誌上コ一チ<パワーリフティング>②
スクワットのポイント
月刊ボディビルディング1971年5月号
掲載日:2018.03.28
国分寺ボディビル・クラブ代表 関 二三男
まえがき
パワーリフティングの大会も近づきトレーニングにもますます熱が入ってきたことと思います。
今月はスクワットのポイントについて説明します。
この種目は主として大腿四頭筋、大臀筋、固有背筋等の非常に大きい筋肉を使った運動ですから、前月号で述べたべンチ・プレスよりさらに重い重量が可能なはずです。また、皆さんも経験があると思いますが、スクワットほど練習時に苦しい種目はありません。これは、他の種目と比較して、より多くの筋肉を使った全身運動に近い種目だからです。
そして、このスクワットはトレーニングをすればするほど記録の伸びる種目でもあります。また、スクワットを練習することは、筋肉を発達させたり記録を向上させたりするばかりでなく心肺機能が大きく丈夫になるという効果もあります。
このようにスクワットは、ボディビルの最も重要な基本運動ともいえるものですから、パワーの向上を目指す人も、コンテスト・ビルダーも、健康管理を目的とする人も、普段から正しい姿勢で、多目にトレーニングをするようにしてください。
日本のトップ・ビルダーといわれている人の中に、スクワットがベンチ・プレスより弱いという人がおりますがこれなどは、正しい姿勢でトレーニングをしていないために、大腿部だけが大きく発達している割に、大臀筋や固有背筋の発達がともなっていないからです。外国の一流ビルダーが、一様に大きく安定した腰をしているのも、実はこのスクワットを正しく行なっているからです。
今月はスクワットのポイントについて説明します。
この種目は主として大腿四頭筋、大臀筋、固有背筋等の非常に大きい筋肉を使った運動ですから、前月号で述べたべンチ・プレスよりさらに重い重量が可能なはずです。また、皆さんも経験があると思いますが、スクワットほど練習時に苦しい種目はありません。これは、他の種目と比較して、より多くの筋肉を使った全身運動に近い種目だからです。
そして、このスクワットはトレーニングをすればするほど記録の伸びる種目でもあります。また、スクワットを練習することは、筋肉を発達させたり記録を向上させたりするばかりでなく心肺機能が大きく丈夫になるという効果もあります。
このようにスクワットは、ボディビルの最も重要な基本運動ともいえるものですから、パワーの向上を目指す人も、コンテスト・ビルダーも、健康管理を目的とする人も、普段から正しい姿勢で、多目にトレーニングをするようにしてください。
日本のトップ・ビルダーといわれている人の中に、スクワットがベンチ・プレスより弱いという人がおりますがこれなどは、正しい姿勢でトレーニングをしていないために、大腿部だけが大きく発達している割に、大臀筋や固有背筋の発達がともなっていないからです。外国の一流ビルダーが、一様に大きく安定した腰をしているのも、実はこのスクワットを正しく行なっているからです。
正しい姿勢と悪い姿勢
スクワットには大きく分けて、2つのタイプがあります。第1のタイプは腰を下ろしたとき、両脚をグッと開いて丁度、相撲のシキリをするような姿勢で行なうタイプです。この場合は股関節が柔軟でなければなりません。第2のタイプは、股関節が硬いため、膝をあまり開かずに行なうタイプです。
これをもう少し具体的にいうと、第1のタイプは、写真でもわかるように背中を真っすぐ伸ばし、上体をほんの少し前傾して行なうため、力を入れるポイントが大腿部を中心として、大臀筋、固有背筋等にベランスよく配分されているため、重い重量が可能となるわけです。そして、このタイプの場合は、スピードという点についてもすぐれており、スクワットの正しい姿勢といえましよう。
これに対して第2のタイプの場合は写真でもわかるように、背中を丸めて上体を前に折りたたむような前傾姿勢で行なうので、背筋にかかる負担が非常に多くなり、力のバランスが片よりますので、このタイプは正しい姿勢とはいえません。
この第2のタイプで思い出すのが、神田YMCAで行なわれた第4回全日本大会のとき、中量級のある選手が、手首に部厚い包帯を巻いて、第2の姿勢で190kgに挑んだときの模様です。いま述べたように、このタイプの共通の欠点である背筋にかかる負担の比重が異常に多いために、これを少しでも軽くしようとして、シャフトを背中の中央部近くまで下げ、包帯した手首で重量を支えて試技を行なったのですが支えきれずに途中で落してしまい、シャフトをイヤッというほど腰にぶっつけて、残りの試技を断念する羽目になってしまいました。
このように、やはり練習時から正しい姿勢で行なうことが、健康管理の面からも、記録の向上という面からも大切です。
これをもう少し具体的にいうと、第1のタイプは、写真でもわかるように背中を真っすぐ伸ばし、上体をほんの少し前傾して行なうため、力を入れるポイントが大腿部を中心として、大臀筋、固有背筋等にベランスよく配分されているため、重い重量が可能となるわけです。そして、このタイプの場合は、スピードという点についてもすぐれており、スクワットの正しい姿勢といえましよう。
これに対して第2のタイプの場合は写真でもわかるように、背中を丸めて上体を前に折りたたむような前傾姿勢で行なうので、背筋にかかる負担が非常に多くなり、力のバランスが片よりますので、このタイプは正しい姿勢とはいえません。
この第2のタイプで思い出すのが、神田YMCAで行なわれた第4回全日本大会のとき、中量級のある選手が、手首に部厚い包帯を巻いて、第2の姿勢で190kgに挑んだときの模様です。いま述べたように、このタイプの共通の欠点である背筋にかかる負担の比重が異常に多いために、これを少しでも軽くしようとして、シャフトを背中の中央部近くまで下げ、包帯した手首で重量を支えて試技を行なったのですが支えきれずに途中で落してしまい、シャフトをイヤッというほど腰にぶっつけて、残りの試技を断念する羽目になってしまいました。
このように、やはり練習時から正しい姿勢で行なうことが、健康管理の面からも、記録の向上という面からも大切です。
(写真左が正しい姿勢、右が悪い姿勢。脚の開き具合と背中の傾斜の角度を見比べてください)
トレーニングのいろいろ
以上はスクワットの基本的な姿勢について述べたわけですが、こんどは具体的なトレーニング法にふれてみたいと思います。
◇腰の集中トレーニング
まず、腰を下ろしたとき、大腿部が、必ず水平以下になるように深く下ろさなければなりません。これは競技規定にも明記されていることですから、日常のトレーニングにおいても常にフル・スクワットで練習するように心掛けてください。
フル・スクワットのほかに、特殊なトレーニング法として、ハーフ・スクワット(スクワットの準備姿勢から半分腰を下ろしたところで立ち上って、もとの姿勢に戻るとか、腰を下ろしきった姿勢から半分ぐらい立ち上がり、もとの位置まで腰を下ろす方法)とかクォーター・スクワット(ハーフ・スクワットのやり方でフル・スクワットの1/4の運動範囲でやる方法)等もあります。この方法は、とくに腰を集中的に強化したいというようなときに有効です。その理由は、これらの運動はフル・スクワットよりさらに重い重量でトレーニングができますので腰の強化に効果があるわけです。しかし、競技の本来の姿勢はフル・スクワットですから、あくまで補助的なトレーニング法と考えてよいでしょう。
◇膝の集中トレーニング
また、本誌の2月号の器具なしでできるトレーニングにも紹介されていた種目ですがヒンズー・スクワットというのがあります。これは、とくに膝を強化したいときとか、正しいフォームの練習に効果があります。
この方法はバーベルを使わないで,両手を頭の後ろで組み、フル・スクワットの要領で行ないます。これは、重量を用いていないので、固有背筋や大臀筋にはほとんど負担がかからず、その効果が膝と関節に集中するという利点があります。パワーを目指す人は50回×3セットぐらいはやりたいものです。
◇背筋の集中トレーニング
背筋を強化するトレーニング法は数多くありますが、その中の2~3を紹介しましょう。
グッドモーニング・エクササイズ
これは、スクワットの準備姿勢から背を伸ばしたまま、上体を前方に45度くらい傾け、またもとの姿勢にもどす方法です。次に、ハイパー・バック・エクステンションも効果があります。これは、高いべンチの上に伏臥して、両足首が浮かないように固定します。そして上体をできるだけ高く上方にそり返す方法です。このとき、両手はなるべく後頭部で組むようにします。この方法は固有背筋ばかりでなく大臀筋にも効果があります。
また、デッド・リフトをすることによって、背筋の発達が促されますのでパワーの記録の向上を目指す人にとっては、まさに一石二鳥です。
これは、練習時によく見かける光景ですが、腰を下ろしきったあとで、2~3度反動をつけて立ち上る方法をとっている人がおりますが、これは、脚部の筋肉の発達と柔軟性を高めるためには効果がありますが、この場合はいくらか軽い重量で行なわなければいけません。自分の最高重量でトレーニングをするときは、筋肉や関節をいためたり、ケガをすることがありますのでやってはいけません。
◇腰の集中トレーニング
まず、腰を下ろしたとき、大腿部が、必ず水平以下になるように深く下ろさなければなりません。これは競技規定にも明記されていることですから、日常のトレーニングにおいても常にフル・スクワットで練習するように心掛けてください。
フル・スクワットのほかに、特殊なトレーニング法として、ハーフ・スクワット(スクワットの準備姿勢から半分腰を下ろしたところで立ち上って、もとの姿勢に戻るとか、腰を下ろしきった姿勢から半分ぐらい立ち上がり、もとの位置まで腰を下ろす方法)とかクォーター・スクワット(ハーフ・スクワットのやり方でフル・スクワットの1/4の運動範囲でやる方法)等もあります。この方法は、とくに腰を集中的に強化したいというようなときに有効です。その理由は、これらの運動はフル・スクワットよりさらに重い重量でトレーニングができますので腰の強化に効果があるわけです。しかし、競技の本来の姿勢はフル・スクワットですから、あくまで補助的なトレーニング法と考えてよいでしょう。
◇膝の集中トレーニング
また、本誌の2月号の器具なしでできるトレーニングにも紹介されていた種目ですがヒンズー・スクワットというのがあります。これは、とくに膝を強化したいときとか、正しいフォームの練習に効果があります。
この方法はバーベルを使わないで,両手を頭の後ろで組み、フル・スクワットの要領で行ないます。これは、重量を用いていないので、固有背筋や大臀筋にはほとんど負担がかからず、その効果が膝と関節に集中するという利点があります。パワーを目指す人は50回×3セットぐらいはやりたいものです。
◇背筋の集中トレーニング
背筋を強化するトレーニング法は数多くありますが、その中の2~3を紹介しましょう。
グッドモーニング・エクササイズ
これは、スクワットの準備姿勢から背を伸ばしたまま、上体を前方に45度くらい傾け、またもとの姿勢にもどす方法です。次に、ハイパー・バック・エクステンションも効果があります。これは、高いべンチの上に伏臥して、両足首が浮かないように固定します。そして上体をできるだけ高く上方にそり返す方法です。このとき、両手はなるべく後頭部で組むようにします。この方法は固有背筋ばかりでなく大臀筋にも効果があります。
また、デッド・リフトをすることによって、背筋の発達が促されますのでパワーの記録の向上を目指す人にとっては、まさに一石二鳥です。
これは、練習時によく見かける光景ですが、腰を下ろしきったあとで、2~3度反動をつけて立ち上る方法をとっている人がおりますが、これは、脚部の筋肉の発達と柔軟性を高めるためには効果がありますが、この場合はいくらか軽い重量で行なわなければいけません。自分の最高重量でトレーニングをするときは、筋肉や関節をいためたり、ケガをすることがありますのでやってはいけません。
練習量について
最初に述べたように、スクワットは非常に大きな筋肉をつかう種目ですが技術的にはそれほど難しい種目ではありません。それがため、一応基本をマスターした人は、何よりも練習量を多くすることが記録の向上につながると思います。
1例をあげますと、私のジムの因幡選手は、夏の最も暑いときでも、スクワットだけの練習量がのべ1日1万kgを下回ることはありません。また、30kgで10回×4セットを9分間で行な
うというハード・スケジュールもこなしています。その結果、彼の現在の体重55kgの3倍以上の170kgで連続5回のスクワットを行なうことができるようになりました。
最後にスクワットにおける一流選手の目標としては、自分の属するクラスの制限体重の2.5倍以上行なえるようにしたいと思います。
次回はデッド・リフトです。
1例をあげますと、私のジムの因幡選手は、夏の最も暑いときでも、スクワットだけの練習量がのべ1日1万kgを下回ることはありません。また、30kgで10回×4セットを9分間で行な
うというハード・スケジュールもこなしています。その結果、彼の現在の体重55kgの3倍以上の170kgで連続5回のスクワットを行なうことができるようになりました。
最後にスクワットにおける一流選手の目標としては、自分の属するクラスの制限体重の2.5倍以上行なえるようにしたいと思います。
次回はデッド・リフトです。
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