随筆
ボディビルと酒 (アルコール)
月刊ボディビルディング1971年1月号
掲載日:2018.06.18
体育評論家 曽根将博
「ボディビルとアルコールとは、直接どんな関係があるんですか」こういう質問を筆者は愚問という。アルコールとは何か。体力づくりとは何か。その関係をそれぞれの視野から考え合せ、先づ、自覚と反省をすべきだろうと思う。
有害無益なタバコとちがい、アルコールなれば、胃液の分泌をうながし、食欲を高め、血液の循環を良くし、疲労感を取り除く効果をもつ。俗に”百薬の長”ともいわれるが、”度”を越せば、たちまち体調を破滅させる恐ろしい、キチガイ水ともなる。いくらボディビルで鍛え上げた逞しい肉体といえども、キチガイ水に打ち勝つことはできない。
忘年会だ、やれ新年会だと、連日のように、年末年始にかけて、どうしてもアルコールの摂取バロメーターは上
昇しがちである。
古来わが国では、正月元旦の、しかも朝っぱらから酒をくみ交す風習がある「明けまして、おめでとうございます」と、幼い子供までが、家族と共に公然と祝う酒に屠蘇(とそ)がある。
屠蘇とは、酒にひたした漢方薬の意で、この屠蘇散(さん)を入れた、ミリン酒のことをいう。
めでたい時の祝い酒から、悲しいにつけ、淋しいにつけ、アルコールは付いて廻る。恐いのは、ヤケ酒だ。これは最も慎しむべき酒である。
俗に、酒を好む人を、上戸(じょうこ)、その反対を下戸(げこ)といい上戸には、笑い上戸、泣き上戸、怒り上戸の三様がある。
普段は借りてきた猫のような人が、アルコールが入ると、ジキル氏とハイド氏のように、性格が一変し荒々しくなり先輩も上役も、へちまもない。ドナリちらしたり、手当り次第、物を投げて酒席を不愉快にする。これ即ち、酒乱(しゅらん)という。こんな時は、”君子、危うきに近よらず”だ。翌日になると、前夜の醜態など何一つとして記憶にない。脳細胞をアルコールによって狂わせてしまう。全くイタダケナイしろものである。
また、大衆の面前では、すぐ顔を赤らめたり、ろくに口もきけない小心者がアルコールの力によって、勇気付けられる場合もある。
顔いろ判断によると、飲んで青くなる性の人は一体内分泌組織の関係で体力的に反発力が弱いためで、目が座ってきて、カラミ易くなる。最もウルサ型だ。うまくダマして寝かせるに限る。体を縮めるように寝込んでしまえばシメタものだ。寒さを感じて目をさます頃には、ナマ酔となって、オトナシクなる。
赤くなる性の人は一血行のめぐりが良いから、陽気や色気の愛好者で、あまりカラマない方だ。横になれば、いわゆる大の字に寝てしまう。天下泰平型である。
交通信号ではないが、赤から青になったら、ご注意だ。
平素となんら変らぬ性の人は一人のもてなし方を心得ている上に、話術も巧みで、従って女性にもモテル型である。深入りすると、それ、ダマされるぞ!
「いやぁ、もうタップリいただきました。だいぶ酔いました!」こういう辞退型の人は、適量アルコールを心得ていて、決して理性を失わない。その逆に、呂律(ろれつ)の怪しい手合には、お定りのセリフが出たら警戒せよだ。「大変召上っているから、およしなさいだって、冗談いうな!酔ってなんかいるか!フザケルな!」
筆者も、ハタチ代の頃には馬鹿げた飲み方をしたが、その一つに、ジャンケン飲みというのがある。勝った方はチョコで、負けた方は、吸物椀のフタで受け、忘年会などで、居並ぶ相手と次々と相対して飲み廻る。中途で一旦中座して、もったいない話だが、トイレで吐き出してくる。食塩水でうがいをし、外気を存分、深呼吸におよんで宴席に戻り、再びジャンケンポン。
全くムチャな話で、ことにウルシ塗りのウツワで、カン酒を飲むと酔が早いし悪酔のもととなる。
ヤミ酒のほかには、手に入れることの出来なかった昭和21年頃、駐留軍関係に勤めていた人が、航空用アルコールと生ブドウ酒を持って来たので、割って飲んだが、すごく悪酔いしちゃったことがある。また、焼とりの煙りが目にしみる新橋のある大衆酒場で、梅わり焼酎(しょうちゅう)を愛用して危く失明?の一歩手前で救われたにがい経験もあった。
その当時、メチル・アルコールで失明したり、命まで落した人は数知れない。以来筆者は、焼酒、合成酒、二級酒類は絶対に口にすまいと誓って、今日に至っている。
メチル・アルコールとは一木材乾留(かんりゅう)または、合成によって得られる無色、有害の液体、即ち工業用アルコールのこと(注・乾留とはー固体を高熱でむし、分解させて揮発分を回収することの意)。
良い酒でも、深酒(ふかざけ)は禁物である。アルコールは体内で麻酔剤の作用をする。高等な知的中枢神経を鈍らせ、正しい判断力や、能力を低下させる。多量に飲むと、次第に低い脳の中枢神経を眠らされ、人間も哀れ下等動物のレベルに下ってしまう。最終段階では麻痺(まひ)し、ついでアルコールが心臓の鼓動や、呼吸を支配する脳中枢に達すると一巻の終りとなるアーメン・・・・・・。
いろんな酒類を若さにまかせて飲むチャンポン飲みも禁物である。
酒飲みには、食べ物をあまり取らない人が多い。そのため、食欲不振から栄養障害を招き易くなる。中でもタンパク質の欠乏から、第一に肝臓をやられ、長い間には肝硬変を起す結果となる。また、胃を刺激し、潰瘍の主要原因に、さらには胃ガンの成長へと、全くありがたくない不治の病いに発展するから、ご用心!
日本酒を好む人の中に「日本酒は、米から作られ、体の中でカロリーを生ずる炭水化物を含んでいる」からと、めし代りに、一升ビンを抱えこんで、塩をなめながら、一日中飲み続けたという例も少なくない。誤まったその末路は、アルコール中毒、いわゆるアル中患者の汚名のまま、はかなく終ってしまう。
有害無益なタバコとちがい、アルコールなれば、胃液の分泌をうながし、食欲を高め、血液の循環を良くし、疲労感を取り除く効果をもつ。俗に”百薬の長”ともいわれるが、”度”を越せば、たちまち体調を破滅させる恐ろしい、キチガイ水ともなる。いくらボディビルで鍛え上げた逞しい肉体といえども、キチガイ水に打ち勝つことはできない。
忘年会だ、やれ新年会だと、連日のように、年末年始にかけて、どうしてもアルコールの摂取バロメーターは上
昇しがちである。
古来わが国では、正月元旦の、しかも朝っぱらから酒をくみ交す風習がある「明けまして、おめでとうございます」と、幼い子供までが、家族と共に公然と祝う酒に屠蘇(とそ)がある。
屠蘇とは、酒にひたした漢方薬の意で、この屠蘇散(さん)を入れた、ミリン酒のことをいう。
めでたい時の祝い酒から、悲しいにつけ、淋しいにつけ、アルコールは付いて廻る。恐いのは、ヤケ酒だ。これは最も慎しむべき酒である。
俗に、酒を好む人を、上戸(じょうこ)、その反対を下戸(げこ)といい上戸には、笑い上戸、泣き上戸、怒り上戸の三様がある。
普段は借りてきた猫のような人が、アルコールが入ると、ジキル氏とハイド氏のように、性格が一変し荒々しくなり先輩も上役も、へちまもない。ドナリちらしたり、手当り次第、物を投げて酒席を不愉快にする。これ即ち、酒乱(しゅらん)という。こんな時は、”君子、危うきに近よらず”だ。翌日になると、前夜の醜態など何一つとして記憶にない。脳細胞をアルコールによって狂わせてしまう。全くイタダケナイしろものである。
また、大衆の面前では、すぐ顔を赤らめたり、ろくに口もきけない小心者がアルコールの力によって、勇気付けられる場合もある。
顔いろ判断によると、飲んで青くなる性の人は一体内分泌組織の関係で体力的に反発力が弱いためで、目が座ってきて、カラミ易くなる。最もウルサ型だ。うまくダマして寝かせるに限る。体を縮めるように寝込んでしまえばシメタものだ。寒さを感じて目をさます頃には、ナマ酔となって、オトナシクなる。
赤くなる性の人は一血行のめぐりが良いから、陽気や色気の愛好者で、あまりカラマない方だ。横になれば、いわゆる大の字に寝てしまう。天下泰平型である。
交通信号ではないが、赤から青になったら、ご注意だ。
平素となんら変らぬ性の人は一人のもてなし方を心得ている上に、話術も巧みで、従って女性にもモテル型である。深入りすると、それ、ダマされるぞ!
「いやぁ、もうタップリいただきました。だいぶ酔いました!」こういう辞退型の人は、適量アルコールを心得ていて、決して理性を失わない。その逆に、呂律(ろれつ)の怪しい手合には、お定りのセリフが出たら警戒せよだ。「大変召上っているから、およしなさいだって、冗談いうな!酔ってなんかいるか!フザケルな!」
筆者も、ハタチ代の頃には馬鹿げた飲み方をしたが、その一つに、ジャンケン飲みというのがある。勝った方はチョコで、負けた方は、吸物椀のフタで受け、忘年会などで、居並ぶ相手と次々と相対して飲み廻る。中途で一旦中座して、もったいない話だが、トイレで吐き出してくる。食塩水でうがいをし、外気を存分、深呼吸におよんで宴席に戻り、再びジャンケンポン。
全くムチャな話で、ことにウルシ塗りのウツワで、カン酒を飲むと酔が早いし悪酔のもととなる。
ヤミ酒のほかには、手に入れることの出来なかった昭和21年頃、駐留軍関係に勤めていた人が、航空用アルコールと生ブドウ酒を持って来たので、割って飲んだが、すごく悪酔いしちゃったことがある。また、焼とりの煙りが目にしみる新橋のある大衆酒場で、梅わり焼酎(しょうちゅう)を愛用して危く失明?の一歩手前で救われたにがい経験もあった。
その当時、メチル・アルコールで失明したり、命まで落した人は数知れない。以来筆者は、焼酒、合成酒、二級酒類は絶対に口にすまいと誓って、今日に至っている。
メチル・アルコールとは一木材乾留(かんりゅう)または、合成によって得られる無色、有害の液体、即ち工業用アルコールのこと(注・乾留とはー固体を高熱でむし、分解させて揮発分を回収することの意)。
良い酒でも、深酒(ふかざけ)は禁物である。アルコールは体内で麻酔剤の作用をする。高等な知的中枢神経を鈍らせ、正しい判断力や、能力を低下させる。多量に飲むと、次第に低い脳の中枢神経を眠らされ、人間も哀れ下等動物のレベルに下ってしまう。最終段階では麻痺(まひ)し、ついでアルコールが心臓の鼓動や、呼吸を支配する脳中枢に達すると一巻の終りとなるアーメン・・・・・・。
いろんな酒類を若さにまかせて飲むチャンポン飲みも禁物である。
酒飲みには、食べ物をあまり取らない人が多い。そのため、食欲不振から栄養障害を招き易くなる。中でもタンパク質の欠乏から、第一に肝臓をやられ、長い間には肝硬変を起す結果となる。また、胃を刺激し、潰瘍の主要原因に、さらには胃ガンの成長へと、全くありがたくない不治の病いに発展するから、ご用心!
日本酒を好む人の中に「日本酒は、米から作られ、体の中でカロリーを生ずる炭水化物を含んでいる」からと、めし代りに、一升ビンを抱えこんで、塩をなめながら、一日中飲み続けたという例も少なくない。誤まったその末路は、アルコール中毒、いわゆるアル中患者の汚名のまま、はかなく終ってしまう。
ホーム・バーでくつろぐ筆者
1919年、禁酒法がしかれたアメリカでの話だが、暗黒街の顔役アル・カポネがのさばっていた時代、その13年間には、肝硬変による死亡率が減ったとか、しかし、禁酒法が解かれた以後、再び肝硬変患者がふえたという。
毎日、日本酒で3合(0.54リットル)以上飲む人は、大酒飲みの部に入る。
晩酌する筆者は、ビールなら1本、または、日本酒で2合(0.36リットル)ウィスキーはシングルで3杯位を適量としてタシナム。ただし、ウィスキーの場合、生(き)の味をそこなわない安全な飲み方として、ウィスキーを晒喉へ通したら、直ぐ水を飲む、追っかけ方法で、水の量はウィスキーの量の10倍以上を必要としている。
通人ぶって、水なしストレートでグイ飲みする人は、それこそ肝硬変がお待ちかねだ。
空腹(すきっぱら)で酒飲むな!とは、ビール1杯でもカラの胃に取り入れた場合、血液中のアルコールの濃度がベールをかけた位に”視力”を衰えさせることもあり得るそうな。
”飲みながら食べろ”ではなく”食べながら飲め”と、そして栄養ある良質なタンパクをサカナにしてですぞ。
飲み屋ならどこでも見かける図だが飲みながら語り合う間に、知らず知らずに、タバコをくわえる率が多く、つまりカラの徳利に比例して、吐き出す煙りもはげしくなるわけだ。アルコールとタバコは犬猿の仲のようなものでタバコのニコチンが、アルコールでは容易に溶け合わない。即ち、ニコチンが体内に蓄積してしまうからで、飲酒時の喫煙は、発ガンに拍車をかけているようなものである。
ボディビル運動は、風邪その他、不快な体調を感じた時は、練習を休む方がいい。最もつつしまなければならないのは、飲酒での練習である。アルコールが入ると、気が大きくなるし、無茶をする。絶対にやってはいけない、許してはいけないのだ。飲酒運転の様に危険この上もない。
法で禁じられている、その飲酒運転も「なあに、捕まりさえしなければ......」と、ハンドルを握ったとたん、英雄的、虚勢状態におち入り、競争意識も加わって、無謀運転へと、かり立てる。その結果が恐ろしくも、また悲しむべき人身事故をひきおこし、あたら一生を棒にふることにもなりかねない。
昭和44年度の交通白書に依ると、東京都だけでも、飲酒運転での人身事故は2,270件もあり、うち死者65人、重軽傷者3,679人と驚くべき数字を示し、前年度に比し、18%もふえている。
”酒飲んだら、ハンドル握るな!バーベル持つな!である。
悪酔した場合の処置について……。物が右へ左に、グルグル廻るほどの悪酔に及んだ時、その気持の悪さを成りゆきにまかせるな。先ず、わが身を戒め、反省しながら、自分の指で、出しきるまで払戻しをかける。そして、水を存分に飲んでおく、ただし、食塩水はいけない。後は体を冷やさない様にして寝てしまう。
翌日のいわゆる宿酔(ふつかよい)には、先ず、入浴することが第一の条件だ。体にしみついたアルコールの気を落としながら、湯舟の中で天井を仰ぐ様に、後頭部を十二分に浸し温め、歯をみがき、ウガイで気分を一新、湯ざめせぬこと。湯上りには、冷たい牛乳か、ラッピーを飲むといい。これらは、すぐれたタンパク源となって、体内の栄養素を正常な働きにする役目をはたし、宿酔いで一切の食べ物を受けつけなかった胃を、元の状態に戻してくれる。
”宿酔いしたら迎え酒をしろ”とはナマケ者のタワゴトである。
筆者は昨秋から、週に1日だけ”酒なし日”を定め、野菜、くだものをジューサーにかけ、コップ2杯分を飲むことを実行している。
これは、タフな肝臓の働きに助けられながら、生命を維持している人間の体も、1週間のうち、5日目頃に身心
の疲れを感じてくる。その疲れは胃の活動をにぶらせる。そのために、肝臓機能に、より以上の負担が掛ってくる
からだ。”酒なし日”いわゆる”休肝日”である。
健康の管理人は、医者ではない。あなた方自身である。筆者は、今年還暦を迎えるが、百まであと40年!ボディビル運動で健康第一に、若い人に負けない様ガンバルつもりである。
教訓に曰く「酒は飲んでも、飲まれるな!」
毎日、日本酒で3合(0.54リットル)以上飲む人は、大酒飲みの部に入る。
晩酌する筆者は、ビールなら1本、または、日本酒で2合(0.36リットル)ウィスキーはシングルで3杯位を適量としてタシナム。ただし、ウィスキーの場合、生(き)の味をそこなわない安全な飲み方として、ウィスキーを晒喉へ通したら、直ぐ水を飲む、追っかけ方法で、水の量はウィスキーの量の10倍以上を必要としている。
通人ぶって、水なしストレートでグイ飲みする人は、それこそ肝硬変がお待ちかねだ。
空腹(すきっぱら)で酒飲むな!とは、ビール1杯でもカラの胃に取り入れた場合、血液中のアルコールの濃度がベールをかけた位に”視力”を衰えさせることもあり得るそうな。
”飲みながら食べろ”ではなく”食べながら飲め”と、そして栄養ある良質なタンパクをサカナにしてですぞ。
飲み屋ならどこでも見かける図だが飲みながら語り合う間に、知らず知らずに、タバコをくわえる率が多く、つまりカラの徳利に比例して、吐き出す煙りもはげしくなるわけだ。アルコールとタバコは犬猿の仲のようなものでタバコのニコチンが、アルコールでは容易に溶け合わない。即ち、ニコチンが体内に蓄積してしまうからで、飲酒時の喫煙は、発ガンに拍車をかけているようなものである。
ボディビル運動は、風邪その他、不快な体調を感じた時は、練習を休む方がいい。最もつつしまなければならないのは、飲酒での練習である。アルコールが入ると、気が大きくなるし、無茶をする。絶対にやってはいけない、許してはいけないのだ。飲酒運転の様に危険この上もない。
法で禁じられている、その飲酒運転も「なあに、捕まりさえしなければ......」と、ハンドルを握ったとたん、英雄的、虚勢状態におち入り、競争意識も加わって、無謀運転へと、かり立てる。その結果が恐ろしくも、また悲しむべき人身事故をひきおこし、あたら一生を棒にふることにもなりかねない。
昭和44年度の交通白書に依ると、東京都だけでも、飲酒運転での人身事故は2,270件もあり、うち死者65人、重軽傷者3,679人と驚くべき数字を示し、前年度に比し、18%もふえている。
”酒飲んだら、ハンドル握るな!バーベル持つな!である。
悪酔した場合の処置について……。物が右へ左に、グルグル廻るほどの悪酔に及んだ時、その気持の悪さを成りゆきにまかせるな。先ず、わが身を戒め、反省しながら、自分の指で、出しきるまで払戻しをかける。そして、水を存分に飲んでおく、ただし、食塩水はいけない。後は体を冷やさない様にして寝てしまう。
翌日のいわゆる宿酔(ふつかよい)には、先ず、入浴することが第一の条件だ。体にしみついたアルコールの気を落としながら、湯舟の中で天井を仰ぐ様に、後頭部を十二分に浸し温め、歯をみがき、ウガイで気分を一新、湯ざめせぬこと。湯上りには、冷たい牛乳か、ラッピーを飲むといい。これらは、すぐれたタンパク源となって、体内の栄養素を正常な働きにする役目をはたし、宿酔いで一切の食べ物を受けつけなかった胃を、元の状態に戻してくれる。
”宿酔いしたら迎え酒をしろ”とはナマケ者のタワゴトである。
筆者は昨秋から、週に1日だけ”酒なし日”を定め、野菜、くだものをジューサーにかけ、コップ2杯分を飲むことを実行している。
これは、タフな肝臓の働きに助けられながら、生命を維持している人間の体も、1週間のうち、5日目頃に身心
の疲れを感じてくる。その疲れは胃の活動をにぶらせる。そのために、肝臓機能に、より以上の負担が掛ってくる
からだ。”酒なし日”いわゆる”休肝日”である。
健康の管理人は、医者ではない。あなた方自身である。筆者は、今年還暦を迎えるが、百まであと40年!ボディビル運動で健康第一に、若い人に負けない様ガンバルつもりである。
教訓に曰く「酒は飲んでも、飲まれるな!」
月刊ボディビルディング1971年1月号
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