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海外ビルダー紹介 ●スクリーンとマッスルダムの大スター

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月刊ボディビルディング1969年4月号
掲載日:2018.02.16

レジ・パーク

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 筋肉の隆々とした男性美は、同性の憧憬であり、異性には大きな魅力である。利にさとい映画会社が、この事実を見のがすはずがない。各社はきそって、男性美俳優を求め、そしてボディビル界に白羽の矢を立てた。

 映画会社のメガネにかなった第一人者は、スティーヴ・リーヴスであった。彼の出演する映画はヒットにつぐヒットで、会社は多大の収益をあげてホクホク顔だった。

 一方、リーヴスも、すでに200万ドルに近い金を手に入れ、1映画の出演料25万ドルとうわさされている。彼の人気は海外でもすばらしく、外国の映画会社からひっぱりダコにされ帰米するヒマもない。2年以上国外に滞在すると、アメリカの市民権を喪失するという法律に抵触するのではないかと、一部の人たちを心配させている。

 肉体美を買われて映画界入りして活躍しているのはスティーヴ・リーヴスだけではない。ウルサス物の連続映画に出演して、たんまりかせいでいるエド・ユーレイがいる。レッグ・ルイスは「マチステ対怪物」ほか、マチステのシリーズ物で人気を高めているし、マーク・フォレストことビッグ・ルー・デグニは100万ドルに近い大金をもうけたといわれる。

 だが、リーヴスについで、一番大金持ちになる可能性のあるのは、大規模なカラー映画に出演し、完全無欠のみごとな巨躯を披露して観客を魅了するドル箱スターの大レジ・パークである。

 レジ・パークはイギリス人なので、リーヴスほどよく知られていない。しかし、映画「へラクレス、アトランティスを征服する」中の彼の雄姿は、若いビルダーのアイドルとなったことは疑いない。

 ジョウ・ワイダーは、初対面の彼を次のように紹介している。

 「私が、レジは現在最高のスターであるといっても、何もリーヴスやデグニのすばらしい演技力を軽視しているのではない。私の話はたんに肉体の比較のみに限られている。均整美、筋肉の発達、ディフィニションのすばらしさの点で彼に比肩できる者はいない、と私は断言してはばからない」

 上の写真は、重いウェイトを使用してのエクササイズによって筋肉を盛り上げる。彼は現在世界最高の肉体美の所有者として認められるスターである。
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腕力の象徴である筋肉の完璧に発達したレジ・パークを一目見たら、伝説中の豪傑もタジタジとなるにちがいない。映画俳優としての彼の前には、富と名声に通ずる洋々たる前途がよこたわっている。
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隆々と発達した背筋のみごとさは比類がない。
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ヘラクレスの再来としか思えないレジ・パークのどっしりと重量感にあふれた、しかも、ディフィニション豊かで優美な体は、一朝にしてでき上がったものではない。はげしい科学的なトレーニングの積み重ねの結果生まれたのである。
 レジ・パークが初めてアメリカにきたときには、せいぜい「準大ビルダー」と呼ぶのが妥当で、決して「大ビルダー」ではなかった。実際、クラレンスロス、スティーヴ・リーヴス、ジャック・デリンジャーはもちろん、他の当時一流のビルダーにくらべて、見劣りがした。その理由をレジは次のように説明している。
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 ーーイギリスのボディビルダーたちは、アメリカのそれのように早く進歩しません。その原因は、ジムの指導者が旧弊で、何十年間もひきつがれた同じ練習法を固守しているからです。練習生には、スタンディング・プレス、ツー・アーム・カール、スクワット、トライセップス・エクステンションかプレスの4種目以外のエクササイズはいっさい許しません。

 ーーその結果、イギリスのビルダー達はリーヴスに似ないで、今世紀の初頭舞台上で肉体美を披露して大人気を博した往年のビルダー、ユーゼン・サンドウに似ているのです。

 ーーイギリスの練習方法は不完全で大きな筋肉群のある部分だけを鍛えるにすぎません。ディフィニションをつけることなど念頭にないのです。極く最近までベンチ・プレスすらまれにしか行なわれず、オリンピック式リフトに全力が注がれていました。

 ーーこの方法は、腕力をつけるには確かに有効ですが、マッスル・ビルディングには適しません。このままイギリスにいたのでは、とうてい進歩は望めないと悟って、指導を受けるためにアメリカにきたのです。

 出迎えに波止場に出向いた私たちが市内見物に誘ったところ、彼はそれよりもすぐにジムに案内してくれるように頼んだ。レジは、一目で育ちのよさが判る、協調的で、愉快な、気取りのない真の紳士だったので、すぐに好感がもてた。

 彼はチャンピオン・ビルダーに必須の諸条件をことごとく身につけている。明るい微笑、批評を聴く際相手の目をのぞき込む熱心な目付き、控え目で温厚な態度、これらの美点はビルダーの全部が努めて見習わなくてはならない、と思った。

 私はさっそく彼をニューヨークのイースト・サイドにあるエイブ・ゴールドバーグのジムに連れていった。エイブは多数のチャンピオンを養成して有名である。

 そこでレジは「世界最強の若者」としてその頃評判だったマーヴィン・イーダーに会った。マーヴィンは、その仇名にそむかず、475ポンドのべンチ・プレス、347ポンドのスタンディング・プレスができた。これは当時の世界記録を上回る成績であった。

 彼はレジのために、種々のエクササイズをやって見せた。レジはそれを目を皿のようにして見つめていた。このジムで、その後彼はチャンピオンたちと練習して、彼らの1人1人から直接有効な助言を受ける幸運に恵まれた。

 私はレジに、スティーヴ・リーヴスの腕を19インチのすばらしさに仕上げるのに大いに役立ったインクライン・カールを説明した。まず上腕二頭筋を鍛えるカールを1セット、つづいて休みをおかずに、腕の後部を鍛える上腕三頭筋種目1セットをやることで、たった数分間で筋肉が見る見るパンプ・アップすることーー常態に復しはじめるのに数時間はかかると思われるほどものすごく腕の血管が膨張することを示した。
ダンベル・トライセップス・エクステンション

ダンベル・トライセップス・エクステンション

 私はさらにワイド・グリップ・ベンチ・プレスとインクラインおよびデクライン・プレスを彼にやってみせた。これをやると早晩、大胸筋のディフィニションが信じられないほど一段と尖鋭になる。

 次に、マーヴィン・イーダーが珍らしい「シシー・スクワット」をやって見せた。普通のスクワットを行なった後で、その仕上げとしてこれをやると腿の筋肉が急速にしかも長い間パンプアップし、スクワットだけ行なう場合よりも、ずっと早く、そしてはるかに大きく発達する。

 レジ・パークは生来スポーツが好きで、17才のときに身長6フィート、体重175ポンド、胸囲40インチ、上腕囲は14インチあった。相当の体格である。今も運動選手型の体型を保持しているのは、スポーツを盛んにやったおかげだ。

 現在の彼は、身重6フィート1インチ、体重225ポンド、肩幅は2フィート半もある。柱のような首は19インチ、それに反して腰囲はわずかに31インチしかない。殊にみごとなのはフクラハギで、まるで名工が大木を刻んで作った傑作品のようだ。
ツェラー・カールをするマーヴィン・イーダー

ツェラー・カールをするマーヴィン・イーダー

 アマとプロの両ミスター・ユニバースのタイトルを得てから、その肉体美のために、嘱望されて映画入りした。だが当初彼は自分の体格によって世界的名声を得たり、ローマの剣闘士役の映画俳優として、巨額の金を手にしようなどとは夢にも思っていなかった。

 バーベルのリフトに手を染めたときは、他の若者たちと同様、よりすぐれた筋肉の発達、より良い健康、柔軟性のある強力な身体を求めたにすぎなかった。今日彼は念願の健康と体力をかち得たばかりでなく、予期しなかった巨万の富に恵まれ、出世街道をバク進している。
月刊ボディビルディング1969年4月号

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