇土信一選手が出場するが,ものすごいバルクが見もの。
 多士済々なのが九州。福岡の市丸輝男選手,長崎の永田昭彦選手,熊本の田尻良孝選手,佐賀の綿織勝海選手等等,いずれもミスター日本出場の経験をもつベテランである。今年はさらに大分,鹿児島からも選手の出場が予想される。
 以上,北海道から鹿児島までの推定人口100万のボディビル愛好者の中から選び抜かれたトップ・ビルダーたちが,静かなびわ湖畔にくりひろげる熱戦に,'68年ミスター日本コンテストは湧きに湧くことだろう。
月刊ボディビルディング1968年10月号

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