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なんでも Q&A お答えします 1971年5月号

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月刊ボディビルディング1971年5月号
掲載日:2018.03.26

■器具なしでできる脚の鍛練法

Q ボディビルディング誌を毎月楽しく読んでいます。2カ月ほど前に退院し、現在、自宅で療養しています。ほとんど外出しないので、脚の筋肉がすっかり弱ってしまい、立っているだけで疲れてしまう状態です。また、足首やひざの関節が硬くてこまっています。

 器具を使わずに、家の中で手軽にできる脚の効果的な運動をいくつか教えてください。スクワットやカーフ・レイズは知っています。
(熊谷市大字熊谷2845 梅沢次男)
A どんな病気で入院していたのか書いてありませんので、はたして運動してよいものかどうか分かりませんが、多分、運動してもかまわないものと解釈してお答えします。でも、念のためもう一度医師に運動してもよいかどうか聞いてみてください。

 スクワットとカーフ・レイズを知っていれば、それをやれば充分効果が得られる筈ですが、いくつか教えて欲しいとのことですので、3つばかりご紹介しましよう。

◇スクワット・レンジ

 脚を前後に開き、両手を腰にあてるか、後頭部に組むかして、前方に出した脚に体重をかけながら、ひざを深く曲げ、そして元の位置にもどる。左右の脚で連続15〜20回ぐらい運動する。

◇シシー・スクワット

 足幅を肩幅より狭くして、真直ぐ立ち、両手を腰にあてるか、後頭部に組むかして、腰を前方に出すようにして両ひざを曲げ、ひざを中心にして、からだが「く」の字型になるようにし元の位置に戻す。15〜20回ぐらいくり返せばよいでしょう。

◇シングル・レッグ・スクワット

 片足で立ち、一方の脚を前方に出し床に触れないようにしながら、片脚でスクワットを行なう。この運動は慣れないと少々キツイものです。バランスがうまくとれない場合は、壁や柱などに手をつけて行なうとよい。5~10回ずつ、左右交互に行なうとよいでしょう。

■適度なパンプ・アップとは?

Q ボ歴6カ月、コンテスト・ビルダーを目指す者ですが、何度目かの質問をさせていただ
きます。

 トレーニングをすると、筋肉がパンプ・アップし、これが筋肉肥大に重要な要素だと聞いていますが、なにぶん自宅でトレーニングをしているため、どのくらいパンプ・アップすれば適当なのか分かりません。もちろん、経験とか個人差もあると思いますが、パンプ・アップの意味と適度をお教えください。
(盛岡市中堤町14~50 佐藤浩一)
A パンプ・アップとは、トレーニングによって、刺激を与えられた筋肉部位に血液が集中して、栄養、酸素などを供給し、かわりに、運動によって発生した老廃物炭酸ガスなどを運び去るために起こるものです。

 もちろん、このような血液循環は,絶えず行なわれているのですが、激しく運動すると、通常以上に、栄養、酸素などの消耗が多くなり、より多くの血液が集中され、パンプ・アップするのです。パンプ・アップの要素は、このほかにも考えられますが、もっとも重要なのが、この血液の集中ということです。

 ところで、よく軽い重量で、数多く回数をくり返すと、非常にパンプ・アップして、筋肉が肥大すると考えている人がいます。もちろん、多少は筋肉が太くなることもありますが、このような運動法によって得た肥大は、毛細血管の発達増大によることが大きいので、必ずしも、筋肥大を得たとはいいきれないのです。

 また、パンプ・アップさえすれば、筋肥大を得られるかのごとく考える人もいるようですが、これは的確な考え方ではありません。

 筋肥大にとって、もっとも重要なのは筋肉に対する運動の刺激が、充分か不充分であるかという点であり、いかにパンプ・アップさせても、筋肉に対する刺激が弱いものでは、あまり筋肥大に結びつきません。
 
 したがって、ある程度強い刺激を与えることが、筋肥大の原因であり、そのためにパンプ・アップという現象が起こり、結果として筋肥大が得られるというわけです。

 そこで、現象としてのパンプ・アップは、トレーニングの仕方、体調などによって、よくふくれたり、それほどふくれなかったり、あるいは、時間的にも長かったり、短かったりすることもあるので、そのようないろいろの現象を、あまり気にしすぎる必要もありません。
(JBBA技術委員会)

―ボクサー・ビルダー―

海の向うの話

海の向うの話

 フランコ・コロンボは、ビルダーになる前、イタリーでライト級のボクサーとしてならしていた。

 1年間アマチュアとして活躍したのちプロに転向したが、プロ・キャリア2年間の間に30戦を行ない、25勝2敗3引分けという好成績を残している。

 25勝のうち9勝がノック・アウト勝ちである。
 彼はこの成績にあきたらず、全部をノック・アウト勝ちで飾りたかったと今だにジダンダをふんでいるという。

―この師にしてこの弟子―

 ルイジアナ出身のケイシー・ビェターは、ボイヤー・コーのパートナーであると同時に、彼の秘蔵弟子で昨年のティーンエイジ・ミスター・アメリカに選ばれた若手ビルダーのホープである。
 
 師のコーと同じ、すばらしい腕と肩とバックでならしているが、面白いことに、コーの感化を受けてか、一切の体位を発表していない。
 
 ビルダーの体位ほどあてにならないものはなく、また、誰も信じないものならば発表する意味も無いと友人に語ったという。

ービルダーの教養度―

 フランコ・コロンボを破ってミスター・ユニバースのクラス優勝者となったクリス・ディカーソンは、その筋肉のみならず教養の面にも磨きをかけている。
 
 最近彼はいろいろのテレビ番組にひっぱりだされているが、インタビューの受け答えや、話し方は、深い教養に裏づけされたもので、聴視者のビルダーに対する筋肉一辺倒の考え方も、彼によってだいぶ変わってきたとさえいわれている。
 
 ビルダーには十代と二十代の者が多いのだが、逞しい体と、にじみ出る教養を兼ねそなえる事は、決してむずかしいことではない。(S.T.)
月刊ボディビルディング1971年5月号

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