ボディビルの基本〔その13〕
個性的トレーニングの要点
月刊ボディビルディング1972年10月号
掲載日:2018.07.04
竹内 威(NE協会指導部長 ’59ミスター日本)
トレーニングの効果は、練習者によって異なるものである。同じようなトレーニングを行なっても、発達のよいひともいれば、よくない人もいる。
また、誰しも感じていることであろうが、自分の体のうちでも、発達の速い部分もあれば、発達が思うように得られない部分もある。
このように、体の発達において個別的な傾向があるということは、トレーニングの方法も個別的なものでなければならないということになる。したがって、何ら研究心もなく、ただ、ひとまねのトレーニングを行なっていたのでは、よりよい成果を得ることはできない。
いいかえれば、ビルダーとしての身体的向上をみるには、自分自身に合ったトレーニング法を考え出さなければならないということである。だからといって、ひとと変ったトレーニングを行えばよいというのではない。それなりに理論的に裏付けの得られる方法でなければならない。生体の機能と運動の理論を無視した方法では、よい成果をあげることはできない。
したがって、自分に合った独自なトレーニング法を実施するためには、まず理論をしっかりと身につけ、その理論を指針として考えることが大切なのである。
また、誰しも感じていることであろうが、自分の体のうちでも、発達の速い部分もあれば、発達が思うように得られない部分もある。
このように、体の発達において個別的な傾向があるということは、トレーニングの方法も個別的なものでなければならないということになる。したがって、何ら研究心もなく、ただ、ひとまねのトレーニングを行なっていたのでは、よりよい成果を得ることはできない。
いいかえれば、ビルダーとしての身体的向上をみるには、自分自身に合ったトレーニング法を考え出さなければならないということである。だからといって、ひとと変ったトレーニングを行えばよいというのではない。それなりに理論的に裏付けの得られる方法でなければならない。生体の機能と運動の理論を無視した方法では、よい成果をあげることはできない。
したがって、自分に合った独自なトレーニング法を実施するためには、まず理論をしっかりと身につけ、その理論を指針として考えることが大切なのである。
基本的な要点
① 各部分の筋肉が、動作するときにどのような方向に働くかを覚える。
② 運動種目をできるだけ多く覚え、各使用筋に対してどのように作用するかを知る。
③ 同じ運動種目でも、姿勢と運動のしかたで、使用筋に対する作用が多少変化することを覚え込む。
(フレンチ・プレスを例にとればバーベルをあおぐように上げるのと、差し上げるようにするのでは上腕三頭筋に対する作用のしかたが変わってくる。前者は長頭に、後者は外側頭に強く作用する)
④ 運動種目には、主要な運動種目とそれを補足する運動種目とがあることを覚える。
(たとえば、ベンチ・プレスは大胸筋の発達を促がす主要な運動種目であり、ラテラル・レイズ・ライイングは、それを補足する運動種目である)
⑤ 運動種目の選択は、①〜④の事項を指針として、自分に必要と思われるものを選ぶ。
⑥ 運動は、発達を意図する部分に的確に刺激を与えるように行う。
⑦ 使用重量が重すぎると、運動の動作が粗雑になり、かえって発達を意図する部分に的確な刺激を与えることができなくなる。
(カール運動で、重い重量を使って、引き上げるように行なっているのを見うけるが、このような動作では上腕三頭筋を的確に刺激することはできない。カールは、肘を支点にして巻き上げるように行うのが肝心である)
⑧ 同一種目において、セットごとに使用重量を増減してもよい。
⑨ 反復回数は、使用重量との関係において定められるが、あくまでも運動の正確さを欠かない範囲に止める。
また、多回数と低回数とでは、いずれがよいかということも一概にはいえない。要は、筋肉を使用したという充実感の得られる回数を任意に定めればよい。ただし、特殊な種目(リスト・カール、カーフ・レイズ系)を除いては、20回以下がよい。
⑩ 種目ごとに反復回数を定める。
(たとえば、ベンチ・プレスは6回。ラテラル・レイズ・ライイングは10回というように。
この場合の傾向としては、主要種目は低回数でもよいが、補足的な運動種目には、あまり低回数は向かない)
⑪ 同一種目において、セットごとに使用重量を増減する場合は、反復回数をセットごとに変えてもよい。
⑫ 各種目のセット数は、筋の疲労との関連において定める。過度に筋を疲労させると、かえって効果が得られなくなる。
⑬ 各種目のセット数は、主要な種目は多くてもよいが、補足的な種目はあまり多くしないほうがよい。
⑭ セット数を多く行えば、必ず効果が多く得られるというものではない。自分に適したセット数を、自分自身でつかみとるように努力する。
⑮ 1日に行うトレーニング量は、前回と次回のトレーニングと関連して定める。つまり、トレーニングによる疲労が次回に持ち越されることのないように配慮する。
細かくいうならば、まだあげなければならない点もあるが、以上に述べたことがらがトレーニングの方法を考えるに際しての要点である。
なお、トレーニングの効果は、短期間で現われるとは限らないので、一度採用したスケジュールは、よほどのことがないかぎり少なくとも1カ月は続行するようにしたい。
その反面、充分な効果が得られ、自分に適していると思われるスケジュールでも、長期間これを継続していると次第に効果が低下してくるので、時期をみはからって、スケジュールを組みなおすことも必要である。
また、筋肉に新たな刺激を与えるには、運動種目、使用重量、セット数、反復回数などを適宜に変更することが大切で、固定してしまうことは避けなければならない。
すなわち、上腕二頭筋を発達させるのに、バーベル・カールがよいときもあれば、ダンベル・カールの方が効果的なときもある。トレーニングを行う者の、それまでの経過と、そのときの体の状態で、効く種目や効果的な使用重量、セット数、反復回数等は変化する。重い重量でロー・レピティションで行なっていて、効果が得られなくなったら、重量を軽くしてハイ・レピティションで行なってみることも必要である。
また、ボディビルにも他のスポーツと同じようにスランプがある。スランプとは、筋力の向上と筋肉の発達がみられなくなることであるが、極端な場合にはかえって退化することもある。
スランプを脱するには、思いきって長期休養をとるとか、トレーニング・スケジュールを一新してみるのもいい。この場合、単に採用種目を変えるだけでなく、使用重量や反復回数、セット数等も変えるようにする。
② 運動種目をできるだけ多く覚え、各使用筋に対してどのように作用するかを知る。
③ 同じ運動種目でも、姿勢と運動のしかたで、使用筋に対する作用が多少変化することを覚え込む。
(フレンチ・プレスを例にとればバーベルをあおぐように上げるのと、差し上げるようにするのでは上腕三頭筋に対する作用のしかたが変わってくる。前者は長頭に、後者は外側頭に強く作用する)
④ 運動種目には、主要な運動種目とそれを補足する運動種目とがあることを覚える。
(たとえば、ベンチ・プレスは大胸筋の発達を促がす主要な運動種目であり、ラテラル・レイズ・ライイングは、それを補足する運動種目である)
⑤ 運動種目の選択は、①〜④の事項を指針として、自分に必要と思われるものを選ぶ。
⑥ 運動は、発達を意図する部分に的確に刺激を与えるように行う。
⑦ 使用重量が重すぎると、運動の動作が粗雑になり、かえって発達を意図する部分に的確な刺激を与えることができなくなる。
(カール運動で、重い重量を使って、引き上げるように行なっているのを見うけるが、このような動作では上腕三頭筋を的確に刺激することはできない。カールは、肘を支点にして巻き上げるように行うのが肝心である)
⑧ 同一種目において、セットごとに使用重量を増減してもよい。
⑨ 反復回数は、使用重量との関係において定められるが、あくまでも運動の正確さを欠かない範囲に止める。
また、多回数と低回数とでは、いずれがよいかということも一概にはいえない。要は、筋肉を使用したという充実感の得られる回数を任意に定めればよい。ただし、特殊な種目(リスト・カール、カーフ・レイズ系)を除いては、20回以下がよい。
⑩ 種目ごとに反復回数を定める。
(たとえば、ベンチ・プレスは6回。ラテラル・レイズ・ライイングは10回というように。
この場合の傾向としては、主要種目は低回数でもよいが、補足的な運動種目には、あまり低回数は向かない)
⑪ 同一種目において、セットごとに使用重量を増減する場合は、反復回数をセットごとに変えてもよい。
⑫ 各種目のセット数は、筋の疲労との関連において定める。過度に筋を疲労させると、かえって効果が得られなくなる。
⑬ 各種目のセット数は、主要な種目は多くてもよいが、補足的な種目はあまり多くしないほうがよい。
⑭ セット数を多く行えば、必ず効果が多く得られるというものではない。自分に適したセット数を、自分自身でつかみとるように努力する。
⑮ 1日に行うトレーニング量は、前回と次回のトレーニングと関連して定める。つまり、トレーニングによる疲労が次回に持ち越されることのないように配慮する。
細かくいうならば、まだあげなければならない点もあるが、以上に述べたことがらがトレーニングの方法を考えるに際しての要点である。
なお、トレーニングの効果は、短期間で現われるとは限らないので、一度採用したスケジュールは、よほどのことがないかぎり少なくとも1カ月は続行するようにしたい。
その反面、充分な効果が得られ、自分に適していると思われるスケジュールでも、長期間これを継続していると次第に効果が低下してくるので、時期をみはからって、スケジュールを組みなおすことも必要である。
また、筋肉に新たな刺激を与えるには、運動種目、使用重量、セット数、反復回数などを適宜に変更することが大切で、固定してしまうことは避けなければならない。
すなわち、上腕二頭筋を発達させるのに、バーベル・カールがよいときもあれば、ダンベル・カールの方が効果的なときもある。トレーニングを行う者の、それまでの経過と、そのときの体の状態で、効く種目や効果的な使用重量、セット数、反復回数等は変化する。重い重量でロー・レピティションで行なっていて、効果が得られなくなったら、重量を軽くしてハイ・レピティションで行なってみることも必要である。
また、ボディビルにも他のスポーツと同じようにスランプがある。スランプとは、筋力の向上と筋肉の発達がみられなくなることであるが、極端な場合にはかえって退化することもある。
スランプを脱するには、思いきって長期休養をとるとか、トレーニング・スケジュールを一新してみるのもいい。この場合、単に採用種目を変えるだけでなく、使用重量や反復回数、セット数等も変えるようにする。
部分的なトレーニング・コース例
◇胸の運動(例1)
◇胸の運動(例2)
(註)(例1)は全体の発達を意図したもので、(例2)は上部に重点をおいたコース例である。したがって、(例2)では全体のバルクを増すための運動(ベンチ・プレス)は1種目ですむように、多少強度に行う。
◇胸郭を拡張する運動(例1)
◇胸郭を拡張する運動(例2)
(註)(例1)の①と②、(例2)の①と②はスーパー・セットとして行う。フル・スクワットとハイ・クリーンの反復は、ここに示した回数にこだわらず、呼吸が逼迫する状態になる回数を行うのがよい。他の種目は、深呼吸をしながら行う。
◇肩の運動(例1)
◇肩の運動(例2)
(註)(例1)は筋力の強化に重点をおいたコース。(例2)は前と横の部分の発達を意図したコース。
◇腕の運動(例1)
◇腕の運動(例2)
(註)(例1)は、バルクの増加に重点をおいたコース。(例2)は、形をよくするためのコース。
他の部分については省略するが、ここにかかげたトレーニング・コースはあくまでも例であって、このコースで行えば、誰でも同じように効果が得られるというものではない。
採用種目とセット数が、ひとによっては不足かもしれないし、また、ある者にとっては、反復回数が不適当であるかもしれない。いうなれば、トレーニング・コースを作る際の考え方の例として述べたものである。
したがって、これにとらわれることなく、各人の研究心と努力によって、自分に適したトレーニングの方法を考え出すようにしていただきたい。
採用種目とセット数が、ひとによっては不足かもしれないし、また、ある者にとっては、反復回数が不適当であるかもしれない。いうなれば、トレーニング・コースを作る際の考え方の例として述べたものである。
したがって、これにとらわれることなく、各人の研究心と努力によって、自分に適したトレーニングの方法を考え出すようにしていただきたい。
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