体力づくりの基礎知識
5 筋肉の発育と栄養
月刊ボディビルディング1971年9月号
掲載日:2018.03.04
東京薬科大学教授 坪井 実
筋肉の発育のためにはタンパク質の補給が必要であることは前号に述べた。しかし、細かいことをいうと、それだけでは充分とはいえない。そこで今回は筋肉の発育に必要な栄養学的な知識を述べることにする。
1 筋肉の化学的組成
筋肉は大ざっぱにいって、80%の水と20%の固形物からできている。固形物の大部分はタンパク質である。タンパク質以外の固形物は極めて僅かであるが、そのうち最も大量に含まれている化合物はグリコーゲンで、0.5〜1.0%くらいである。その他にATPのようなアデニール化合物や、クレアチン燐酸、カルノシン、脂質、塩類などがある。
このように筋肉から水分を除いた大部分がタンパク質であるから、このようなことを考えただけでも、いかに筋肉の構成にタンパク質が必要であるかうなずくことができよう。
このように筋肉から水分を除いた大部分がタンパク質であるから、このようなことを考えただけでも、いかに筋肉の構成にタンパク質が必要であるかうなずくことができよう。
2 タンパク質とは
筋肉の固形成分の主体をなしているタンパク質とはどのようなものであるか述べてみよう。
タンパク質は筋肉などのような体の軟い部分の主成分をなしている。極めて複雑な形をしていて、多数のアミノ酸が組み合わさった形で構成されている。しかも、タンパク質を構成するアミノ酸は1種類だけでなく、第1表のように20数種類のアミノ酸が一定の順序に規則正しく並んだ形になっているのである。
また、筋肉のタンパク質は極めて複雑な構造をしている。そして、このようなアミノ酸の配列は順序がちゃんと定まっていて、他のアミノ酸が代りに入ったり、あるいは欠けていたりすることはできない。定まった位置に、定まったアミノ酸が配置されなければタンパク質は合成されないのである。
なお、これらのタンパク質を構成するアミノ酸のうち、不可欠アミノ酸とよばれるものがある。イソロイシン、ロイシン、リジン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン、メチオニン、シスチン等である。
普通のアミノ酸は、体の中でいろいろと変化して他のアミノ酸に変化したり、他のアミノ酸などから作り変えられたりすることができるので、そのアミノ酸を食物として取り込まなくても他のアミノ酸が、そのアミノ酸に変化してくれるから問題はないが、不可欠アミノ酸と呼ばれるものは、他のアミノ酸から作り変えられたりすることのできないものであるから、これだけはどうしても食物として体内に取り入れなくてはならないのである。もしも体の中でこれが不足したり欠乏したりすると、先に述べたようにタンパク質を合成することができなくなり、筋肉タンパク質の発育や発達が阻害されてしまうのである。
タンパク質は筋肉などのような体の軟い部分の主成分をなしている。極めて複雑な形をしていて、多数のアミノ酸が組み合わさった形で構成されている。しかも、タンパク質を構成するアミノ酸は1種類だけでなく、第1表のように20数種類のアミノ酸が一定の順序に規則正しく並んだ形になっているのである。
また、筋肉のタンパク質は極めて複雑な構造をしている。そして、このようなアミノ酸の配列は順序がちゃんと定まっていて、他のアミノ酸が代りに入ったり、あるいは欠けていたりすることはできない。定まった位置に、定まったアミノ酸が配置されなければタンパク質は合成されないのである。
なお、これらのタンパク質を構成するアミノ酸のうち、不可欠アミノ酸とよばれるものがある。イソロイシン、ロイシン、リジン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン、メチオニン、シスチン等である。
普通のアミノ酸は、体の中でいろいろと変化して他のアミノ酸に変化したり、他のアミノ酸などから作り変えられたりすることができるので、そのアミノ酸を食物として取り込まなくても他のアミノ酸が、そのアミノ酸に変化してくれるから問題はないが、不可欠アミノ酸と呼ばれるものは、他のアミノ酸から作り変えられたりすることのできないものであるから、これだけはどうしても食物として体内に取り入れなくてはならないのである。もしも体の中でこれが不足したり欠乏したりすると、先に述べたようにタンパク質を合成することができなくなり、筋肉タンパク質の発育や発達が阻害されてしまうのである。
3 筋肉の発達に必要なタンパク質とは
筋肉の発育のために必要なタンパク質とは、不可欠アミノ酸を充分に含んだものが効率が良いわけである。一般的にいって、植物性のタンパク質は不可欠アミノ酸に乏しく、動物性タンパク質は豊富である。すなわち、肉類や卵、牛乳、チーズなどが効率がよいわけである。
体内で利用されるタンパク質は、動物性食品、または植物性食品として口に入ったものが腸の中で消化されて、個々のアミノ酸の単位に分解された後それぞれが腸の血管の中に取り込まれて、血液に吸収されて必要な場所に運ばれ、人間のタンパク質を組み立てるのに必要なアミノ酸が集められる。そして、人間に特有なタンパク質が作られるのである。
ブタ肉ばかり食べていると、ブタのような体質になるなどという人がいるが、このように食物として体内に入ったブタ肉も、いったん構成単位のアミノ酸に分解され、そのうちの必要なものだけが集められて、新しく人間の筋肉として組み立てられるわけであるから、決してブタのような体質になることはないのである。しかし、人間とブタでは不可欠アミノ酸がちがうから、あるものは余分となり、あるものは不足となるわけである。これをアミノ酸のバランスという。
動物性のタンパク質は、比較的にアミノ酸のバランスがとれている方であるが、植物性のタンパク質となるとそうはいかない。そこで、不可欠アミノ酸の組成が均衡となるように、植物性タンパク質に不足するリジン、スレオニンなどを添加して、これを補足することも考えられている。<第2表参照>
体内で利用されるタンパク質は、動物性食品、または植物性食品として口に入ったものが腸の中で消化されて、個々のアミノ酸の単位に分解された後それぞれが腸の血管の中に取り込まれて、血液に吸収されて必要な場所に運ばれ、人間のタンパク質を組み立てるのに必要なアミノ酸が集められる。そして、人間に特有なタンパク質が作られるのである。
ブタ肉ばかり食べていると、ブタのような体質になるなどという人がいるが、このように食物として体内に入ったブタ肉も、いったん構成単位のアミノ酸に分解され、そのうちの必要なものだけが集められて、新しく人間の筋肉として組み立てられるわけであるから、決してブタのような体質になることはないのである。しかし、人間とブタでは不可欠アミノ酸がちがうから、あるものは余分となり、あるものは不足となるわけである。これをアミノ酸のバランスという。
動物性のタンパク質は、比較的にアミノ酸のバランスがとれている方であるが、植物性のタンパク質となるとそうはいかない。そこで、不可欠アミノ酸の組成が均衡となるように、植物性タンパク質に不足するリジン、スレオニンなどを添加して、これを補足することも考えられている。<第2表参照>
4 筋肉の発育にはタンパク質以外には何が必要か
タンパク質の構成には、ビタミンB2やB6が必要である。ビタミンB2は筋細胞の中で、アミノ酸からタンパク質が組み立てられる過程に直接的に関与しビタミンB6は、アミノ酸が他のアミノ酸に変化する過程に必要である。またビタミンCは、チロシンの変化過程に必要である。なお、男性ホルモンはタンパク質の合成を促進する働きがある。
5 その他に必要なもの
以上、筋肉の発育に必要な栄養だけをあげたが、筋肉の発育を促進する源は、筋力を出して筋肉に適当な刺激を与えることである。したがって、このトレーニングは相当強度な運動であるから、筋肉に必要な栄養ばかりでなく運動によって消耗した栄養物の補給ということも併せて考えなくてはいけない。
筋肉運動で最も消耗するものは糖質であるから、充分な糖質の補給と、ビタミンB1、B2、B6、ニコチン酸、パントテン酸、イノシトール、ビオチン、ビタミンCなどのビタミン類や、食塩カリウム、カルシウムなどの塩類の補給を考えなくてはいけないが、このことについては別の機会に詳しく述べることにする。
筋肉運動で最も消耗するものは糖質であるから、充分な糖質の補給と、ビタミンB1、B2、B6、ニコチン酸、パントテン酸、イノシトール、ビオチン、ビタミンCなどのビタミン類や、食塩カリウム、カルシウムなどの塩類の補給を考えなくてはいけないが、このことについては別の機会に詳しく述べることにする。
<第1表>タンパク質を構成するアミノ酸
<第2表>穀類タンパク質に対するアミノ酸の補足効果(白鼠)
<第3表>主要食品中の不可欠アミノ酸含有量(蛋白質窒素1g当りアミノ酸g数)資料はF.A.O.;Protein Requirements,(1957)
月刊ボディビルディング1971年9月号
Recommend
-
-
- ベストボディ・ジャパンオフィシャルマガジン第二弾。2016年度の大会の様子を予選から日本大会まで全て掲載!
- BESTBODY JAPAN
- BESTBODY JAPAN Vol.2
- 金額: 1,527 円(税込)
-