JBBAボディビル・テキスト⑧
指導者のためのからだづくりの科学
月刊ボディビルディング1974年3月号
掲載日:2018.07.26
各論(解剖学的事項)ー骨格系2
日本ボディビル協会 指導員審查会委員長
佐野 誠之
日本ボディビル協会 指導員審查会委員長
佐野 誠之
<5>休幹の骨格
体幹の骨格は椎骨、胸骨、肋骨からなっている。
A一脊柱
これは身体の中軸をなす骨格で、上下に連絡された椎骨から構成されており、すべての椎骨の共通の形、すなわち一般形は、腹側の椎体と背側の椎弓とからなり、その間に椎孔をかこんでいる。(参考図㉝)
A一脊柱
これは身体の中軸をなす骨格で、上下に連絡された椎骨から構成されており、すべての椎骨の共通の形、すなわち一般形は、腹側の椎体と背側の椎弓とからなり、その間に椎孔をかこんでいる。(参考図㉝)
第33図 椎骨
椎弓は脊髄を保護するためのものでこれから4種の突起が出ている。
①棘突起ーー不等性で、椎弓背面正中部から下に向って出ている。脊柱の連絡を営む靭帯や脊椎の運動を行う筋肉がついている。
②横突起ーー対性で、椎弓の外側から左右に出ている。
③上関突起、④下関突起ーー対性で、椎弓の外側からそれぞれ上下に向って出ている小突起で、上下相接する椎骨と関節を営む。(参考図㉞)
①棘突起ーー不等性で、椎弓背面正中部から下に向って出ている。脊柱の連絡を営む靭帯や脊椎の運動を行う筋肉がついている。
②横突起ーー対性で、椎弓の外側から左右に出ている。
③上関突起、④下関突起ーー対性で、椎弓の外側からそれぞれ上下に向って出ている小突起で、上下相接する椎骨と関節を営む。(参考図㉞)
第34図 胸椎〔右側面〕
⑤各椎骨の特徴
ⓐ頸椎(7個)ーー横突起は本来の横突起と肋骨の退化したものが融着したもので、横突孔(椎骨動脈が通っている)と呼ばれる孔が貫かれている。第1、第2頸椎は環椎、軸椎と呼ばれ、環椎は体に相当する部分が欠けていて、椎全体が環のような形をしており、軸推は体の上に歯状突起(実は環椎の体の変形癒着したもの)という突起があり、環椎がこの突起を軸として頭蓋とともに回旋するからつけられた名であり、俗に(火葬のとき)「お舎利さん」といって大切にするのはこの骨である。(参考図㉟㊱)
また、第7頸椎は棘状突起がとくに突き出していて、首を前に傾けるとウナジ部に隆起をつくるので隆骨とも呼ばれる
ⓑ胸椎(12個)ーー各椎骨が一対ずつの肋骨をもっており、椎体と椎弓からできており、もっとも基本的な形をそなえている。(参考図㉝)
ⓒ腰椎(5個)ーー肋骨が退化して椎骨と融着して肋骨突起をつくり本来の横突起はその基部に副突起となり、この両突起の間に乳頭突起があって固有背筋が付着している。
ⓓ仙椎(5個)ーー青年期までは軟骨結合であるが、成人になると骨化して1つの仙骨となる。
ⓔ尾椎(3~6個)ーー形も数も著しく退化した椎骨で、ふつう融着して1つの尾骨をなしており、生体では肛門のところでその尖端にふれることができる(参考図㊲)
ⓐ頸椎(7個)ーー横突起は本来の横突起と肋骨の退化したものが融着したもので、横突孔(椎骨動脈が通っている)と呼ばれる孔が貫かれている。第1、第2頸椎は環椎、軸椎と呼ばれ、環椎は体に相当する部分が欠けていて、椎全体が環のような形をしており、軸推は体の上に歯状突起(実は環椎の体の変形癒着したもの)という突起があり、環椎がこの突起を軸として頭蓋とともに回旋するからつけられた名であり、俗に(火葬のとき)「お舎利さん」といって大切にするのはこの骨である。(参考図㉟㊱)
また、第7頸椎は棘状突起がとくに突き出していて、首を前に傾けるとウナジ部に隆起をつくるので隆骨とも呼ばれる
ⓑ胸椎(12個)ーー各椎骨が一対ずつの肋骨をもっており、椎体と椎弓からできており、もっとも基本的な形をそなえている。(参考図㉝)
ⓒ腰椎(5個)ーー肋骨が退化して椎骨と融着して肋骨突起をつくり本来の横突起はその基部に副突起となり、この両突起の間に乳頭突起があって固有背筋が付着している。
ⓓ仙椎(5個)ーー青年期までは軟骨結合であるが、成人になると骨化して1つの仙骨となる。
ⓔ尾椎(3~6個)ーー形も数も著しく退化した椎骨で、ふつう融着して1つの尾骨をなしており、生体では肛門のところでその尖端にふれることができる(参考図㊲)
第35図 第1頸椎(環椎)上面より
第36図 環椎と軸椎の連結
第37図 脊柱図
⑥脊柱の連結ーー椎骨は次のような構造で順次連結されて1本の脊柱をつくっている。(考参図㊳)
ⓐ隣接する椎骨の椎体間には、椎間円板という線維性軟骨ができた軟組織板があって、各椎間を連結している。
ⓑ上位の椎骨の下関節突起と、下位の椎骨の上関節突起の間は椎間関節(半面関節)で結ばれており、関節包で包まれている。
ⓒ各椎骨の棘突起間、椎弓間、椎体の前後両面等に多くの丈夫な靭帯があり、椎間の連結を補っている椎骨を結ぶ靭帯には7種の靭帯がある。詳細の説明は省略するが、以上の靭帯で椎骨は結ばれ、全体として丈夫な体幹の軸としての脊柱を形成している。
ⓐ隣接する椎骨の椎体間には、椎間円板という線維性軟骨ができた軟組織板があって、各椎間を連結している。
ⓑ上位の椎骨の下関節突起と、下位の椎骨の上関節突起の間は椎間関節(半面関節)で結ばれており、関節包で包まれている。
ⓒ各椎骨の棘突起間、椎弓間、椎体の前後両面等に多くの丈夫な靭帯があり、椎間の連結を補っている椎骨を結ぶ靭帯には7種の靭帯がある。詳細の説明は省略するが、以上の靭帯で椎骨は結ばれ、全体として丈夫な体幹の軸としての脊柱を形成している。
第38図 椎骨の連結
⑦頭蓋と頸椎(首の運動)ーー脊椎と頭蓋の連結は非常に複雑である。脊椎と頭蓋と環椎との間には対性の環椎後頭関節があり、頭蓋は左右の後頭顆をもって環椎の上にのっている。この関節により前後左右に動くことができる。(参考図㊴)
また、環椎と軸椎の歯突起との間に正中環軸関節があって、環椎は頭蓋をのせたまま歯突起を軸として回旋運動をする。頭蓋の後頭骨と頸椎棘突起との間には項靭帯(弾性線維でできた長い靭帯)が張っていて、頭が環椎後頭関節を支点として前方に垂れるのをつりあげている。
環椎後頭関節は両後頭顆を結ぶ横軸と、その中心の矢状軸を回転軸として、左右軸のまわりに屈伸(下むき前屈約20度、上むき後屈約30度)前後軸のまわりに側屈(左右ともに約20度)ができる楕円関節として働き、環軸関節は車軸関節として働き左右それぞれ約40度の回旋ができ、第3頸椎以下が共同して約90度の範囲に働く。
また、環椎と軸椎の歯突起との間に正中環軸関節があって、環椎は頭蓋をのせたまま歯突起を軸として回旋運動をする。頭蓋の後頭骨と頸椎棘突起との間には項靭帯(弾性線維でできた長い靭帯)が張っていて、頭が環椎後頭関節を支点として前方に垂れるのをつりあげている。
環椎後頭関節は両後頭顆を結ぶ横軸と、その中心の矢状軸を回転軸として、左右軸のまわりに屈伸(下むき前屈約20度、上むき後屈約30度)前後軸のまわりに側屈(左右ともに約20度)ができる楕円関節として働き、環軸関節は車軸関節として働き左右それぞれ約40度の回旋ができ、第3頸椎以下が共同して約90度の範囲に働く。
第39図 頸椎に頭蓋ののる状態
⑧脊柱の運動(参考図㊵)ーー脊柱は前後から見るとまっすぐであるが、横から見ると頸部(前方へ凸)、胸部(後方へ凸)、腰椎(前方へ凸)弯曲しており、椎体間、椎弓間の種々の連結によって軟骨結合になっている。また、椎間軟骨はかなりの厚みがあり弾性をもっているため、腰椎から上はその変形によって椎間相互の運動ができる。
個々の椎間の運動範囲はさして大きくなく、まちまちであるが(椎骨の形によって大きく左右される)、綜合的な結果としては大きい運動を行うことができるわけで、前屈・後屈・側屈・回旋等ができる。頸椎、腰椎の運動は大きく胸椎の運動は小さい。
個々の椎間の運動範囲はさして大きくなく、まちまちであるが(椎骨の形によって大きく左右される)、綜合的な結果としては大きい運動を行うことができるわけで、前屈・後屈・側屈・回旋等ができる。頸椎、腰椎の運動は大きく胸椎の運動は小さい。
第40図 脊椎の運動
⑨脊柱の全景(参考図㊲㊳)ーー脊柱は、一方では中軸の骨格として身体を支えるとともに他方では脊髄の容器として丈夫な、しかも可動性の骨性管をなしている。支柱としては主として椎体がその任に当り、脊髄容器としては椎弓がその形成に当っている。また、椎骨は上の方のものから下の方になるに従って大きく強くなっており、仙骨から下は再び小さくなっている。そして部分的に適度の弯曲を示している。
脊髄容器としての脊柱は、その内部に上下に貫く脊柱管をもっておりここに脊髄を入れている。脊柱管は各椎骨の椎孔が連続してできたもので、上は大後頭孔によって頭蓋骨につづき、下は仙骨を貫いて下端の背側に開口している。また、各椎骨の間にある椎間孔(脊髄神経の出る孔)によって左右両側に開口している。
B一胸郭
胸郭は12個の胸椎と12対の肋骨、1個の胸骨から組み立てられている。胸椎については前項(脊柱)で述べたので、肋骨と胸骨について述べる(参考図㊶㊷)
脊髄容器としての脊柱は、その内部に上下に貫く脊柱管をもっておりここに脊髄を入れている。脊柱管は各椎骨の椎孔が連続してできたもので、上は大後頭孔によって頭蓋骨につづき、下は仙骨を貫いて下端の背側に開口している。また、各椎骨の間にある椎間孔(脊髄神経の出る孔)によって左右両側に開口している。
B一胸郭
胸郭は12個の胸椎と12対の肋骨、1個の胸骨から組み立てられている。胸椎については前項(脊柱)で述べたので、肋骨と胸骨について述べる(参考図㊶㊷)
第41図 胸部の前面
第42図 胸部の後面
①肋骨ーー弓形の長骨で、部位によって大きさと形が違っている。肋骨は腹側の一部が軟骨性になっており、肋軟骨という。これは、胸郭に外力が加わったとき、緩衝の役目をなし肋骨の折れを防止するためと、呼吸運動によって胸郭が変形する場合、抵抗を少なくするためである。
②胸骨ーー胸部の前面正中部にある長い板状の骨で、その下端を剣状突起という。剣状突起は中年ごろまでは軟骨で、それ以後骨化する。胸骨はその全体を皮下に触れることができる。上縁の弯入部は頸と胸の境、剣状突起は胸と腹との境で、俗に「みぞおち」といわれるところにある。
③胸郭の連結ーー胸郭の連結には、まず脊柱(胸椎)と肋骨との間に2種の関節がある。1つは肋骨の後尖端にある小頭関節で、肋小頭靭帯、関節靱帯で結ばれており、いま1つは横突起の末端との間で肋結節靭帯、肋頸靭帯、肋横突起靭帯等でその結合を強めている。肋骨はこの2つの関節を結ぶ直線を軸として回転運動をする。(参考図㊸)
②胸骨ーー胸部の前面正中部にある長い板状の骨で、その下端を剣状突起という。剣状突起は中年ごろまでは軟骨で、それ以後骨化する。胸骨はその全体を皮下に触れることができる。上縁の弯入部は頸と胸の境、剣状突起は胸と腹との境で、俗に「みぞおち」といわれるところにある。
③胸郭の連結ーー胸郭の連結には、まず脊柱(胸椎)と肋骨との間に2種の関節がある。1つは肋骨の後尖端にある小頭関節で、肋小頭靭帯、関節靱帯で結ばれており、いま1つは横突起の末端との間で肋結節靭帯、肋頸靭帯、肋横突起靭帯等でその結合を強めている。肋骨はこの2つの関節を結ぶ直線を軸として回転運動をする。(参考図㊸)
第43図 胸部の水平投影模型図
④胸骨と肋骨の連結ーー第1~第7肋骨まではその尖端の肋骨軟骨の部分と腔内靭帯により結合されている。そのうえ、関節包前面が放射状胸肋靭帯によってつながれ、その結合を補強している。第8~第10肋骨は、胸骨とは関係なく順次すぐ上の肋軟骨と結合、肋骨靭帯がこれを補強している。第11~第12の2つの肋骨は短小で胸骨とは遊離している。
第7~第12までの肋軟骨は、胸部前面の下縁をなし、左右それぞれ肋骨弓という弓形の線を描いて剣状突起の両側でほぼ直角に相会し、胸骨下角をつくっている。これらの肋骨間には肋間靭帯がある。
⑤胸郭の運動(参考図㊹)ーー胸椎と肋骨との小頭関節は顆状関節であり肋横突起関節は半関節である。この2つの関節の中心を結ぶ線を回転軸としての回転運動(前述)のみが行われる。この運動は肋骨が上へ引きあげられるか、下へ引き下げられるかの運動である。
すなわち、肋骨の上下運動であるが、肋骨個々の上下動も極めてわずかである。左右一対の肋骨とこれが結合された胸骨で肋骨輪が構成されており、肋硬骨が引きあげられるときその前端(胸骨部)があがるとともに、正中線から斜め前へ遠ざかることになる。そのとき肋軟骨の軟らかさと胸肋関節の動きによって、肋軟骨と肋硬骨との間の角度や肋軟骨と胸骨との間の角度が大きくなって肋骨輪があがるとともに、その前後左右の直経も大きくなる。これが吸気のときであり、反対に胸腔が小さくなるように肋骨が引き下げられる時が呼気運動である。
また、胸椎は吸気のときはいくらか伸び、呼気のときは前にかがむようになっており、その運動を助長する。(参考図㊺)
第7~第12までの肋軟骨は、胸部前面の下縁をなし、左右それぞれ肋骨弓という弓形の線を描いて剣状突起の両側でほぼ直角に相会し、胸骨下角をつくっている。これらの肋骨間には肋間靭帯がある。
⑤胸郭の運動(参考図㊹)ーー胸椎と肋骨との小頭関節は顆状関節であり肋横突起関節は半関節である。この2つの関節の中心を結ぶ線を回転軸としての回転運動(前述)のみが行われる。この運動は肋骨が上へ引きあげられるか、下へ引き下げられるかの運動である。
すなわち、肋骨の上下運動であるが、肋骨個々の上下動も極めてわずかである。左右一対の肋骨とこれが結合された胸骨で肋骨輪が構成されており、肋硬骨が引きあげられるときその前端(胸骨部)があがるとともに、正中線から斜め前へ遠ざかることになる。そのとき肋軟骨の軟らかさと胸肋関節の動きによって、肋軟骨と肋硬骨との間の角度や肋軟骨と胸骨との間の角度が大きくなって肋骨輪があがるとともに、その前後左右の直経も大きくなる。これが吸気のときであり、反対に胸腔が小さくなるように肋骨が引き下げられる時が呼気運動である。
また、胸椎は吸気のときはいくらか伸び、呼気のときは前にかがむようになっており、その運動を助長する。(参考図㊺)
第44図 胸部の運動を示す模型図
第45図 肋骨輪の運動
⑥胸郭の全景ー全体としてはほぼ円錐形をなし、上方が細く下方が広いその中の空間を胸腔という。上は胸郭上口、下は胸郭下口により開いているが、それぞれの肋骨間の間隙には肋間靭筋、肋間筋がある。
胸郭上口は頸部の内臓、脈管神経等が胸腔に入る通路をなし、胸郭下部には横隔膜が張っている。(参考図㊻)
胸郭上口は頸部の内臓、脈管神経等が胸腔に入る通路をなし、胸郭下部には横隔膜が張っている。(参考図㊻)
第46図 体幹(後面)
以上、体幹の骨格とその運動のあらましについて述べた。
<6>頭蓋
頭蓋は15種23個の頭蓋骨と顔面骨からなっている。そして、脳・視覚・平衡感覚、聴覚器等を入れる脳頭蓋と、消化器・呼吸器の起始部をなす顔面頭蓋とをつくっている。
顎関節(蝶番関節)以外は、縫合によって固く結合され頭蓋という1つの丈夫な骨函をつくっている。
詳細の説明を省き、名称等は参考図により示す。(参考図㊼)
顎関節(蝶番関節)以外は、縫合によって固く結合され頭蓋という1つの丈夫な骨函をつくっている。
詳細の説明を省き、名称等は参考図により示す。(参考図㊼)
第47図 頭蓋の側面図
<7>体肢
A-上肢
上肢の骨格は上肢帯と自由上肢との2部からなり、上肢帯は肩甲骨と鎖骨の2骨から、自由上肢のうち、上腕は1本の上腕骨から、前腕は平行におかれた橈骨と尺骨から、手は手根骨・中手骨・指骨という3群からなっている。(参考図㊽㊾)
上肢の骨格は上肢帯と自由上肢との2部からなり、上肢帯は肩甲骨と鎖骨の2骨から、自由上肢のうち、上腕は1本の上腕骨から、前腕は平行におかれた橈骨と尺骨から、手は手根骨・中手骨・指骨という3群からなっている。(参考図㊽㊾)
第48図 上肢(右前面)
第49図 上肢(右前面)
①上肢帯ーー体幹と自由上肢とを連結する部分である。
ⓐ肩甲骨ーー肩の背面にある逆三角形の扁平骨で、左右一対をなしている。上外側には上腕骨と肩関節を営む関節窩があり、前上方に鳥口突起が突出し、背面(後面)には肩甲棘という鋭い隆起がある。その外側端は肩峰となって高くそびえている。(参考図㊿)
前面の肩甲下窩には肩甲下筋がつき、内側縁には肩甲挙筋・菱形筋・前鋸筋が、外側縁には小円筋・大円筋が、肩甲棘には僧帽筋・三角筋が、棘上窩、棘下口には棘上筋・棘下筋がそれぞれついている。
また、烏口突起には上腕二頭筋短頭・鳥口筋・小胸筋がついており、関節窩の上下の結縁にはそれぞれ二頭筋長頭・上腕三頭筋長頭がついている。(参考図51)
ⓐ肩甲骨ーー肩の背面にある逆三角形の扁平骨で、左右一対をなしている。上外側には上腕骨と肩関節を営む関節窩があり、前上方に鳥口突起が突出し、背面(後面)には肩甲棘という鋭い隆起がある。その外側端は肩峰となって高くそびえている。(参考図㊿)
前面の肩甲下窩には肩甲下筋がつき、内側縁には肩甲挙筋・菱形筋・前鋸筋が、外側縁には小円筋・大円筋が、肩甲棘には僧帽筋・三角筋が、棘上窩、棘下口には棘上筋・棘下筋がそれぞれついている。
また、烏口突起には上腕二頭筋短頭・鳥口筋・小胸筋がついており、関節窩の上下の結縁にはそれぞれ二頭筋長頭・上腕三頭筋長頭がついている。(参考図51)
第50図 肩甲骨
第51図 肩甲骨における筋の起始着
ⓑ鎖骨一かるくS状に曲った骨で前胸部の上縁のところで、胸骨の左右にほぼ水平に横たわっている内側は胸骨と、外側は肩甲骨と関節をなしている(参考図50 53 54)
②上腕骨一上腕の中軸をなす長い管状骨で、上端に半球形の上腕骨頭があり、肩関節の関節頭である。下端はやや圧平され、左右に広くなっており、上腕骨顆という。その下面は関節面をなし、上腕小頭(外側)と滑車(内側)とに分かれている。
管状上部の外方の大結節に棘上筋・刺下筋・小円筋が、大結節稜に大胸筋がつき、小結節には肩甲筋が、下方にのびる小結節稜には大円筋・広背筋がついている。また、上腕骨顆の内側上顆、外側上顆は、前腕屈筋群と、前腕伸筋浅層群の起始となっている。
③前腕の骨ーー前腕には内側(小指側)に尺骨、外側(拇指側)に橈骨の2本の長骨が平行している。
ⓐ橈骨ーー前腕外側(拇指側)の管状骨で、上から下に向って太くなっており、上端のやや肥厚した円板状の部を撓骨頭といい、上面は浅い凹面をなしている。その側面は環状関節面で尺骨と連結しており、その下に頸と、明らかにわかる橈骨結節(橈骨粗面)とがある下端の外側はやや尖っていて、茎状突起と呼ばれている。
ⓑ尺骨ーー尺骨は橈骨と並んで内側(小指側)にある長骨で、橈骨とは反対に上端の方が肥厚し下端の方が細くなっている。上端には、うしろに肘頭があり、前に鈎状突起があって、その間に半月形の関節窩がある。下端は外側に尺骨頭をなし、その内側から茎状突起が出ている。
肘頭には上腕三頭筋が、鈎状突起には上腕筋が、また、橈骨粗面には上腕二頭筋がついている。
④手の骨ーー手の骨は、手根骨・中手骨・指骨の3群からなっている(参考図52)
ⓐ手根骨ー俗にいう手首を形成している骨で、4個ずつ2列に並んでいる。匠位手根骨は拇指側より舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨と並び、遠位中根骨は同じく拇指側より大菱形骨(大多角骨)、小菱形骨(小多角骨)、右頭骨、有鈎骨の8骨からなっている。
ⓑ中手骨ーー中根骨より遠位にあり5本の棒状の骨で、手のひらの中にある。
ⓒ指骨ーー指の骨で、拇指には2本その他の指には3個ずつあり、指節をつくる小さい骨である。詳細は省略するが、前掲の参考図を参照されたい。
②上腕骨一上腕の中軸をなす長い管状骨で、上端に半球形の上腕骨頭があり、肩関節の関節頭である。下端はやや圧平され、左右に広くなっており、上腕骨顆という。その下面は関節面をなし、上腕小頭(外側)と滑車(内側)とに分かれている。
管状上部の外方の大結節に棘上筋・刺下筋・小円筋が、大結節稜に大胸筋がつき、小結節には肩甲筋が、下方にのびる小結節稜には大円筋・広背筋がついている。また、上腕骨顆の内側上顆、外側上顆は、前腕屈筋群と、前腕伸筋浅層群の起始となっている。
③前腕の骨ーー前腕には内側(小指側)に尺骨、外側(拇指側)に橈骨の2本の長骨が平行している。
ⓐ橈骨ーー前腕外側(拇指側)の管状骨で、上から下に向って太くなっており、上端のやや肥厚した円板状の部を撓骨頭といい、上面は浅い凹面をなしている。その側面は環状関節面で尺骨と連結しており、その下に頸と、明らかにわかる橈骨結節(橈骨粗面)とがある下端の外側はやや尖っていて、茎状突起と呼ばれている。
ⓑ尺骨ーー尺骨は橈骨と並んで内側(小指側)にある長骨で、橈骨とは反対に上端の方が肥厚し下端の方が細くなっている。上端には、うしろに肘頭があり、前に鈎状突起があって、その間に半月形の関節窩がある。下端は外側に尺骨頭をなし、その内側から茎状突起が出ている。
肘頭には上腕三頭筋が、鈎状突起には上腕筋が、また、橈骨粗面には上腕二頭筋がついている。
④手の骨ーー手の骨は、手根骨・中手骨・指骨の3群からなっている(参考図52)
ⓐ手根骨ー俗にいう手首を形成している骨で、4個ずつ2列に並んでいる。匠位手根骨は拇指側より舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨と並び、遠位中根骨は同じく拇指側より大菱形骨(大多角骨)、小菱形骨(小多角骨)、右頭骨、有鈎骨の8骨からなっている。
ⓑ中手骨ーー中根骨より遠位にあり5本の棒状の骨で、手のひらの中にある。
ⓒ指骨ーー指の骨で、拇指には2本その他の指には3個ずつあり、指節をつくる小さい骨である。詳細は省略するが、前掲の参考図を参照されたい。
第52図 手の骨〔背側面〕
⑤上肢骨格の連結ーー以上に述べた上肢の骨はすべて関節によって比較的ゆるく連結されているので動運範囲が広い。
ⓐ上肢帯の連結ーー上肢帯と体幹との連結は、鎖骨と胸骨との間の胸鎖関節のみによってなされており他は主として胸鎖靭帯・鎖骨間靭帯・肋鎖靭帯や筋肉によって間接的に連結が補強されている。(参考図53)
ⓑ肩甲骨ーー肩甲関節によって鎖骨と連結されているだけで、体幹とは直接に関節連結をしていない。すなわち、体幹とは関節的である。鎖骨と肩甲骨との可動性はかなり大きい。肩鎖靭帯、鳥口鎖骨靭帯で補強されている他に、筋や皮膚により間接的に保持されている。(参考図54)
(つづく)
ⓐ上肢帯の連結ーー上肢帯と体幹との連結は、鎖骨と胸骨との間の胸鎖関節のみによってなされており他は主として胸鎖靭帯・鎖骨間靭帯・肋鎖靭帯や筋肉によって間接的に連結が補強されている。(参考図53)
ⓑ肩甲骨ーー肩甲関節によって鎖骨と連結されているだけで、体幹とは直接に関節連結をしていない。すなわち、体幹とは関節的である。鎖骨と肩甲骨との可動性はかなり大きい。肩鎖靭帯、鳥口鎖骨靭帯で補強されている他に、筋や皮膚により間接的に保持されている。(参考図54)
(つづく)
第53図 胸鎖関節
第54図 肩鎖関節〔前面〕
月刊ボディビルディング1974年3月号
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