フィジーク・オンライン

海の向うの話 1972年3月号

この記事をシェアする

0
月刊ボディビルディング1972年3月号
掲載日:2018.03.21
記事画像1

――カラー・ソックスとボディビル――

昨年と一昨年、つづけてミスター・オリンピアになったシュワルツェネガーは、最近になって変な趣味をみせはじめた。
ジムにくる時、色あざやかなカラー・ソックスをはいてくる。しかも、毎日その色が変わるのである。
「7色パンティでもあるまいし、いったい何のオマジナイなのだ」と、ジムの連中が不思議がっている。
そのわけを聞いても、彼はただニヤニヤ笑っているだけで答えない。
心理学にこっている、あるビルダーにいわせると「色の変化が毎日マンネリになりがちな彼のトレーニングにアクセントをつけているのだ」ということらしい。
また、ある友人は「カラー・ソックスが、彼の脚のトレーニングと重大な関係にある」という。
いずれにしても、とんだオイロケ話である。

――テレビの人気ビルダー メイナード――

アール・メイナードは、かつてのIFBBのミスター・ユニバースであるが、今は、全米で指おりの人気レスラーである。
レスリング番組以外にも、よくテレビに出演しており、今や、チビッコの間で人気ナンバー・ワンということである。
その逞しい体は、まだおとろえをみせておらず、もう一度ミスター・ユニバース・コンテストに出場したいとの希望もすてていない。
レスラーの出場するミスター・ユニバース・コンテストも変わっていていいではないか、という声と、プロになるのかアマの資格で出るのかなどと、ボディビル界のスズメはうるさい。

――写真家の見たビルダーのからだ――

ジョージ・グリーンウッド氏は、NABBAの副会長であると同時に、その華麗なるフィジーク・フォトで知られる著名な写真家である。
その彼が、写真家として見た時のビルダーの美しさは、どこにあるかに言及して次のようにいっている。
――全身のバルクとデフィニションはいうまでもないが、左右に均斉のとれた広背をそなえていること……これが美しいフィジークの不可欠の要素である。
広背のよく発達したビルダーは多いが、左右均斉のとれた広背には近頃めったにお目にかかれない。
スティーブ・リーブス、ロブ・マーティン、メルビン・ウェルズなどは生まれつき肩が広く、胴細そなので広背はつき易かったと思うが、同時に、彼等は左右の均斉を得ることにも努力した。
ラリー・スコットは、肩巾がなく、広背を広げるのに苦労したが、左右のシンメトリーは美しかった。
胸も脚も同様である。左右の均斉こそ重要である――と。

――目標は低きにおくべし――

この頃のアメリカのビルダーたちは著名ビルダーの写真を多く見すぎて、自分の目標を彼等と同じ高いところにおき過ぎるのではないか……と最近の「マッスル・デベロプメント」誌は報じている。
同誌は、目標を高きにおき過ぎたビルダーたちが、それを達成できなくて力を落し、はては、ボディビルそのものまで否定する危険を含んでいる、と警告している。
そして、有意義な目標を自分の近いところにセットし、それに邁進し、それが達成されたのち、さらに一次元高いところへ目標をセットせよ……と説いている。
この警告は、ひとりアメリカのみならず、日本のビルダー諸君にもあてはまることではないかと思う。(高山勝一郎)
月刊ボディビルディング1972年3月号

Recommend