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●正しいトレーニング法● ラット・マシン・プッシュ・ダウン と トライセップス・プッシュ・アウェイ

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月刊ボディビルディング1971年8月号
掲載日:2018.02.27
 毎年のことながら、夏になると夏バテでコンディションが狂う人が多いのですが、夏バテにならないような積極的な工夫をする必要があります。

 特に、ミスター日本コンテストを目指すビルダーにとっては、夏バテは禁句です。そして、それに準ずるようなビルダーも、夏バテになるからといって、あまりにもトレーニングから遠ざかるのも考えものです。

 進歩を求めるビルダーは、常に悪条件を克服する心掛けが肝要であり、夏バテにならない予防法を考え、あまり過激にならない程度に積極的にトレーニングすべきです。

 さて、今月は、ラット・マシン・プッシュ・ダウンとトライセップス・プッシュ・アウェイの解説をしましょう。
ラット・マシン・プッシュ・ダウン

<概説>

 ラット・マシンといえば、広背筋の鍛練を目的として開発されたようなものなのですが、このラット・マシンを用いた上腕三頭筋のトレーニング種目の代表は、ラット・マシン・プッシュ・ダウンです。

 この種目は上腕三頭筋のトレーニング種目として、かなりトップ・ビルダーに親しまれているもののひとつです。ラット・マシン・プッシュ・ダウンといっても、別名トライセップス・プレス・ダウンなどとも呼ばれ、チェスト・ウェイトを使用して行なうこともできます。

<準備姿勢>

 ラット・マシンのバーの前に、肩巾ぐらいに両足を開き、真直ぐ立ち、両手の巾を肩より狭めに、オーバー・グリップで握り、両肘を体側に固定し、両手を胸部前方あたりにおき、上体をほんの僅か前傾させると準備姿勢完了です。

<運動々作>

 次いで、両肘を動かさず、上体を前方に倒さないようにして前腕部を大腿部の方向に下げ、腕を伸ばし、ゆっくり元に戻し、それをくり返します。

<効果>

 上腕三頭筋。

 肘を極力体側につけて行なうようにすると、上腕三頭筋の内側に効果的で逆に、肘を外側に張り出すようにして行なうと、上腕三頭筋の外側に効果的になるようです。

 この種目の経験がなく、腹筋の鍛練をおこたっている人は、腹直筋に効果を示すことが多々あります。

<注意>

 ラット・マシンのバーが低い時は、床にひざをつけて座って行なうとよい。

 運動中、上体を前後に動かすと上腕三頭筋への刺激が弱まる。運動中、極端に肘を前後に円をえがくように動かすと、広背筋の運動になってしまう。
ラット・マシン・プッシュ・ダウン

ラット・マシン・プッシュ・ダウン

トライセップス・プッシュ・アウェイ

トライセップス・プッシュ・アウェイ

トライセップス・プッシュ・アウェイ

<概説>

 この種目も、ラット・マシン・プッシュ・ダウン同様、多くのトップ・ビルダーに愛用されている上腕三頭筋のトレーニング種目です。

 しかし、この種目を正確な動作で実行しているビルダーは案外少ないようです。

 この種目に限らず、正確な動作で行なうことは必要ですが、ことにこの種目は、運動姿勢が不正確であると、せっかくの努力が水の泡に帰すといえるものです。

<準備姿勢>

 ベント・ローイングを行なう時と同じように、両足を肩巾かそれよりいく分広めに開き、上体を前傾させ、一方の手をベンチなどにおき、もう一方の手にダンベルを持ち、ダンベルを持った方の腕の肘を、体側に固定させ、ダンベルを下方にぶら下げます。

<運動々作>

 次いで、肘を固定し、上体を前傾させたまま動かさないようにして、前腕部を後上方にあげ、腕を伸ばし、ゆっくり元に戻し、それをくり返します。

<効果>

 上腕三頭筋。

 肘を極力体側に固定し、手の平が後上方に向くような運動すると、上腕三頭筋の内側に効果的で、肘を外方に張り、固定するようにしたまま、手の平が下に向くようにして行なうと、上腕三頭筋の外側に効果的です。

<注意>

 上体を極端に起こして行なうと効果がなくなります。

 同じく、上体を極端に起こして、腕を伸ばして、後方に振るような動作では効果がありません。

 運動中、上体を前方に倒しても、ダンベルを持ち上げるたびに、上体を捻るようなやり方は効果が半減します。

 後上方に腕を伸ばす際、肘が下がったり、腕を十分に伸ばさないなどは効果が半減します。

 いくら正確な腕の動作で行なっても、脚の反動を用いたりしては効果が半減します。

 腕を後上方に伸ばした時、一度、瞬間的にでも止めるようにすると効果的です。

 慣れないうちから重いダンベルを用いると、どうしても正確な動作ができません。軽量で正確な動作をマスターするように心掛けてください。

 解説では、一方の手をべンチなどにおいて行なうとしてありますが、少しひざを曲げ、腰をかがめて、上体を前傾させ、肘と手を各々の大腿部のひざの上部あたりに休めて行なう方法もあります。

 なお、背中は、床面と平行にしても丸めても、どちらでも構いません。
(JBBA技術委員会)
月刊ボディビルディング1971年8月号

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