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悲劇の王者セルジオ・オリバ

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月刊ボディビルディング1972年1月号
掲載日:2018.05.02
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1966年から1969年までの4年間は、オリバにとって幸せの絶頂であった。ジュニア・ミスター・アメリカに始まり、ミスター・ワールド、ミスター・ユニバース、ミスター・オリンピアと、またたく間に征覇してしまったのだから。

 しかし、栄枯盛衰は世の常―破局は意外に早くやってきたのである。'70ミスター・オリンピアはオリバにとって生涯忘れ得ぬコンテストとなろう。4連覇の夢を抱き自信満々乗り込んだ彼は、世界ボディビル界の突然変異、ボディビル史上かつてない大男アーノルド・シュワルツェネガーの前に、もろくも敗れ去ってしまったのだ。さらに、再起を期して挑戦した71NABBAユニバースでも、老巧ビル・パールを打ち破ることはできなかったのである。

 あの筋肉の怪物とまでいわれたデフィニションが、こんなにも早く消えてしまうのだろうか。あの褐色の王者という賛美の声が、もはや聞かれなくなってしまうのだろうか……。

 「勝負の世界の非情さ」を強烈に思い知らされた彼の胸の内は、とうてい、言葉では表わすことはできない。しかし、あの傲慢とも感じられるほどの自信に満ちた彼の表情を、今一度見たいと願うのは一人私だけではないだろう。
(小沢 誠)
月刊ボディビルディング1972年1月号

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