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缶詰食品

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月刊ボディビルディング1972年3月号
掲載日:2018.03.15
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野沢秀雄

<ナポレオンのおかげ>

技術というものは、戦争がおこるたびに進歩していく。相手の国をやっつけるのに、どうしても必要なためだ。カメラ・テレビジョン・コンピューター・航空機………どれも戦争のたびに技術者が必死にとりくみ、国家の莫大な予算をつぎこんで、現在のような精密なものができあがった。
缶詰もまた、軍隊の非常食としてナポレオンが命じてつくらせたものだった。それから200年。工場で大量生産されて、兵隊でないわれわれの毎日の食卓に、あたり前のように並ぶ時代になった。グラチェ、グラチェ。

<もっとも安いスタミナ食>

缶のブリキが立派すぎるために「缶詰は高いものだ」と思われがちだ。しかし、実は魚でも果物でも缶詰のほうがズーッと安い場合もある。たとえばサンマ。1匹が100円もするのに、缶詰なら70円で2匹分以上はいっている。みかんも生なら200円ぐらいが80円で買える。
そのわけは、産地でいちばんとれるときに大量に加工するからだ。缶詰ごと高温殺菌してあるので腐る心配はないし、魚は骨まで食べられて栄養の点でも申し分ない。
とりわけおすすめしたいのは「サバの水煮缶詰」。200gはいっていて、たったの35円(新宿のスーパー)。いま手元に100円あるとして、何を買えば、体の発育によいタンパク質が多いか計算すると、1位は圧倒的な強さでサバの缶詰。113gもとれることになる。
2位はとうふのオカラで88g。3位は魚肉ソーセージ60g。かなり落ちてチーズ34g。スキムミルクは33gとつづく。豚肉は13g。牛肉は9gしかとれない。(いずれも純タンパク質)。
少ない予算で効果をあげるために、絶好のスタミナ栄養食品といえる。

<うまい食べ方>

サバの缶詰には、味噌で味つけしたものがあり、たいへんうまいが、ビルダーには水煮のほうがよいだろう。あっさりしていて、1食に2缶くらい食べられるからだ。水煮缶詰によく合うのは生キャベツ。きざんで混ぜてソースをかけて食べるとスタミナにきく。プロ・ボクサーがよくやっている方法だ。
青い魚を食べるとアレルギーになる人でも、缶詰なら絶対に大丈夫。ただ1つ注意したいことは、缶をあけてからそのまま放置すると、缶のスズがとけだして体の害になることがある。
だから、もしあまった場合は、缶から出して別の容器に移してから冷蔵庫に入れるのがよい。家の人たちにも知らない人が多いので、チョッと教えてあげると喜ばれる。「サースガ!」

<カロリー計算>

夕食にサバの水煮缶詰を使ったときのカロリー計算は次のとおり。なお、サバばっかりで飽きたなら、カツオの油漬・サケ水煮・カツオ水煮などの缶詰もよい。どれも100円あたり、タンパク質は40~50gとれる計算になる。
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月刊ボディビルディング1972年3月号

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