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ビルダー教養講座
やさしいボディビル英語⑨

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月刊ボディビルディング1972年10月号
掲載日:2018.03.07
高山勝一郎
記事画像1

〜〜〜〜馬とボディビル~~~~

先月号では著名ビルダーのニック・ネーム(nickname)を並べて息ぬきをしたが、今月はまた種目英語の勉強にかえるとしよう。
とくにスクワットには、いろいろ変わった名がつけられるようでsissy squat(シッシー・スコウォット)などもその一つである。
膝をまげて体を「く」の字にして行うが、sissyとは「にやけた男」という英語だから、何かおカマ的感覚にきこえてしかたがない。
hack squat(ハック・スコウォット)というのもある。
hackは馬を駆けるという意味で、なるほど初心者の乗馬姿はあんなものだなとうなずける。
ついでながら、乗馬用の馬のことはhackney(ハックニー)といい、競馬用の馬(race horse)(レイス・ホース)と分けている。
競馬はhorse race(ホース・レイス)という。
馬に関係のある言葉はおのずから脚のトレーニングによくでている。
donkey calf raise(ドンキー・カーフ・レイズ)等はその代表。
donkeyは驢馬(ロバ)である。
パートナーがいて、ロバにまたがりハイドードーとばかり、乗せている方がcalfを鍛えるわけである。
donkeyはまさしくバカの代名詞で、Donkey never catches cold.(ドンキー ネバー キャッチーズ コールド)といえば、ロバは決して風邪をひかぬ……すなわち、バカは風邪をひかない……ということである。
back kick(バック・キック)も馬の十八番みたいなもので、後げりである。これはhip up(ヒップ・アップ)によいというので、女性トレイニーは必ずこれをとり入れる。

~~~~腕にはカール~~~~

脚とちがって、腕の種目には何々カールというように、わりあい単純な名のつけ方が多い。
two hands curl(ツー・ハンヅ・カール)はhand curl(ハンド・カール)とかbarbell curl(バーベル・カール)ともよばれるが、ビルダーにはおなじみの上腕二頭筋(biceps)を鍛える種目である。
curlはもともと女の子の巻き毛を意味し、巻き上げるという動作はcurl up(カール・アップ)というのが正しいが、curlだけでも判る。
膝(knee ニー)の上で行うのがknee curl(ニー・カール)、手首の運動はwrist curl(リスト・カール)というように、ボディ・パーツで呼ぶとすぐ見当がつく。
concentration curl(コンセントレーション・カール)などと難しいのもあるが、concentrationは集中するということで、意識を集中してカールすることがすべてconcentration curlとなる。
膝(knee)の上に肘(elbow)をおいてcurlすることがconcentrationの最も容易な姿勢(form)であることから、そう呼ばれるようになった名であろう。
上腕三頭筋(triceps)を鍛える種目には、たいてい頭にtriceps(トライセプス)がつく。
すなわちtriceps extention(トライセプス・エクステンション)、triceps push away(トライセプス・プッシュ・アウエイ)等々である。
extentionは伸展することであり、push awayは外へ押し出すことである。
似たような運動でも、いい方が微妙にちがう点に注意したい。

~~~~バーベルとダンベル~~~~

最もpopular(ポピュラー)なボディビル器具はbarbell(バーベル)とdumbell(ダンベル)である。
いずれも両端に丸いふくらみがあるところからbell(ベル)という言葉がくっついている。ベルとは、ご存知のように鈴である。
dumbell(ダンベル)は、正しくはdumb-bellと綴る。
dumbは啞(オシ)である。音の出ない鈴……啞の鈴……すなわち啞鈴(アレイ)である。普通、ダンベルと鉄啞鈴は別のものなのだが、英語では両方ともdumbbellとなる。
このベルの真中がbar(バー)になっているからberbellといったのだということはすぐにうなずける。
これらを総称してweight(ウェイト)というが、weightは重さでありおもしである。むずかしくいうと重荷(じゅうか)であろうか。
(筆者は政府公認通訳、科学技術翻訳士、株式会社国際交流サービス社長)
月刊ボディビルディング1972年10月号

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