フィジーク・オンライン

リフティングニュース
ソ連の新星

この記事をシェアする

0
月刊ボディビルディング1971年2月号
掲載日:2018.04.15
二一九kgのプレスを行なうアレクセーエフ

二一九kgのプレスを行なうアレクセーエフ

二〇一kgのジャークで世界新記録成功のコロトフ

二〇一kgのジャークで世界新記録成功のコロトフ

イワンチェンコ191.5kgの世界新記録を試み、前に落とし失敗する瞬間

イワンチェンコ191.5kgの世界新記録を試み、前に落とし失敗する瞬間

ポーズをとるイワンチェンコ、前鋸筋の発達に注目

ポーズをとるイワンチェンコ、前鋸筋の発達に注目

 昨年のウェイトリフティング界は、「興奮剤問題」、鉄人バシャノフスキーの敗退、三宅兄弟、大内選手の敗退と
荒れに荒れた。
 そして、ソ連の新進リフター達の活躍が目立った年でもあった。
 まず筆頭にあげなければならないのは、スーパー・ヘビー級のワシリー・アレクセーエフであろう。
 アレクセーエフは、昨年だけで21回も世界記録を更新し、プレス222kg、スナッチ177.5kg、ジャーク228.5kg、トータル620kgと、スーパー・ヘビー級の全種目の記録を独占してしまった。
 アレクセーエフは、1942年1月生まれ、身長186cm、体重136kgで、ジャボチンスキーの身長190cm、体重160kgよりひと回り小さい。
 以下に示すのは、彼の記録の向上ぶりである。
 1967年 500kg
 1968年 540kg
 1969年 530kg
 1970年 620kg
 
 いずれもスーパー・ヘビー級での記録である。
 このアレクセーエフという巨大な新人と共に、急速に頭角をあらわし、昨年の世界選手権大会で王座を勝ち取った2人の新進リフターがいる。
 その1人は、ゲンナキ・イワンチェンコ(ライト・ヘビー級)、1946年6月30日生まれで現在24歳、身長169cmである。
 彼の記録の伸び方は、次のような素晴しいものである。
 
 1965年 275kg(ミドル級)
 1967年 410kg(L・ヘビー級)
 1970年 505kg(L・ヘビー級)
 
 筋肉質のからだと淡々とした試合態度は、新人らしからぬという評判である。
 しかし、この新チャンピオンには、既に強力なライバルが現れている。それは、ボリス・パブロフという無名の
新人リフターである。
 パブロフは、イワンチェンコの持つトータル505kgの世界記録を2.5kg破る507.5kgをマークしている。
 イワンチェンコの前途は必ずしも明るいとはいえない。
 もう1人の新星は、ワシリー・コロトフ(ミドル・ヘビー級)1944年10月生まれ、現在26歳である。
 コロトフは、1969年に来日したことがあるが、その時はあまりパッとしない試合内容であり、日本のファンは誰も今日のコロトフを予想できなかったであろう。
 コロトフは、イワンチェンコほどの急速な向上を示したとはいえないながら、確実に記録を伸ばし続けてきたリフターといえよう。
 以下は、彼の記録の向上ぶりを示すものである。
 1963年 385kg(ミドル級)
 1966年 437.5kg(L・ヘビー級)
 1967年 455kg(L・ヘビー級)
 1968年 470kg(L・ヘビー級)
 1969年 515kg(M・ヘビー級)
 1970年 537.5kg(M・ヘビー級)
 
 現在コロトフは、スナッチ161.5kg、ジャーク202.5kg、トータル537.5kgの世界記録を保持するに至ったが、K・カンガスニエミ(フィンランド)、B・ヨハンソン(スウェーデン)という強力なライバルがおり、油断はできない。
(福田弘)
月刊ボディビルディング1971年2月号

Recommend