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プロティン・パウダーを有効に使って
体重を9キロふやした食事法

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月刊ボディビルディング1975年11月号
掲載日:2018.08.29
野沢 秀雄

<がっちり太らないとナンセンス>

テレビタレントをみているとおもしろい。美男美女が必ずしも人気があるわけではなく、西城秀樹を投げとばして「大物」になった小林亜星や「もーたーいへん」のズートルビの山田隆夫、「ちかれたびい」の秋田のお百姓、大口でペチャパイの研ナオコといった人がモテモテ。鍛えた体をほこるビルダーたちもどんどんCMやアクションドラマに登場してもらいたいものだ。
さて小林亜星のような90キロもあるデブには誰もなりたいと思わないだろう。同じ「体重がある」といっても、すもうの横綱か大関のように下腹がつきだしてブヨブヨしていては見苦しいばかりだ。骨格と筋肉が固くがっちりしていないから、健康上からもさまざまな問題がある。

<年齢と共にバルク型にかわる>

「身長から100を引いて0.9をかける」のが標準体重と一般に言われているが、がっちりした良い体格だと感じるには「身長から100をひく」だけの体重がどうしても欲しい。つまり165cmの人なら65kg、175cmの人なら75kgというように。しかも、脂肪や水分でブクブクしているのではなく、筋肉(たんぱく質)で重くなっていることが必要だ。そして、腹囲は身長の1/2から10cmを引いた数字以下ではないとカッコマンとはいいにくい。175cmの人のウエストは75cm以下で、ズボンも75cm以下にしたい。
「身長170cm、体重55kgです。なんとか太る方法をアドバイスしてください」というような希望が多いが、このような人は食事中のカロリーやたんぱく質が大幅に不足していたり、夜勤作業に従事していて神経をすりへらしていたり、一日にタバコを15~20本も吸っていたり、胃腸が悪く下痢しやすかったり、必ずポイントがあるようだ。
このような人には、①食事内容をチェックして、修正したメニューをつくり、②トレーニングについても、カーフ・レイズ、リスト・カール、レスラー・ブリッジ等の細い筋肉のトレーニング種目を中止して、もっぱらベンチ・プレス、スクワット、プルダウン等の大きな筋肉を鍛える種目に重点を置き、現在よりも重いバーベルに挑戦できるようアドバイスし、③最後に次のように書いて一日でも若いうちにトレーニングをするようおすすめしている。
「一流ビルダーをみるとわかるように、またトレーニングをしない一般の人にも共通することだが、26才をすぎると体の細胞数が減ってゆく。だから激しくトレーニングしているにもかかわらず、組織に脂肪がふえてくるし、しみやそばかす、ホクロもふえてくる。筋肉のカットも出にくくなるが、体重だけは自然にふえてくる。これが人間の宿命だし、避けられない悲しい現実である」と。

<がっちり体重を9キロふやした例>

一般に年をとれば「中年ぶとり」になり、腹の周囲に脂肪がついて体重がどんどん増える。だが若い年代にこそがっちりした体重が欲しいのだ。体質もあるが、短期間にがっちり体重のふえる方法はないものか?

写真は三重県度会郡の嵯峨忠七さんで現在29才。手びろくクリーニング店を経営しているビルダーである。誠実で明るい人柄のために近所でも親しまれているが、ボディビルを始める前は体重57kgのやせっぽちであった。雑誌でボディビルを知り、早速開始したがトレーニングだけでは体重があまりふえず、思いきってプロティン・パウダーを飲んだところ、徐々に体重がふえ、結局9キロも筋肉で大きくなったという。プロティン・パウダーのとりかたは、ふつうの家族と同じ食事に加えて、自分だけが毎食ごと、および間食に牛乳に溶かして飲む方法であり、無理なく、おいしく食べたことが成功の秘訣であったといえる。

本人だけではなく、まわりの人もびっくり。「この体験がうれしかったので私は現在、ボディビルを人にすすめたり、プロティン・パウダーを飲んでみるように地域のみなさんにすすめています」と嵯峨さんは語っているが、兄弟とも力をあわせて、近くの子供からお年寄までハイ・プロティンをすすめて喜ばれているという。自分でチラシをつくったり、申込み用紙をつくったりで、その熱意に頭が下るが、このような成功は嵯峨さん一人だけではなく、ビルダーのみんなが、体験をいかし、人に感謝され、しかも自分が独立して生活できるようになればこれほどよいことはない。「ゆくゆくは自分の一生涯の仕事として健康センターのようなものを開きたい」と希望している人が多いが、確かにやりがいのある仕事だろう。
〔嵯峨忠七さん〕

〔嵯峨忠七さん〕

<ねずみの実験でも証明>

ヘイ・プロティンが体重増加に効果のあることが、ハツカネズミを使用した動物実験でも証明されている。PERといって、与えた食事中のたんぱく質1gに対して、ネズミの体重が何gふえるかをテストする方法がアメリカで開発されている。日本でも某分析センターがおこなっているので依頼したところ、「従来の肉・卵・とうもろこしなどいろいろな食品に比べてすばらしい体重増加効果がある」と最近報告されたのだ。ということは、ふつうの食事で、肉・魚・卵・チーズなどを充分食べている人でも、その量を減らしてハイ・プロティンにすれば効果が大きく、しかもアルカリ性なので血液が汚れず疲れにくいといえるのだ。
また発育期にある幼児・小学生・中学生・高校生などで、身長や体重をふやしたい人に好適である。

<どうしても体重がふえない人に>

最後に「いくらトレーニングしても食事をたくさん食べても体重がふえない」という人のために述べたいことがある。このタイプの人は体質的に「胃が弱い」「胃下垂といわれた」「腸の吸収力が劣っている」というように、体の構造上問題がある。だから大食をしたくても胃腸が受けつけず、下痢をしたり、胃が重かったりする。

床に寝かせて、胃や腹部、あるいは背中のベルト附近やその上部をマッサージすると、固い「しこり」があることが多い。強くおすと快よい痛みがあるので、少しずつほぐすようにする。ハリのできる人にハリをやってもらうのもよい。このようにして胃腸を体表から刺激すると、早い人なら翌日に,またふつう2~3週間もすれば、びっくりするほどお腹が軽くなり、便通もついて食欲が増進する。足の脛骨の外側にある「三里」のツボも胃腸状態をよくして体重をふやすのに効果のあるツボだから、このスネの部分を自分でマッサージする習慣をつけるとよい。
月刊ボディビルディング1975年11月号

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