フィジーク・オンライン

知っていると有利・栄養ミニ知識 1974年2月号

この記事をシェアする

0
月刊ボディビルディング1974年2月号
掲載日:2018.07.16

☆アメリカ料理☆

 エアーラインの発達により、海外旅行のチャンスはますます増えるが、困るのは食事の習慣。ふだん日本にいるときは気づかないが、いかに外国の料理が油っぽくてギラギラしたものか、それに対してわが日本料理がいかに淡白なものか思い知らされる。
 外人にいわせると、ライスを中心とした日本料理は最高級のダイエットフードで、健康の維持のために効果があるという。逆にスポーツマンにとってはスタミナ不足・体力不足となってあらわれるので、うまくミックスすれば成果があがるというもの。
 まず見習うべきはステーキ・ハンバーグ・ハムエッグ・とうもろこし・はちみつ等をいま少し多目にとること。それだけでアメリカ風に近づくのだ。

☆ドイツ料理☆

 ドイツ人は質実剛健な民族である。アー・ベー・ツェー・カーと発音するあの言葉もいかにも硬くて、融通のきかないことを思わせる。したがって、料理も実用一点ばり。栄養さえあれば見かけなんぞちいとも構わない。丸のままジャガイモを煮たり、肉を気ままに切りとって煮て食べたり、およそ気どらないのだ。
 そのかわり、理屈にかなっていることは恐るべきほどで、高カロリー、低カロリー、高タンパク、低タンパクなど、その人にあった食品を見事をつくりあげる。健康食品が世界一充実している国である。ドイツの健康食品というだけで信用があるのはこのためだ。
ビールがうまいのもドイツならではの話。ドイツ人に感謝することは多い。

☆フランス料理☆

 ドイツとフランスは国境を接していながら仲がひじょうに悪い。世界史を学ぶと、ほとんどの戦争が、ドイツとフランスの間でおこり、とくに両国の中央部に存在するザール地方は、あっちへとられたり、こっちへとられたりで気の休まることはない。
 なぜか。ドイツ人が実用を重んじるのに対し、フランス人は気どり屋で、キザ。言葉もなめらかなら、着る物、食べるもの、いちいちもったいぶる。料理のコックのうるさいことも世界随一で、一つの料理にもきびしい規格をつくっている。
 フランス料理がうまいのは各種調味料、スパイスが豊富なためで、とくに良質のワインをベースにした料理はすばらしい。銀座のソニービル地下3階にある「マキシム・ド・パリ」は日本一高級、というより日本一高い値段で有名なレストランである。フルコースをとると、,一人前3万円とられる。
 コックが一人前になるまでに20年間の修養を積むとかで、プロの仕事をするのは楽ではない。
 さてフランス料理の代表はかたつむりのエスカルゴ。欧米では紳士、淑女の強精強壮食と信じられている。かたつむりの肉を、スパイスの効いた独特のソースと共に蒸し焼きにしたものだが、貝のような味がなかなか舌に心地よい。日本でも高級ホテルのバイキングに出てくることもあるので、珍味食いの好きな人は試してみたら?
 フランスパンは外の皮が固いのに、中はふっくらと柔かい。あちらではトラックの荷台に無造作に乗せて運ぶ。また客も素手で持ち歩く。衛生的には今一つわれわれの感覚に合わないようだ。

☆イタリア料理☆

 イタリア人は世界一おしゃべりな民族である。ソフィアローレンが「昨日・今日・明日」で下町のおかみさんを演じ、スクリーンでしゃべりまくっていたが、実際に陽気で、ワイワイガヤガヤ小学生の遠足電車に乗り合わせたみたいな気分になる。
 しゃべるには多大のエネルギーを要するが、その源は油っぽいスパゲティやマカロニにありそうだ。貝やハム・ソーセージ・魚・えび、何でも混ぜその上からチーズやバターをのせて、ツルリツルツル飲みこんでゆく。ただし、味はきわめてサッパリしており、日本のスナックで食べるようにくどくはない。ケチャップもあまり使わないので、主食として飽きずに食べるのによい。タンパク質が多い点はごはんよりかなりすぐれている。

☆イギリス料理☆

 イギリス料理ほどまずいものはない。――イギリス人が自ら言っているのだから間違いはない。どこの国にも一つや二つは自慢料理があるはずだが、イギリスには何もない。肉料理がいいという人もなかにはいるが、フランスやドイツには絶対かなわない。だからイギリス料理店はほとんど無いのだ。
 だがうまいものはある。ビスケットとスコッチウィスキーだ。世界一ビスケットの種類が多く、主婦たちは毎日のようにオーブンで焼く。だから健康によい無漂白のビスケット、バターとミルクのたっぷり入ったソフトビスケット、チーズの多いクラッカーなど、お買得の商品は多い。またジョニーウォーカー、ホワイトホースなど。ウイスキーの品格は国産とまだまだ大差がある。

☆ロシア料理☆

 寒い国ほどスープや煮こみ料理がうまい。外へ出られないので、食事をつくることに楽しみを見出すためで、何日もかかって、スープストックというダシ汁をつくる。肉の骨や腱、皮をトロ火でグツグツ煮て、濃いスープをつくりだめして、これをベースにいろいろな料理をつくるのだ。
 なかでもボルシチは、肉とジャガイモを煮こんだシチュウで、世界一の味がする。最近、缶詰にしたものが発売されているので利用すればよい。珍しく日本人の舌にも合う。
 仔牛の肉をパセリやセロリと煮こんだ料理もなかなかスタミナのつく栄養料理だ。新宿のボルガは歌手の加藤登紀子さんの経営する店とか。そのほか渋谷のロゴスキーなども有名だ。

知っていると有利・-・-・-・-・-・-・-・-・-栄養ミニ知識
月刊ボディビルディング1974年2月号

Recommend