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1968年度全日本実業団コンテスト

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月刊ボディビルディング1968年12月号
掲載日:2018.02.25
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 1968年度第3回全日業団ボディコンテストは,去る10月6日,品川文化会館でスポーツ日本新聞社の後援で盛大に開催された。
 午後一時,開演のベルとともに場内は暗転,オープニング・ミュージックに導かれて 緞帳が上がり,スポットの中に大会司会役の飯塚・協会事務局書記の姿が浮びあがる。
「全日本実業団ボディコンテストも所を同じくして第3回を迎え,出場選手も50数名を数え,質,量ともに昨年を上回る素晴しい大会となりました」と開会を宣言。全出場選手の入場に次いで,前年度優勝の日本専売会社より優勝旗返還,引続き本大会会長八田一朗日本ボディビル協会会長,曽根実業団協議会顧問が開会の拶挨,不肖(山際商事・山際選手)が選手宣誓を行ない,出場全選手が退場,いよいよ予選審査に移った。
 審査員は田鶴浜協会副会長,玉利・協会理事長,曽根・実業団協議会顧問,竹松・協議会顧問,佐藤・協会理事,浅野・協会理事らのほか,ゲスト審査員として本年度のミスター日本吉田実選手も加わり,場内の観客も実業団コンテストにふさわしく,健康的な声援と拍手の連続で,盛り上がった雰囲気の中,各選手とも力一杯の予選演技を終了した。
 審査の得点集計の間,飯野八郎とアロハハンズの演奏が会場に流れ,昂奮のあとの観客を魅惑的な気分に誘う。続いて本年度ミスター日本コンテストで見事優勝の栄誉をかちとった吉田実選手のダイナミックかつ華麗な模範演技が会場を魅了した。
 この間に予選の得点集計が終り,決勝進出選手の発表である。司会者から青年の部12名,壮年の部13名の選手が次々に読みあげられ,待ちに待った決勝審査が始まった。熱狂的な昇奮の渦巻く中で決勝演技を終了,審査の結果,青年の部ミスター実業団に小沢選手(警視庁),壮年の部ミスター実業団に中畑選手(東芝タンガロイ),団体の部では恒陽社が栄冠をかちとった。それぞれの順位別入賞者は別掲の通りである。
 場内歓声の中に入賞者の表彰式を終り,日本ボディビル協会・玉利理事長が「青年層もさることながら,30歳以上の方々の進境は誠に目ざましいものがある。皆さんが,それぞれ多忙な業務のかたわら,寸暇を惜んで励まれた成果のあらわれであり,喜ばしい限りだ。今後もトレーニングに励み,健康な肉体を造りあげるとともに,この大会を益々盛り上げて行こう」と講評。
 出場全選手,観客一体となって君が代を斉唱,各選手ともども来年の健闘を誓いあって盛大裡に閉幕した。
 本大会は各会社のボディビルへの理解が深まったことによる加盟会社の増加と,これに加えてミスター日本コンテスト上位入賞者3名が出場,さらに全選手のレベル・アップなどで,近来にない充実したコンテストであった。われわれも,さらに切磋琢磨を重ね,来年の大会を,より一層充実したものに盛り上げていきたいものである。
(山際 昭)

=本大会入賞者 =

■青年の部=①小沢選手(警視庁)②横塚選手(横塚製作所)③手塚選手(恒陽社)④木村選手(中央卸完市場內・丸宫鮪店)⑤狩野選手(日本電気・玉川工場)⑥渡辺選手(山際商事)
■壮年の部=①中畑選手(東芝タンガロイ)②野沢選手(恒陽社)③新川選手(東京ビルサービスカンパニー)④遠藤選手(日本専売公社)⑤次田選手(日本車両製造)⑥清水選手(キャノンカメラ)
■団体の部=①恒陽社②山際商事③東芝タンガロイ

<総 評>

 まず青年の部で優勝した小沢幸夫選手についてふれてみよう。身長168m体重72kgはビルダーとしては普通であるが,全体的にバランスがとれ鍛錬のあとがみられ,今年のミスター東京大会では第7位であったが,その後急速にのびたという感じである。
 筋肉的には大胸筋がとくに発達し,今まではややもすれば上半身のみという感じであったが,本大会では大腿部の筋肉のデフィニションがよくなっていた。ポージングは自分の特徴をよく生かしてまとめていた。
 次に青年の部2位の横塚辰雄選手であるがいつのコンテストでも上位に入賞し今年のミスター東京コンテストでも第6位に入賞したが,いま一歩というところでのびなやみの状態である。部分的に一つ一つの筋肉を見るとよく鍛錬されているが,ポージングから受ける感じでは,迫力にかけ,ものたりなさを感じさせる。その原因の一つとして上げられるのは,姿勢が非常に悪いということである。腹筋,大胸筋をより効果的に見せようと意識するため身体全体が前かがみとなり,この姿勢が元になって始まる総てのポージングは小さな形にはまってしまい迫力にかけ若々しさが感じられない。身長175cm,体重80kgと体格にめぐまれ,一段と飛躍する素質が十分にあるのだから,大成するためにはまず姿勢をよくし,太陽に高らかに向うような,のびのびとした気持を持って練習すればかならずや,すばらしいダイナミックなポージングが生れ,優勝も夢ではないだろう。
 青年の部第3位の手塚正禧選手は1968年度ミスター東京コンテストで第4位に入賞した実績をよくいかし,全体的に細身であるがバランスのとれたシャープな感じであり,今後の第一の成長株である。
 第4位の木村吉隆選手は全体的にはまだまだという感じであるが,彼なりの個性をよく生かしたポージングは見るべきものがあった。
 第5位の狩野一夫選手は実業団の中にあってはベテランの部類にはいるのだが,上半身の発達は昨年とほとんど変わらないという感じであった。記録会ではすばらしい実力を発揮しているのだから,コンテストのほうでも大いに鍛錬して,その実力のほどを発揮してもらいたい。
 それでは次に壮年の部で優勝した中畑幸雄選手であるが,昨年のコンテストで優勝(青年の部)した実績と,べテランらしいポージングで優勝したが,いまひとつ迫力を望みたい。
 壮年の部第2位に入賞した野沢茂夫選手は当年39歳のベテランであり,細身ではあるが,昨年より一段と鍛錬のあとがみられた。
 第3位の新川匡選手は実業団に加入してまもない加盟会社であるが,初出場で第3位に入賞したのはりっぱである。今後より一そうの努力を望みたい。
 第4位に入賞した遠藤栄一選手は,めぐまれた体格を持ちながら,いかんせん練習不足がめだった。大成する素質が十分にあり,練習いかんによっては優勝も夢ではないと思われるので,こんごよりいっそうの努力を望む。
 第5位に入賞した次田譲二選手は実業団きってのベテラン選手であり,個性を生かしたポージングはよかった。残念ながら総体的にバルク不足である。
 今回で第3回目をむかえた実業団コンテストは運営面においては申分なかったが,観客の動員,PRの方法等については改善していかなければならないと思う。出来れば,来年度は会場を屋外に移し,海水浴場,プール等に進出し,家族ぐるみでコンテストを楽しめるような形にもっていきたいものである。
(実業団協議会顧問・竹松 孝一)
月刊ボディビルディング1968年12月号

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