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なんでもQ&Aお答えします 1975年5月号

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月刊ボディビルディング1975年5月号
掲載日:2018.04.04

スクワットで充分腰がおりないが

Q ボディビルを始めて3カ月あまりです。筋力も弱く、ごく軽い重量しか使用できませんが、それでもけっこう体調がよくなりトレーニングを楽しく行なっています。
 現在行なっている種目は、シット・アップ、スクワット、ベンチ・プレススタンディング・フロント・プレスです。当分の間はこの4種目のみに徹する考えです。
 ところで私はスクワットがどうしても上手に行えません。他の種目については問題ないと思うのですが、スクワットでしゃがんだときに何としても腰が湾曲してしまうのです。自分では、その原因は筋が固いために腰が割れないからと考えています。
 そこで質問ですが、スクワットでしゃがんだときに腰が割れるようにするにはどうしたらよいでしようか。またこのための補助運動として何か柔軟体操を行なったほうがよいでしようか。
(沖繩県・玉城 修、会社員、27才)
A トレーニングを楽しみながら行うというのはたいへんけっこうなことです。それに、自分の体力に合わせて無理のないトレーニングを続けていくというのも、ボディビルの原則にマッチしていて非常によいことです。トレーニングに馴れてくると、得てして無理をしがちになるものですが、いまの態度を忘れずにこれからも行なってください。
 さて、ご質問の件についてお答えしましよう。
 スクワットのときに腰が割れないということは、トレーニング上の重要問題です。腰を湾曲した姿勢でスクワットを行うことは、腰を痛めるために運動を行なっているようなもので、早期に是正する必要があります。
 腰が割れない原因は、あなたも考えておられるようにスジが固いためであり、腰が割れるようにするには、ももの内側とうしろ側、それに臀部と腰の下部の筋を伸ばす必要があります。
 では、それらの筋を伸ばすための簡単な体操を2つ紹介しますので実行してみてください。
(1)肩幅よりも少い広い間隔に両足を開いて立ち、上体をできるだけ深く前倒する。前倒する際に留意することは、背と腰を湾曲させないで、できるだけまっすぐにし、また、両脚を伸ばし、膝を曲げないようにする。
(2)床に腰を下ろし、両脚を伸ばす。両脚を90度ぐらいに開いて、その姿勢から、両膝を曲げないように留意して、背ではなく、腰を曲げる感じで上体を前に倒す。動作の要領をいえば、腰を前方へ押し出すような感じで上体を前倒する。
〈注意事項〉
(イ)いずれの場合も、急激に深く曲げるようにしないで、徐々に曲げるようにする。
(ロ)つねに正確なフォームを保ち、動作は多少反動を使いながらリズミカルに行う。不正確なフォームで深く曲げるよりは、たとえあまり曲がらなくとも、正確なフォームで行うようにする。正確なフォームで行えば、前述した筋のすべてに緊張感がともなうはずである。
(ハ)いちどきにやりすぎないようにするやりすぎると、翌日、または翌々日になって、一時的に筋が著しく硬化する。そのことに留意して、一度に少しずつ、1日に数回行うようにする。
(担当・竹内 威)
◇4月号訂正◇
 46ページ、3列目、下から18行目(曲げないよう行う)を(曲げるように行う)に訂正

腕と肩を大きくする運動法は

Q 年令17才。ボディビル歴3年6カ月。現在の体のサイズは身長175cm、体重68kg、胸囲107cm、上腕囲35.5cm、大腿囲54.8cmです。
 腕と肩をもっと大きくしたいのですがどんなトレーニングをしたらよいでしようか。現在行なっている腕と肩のトレーニングは次のとおりです。良きアドバイスをお願いします。

〈上腕二頭筋〉
(1)バーベル・カール
27.5kg8回×5セット
(2)インクライン・ダンベル・カール
12.5kg8回×5セット
(3)ダンベル・コンセントレーション・カール
12.5kg8回×4セット

〈上腕三頭筋〉
(1)フレンチ・プレス・スタンディング
22.5kg10回×5セット
(2)ラット・マシン・プレス・ダウン
15kg10回×5セット
(3)リバース・ディップ
20回×3~5セット

〈前腕〉
(1)バーベル・リスト・カール
25~20kg20kg 20回×3セット
(2)ダンベル・リスト・カール
10kg 20回×3セット

〈肩〉
(1)オールタニット・プレス
12.5kg 8回×3セット
(2)スペシャル・ダンベル・プレス
8~10kg 10回×4セット
(3)バック・プレス
25kg 10回×4セット
 以上、セット間の休息時間をできるだけ短くして、週に2度行なっていま
す。
(新潟県・新田 誠志)
A 17才にしては立派すぎるくらいの体格です。写真から受ける印象では、筋肉の質とプロポーションも良さそうなので将来が楽しみです。これからもいまの情熱を失うことなく、ますますトレーニングに精進してください。
 さて、質問の件についてですが、現在のトレーニング法は、採用種目の面からいえば、不足とするところがないとはいえませんが、なかなか良いものであると思います。それに、運動の動作も、体位と使用重量の比較から判断して、かなり正確に行なっているようであるのも良いことです。
 ボディビルを愛好する人たちの最も犯しやすいトレーニング上の誤りは、効果を得るのを急ぐあまりに、むやみに運動種目とセット数を増やしたり、また、自己の筋力にとって不適当と思われる重い重量を用いて不正確な動作で運動を行うことです。その点、あなたは採用種目とセット数を欲ばらずにしかも、正確な動作で運動を行なっていると思われるのには感心させられます。ビルダーとして大成するには、ときには激しいトレーニングも必要ですが、現在のトレーニングに対する態度を持続するかぎり、一流ビルダーになれる可能性は大いにあるといえます。
〔写真は質問者・新田 誠志君〕

〔写真は質問者・新田 誠志君〕

〈腕のトレーニングについて〉

 現在、あなたが行なっている腕のためのトレーニング法の中で、上腕二頭筋と上腕三頭筋の運動については、現段階ではさして不足とするところはないと思いますが、前腕のための運動は不十分なようです。もとより、上腕部を一流ビルダーなみに発達させるには今後、上腕部のための各種の運動種目をいろいろと行うことと、また、採用種目を組み変えることによって筋に新しい刺激を与えるようにする試みも必要です。しかし、今のところは、現在のトレーニング内容でも、まだまだ上腕部の発達を促すことのできる可能性は十分にあると考えられます。したがって、上腕部のトレーニングは、今のまま続けられてよいのではないかと思います。
 前腕部の運動については、あなたが採用しておられる種目が、バーベルとダンベルのちがいはあっても、双方ともリスト・カールですので、これだけでは不十分といえます。リスト・カールは、いわば、主として前腕の腹に当る部分の発達を促す運動なので、リスト・カールの他に、背に当る部分の発達を促す運動も併せて行う必要があると思います。
 該当する一般的な運動種目としてはバーベルまたはダンベルによるリバース・リスト・カールとリバース・カールがあります。また、特殊な運動種目で、比較的に効果があると思われるものにスタンディング・ダンベル・リバース・リスト・カールがあります。それらの運動法について一応説明しておきますので、新たに採用されることをおすすめします。

○リバース・リスト・カール
 リスト・カールと同様に、大腿部またはベンチの上に前腕を固定させて行う運動であるが、リスト・カールとちがう点は、バーベルまたはダンベルをオーバー・グリップで持ち、手の甲を上に向けて手首を伸展させるように運動を行うことである。
 反復回数は、リスト・カールと同様に多回数(15回以上)を行うほうがよいようである。

○リバース・カール
 バーベルまたはダンベルをオーバー・グリップで持ってカールを行う。前腕に効かすには、できるだけ両肘を外へ開かないように行うとよい。つまり運動中に、左右の前腕が常に並行を保つように留意して動作を行うことである。(註:この運動は、両肘を外へ開くようにして巻きあげ動作を行うと。主として上腕筋に効くようになるので、上腕筋の発達を意図する場合は、そのような動作で行うとよい)

○スタンディング・ダンベル・リバース・リスト・カール
 左右の手にそれぞれダンベルを持ち立った姿勢で体の横にぶらさげる。
 両腕を伸ばしたままの状態で、手首をそらしてダンベルを外側へあげる。
 なお、同様なかまえの姿勢からダンベルを内側へ巻きあげる動作を行えば
スタンディング・ダンベル・リスト・カール
となり、前腕の腹に当る部分に効かすことができる。したがって、前腕の背と腹に当る部分の発達を同時に促すために、手首の伸展と屈曲を連続した動作で行うようにするのもよい。
 以上。この他にも前腕のための運動種目は多数ありますが、現在のところは上述した運動種目を行うようにしてはいかがでしようか。一応、上述の運動種目の組み合せによる前腕のためのトレーニング・コースを記載しておきますので参考にしてみてください。

〈前腕のトレーニング・コース〉例
(1)リバース・カール(バーベル)
8~10回×3セット

(2)リスト・カール(バーベルまたはダンベル使用)
15~20回×3セット

(3)リバース・リスト・カール(バーベル)
15~20回×3セット

(4)スタンディング・ダンベル・リスト・カール/リベース・リスト・カール・コンビネイション(双方の運動を連続した動作でひとつの運動として行う)
15~20回×2セット

〔註〕リバース・カールは、上腕二頭筋の下にある上腕筋(作用は上腕二頭筋に協応して働く)にも効くので、上腕二頭筋のための運動と前腕のための運動とのつなぎとして行うのも一考です。

肩のトレーニングについて

 意見を述べる前に、あらかじめお断りしておきますが、あなたの行なっているスペシャル・ダンベル・プレスという運動がどのような運動であるのかよくわかりません。スペシャルという言葉は、具体的な動作を表わす言葉ではなく、抽象的な言葉なので、運動の名称を見ても、動作のイメージをとらえることはできません。したがって。今後、質問の際には、はなはだ勝手ではありますが、そのような抽象的な名称を用いた運動種目には運動動作の説明文を付けていただきたいと思います。質問に対してできるだけ適切な見解を述べさせていただくためにもぜひともそうしてください。

 以上、お断りしたように、ル・ダンベル・プレスがどのような種類の運動かわかりませんので、現在、あなたが行なっている肩のためのトレーニングについての意見はさしひかえ肩のトレーニングにおける要点について述べさせていただくことにします。

 一口に肩といえば、僧帽筋と三角筋を総じたからだの部分ということになりますが、あなたの質問の趣旨が三角筋を発達させることにあると思われますので、三角筋について述べることにします。

三角筋のトレーニングにおける要点
(1)三角筋は、鎖骨、肩峰、肩甲棘から上腕骨に付着する筋で、上腕をあげるときに作用する。そして、運動の際には、腕をあげる方向、および上体の傾斜方向(前方、左右、後方)と傾斜角度によって、筋の部分的な緊張度合が異なってくる。つまり。運動を行うときの姿勢と動作のちがいによって前の部分に、あるいは横の部分に強く効くようになる。
(2)したがって、初級、中級の段階を経た者が、三角筋の発達をさらに促すには、三角筋を前、横、後ろの3部分け分け、前と後ろのふくらみ、横の張り具合、または、盛りあがりなどをよくするなど、それぞれの目的に適した運動種目を選んでトレーニングを行うようにするほうがよい。
(3)そのためには、三角筋のための各種の運動が、それぞれ三角筋のどの部分にとくに有効であるか、効果の面での特長をよくつかんでおく必要がある。
(4)三角筋の運動種目を大別すると、プレス系統の種目とラテラル系統の種目に分けられるが、それらの種目を、総じて効果の面からとらえれば次のような傾向を有する。つまり、体の前方で上腕(というよりも肘)を上下させる種目は、どちらかというと三角筋の前の部分に、横で上下させる種目は横の部分に効くといえる。
(5)また、運動による三角筋における効果は、運動の際の三角筋自体の傾斜の具合によっても異なる。たとえば、両腕を前方または横へ水平に伸ばした状態で腕を捻ると腕の動きにつれて三角筋も動き、上方に位置する部分が変化する。つまり、肘関節の内側が下へ向くようにすれば三角筋の横の部分が上方に位置するようになり、上へ向ければ三角筋の前の部分が上方に位置するようになる。
 このような三角筋の構造上の性質は、運動の効果と密接な係りを持ち、傾向として、運動の際に上部に位置する部分の効果を最も多く期待できるということがいえる。このことをわかりやすくいえば、サイド・レイズで肩の横の部分の発達を促す場合、肘関節の内側をできるだけ下へ向けて行うほうが、上へ向けて行うよりも、肩の横の部分が上方に位置するようになり、有効であるということである。また、フロント・レイズで肩の前の部分にとくに効かせたいのであれば、肘関節の内側をできるだけ上へ向けて行えばよいということである。
(6)前項において、肘関節の向きによって三角筋の上方に位置する箇所が変化し、そのことが運動の効果と密接な係りを有していることについて述べたが、上体を傾斜させて行う種類の運動種目によっても、三角筋に同様な変化を与えることができる。
 そのことに該当する運動種目としてはラテラル・レイズがある。ラテラルレイズは、
上体を前傾させればさせるほど(ベント・フォワード・ラテラル)、腕を横にあげた際に三角筋における位置する箇所が前から横へと移行し、効く部分もそれに付随して移行する。
 そして、上体を床面に対して水平に前倒した姿勢(ベント・オーバー・ラテラル)では、三角筋の後ろの部分に強く効くようになる。したがって、ラテラル・レイズを行う場合は、上述のような運動上の特徴をよくとらえて、発達を意図する部分に的確な刺激が与えられるように、上体の傾斜具合を考えて運動を行うこ
とが大切である。

 以上は三角筋を、前、横、後ろの部分に細分して鍛えるための要点であるが、次いで、三角筋を上の部分(起始に近い部分、肩のつけねによった部分)と下の部分(付着部に近い部分、上腕に近い部分)に分け、その発達の傾向と運動動作との関連性について述べてみましよう。

○肩の運動における三角筋の強度な緊張は、筋を短い状態に収縮させるほどに、下部から上部へとおよぶ傾向がある。つまり、ベーベルおよびダンベルを使用する運動種目の動作においては、腕が上へあがっていくほど(エキスパンダーおよびプーリーを使用する運動は、引き伸すほど)に三角筋の上部の方まで効くようになる。したがって、三角筋の上部の発達を促し肩の盛りあがりをよくするには、腕を可動範囲いっばいにあげるように留意して、運動を行うほうが効果的といえる。

○また、三角筋の上部の発達を特に促したいのであれば、ハーフ・レインジ法による方法で各種の運動を行うのもよい。
バーフ・レインジ法で運動を行う場合は、中間位置から上半分の反復動作を行えば上部に強く効かすことができ、下半分の反復動作を行えば下部に強く効かすことができる。

〈注意事項〉
○ラテラル系統の運動種目は、余裕のある重量を使用してできるだけ正確に行う。そして、重量をあげるときに両肩を横へ伸すように行う。両肩をちちめると僧帽筋に強く効いてしまい、三角筋に対する効果が半減する。
 ベント・フオワードによるラテラルは、直立姿勢で行う場合より可動範囲が狭くなる。動作上の注意としては、肘の内側が運動中に上に向きすぎないようにすることである。また、腕をおろしたとき、完全におろしてしまわずに、多少、三角筋に抵抗がかかっている状態で止め、効かせるコツを覚えるまでは、反動を使ったり、動作の途中から加速度をつけないように行うほうがよい。スーッとあげてスーッとおろすような感じで動作を行うとよい。

○バック・プレスで三角筋の横の部分に効かすには、上体をいくぶん前傾ぎみにして、ベーベルを後方へあげる感じで行うとよい。直立の姿勢で首だけを前へ出した状態で真上へあげると、どちらかというと三角筋の前の部分の方に強く効くようになり、横の部分に対する効果が半減する。なお、バック・プレスは比較的上部に有効な種目ともいえる。

○フロント・プレスまたはフロント・レイズは、両肘の間隔(証:グリップの間隔ではない)を広くして運動を行うほどに前から横の部分へと強く効く箇所が移行し、その反対に、狭くすれば前の部分に強く効き、それにつれ傾向として上部にも強く効くようになる
 以上、三角筋のトレーニングのための要点について述べましたが、一応、参考にしてみてください。
運動種目の紹介については、紙面の都合上省略させていただきますが、上述のことがらを読めば、どのような動作をともなう運動種目が、三角筋のどの部分に有効であるかを大体理解していただけると思います。いずれにしてもまだ若いのですから。あせらずに永くトレーニングを続けてください。
(担当・竹内 威)

皮膚の美しさは健康の証拠

Q 昨年4月、大学を卒業して就職しました。学生時代は週に3~4回のトレーニングをしていましたが、現在は仕事が忙しくほとんど練習していません。そのほかつき合いで以前よりも酒を飲む機会も多く、少し肥満ぎみになりました。
 また、最近になって皮膚に脂肪の固まりやニキビ、湿参ができ、肌もなんとなく汚なくなったようです。何かの病気でしようか。
(柏市・西田)
A 人間の若さと美しさは皮膚が表現します。皮膚が美しいこ議とは健康の証拠であり、また肉体美を競うボディビルダーにとっては皮膚の健康的美しさは大きなポイン
トでもあります。
 皮膚の手入れで一番大切なことは。皮膚の表面を乾燥させないことです。生理的に、皮膚は水と脂質を分泌して表面に膜をつくり、外界の汚物から保護しています。この膜の形成程度の多少によって、脂質分泌の多い人。カサカサになる乾燥性の人というふうに分けられます。
 また、季節、年令、環境、栄養等によっても左右されます。年令とともに班、色素沈着、小ジワが多くなり、弾力がなくなってきます。しかし、あなたはまだそんな年令でもないのですから、肌がきたなくなったのは、生活環境や食事の違い、あるいは運動不足等からきたものかも知れません。
 皮膚は非常に汚れやすく、しかも敏感です。つねに皮膚に栄養を与えると
同時に清潔にしておく必要がありますとくに洗顔、入浴時に使用する石けんには注意する必要があります。石けんは皮膚の乳化膜を除去し、乾燥させます。そして、洗顔直後は皮膚面がアルカル化し、抵抗も弱くなっています。そのために、必ず酸性化粧水を使用して中和させ、乳液やクリームで乳化膜を覆ってやることです。
 トレーニングの後や、日常の入浴後は、まずよく汚れを落とし、その直後に乳液をマッサージするように塗布することです。
 次に皮膚を美しく保つためには栄養も考えなければなりません。レバー、バター、野菜、果物をなるべく沢山とるようにし(最少限1日400g)、逆に、辛味料、刺激性食品、コーヒー等をひかえることです。
 ビタミンCは色素沈着の予防に役だちます。ビタミンCを多く含んでいるものとしてはトマト、イチゴ、相橘類、生野菜、動物の内臓等があります。また、さめ肌、あれ肌、にきび、しもやけ等はビタミンAの不足によることが多いので、色素野菜を多くとることです。ビタミン剤が内服美容薬として市販されていますが、日常の食生活に充分注意していれば、特別に用いる必要はありません。
(担当・能丸 康司)

体毛が濃いので除去したい

Q 高校2年生です。2年前からエキスパンダーや縄とびでボディビルを始め、最近になっ
てバーベル・セットも購入しました。現在、身長165cmで体重65kgです。
 将来はコンテストにも出たいと考えており、ボディビル誌を毎月楽しみながら読んでいます。そして、いつも感じることは、一流ビルダーのほとんどが脚や腕に体毛がないことです。
 私は中学生ごろから脚や腕の毛が濃くなりはじめ、いまでは相当濃い方です。短期間で除するなんかよい処置はないものでしようか。
(名古屋市・小島)
A あなたの体毛は正常です。健康な男性が青年期になると。濃い薄いの差はありますが。
体毛は濃くなってくるものです。むしろ無毛症(著しい薄毛、乏毛症)は異常です。
 あなたのおっしやるように、たしかに雑誌などで見る一流ビルダーの脚などには毛がはえていません。はえていないのではなく、カミソリで剃ったり薬で除去しているのです。男性的な肉体美を誤るボディビル・コンテストですから、男性的な体毛のある体でもよさそうに考えますが、なぜか昔からビルダーは体毛をきらいます。
 それは、極限まで鍛えあげ、微妙なデフィニションを刻み込んだ体を審査員や観衆によりよく見せるためには体毛はない方が有利だからでしよう。
 多毛の原因は、生まれつき、神経質あるいは性腺、脳下垂体、副腎皮質などの内分泌腺や栄養の障害などいろいろあります。また、物理的要因も考えられます。
 体毛の除去法としては、剃ったり抜毛したりする方法もありますが、傷をつけたり、回を重ねるとかえって濃くなったりします。よくコンテストで脚に剃り傷のある選手を見かけますが。いい感じは受けません。
 家庭療法で比較的安全な方法としては脱毛膏の使用です。硫酸バリウム、硫黄、酷酸タリウムを含んだ外用薬で毛嚢に塗布し、破壊することによって脱毛作用を起こすものです。最近、脱毛剤として市販されている外用薬(オーレオマイシン軟膏、フラジオマイシン軟膏など)は脱毛しようとする場所をよく清拭し、あらかじめ短くしておいてから使用する方法が効果的です。
 脱毛剤で作用し、より毛深くなる場合は電気分解の方法があります。この方法は費用もかかりますし、患者の根気も必要です。
(担当・能丸 康司)

記録と健康と食事法

Q 私は現在高校3年に在学中です。陸上競技部で円盤投げと砲丸投げをやっていますが、記録が伸びません。雑誌でみてボディビルで筋力をつければ記録が伸びるのではないかと考え、これも実行してみましたが、それほど効果がありませんでした。記録を伸ばすよい方法はないものでしようか。
(東京都・T生)
A 私は実際に円盤投げや砲丸投げをやったことがありませんので専門的なことは専門家にまかせるとして、ごく大ざっばに、食事とか記録達成の一般的なことについて述べることにします。
 日本新記録をつくったり、大会に優勝して自分の名前を記録に残すことはスポーツマンの最大の願いですが、本当のスポーツマン、つまり一流の、最高水準に挑戦し、ときにはプロとして活躍する覚悟を持っているスポーツマンにとっては、毎日が危険スレスレのトレーニングで、それははげしくつらいものにちがいありません。体力がもっとも充実したときに自己最高記録が出るが、日本体協の調査では、馬術やクレー射撃は40才~45才、スキー・体操競技24才、陸上競技・サッカー・バスケット23才。レスリング・重量挙22才、ボート・水泳・ボクシング20~21才、水泳・自転車20才、フィギュアスケート15才といったところが平均という。大体において、20才~25才の間に体力のピークに達するので、それまでにいかに筋力とスタミナをつくり、技術を高めるかが成否のポイントとなります。 だがしかし、本当の記録は人間の能力の限界ギリギリのところにしか生れません。そして「健康」とは矛盾するような行為もあえて行なっているのです。体を打たれるのを恐れていたらボクサーになれないし、蹴られるのを怖わがってはサッカーやラグビーの選手になれない。体が押しつぶされるようなトレーニングをしないと、重量挙やレスリングには強くなれない。またどんなスポーツでも、筋力やスタミナを強化するためには、同じレベルのトレーニングでは現状維持にすぎないので、つねに少しずつ、漸増的にトレーニングの負荷を強める必要があります。「筋肉を泣かせる」という言葉があるが、悲鳴をあげて、次の日に痛くなるくらいのトレーニングをおこなってはじめて、筋力はより強くなるのです。少なくとも、パンプ・アップという、血液の充血状態までトレーニングしなければならない。
 人類が人間として持っている能力の最高を競い、より強く、よりはやく、より高い記録をつくるために、体を危険なギリギリに持ってくる。――そこには常にすぐれたコーチやトレーナーを伴うことも条件の一つです。ときにはボクシングのように医師がついている必要さえある。むやみにしごくのではなく、科学的に管理したトレーニングが勝利をもたらすのです。筋肉を酷使したあとは、良質なタンパク質や糖質で疲労回改を早め、修復してやる。これによりはじめて筋肉は負荷に対する抵抗性を増して肥大し、次回からの同じトレーニングに耐えるようになるわけです。
 また適切なスポーツマッサージや、充分な睡眠も必要です。昔のように、ごはんとみそ汁をたらふく食べるような粗末な食事法では、体力の維持や強化はできません。さばの缶詰・納豆・タマゴ・チーズ・プロティンパウダー・魚などを状況にあわせて用いるのがよいでしよう。糖質は砂糖よりも、ぶどう糖や果糖のほうがスポーツマンには効果的です。スランプ気味のときにも有効です。
(担当・野沢 秀雄)
月刊ボディビルディング1975年5月号

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