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●正しいトレーニング法●
チンニングとラット・マシン・プルダウン

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月刊ボディビルディング1971年7月号
掲載日:2018.07.04
 ボディビルダーほど食事に関心を持つスポーツマンはいないようです。
 それは、決してわるいことではありませんが、食事にこだわりすぎることは好ましくありません。
 ボディビルにしろ、他のスポーツにしろ、あるいは学問、あらゆる分野の仕事にしても、素質、環境などの条件を無視することはできませんが、何といっても、やる気が重要であり、やる気がなければ、何事も成し得ません。
 今回は、チンニングとラット・マシン・プルダウンを解説します。

チンニング

[チンニング]

[チンニング]

<概説>チンニングは、広背筋の鍛錬種目のうちで、もっとも重要なもののひとつです。
 内外のトップ・ビルダーの間では、かなり愛用されている種目のひとつでもあり「広背筋の発達にはチンニングが一番よい」というビルダーが多いようです。
 チンニングといっても、いろいろな方法がありますが、一般によく行なわれているのは、ワイド・グリップ・チンニングとチンニング・ビハインド・ネック、およびクロス・グリップ・チンニングの三種目です。
 ここで紹介するのは、ワイド・グリップ・チンニングです。

<運動動作>両手は肩巾より広く、オーバー・グリップでバーを握り、両腕を伸ばし、床から足を離してぶら下がり、全身の力をぬき、背中を真直ぐか、あるいは心持ち胸を張って弓なりに反らせ、視線を前方か、または、バーの方に向けると準備姿勢完了です。
 次いで、極端に体が前後にゆれないようにしながら、両腕を曲げ、アゴがバーの高さを越えるぐらいまで体を引き上げ、ゆっくり元に戻し、それをくり返します。

<呼吸>引き上げながら息を吸い、吐きながら下げる。その逆でもよい。

<回数・セット・休息>10回ずつ2分前後の休息を入れて3セットほど行なえばよいでしょう。中・上級者なら5~6セット行なうのもよいでしょう。

<効果>広背筋、上腕二頭筋、大胸筋。

<注意>この種目は、肥満体とか、下半身の筋肉の発達の割に上体が貧弱な人は運動がきつく、その逆の人は楽にできる傾向があります。
 運動がきつい人は、パートナーが腰の辺りに手を当てて押してやるか、あるいは、とび上がって反動をつけて行なうか、低いチンニング・バーがあれば、足を床面につけて適当に脚力を用いて行なうとよい。
 逆に運動が容易で20~30回もくり返せる人は、腰にヒモでプレートかダンベルなどをぶら下げて行なうとよい。
 両脚は、前方、垂直、後方いずれに伸ばして行なうも、曲げて行なうもよく、後方で組んで行なうのもよい。
 頭をバーの前方に出すようにして行なうと、チンニング・ビハインド・ネックになり、両手の巾を極端に狭く握って行なうと、クロス・グリップ・チンニングになります。

ラット・マシン・プルダウン

<概説>広背筋の鍛錬種目としては先に解説したチンニング、およびベント・ローとともに、このラット・マシン・プルダウンは代表的な種目のひとつであります。
 この種目は、チンニングが苦手な人に適しており、ベント・ローなどでは腰に負担がかかるという人にも向いているようです。
 参考までに説明すると、ラットとは広背筋のことであり、ラット・マシンは、広背筋の専門鍛錬器具として開発されたわけですが、この器具は、広背筋の鍛錬以外にも、上腕部の鍛錬によく使われています。
 <運動動作>ラット・マシンの方を向き、バーを両手で肩巾ぐらいに、オーバー・グリップで軽く握り、腰をおろし、足裏を足当てにつけ、両脚を伸ばし、上体を垂直に立て、軽く胸を張り、両腕を伸ばして、視線を前方か前上方に向けると準備姿勢完了です。
 次いで、両脚を伸ばしたまま、上体をできるだけ動かさないようにして、両腕を曲げ、肘を後方に引き、バーを腕から上腹部にかけたあたりに引き寄せ、ゆっくり元に戻し、それをくり返します。

<呼吸>息を吸いながら引きつけ、吐きながら戻す。その逆でもよい。

<回数・セット・休息>10回ずつ2分前後の休息を入れて3セットも行なえばよいでしょう。

<効果>広背筋、上腕二頭筋。

<注意>握り巾は、通常は肩巾より広めか、逆に狭めで行なわれる傾向がありますが、広めに握って行なうと広背筋上部に効果的で、狭めの場合は広背筋下部にも効果があります。
 運動中、上体を前後に極端に動かすのは効果的ではありません。
 バーを引きつけた後は、広背筋の力をぬかず、必ずゆっくり戻すようにするとよい。
 ラット・マシン・プルダウンには、この解説の方法の他に、上方から首の後方にバーを引きつけるやり方があります。
[ラット・マシン・プルダウン]

[ラット・マシン・プルダウン]

(JBBA技術委員会)
月刊ボディビルディング1971年7月号

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