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ボディとパワーの両立可能か?
両方のコンテストで活躍している長谷川選手の場合

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月刊ボディビルディング1972年7月号
掲載日:2018.04.08
 ボディビル界における2大行事一それはボディ・コンテストとパワー・コンテストである。
ボディ・コンテストは男性的な形態美の追求であり、パワー・コンテストは純粋な力(ストレングス)の追求である。
 したがって、どちらか一方のコンテストのためにトレーニングに励むことは、他方を犠性にすることになる。
すなわち、カの追求ばかり行なっていれば、ボディ・コンテストで好成績を残すために不可欠なプロポーションが当然そこなわれることになろう。
だから、両コンテストの出場選手はまったく異なっていても不思議ではない。
 しかし、なかには2つのコンテストを両立させている選手もいる。ここにあげる長谷川功選手(31才、ボ歴一6年半、身長ー158cm、体重—60kg、胸囲112cm、上腕囲一40cm、大腿囲ー58cm)もその1人だ。
 1年8ヵ月になる男の子とボディビルに理解のある最愛の妻の暖かい励ましの声に包まれ、昼は練馬郵便局に勤務し、夜は池袋の三幸ボディビル・センターで2時間半のトレーニングを行なうのが彼の日課となっている。
 それでは彼のコンテスト歴を紹介しよう。
まずボディ・コンテストであるが、❜69ミスター実業団決勝進出、❜71ミスター実業団壮年の部6位、❜71ミスター東京10位、❜71ミスター関東7位(モスト・マスキュラー、腹筋の部分賞)、パワー・コンテストでは、❜71東京パワー・フェザー級2位、❜72関東パワー・フェザー級3位、❜72全日本パワー・フェーザー級3位という素晴しい成績を残しているのである。
 この長谷川選手の例で明かなように、ボディ・コンテストとパワー・コンテストの両立は不可能ではない。
パワーリフティングはボディ・コンテストのような派手さはないが、”より重いものをあげたい”という男性の本能ともいうべき欲求を完全に満足させてくれるものである。
 長谷川選手は、ボディ・コンテスト偏重主義のビルダーたちに、パワーリフティングに対する認識を改めさせるため、あえて両方のコンテストに出場しているともいえるだろう。
彼の貴重な努力に対して拍手を送りたい。

1●本年度の全日本パワーリフティング選手権大会でデッド・リフトの試技を行なう長谷川選手
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2●昨年のミスター実業団コンテストでは健闘よく壮年の部6位に入賞
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3●普段はボディ・コンテスト中心のトレーニングで、パワーの大会が近づいてくるとパワー専門のトレーニングに切りかえる
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4●ボディビルで鍛えた強い脚をもっているため、自転車で1日700軒に郵便物を配達していても疲れはまったく感じない
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月刊ボディビルディング1972年7月号

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