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ビルダー教養講座
やさしいボディビル英語 1972年3月号

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月刊ボディビルディング1972年3月号
掲載日:2018.03.12
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高山勝一郎

ーボディ・パーツー

先月号で Body parts (ボディ・パーツ)の話が出たので、ついでに、身体各部位の代表的な名称を研究することにしよう。
腕は arm (アーム)だが、普通 arms (アームズ)と複数なのは、腕が2本あるからで、これは脚にあたる legs (レッグズ)も同様である。
丹下左膳が arm で、宝島の海賊の船長が leg なのは例外である。
arms にも legs にも、二頭筋と三頭筋という筋肉があるが、これを英語で何というかはご存じだろう。
二頭筋は biceps (バイセプス)、三頭筋は triceps (トライセプス)である。
bi (バイ)は2つ、tri (トライ)は3つを表わす接頭語というやつである。
bicycle (バイシクル)が自転車で、tricycle (トライシクル)が三輪車だということはご存じのとおりであるが一緒に覚えておきたい。
同じように、 binocular(バイノキュラー)が双眼鏡で、tripod (トライポッド)が写真用の三脚というふうにチャンと理屈にあっている。

ーデルタ地帯?ー

肩は shoulder (ショルダー)であるが、これを構成する三角筋は deltoids (デルトイヅ)である。
これも三角地帯を表わす言葉のデルタというのがあるので、思い出していただきたい。
肩にはもう1つ、僧帽筋という首の両横に広がる筋肉がある。
英語で trapezius (トラピージァス)という。
アクセントが pe にあるので、トラピージァスという発音になる。
英語をいかに知っていても、実際の会話で案外と外人に通じないのは、この発音やアクセントが正しくできていない場合が多いからである。
逆に英米では、赤ン坊でも英語を聞き話す。
あたり前の話だが、耳と口から言葉をマスターすることが大切なのである。

ーマッスルでハッスルー

さて、かんじんの筋肉は、英語では muscle (マスル)という。
マスクルでもマッスルでもない。
マスルである。
この muscle には、腕力をふるうという意味もある。
ついでだが、よく「ハッスルする」等という、ハッスルとはどこからきたのであろうか。英語である。
hustle (ハスル)は、押すという意味から転じて、アメリカでは、テキパキものごとをかたづけるという時に使う。
これもハストルでもハッスルでもない。正しくはハスルである。

ー大胸筋とボイーンー

さて、大胸筋は pectoral muscle (ペクトラル・マスル)というが、普通にはよく、胸を表わす chest (チェスト)で代用される。
ご婦人のボイーンは chest というよりやはり breast (ブレスト)である。
赤ン坊にパイパイをふくませること give breast (ギヴ・ブレスト)というのをみても判ろう。
広背筋は、 lats (ラッツ)というが、これも背という総称で back (バック)ということの方が多いようである。
lat machine (ラット・マシーン)等はビルダーにはおなじみの器具である。これを back machine とはいわない。
バックというのは意味も面積も広いのである。
腹筋は abdominal muscle (アブドミナル・マスル)である。
腹筋台が abdominal board (アブドミナル・ボード)というのはご存じだろう。
大腿部は thigh (サイ)、腓は calf (カーフ)である。
calf の複数は carves (カーヴズ)となるのでご注意願いたい。
さて、これだけ覚えておけば、何とか body parts (ボディ・パーツ)を示す言葉にはことかくまい。
海外のボディビル雑誌を見る時には以上の単語を発見して、何が書いてあるか見当もつこうというものである。
勿論、英語の堪能な方には、こういうことをいって申しわけもない。
(筆者は、政府公認通訳・科学技術翻訳士・英検1級・商英1級、越谷バーベル・クラブ会長)
月刊ボディビルディング1972年3月号

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