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コンテスト

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月刊ボディビルディング1974年1月号
掲載日:2018.06.24
JFBB東日本事務局主催
ミスター東日本と東京の両タイトルをとった磯村選手

ミスター東日本と東京の両タイトルをとった磯村選手

東日本コンテストの入賞者たち。左から坂本(アマ4位)、長谷川(アマ2位)、関(プロ2位)、飯富(プロ1位)、(熊岡(プロ3位)、磯村(アマ1位)、渡辺(アマ3位)の各選手。

東日本コンテストの入賞者たち。左から坂本(アマ4位)、長谷川(アマ2位)、関(プロ2位)、飯富(プロ1位)、(熊岡(プロ3位)、磯村(アマ1位)、渡辺(アマ3位)の各選手。

 JFBB東日本事務局主催による第1回ミスター東日本(アマ、プロ)、ミスター東京(アマのみ)コンテストは、プロ選手9名、アマ選手58名が参加して、12月2日、東京・代々木の山野ホールで行われた。

 まず、この大会を見て感じたことはプロはもちろん、アマチュアの部においても上位はほとんどキャリア5年以上というベテランによって占められており、残念ながら新人選手の台頭が見られなかったことである。

 新人選手の中には素質的に非常に恵まれていると思われるものが何人かいたが、バルクのあるものはキレがなくキレがあるものはバルクがないといったアンバランスと、ポージングの研究と練習の不足が目についた。ただ有名選手のポーズをマネしているだけでなく、自分の欠点をカバーし、長所を充分にアピールするという、ポージングの本来の意味をよく理解し、観客から失笑を買うことのないように充分練習を積んでもらいたい。

×  ×  ×

 アマの部で優勝した磯村選手は、去る7月のミスター・オールジャパン・コンテストでは、まったく精彩がなく失礼ないい方をすれば"トシ"を感じさせたが、この大会で見せた迫力は、バルク、デフィニションとも文句のつけようのない堂々の優勝であった。こ6ヵ月間の努力に敬意を表したい。

 2位の長谷川選手は小柄ながら見事なキレで順調に2位に入賞したが、なんとなくまとまり過ぎているという感じがする。現在のキレを維持しながらもう少しバルク・アップに成功すれば申し分ない。

 3位の渡辺選手は吉村太一選手に似た抜群のプロポーションと、上半身、とくに胸のよさで3位に入賞したが、下半身の逞しさと、全体的にもうひとまわりのバルク・アップをはかれば、大型ビルダーの第1人者になれることは間違いない。

 東日本4位、東京3位の坂本選手は数年前からミスター東京上位の常連で大相撲でいうなら小結か関脇というところ。大関、横綱を狙うにはバルク、デフィニションとももう1つ不足である。しかし長年この位置を守り続けている坂本選手の精進は立派である。

 新人選手の中で目についたのは、中川選手(東日本7位、東京6位)と菅原選手(東日本9位)である。ともに2年ちょっとというキャリアながら、均斉のとれた発達と恵まれたプロポーションは、大きな可能性を秘めているといえよう。これからの努力次第では東日本の代表的選手になる日もそう遠くはあるまい。

×  ×  ×

 プロの部では7月のミスター・オールジャパン・コンテストに続いて飯富選手が連続優勝を飾った。日本におけるプロ・コンテストは日もまだ浅く、レベル、出場選手数ともちょっと物足りないのは止むを得ないが、プロというからにはもう少し高いレベルで白熱した優勝争いが見たいものである。

 出場選手は7月の大会とほとんど同じメンバーだったが、その中でとくに目についたのが2位に躍進した関選手のオールマイティーぶりである。ご存知のように、過去に何回かパワーリフティングのチャンピオンとなり、あるいは多くの有名選手を育て、"パワーの関"として知られていたが、今大会には本格的なコンテスト・ビルダーとして見事に変身、堂々の2位入賞であった。筋肉、筋力の発達を目的とするビルダーなら、この両者を兼ね備えてこそほんとうのビルダーといえるのではないだろうか。その点、32才、19年のキャリアを誇る関選手の初心を忘れない根性と執念を若い選手たちは大いに見習ってほしいものである。
☆JFBBミスター東日本、ミスター東京コンテスト入賞者☆

☆JFBBミスター東日本、ミスター東京コンテスト入賞者☆

東日本4位、東京3位の坂本選手

東日本4位、東京3位の坂本選手

東日本7位、東京6位の中川選手

東日本7位、東京6位の中川選手

東日本9位、菅原選手

東日本9位、菅原選手

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 ゲスト・ポーザーとして登場した坂口、吉村、末光の3選手は、さすがにチャンピオンにふさわしい筋肉と貫禄をもっていた。目標を達成した選手たちが、ボディビルを止めたり、次第に精彩を欠いていく例が多い中で、これら3選手がともに優勝当時、いやそれ以上に逞しくなっているのは立派である。当日の出場選手やファンもきっとこのことに気づかれたことであろう。

 最後に観客のヤジについて一言ふれたい。適切なヤジは、場内の緊張を盛りあげ、選手を元気づけ、ときには興奮をやわらげ、コンテストの雰囲気をかもし出すのに効果を発揮するが、ややもすると悪ふざけになったり、選手を侮辱するようなことになる。この日も、ポージング中の選手が思わず笑い出すようなヤジが2〜3あった。長い鍛練の成果をこの一瞬に賭けている選手のことを考えて、もっとスマートなヤジをとばしてもらいたい。

 なお、前ページの表に掲げた以外の決勝進出者は次のとおり(ゼッケン順)
(ゼッケン順)

(ゼッケン順)

月刊ボディビルディング1974年1月号

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