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ボディビルへの招待
健康な体がほしい若者たち

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月刊ボディビルディング1972年11月号
掲載日:2018.03.09
野沢秀雄
 日本経済新聞といえば、名実ともに日本の経済を動かす実力と、信用をもった大新聞で、企業の経営者や社員たちが競って読む新聞であるが、この新聞に、20歳〜24歳の若者を対象にしたアンケートがのせられた。

 アンケートは「あなたがほしいものを3つ選んでください」というものでこれに対する回答は、「金」「知識と技能」「幸福な家庭」と並んで「健康な肉体」をあげた若者が4人に1人の割合で存在する。

 これを裏づけるように、NHKテレビの若者番組で、実に42%の人たちが「自分はいま健康ではない。健康な体がほしい」と答えている。

 ところが、「では、どうすれば健康な体が得られるか」となると、多くの若者たちが困ってしまう。テレビ体操や徒手体操ではすぐに飽きる。自然食もピンとこない。

 ついつい何もしないまま年をとってしまう。不健康な状態のままで……。そして、将来のいつか医者から病名を贈呈され、がく然とする。「ああ、もっと若いときから体を鍛えておいたらなあ………」

 ひとくちに健康といっても、その幅は広く、病気がなおることも健康だし普通の人がより体力をつけようとすることも健康だ。

 健康をプラスの健康とマイナスの健康の2つに分けて、病人を対象とする医者・病院・薬局・保健所などをマイナスの健康業とすれば、多くのジム・道場・サンルーム・スイミングクラブ・スタミナ食レストランなどはプラスの健康業といえる。

 すなわち、健康人がさらに健康になろうとする役割を果たすのがプラスの健康業なのである。そして、若者たちの多くがこの完全な健康を欲しているのだ。

 だから、ボディビル運動をもっと盛んにして、若者たちを指導すればよいことは明らかだし、その使命が我々にあるのだが、なんといってもボディビルは地味でつらい苦しい運動だ。

 問題は、この地味で苦しい運動の価値が、多くの若者たちに受け入れられるかどうかだ。努力をいやがる若者たち。カッコ良さのかげには大変な努力のあることをわかろうとしないヤングたち。

 しかし方法はある。まず、ビルダー自身が勧誘することだ。鍛えた筋肉は無言のセールスマンだ。何よりも強い説得力をもっている。より若い世代の少年たちが羨ましそうに見つめる瞬間をキャッチして、ジムに入るように呼びかけるのだ。海やプールで、そして街頭でも………。

 また、ボディビルを実践した人たちが社会で成功することだ。ラグビーでもサッカーでも野球でも、常に成功したOBが後輩を刺激する。きっと〝俺もやるぜ〟という気迫が湧きおこるにちがいない。

 最後に、ボディビル・ジムこそ、過去にも未来にも普及の拠点であり、繁栄の鍵をにぎるものといっていい。なぜなら、ボディビルが地域に密接したものであり、ジム自体は1カ所に固定した事業だからである。物を売る企業とはこの点で大いに異なる。

 ジムで汗を流すことが喜びであり、輝かしい成功が約束される場所であることを希望したい。それは多くの若者のためでもあるし、ボディビル全体の発展のためでもある。
月刊ボディビルディング1972年11月号

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