家庭でできる健康美づくり “美は顔にあるのではなく その人と努力の調和の中にある” ーー ミレー
月刊ボディビルディング1969年4月号
掲載日:2018.02.03
天森 悦子 モデル・木本 信子
(国際競技場トレーニング・センター指導員)
(国際競技場トレーニング・センター指導員)
仰臥上背部おこし
毎日を明るく楽しく
近ごろ、ふとりすぎや体力が弱い女性がふえてきている、といわれています。ひとつにはそれを解決するという意味もあってか、公共施設や個人施設等で、女性を対象としたスポーツ教室や体操教室を開催するところがふえてきています。
私が指導にたずさわっているある公共団体は、「美容と健康教室」という名称で活動を始め、1年後には「美健クラブ」とその名称をかえて、会員もだんだんふえてきています。教室開設以来まる2年になりますが、毎週1回午前10時から12時までの指導で、そのうちの1時間は体操、そしてあとの1時間は卓球・バドミントン・トランポリン等のスポーツを行なっています。
会員の方々の話を総合しますと、とても体力がついたし、身軽に動けるようになったという人や、隣近所の人たちのことでいらいらしていたのに、運動するようになってからそんなことはせんぜん気にならなくなり、家に帰ると次の運動の日までの1週間をモリモリと働く意欲がわいてくるし、毎日が楽しくて仕方がない。それに家中が明かるくなったーーという人たちがいます。なかには、ふとりすぎで子供ができないと医師からいわれたので、やせるためにきたという人が、たまたま妊娠したとういう例もあります。
このように運動するということは、身体的・精神的な両面に効果があるのです。しかしながら、そういう施設がいたるところにあるというわけではなく、それにまたあったとしても、家庭の事情やその他の理由で、行きたくても行けないという人がたくさんいると思います。
そこで、ここではそういう方々のために、家庭でできる体操とその方法や進め方を紹介してみましょう。
私が指導にたずさわっているある公共団体は、「美容と健康教室」という名称で活動を始め、1年後には「美健クラブ」とその名称をかえて、会員もだんだんふえてきています。教室開設以来まる2年になりますが、毎週1回午前10時から12時までの指導で、そのうちの1時間は体操、そしてあとの1時間は卓球・バドミントン・トランポリン等のスポーツを行なっています。
会員の方々の話を総合しますと、とても体力がついたし、身軽に動けるようになったという人や、隣近所の人たちのことでいらいらしていたのに、運動するようになってからそんなことはせんぜん気にならなくなり、家に帰ると次の運動の日までの1週間をモリモリと働く意欲がわいてくるし、毎日が楽しくて仕方がない。それに家中が明かるくなったーーという人たちがいます。なかには、ふとりすぎで子供ができないと医師からいわれたので、やせるためにきたという人が、たまたま妊娠したとういう例もあります。
このように運動するということは、身体的・精神的な両面に効果があるのです。しかしながら、そういう施設がいたるところにあるというわけではなく、それにまたあったとしても、家庭の事情やその他の理由で、行きたくても行けないという人がたくさんいると思います。
そこで、ここではそういう方々のために、家庭でできる体操とその方法や進め方を紹介してみましょう。
こんな運動はどうでしょうか
●腹とウエストの運動
1.仰臥上背部おこし
床上にあおむけにねます。手を頭の後でくみ、上背部だけ床から浮かします。このとき、視線は足先をみるようにし、背中は丸めましょう。上背部をおこすときは、腕の力でなく胃のあたりの筋肉でおこすようにしましょう。
2.仰臥上体おこし
床上にあおむけにねます。手は腹筋の強さに応じて体の横につけるか、胸の前でくむか、あるいは頭の後ろでくみ、上体だけおこします。このとき、足首をだれかにおさえてもらうか、またはおもしになるものをのせて行なうとやりやすいと思います。
3.仰臥ヒザまげ
床上にあおむけにねます、両ヒザをそろえたまま、胸にくっつけるようなつもりで深くまげ、それから伸ばします。このとき、足を床から10~15cmくらいの高さに保ちます。
4.上体の横まげ
両足をそろえて立ちます。両手にコーラのビンなどをもち、上体だけを左右に深くまげます。このとき反動を使わないで行なってください。
1.仰臥上背部おこし
床上にあおむけにねます。手を頭の後でくみ、上背部だけ床から浮かします。このとき、視線は足先をみるようにし、背中は丸めましょう。上背部をおこすときは、腕の力でなく胃のあたりの筋肉でおこすようにしましょう。
2.仰臥上体おこし
床上にあおむけにねます。手は腹筋の強さに応じて体の横につけるか、胸の前でくむか、あるいは頭の後ろでくみ、上体だけおこします。このとき、足首をだれかにおさえてもらうか、またはおもしになるものをのせて行なうとやりやすいと思います。
3.仰臥ヒザまげ
床上にあおむけにねます、両ヒザをそろえたまま、胸にくっつけるようなつもりで深くまげ、それから伸ばします。このとき、足を床から10~15cmくらいの高さに保ちます。
4.上体の横まげ
両足をそろえて立ちます。両手にコーラのビンなどをもち、上体だけを左右に深くまげます。このとき反動を使わないで行なってください。
仰臥ヒザまげ
上体の横まげ
カカトあげ
仰臥上体おこし
●脚の運動
1.カカトあげ
両足を左右に開いて立ち、親指の方に体重をかけるようにしてカカトをあげさげします。
2.開閉脚とび
ジャンプしながら、両足を開いたり閉じたりします。なるべく高くジャンプするようにし、開いたときも足幅があまりせまくならないようにしましょう。
3.ふかくしゃがむ
両足を左右に肩幅くらいに開いて立ちます。手を頭の後ろでくみ、背中をまっすぐに伸ばしたまま深くしゃがみます。このとき、視線は斜め前方にむけましょう。立つときは両ヒザを内側にしめつけるようにしながら脚の力だけで立ちます。
4.台ののぼりおり
30~40cmくらいの高さのイスや台または階段を利用して行ないます。左(右)足から台ののぼりおりをします。途中でこの順序はかえてください。台上にのぼったときは両ヒザを伸ばしましょう。また、とびあがったりとびおりたりしないでください。
1.カカトあげ
両足を左右に開いて立ち、親指の方に体重をかけるようにしてカカトをあげさげします。
2.開閉脚とび
ジャンプしながら、両足を開いたり閉じたりします。なるべく高くジャンプするようにし、開いたときも足幅があまりせまくならないようにしましょう。
3.ふかくしゃがむ
両足を左右に肩幅くらいに開いて立ちます。手を頭の後ろでくみ、背中をまっすぐに伸ばしたまま深くしゃがみます。このとき、視線は斜め前方にむけましょう。立つときは両ヒザを内側にしめつけるようにしながら脚の力だけで立ちます。
4.台ののぼりおり
30~40cmくらいの高さのイスや台または階段を利用して行ないます。左(右)足から台ののぼりおりをします。途中でこの順序はかえてください。台上にのぼったときは両ヒザを伸ばしましょう。また、とびあがったりとびおりたりしないでください。
開閉脚とび
ふかくしゃがむ
台ののぼりおり
●背の運動
1.上体前傾腕の横あげ
両足を左右に肩幅くらいに開いて立ちます。背すじを伸ばしたまま、上体を直角になるくらいに前に倒します。上体は動かさないで、両腕を下から左右にあげたりおろしたりします。このとき、反動を使わないで行なっくてださい。
2.上体前傾片腕ひきあげ
両足を左右に肩幅くらいに開いて立ちます。背すじを伸ばしたまま上体を直角になるくらいに前に倒します。右(左)手を台の上につき、左(右)手にコーラのビンなどをもって、ヒジをまげて上にひきあげます。このとき、肩をあげさげしないで腕の力だけで行ないましょう。
3.伏臥全身そらし
床上にうつ伏せにねます。両手は左右に開いたまま、上体と脚をあげて体を弓なりにそらします。このとき、2~3秒とめてから伏せるようにします。
4.伏臥上体そらし
床上にうつ伏せにねます。両手は左右に開くか、頭の後ろでくむかして、上体を後ろにそらします。このとき、足首をだれかにおさえてもらうか、またはおもしになるものをのせて行ないます。
●臀部の運動
1.片足後ろあげ
両手と両ヒザを床上につきます。右(左)足のヒザを伸ばしたまま後ろ上方にあげます。このとき、2~3秒とめ、おろしたときは足先を床につけないようにしましょう。
2.伏臥片足後ろあげ
床上にうつ伏せにねます。このとき、両ヒジをついて上体をおこしていてもよいでしょう。右(左)足を後ろ上にあげて2~3秒とめ、それからおろします。
1.上体前傾腕の横あげ
両足を左右に肩幅くらいに開いて立ちます。背すじを伸ばしたまま、上体を直角になるくらいに前に倒します。上体は動かさないで、両腕を下から左右にあげたりおろしたりします。このとき、反動を使わないで行なっくてださい。
2.上体前傾片腕ひきあげ
両足を左右に肩幅くらいに開いて立ちます。背すじを伸ばしたまま上体を直角になるくらいに前に倒します。右(左)手を台の上につき、左(右)手にコーラのビンなどをもって、ヒジをまげて上にひきあげます。このとき、肩をあげさげしないで腕の力だけで行ないましょう。
3.伏臥全身そらし
床上にうつ伏せにねます。両手は左右に開いたまま、上体と脚をあげて体を弓なりにそらします。このとき、2~3秒とめてから伏せるようにします。
4.伏臥上体そらし
床上にうつ伏せにねます。両手は左右に開くか、頭の後ろでくむかして、上体を後ろにそらします。このとき、足首をだれかにおさえてもらうか、またはおもしになるものをのせて行ないます。
●臀部の運動
1.片足後ろあげ
両手と両ヒザを床上につきます。右(左)足のヒザを伸ばしたまま後ろ上方にあげます。このとき、2~3秒とめ、おろしたときは足先を床につけないようにしましょう。
2.伏臥片足後ろあげ
床上にうつ伏せにねます。このとき、両ヒジをついて上体をおこしていてもよいでしょう。右(左)足を後ろ上にあげて2~3秒とめ、それからおろします。
上体前傾腕の横あげ
上体前傾片腕ひきあげ
腕立仰臥肘屈伸
●胸の運動
1.腕立伏臥肘屈伸
両手、両ヒザを床上につきます。両手の幅は肩幅より少し広めにし、手とヒザの間は40~50cmくらい離します。ヒジを横に張ってまげたり伸ばしたりします。ヒジをまげたときは、手の位置より前方の床に顔をつけるようにします。強くなってきたら、手幅や手とヒザの間を広くして行なってください。また、この運動を机上に両手をついて行なってもよいでしょう。
●腕の運動
1.腕立仰臥肘屈伸
机やイスを利用して行ないます。机に背をむけ両手を腰幅くらいにして机上におきます。体を「く」の字にして腰をおとすようにしながら、ヒジをまげ伸ばしします。
1.腕立伏臥肘屈伸
両手、両ヒザを床上につきます。両手の幅は肩幅より少し広めにし、手とヒザの間は40~50cmくらい離します。ヒジを横に張ってまげたり伸ばしたりします。ヒジをまげたときは、手の位置より前方の床に顔をつけるようにします。強くなってきたら、手幅や手とヒザの間を広くして行なってください。また、この運動を机上に両手をついて行なってもよいでしょう。
●腕の運動
1.腕立仰臥肘屈伸
机やイスを利用して行ないます。机に背をむけ両手を腰幅くらいにして机上におきます。体を「く」の字にして腰をおとすようにしながら、ヒジをまげ伸ばしします。
伏臥全身そらし
伏臥上体そらし
片足後ろあげ
スケジュールと進め方は…
以上、家庭で簡単に行える運動をいくつかあげてみました。
さて、ここでまず考えたいことは、この10数種の運動をどのようなスケジュールで、どのように進めていったらよいのかということだと思います。そこで、まず次にスケジュールを2例あげることにしました。
さて、ここでまず考えたいことは、この10数種の運動をどのようなスケジュールで、どのように進めていったらよいのかということだと思います。そこで、まず次にスケジュールを2例あげることにしました。
■スケジュール例1
■スケジュール例2
伏臥片足後ろあげ
腕立伏臥肘屈伸
スケジュール例1は、セットとセットの間、種目と種目の間に休息を入れながら進めていく方法です。たとえば仰臥上背部おこしを2セット行なう場合、まず15回行ない、少し休息(1分間くらい)を入れてからもう1度15回行ないます。これで2セットが終了したわけです。そしてまた休息を入れて次の種目に移っていきます。
スケジュール例2は、各グループは原則として、3セット休息を入れないで進めていく方法です。たとえば、Aグループを行なう場合、まず仰臥上体おこしを15回行ない、次に開閉脚とびを20回行ない、最後に腕立伏臥肘屈伸を10回行ないます。これで1セットが終わったと考えるわけですが、ここで休まないで、すぐ最初の運動にもどって2セット目を続けるというようにして3循環(すなわち3セット)くりかえすという方法です。ただし、各グループの間では休息を入れてもかまいません。この方法は、どちらかといえば、体重を減量したいという希望をおもちの方にむいています。
次に進め方ですが、どちらの方法で実施するにしても、最初の1週間くらいは1セットずつ行なってみてください。そしてご自分の体力に応じて、回数(減量の場合は15回以上、増量の場合は10回以上)やセット数をふやしていきます。運動は1週間に1日おきで3回くらい行なうのがよいでしょう。
ただし、疲れているときや、体のぐあいが悪いときには、あまりむりをしないで、休むかあるいは運動量を減らして行なってください。運動の前には準備体操を、そして後には整理体操をかならず行なってください。なわとびやその場かけ足(できれば走ったほうがよい)などは、体重減量や呼吸循環機能の発達にかかせないもののひとつです。
みなさんが一番期待される効果ですが、これは、人によって違いますが、最低3カ月間もトレーニングを継続すれば、一応の効果が得られるはずです。しかし、人間の筋肉は使わなければ退化していくという性質をもっていますので、ここでやめてしまうと、またもとにもどってしまいます。ある程度自分の理想に近づいてきたら、1週間に行なう運動の回数を少なくしてもかまいませんから、長く継続させていくということが大切です。
家庭で継続させていくということは、大変な忍耐と努力がいるとは思いますが、あなたご自身の美と健康のためによいのですから、まず実行してみてください。
スケジュール例2は、各グループは原則として、3セット休息を入れないで進めていく方法です。たとえば、Aグループを行なう場合、まず仰臥上体おこしを15回行ない、次に開閉脚とびを20回行ない、最後に腕立伏臥肘屈伸を10回行ないます。これで1セットが終わったと考えるわけですが、ここで休まないで、すぐ最初の運動にもどって2セット目を続けるというようにして3循環(すなわち3セット)くりかえすという方法です。ただし、各グループの間では休息を入れてもかまいません。この方法は、どちらかといえば、体重を減量したいという希望をおもちの方にむいています。
次に進め方ですが、どちらの方法で実施するにしても、最初の1週間くらいは1セットずつ行なってみてください。そしてご自分の体力に応じて、回数(減量の場合は15回以上、増量の場合は10回以上)やセット数をふやしていきます。運動は1週間に1日おきで3回くらい行なうのがよいでしょう。
ただし、疲れているときや、体のぐあいが悪いときには、あまりむりをしないで、休むかあるいは運動量を減らして行なってください。運動の前には準備体操を、そして後には整理体操をかならず行なってください。なわとびやその場かけ足(できれば走ったほうがよい)などは、体重減量や呼吸循環機能の発達にかかせないもののひとつです。
みなさんが一番期待される効果ですが、これは、人によって違いますが、最低3カ月間もトレーニングを継続すれば、一応の効果が得られるはずです。しかし、人間の筋肉は使わなければ退化していくという性質をもっていますので、ここでやめてしまうと、またもとにもどってしまいます。ある程度自分の理想に近づいてきたら、1週間に行なう運動の回数を少なくしてもかまいませんから、長く継続させていくということが大切です。
家庭で継続させていくということは、大変な忍耐と努力がいるとは思いますが、あなたご自身の美と健康のためによいのですから、まず実行してみてください。
月刊ボディビルディング1969年4月号
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