なんでもQ&Aお答えします 1975年11月号
月刊ボディビルディング1975年11月号
掲載日:2018.08.23
胸囲をふやす効果的な方法は?
Q ボディビル歴6カ月。ごく基礎的なトレーニングを行なっています。生来、からだつきは貧弱で、体力も弱いほうですが、それなりに効果がみられ、一応、トレーニングの結果は納得のいくものと考えています。
とはいうものの、本心は、178cmの身長の割には胸囲が92cmで、まだまだ少ないような気がします。マイ・ペースでトレーニングを続けていけば、全体の発達にともなって、胸囲も大きくなると考えていますが、自分としては1日でも早く身長に均合った胸囲にすることが希望です。そのようなわけで質問しますが、基礎的な方法で、しかも比較的早期に胸囲を増やす方法があれば教えてください。
現在の体位とトレーニング・スケジュールは下記のとおりです。
<体位>
身長178cm、体重61kg、胸囲(普通時)92cm、上腕囲28cm、腹囲72cm、大腿囲48cm。
<トレーニング・スケジュール>
(隔日的、週3日)
とはいうものの、本心は、178cmの身長の割には胸囲が92cmで、まだまだ少ないような気がします。マイ・ペースでトレーニングを続けていけば、全体の発達にともなって、胸囲も大きくなると考えていますが、自分としては1日でも早く身長に均合った胸囲にすることが希望です。そのようなわけで質問しますが、基礎的な方法で、しかも比較的早期に胸囲を増やす方法があれば教えてください。
現在の体位とトレーニング・スケジュールは下記のとおりです。
<体位>
身長178cm、体重61kg、胸囲(普通時)92cm、上腕囲28cm、腹囲72cm、大腿囲48cm。
<トレーニング・スケジュール>
(隔日的、週3日)
A トレーニングを開始する前の体格が記載されていないのでいままでに、胸囲がどのくらい増加したのかわかりませんが、身長に比して小さいのは確かです。
トレーニングの結果については、一応は納得しているとはいうものの、胸囲が小さいことが気になるのは無理からぬことと思います。胸囲を大きくするには、まず、どうしたら胸囲が大きくなるのか、その要因について知る必要があります。
胸囲の測定値は、いうまでもなく、胸郭とその周囲にある筋の大きさと、皮下脂肪を含めたものです。このことから、胸囲を増加させるには皮下脂肪はともかくとして、トレーニングによって、胸郭とその周囲にある筋の発達を促す必要があることが容易に理解できると思います。つまり、胸郭の拡張と、大胸筋および広背筋の発達を促すことが、胸囲の増大に結びつくということです。
では、その具体的な方法について述べるとします。基礎的な方法であることがあなたの要望でもあるので、そのへんも考慮して述べることにします。
<胸郭の拡張を促すための運動>
胸郭の拡張を促すには、胸部の筋に負荷を与える運動を行うことはもちろん大切ですが、呼吸量の増大をひき起す運動を行うことも必要です。つまり基礎的な運動種目でいえば、スクワットを欠かさずに行うことが大切です。スクワットのように運動量の大きい種目は、運動量の小さい種目に比べて体内における酸素の需要が増えるので、肺における呼吸量も必然的に増加されます。このように、一時的にしろ肺の呼吸量の増加を生理的に必然的な方法で促すことは、胸郭を内から押し拡げる力が働き、胸郭の発達を促すことになります。
通常、スクワットは他の運動種目と同様、1セット10回前後の反復回数で行いますが、上述のことを考慮すれば、1セット15回以上、できれば20回ぐらいの回数を行うのが胸郭の拡張を促すには効果的といえます。
<大胸筋の発達を促す運動>
大胸筋の発達を促すには、いうまでもなくベンチ・プレスを行うのが最も有効的です。この運動については、すでに熟知しているでしょうから、今さらとやかく述べることもないとは思いますが、ただ、バーベルを握る際の左右のグリップの間隔に注意してください。ベンチ・プレスで大胸筋の発達を最も効果的に促すには、バーベルを胸におろしたときに、左右の前腕がほぼ垂直になる間隔にシャフトを握るのがよい方法です〔参考図1〕参照。というのは、左右の前腕がほぼ垂直をなすようにシャフトを握って運動を行うことが、大胸筋の伸縮の動きを最も大きなものにするので、それだけ広範囲にわたって筋を刺激することが可能になるからです。
トレーニングの結果については、一応は納得しているとはいうものの、胸囲が小さいことが気になるのは無理からぬことと思います。胸囲を大きくするには、まず、どうしたら胸囲が大きくなるのか、その要因について知る必要があります。
胸囲の測定値は、いうまでもなく、胸郭とその周囲にある筋の大きさと、皮下脂肪を含めたものです。このことから、胸囲を増加させるには皮下脂肪はともかくとして、トレーニングによって、胸郭とその周囲にある筋の発達を促す必要があることが容易に理解できると思います。つまり、胸郭の拡張と、大胸筋および広背筋の発達を促すことが、胸囲の増大に結びつくということです。
では、その具体的な方法について述べるとします。基礎的な方法であることがあなたの要望でもあるので、そのへんも考慮して述べることにします。
<胸郭の拡張を促すための運動>
胸郭の拡張を促すには、胸部の筋に負荷を与える運動を行うことはもちろん大切ですが、呼吸量の増大をひき起す運動を行うことも必要です。つまり基礎的な運動種目でいえば、スクワットを欠かさずに行うことが大切です。スクワットのように運動量の大きい種目は、運動量の小さい種目に比べて体内における酸素の需要が増えるので、肺における呼吸量も必然的に増加されます。このように、一時的にしろ肺の呼吸量の増加を生理的に必然的な方法で促すことは、胸郭を内から押し拡げる力が働き、胸郭の発達を促すことになります。
通常、スクワットは他の運動種目と同様、1セット10回前後の反復回数で行いますが、上述のことを考慮すれば、1セット15回以上、できれば20回ぐらいの回数を行うのが胸郭の拡張を促すには効果的といえます。
<大胸筋の発達を促す運動>
大胸筋の発達を促すには、いうまでもなくベンチ・プレスを行うのが最も有効的です。この運動については、すでに熟知しているでしょうから、今さらとやかく述べることもないとは思いますが、ただ、バーベルを握る際の左右のグリップの間隔に注意してください。ベンチ・プレスで大胸筋の発達を最も効果的に促すには、バーベルを胸におろしたときに、左右の前腕がほぼ垂直になる間隔にシャフトを握るのがよい方法です〔参考図1〕参照。というのは、左右の前腕がほぼ垂直をなすようにシャフトを握って運動を行うことが、大胸筋の伸縮の動きを最も大きなものにするので、それだけ広範囲にわたって筋を刺激することが可能になるからです。
〔図1〕正しいのは1。2と3は誤り。
<広背筋の発達を促す運動>
広背筋の発達を促す基礎的な運動はベント・オーバー・ローイングです。この運動は意外に難しく、広背筋を的確に刺激できる動作がなかなか身につきにくいものです。したがって、この運動で、広背筋の発達を効果的に促すには、運動のポイントを的確にとらえて動作を行うようにしなければなりません。そのためにまず、注意しなければならないことは、使用重量を欲ばらないことです。使用重量を欲ばりすぎると動作が正確に行えなくなるので、そのことをよく自覚して重量を定めるようにしてください。
◎ベント・オーバー・ローイングにおける要点
(イ)上体が起きすぎないよう留意する。
上体が起きすぎると広背筋に与える効果が半減し、運動の重点が僧帽筋と上背部中央の諸筋に移ってしまう上体が床面と平行、つまり水平をなす姿勢を保って運動を行うのがよい。
(ロ)引きあげ動作は、手首と腕の力をできるだけぬくようにして肘で引きあげるように行う。つまり、バーベルを持ちあげるのではなく、ぶらさげた感じで引きあげる。引きあげ動作を横から見て、グリップと肘を結ぶ線が常に垂直をなしているようであればいうことはない。
(ハ)引きあげる位置に留意する。引きあげる位置が体の上部に寄りすぎると広背筋に与える効果が半減する。左右のグリップの間隔によって、引きあげる位置は変ってくるが、肩をできるだけ腰の方向へ引きつけるようにし、(ロ)の動作を忠実に守り、下腹部に寄った方へあげる。
また、引きあげたときに、シャフトがからだに必ず触れなければならないこともないので、正確な動作で引きあげられる高さまであげればそれでよい。無理にからだに触れさせようとすると、肩が前方(頭の方向)へすくんだり、引きあげ動作が腕力に頼るようになったりするのでかえって効果が半減してしまうから注意。
<トレーニング・コース>
広背筋の発達を促す基礎的な運動はベント・オーバー・ローイングです。この運動は意外に難しく、広背筋を的確に刺激できる動作がなかなか身につきにくいものです。したがって、この運動で、広背筋の発達を効果的に促すには、運動のポイントを的確にとらえて動作を行うようにしなければなりません。そのためにまず、注意しなければならないことは、使用重量を欲ばらないことです。使用重量を欲ばりすぎると動作が正確に行えなくなるので、そのことをよく自覚して重量を定めるようにしてください。
◎ベント・オーバー・ローイングにおける要点
(イ)上体が起きすぎないよう留意する。
上体が起きすぎると広背筋に与える効果が半減し、運動の重点が僧帽筋と上背部中央の諸筋に移ってしまう上体が床面と平行、つまり水平をなす姿勢を保って運動を行うのがよい。
(ロ)引きあげ動作は、手首と腕の力をできるだけぬくようにして肘で引きあげるように行う。つまり、バーベルを持ちあげるのではなく、ぶらさげた感じで引きあげる。引きあげ動作を横から見て、グリップと肘を結ぶ線が常に垂直をなしているようであればいうことはない。
(ハ)引きあげる位置に留意する。引きあげる位置が体の上部に寄りすぎると広背筋に与える効果が半減する。左右のグリップの間隔によって、引きあげる位置は変ってくるが、肩をできるだけ腰の方向へ引きつけるようにし、(ロ)の動作を忠実に守り、下腹部に寄った方へあげる。
また、引きあげたときに、シャフトがからだに必ず触れなければならないこともないので、正確な動作で引きあげられる高さまであげればそれでよい。無理にからだに触れさせようとすると、肩が前方(頭の方向)へすくんだり、引きあげ動作が腕力に頼るようになったりするのでかえって効果が半減してしまうから注意。
<トレーニング・コース>
上記のコースを隔日的、週3日行なえばよいでしよう。現行のものとさほど変わりはありませんが、スクワットの使用重量をいくぶん軽くして1セットの反復回数を20回にして行い、また胸囲の増加に必要なベント・オーバー・ローイングは部位的な優先法に基づいて、スタンディング・フロント・プレスの前に行うようにするのがよい。
大胸筋の外郭を発達させたい
Q ボディビルを始めて8ヵ月になります。トレーニングは隔日的に週3日、基礎的な運動を5種目行なっています。発達のほどは、自分なりに良好と思っていますが少々気になることがあります。
というのは、大胸筋の発達が外郭の部分にほとんどみられず、中央の部分にのみ集中し、まるで女性の胸のように見えることです。そして、このまま発達していけば、ますます女性の胸のようになってしまうのではないかと思い気にやんでいます。
このような発達の仕方をするのは、ベンチ・プレスのやり方に誤りがあるからでしょうか。それとも先天的なものでしょうか。ベンチ・プレスは現在次の2種類の方法で行なっています。
①左右のグリップの間隔をできるだけ広くして、10回×3セット。
②左右のグリップの間隔を肩幅ぐらいにして、8回×3セット。
(堺市 河口文夫 高校2年 17歳)
というのは、大胸筋の発達が外郭の部分にほとんどみられず、中央の部分にのみ集中し、まるで女性の胸のように見えることです。そして、このまま発達していけば、ますます女性の胸のようになってしまうのではないかと思い気にやんでいます。
このような発達の仕方をするのは、ベンチ・プレスのやり方に誤りがあるからでしょうか。それとも先天的なものでしょうか。ベンチ・プレスは現在次の2種類の方法で行なっています。
①左右のグリップの間隔をできるだけ広くして、10回×3セット。
②左右のグリップの間隔を肩幅ぐらいにして、8回×3セット。
(堺市 河口文夫 高校2年 17歳)
A 大胸筋が発達しているのを気にやむとは、ぜいたくな悩みともいえるでしょうが、当人にとっては深刻なことでしょう。大きく横に張り、部厚く、しかもクッキリと筋が浮かびあがっているのがビルダーの理想的な胸の形ですが、女性の胸のようにコンモリとなっていては、大胸筋の発達を誇示するどころか、気恥しさが先に立ってやりきれないことと思います。
大胸筋がそのような形に発達するのは、あなたの質問にもあるように、運動のやり方と先天的な素質によるものと考えられます。そして、その原因がよしんば先天的な素質によるものであるとしても、ことさら気にすることはありません。というのは、先天的なものであっても、大胸筋のそのような形状を修正することはトレーニングによって可能だからです。そして、あなたの場合、ベンチ・プレスのやり方から判断すると、原因はやはり運動法にあると考えられます。
ベンチ・プレスの運動法は、危険がともなわなければ、どのように行なってもさしつかえなく、とりたてて誤りとする方法はありません。しかし、あなたのように、大胸筋の発達が、あなた自身不満とする形状でなされたからには、それを修正するために、今までの運動法を誤りとして改めなければなりません。
あなたが現在行なっているベンチ・プレスの運動法は、双方とも大胸筋の外郭の部分の発達を促すには適していないといえます。つまり、①の方法はどちらかというと、中部からややワキに寄った部分を中心として大胸筋の発達を促します。また、②の方法は、そのものずばり、大胸筋の中央の部分を集中的に発達させるのに有効な方法だからです。
したがって、あなたが現在行なっている方法は、いずれも大胸筋の中央の部分には効くが、外郭の部分にはあまり効かないということがいえます。あなたも考えておられるように、大胸筋の今の形状をなおすには、外郭の部分の発達を促すことが必要です。そのためには、大胸筋の中央の部分の発達を集中的に促す現在の方法を改め、外郭により強く効く方法で運動を行うようにしなければなりません。
◆外郭の部分の発達を促すべンチ・プレスの方法
①シャフトを握るときのグリップの間隔は、両腕を左右に伸ばした状態における両肘の間隔より半こぶしぐらいずつ狭くする。つまり、このぐらいの幅に握るのが、バーベルを胸の上におろしたときに最も深く肘が下へさがるからである。大胸筋は、その作用の仕方からいって、肘が深くさがるほど外郭の部分が強く緊張する傾向があります。したがって、グリップの間隔は広すぎても、また、狭すぎても肘が下へ十分にさがらなくなるのでよくない。
②胸郭が厚い人の場合は、両膝を曲げてベンチの上に足をのせ、背をできるだけべンチに密着させて運動を行うようにするとよい。
大胸筋がそのような形に発達するのは、あなたの質問にもあるように、運動のやり方と先天的な素質によるものと考えられます。そして、その原因がよしんば先天的な素質によるものであるとしても、ことさら気にすることはありません。というのは、先天的なものであっても、大胸筋のそのような形状を修正することはトレーニングによって可能だからです。そして、あなたの場合、ベンチ・プレスのやり方から判断すると、原因はやはり運動法にあると考えられます。
ベンチ・プレスの運動法は、危険がともなわなければ、どのように行なってもさしつかえなく、とりたてて誤りとする方法はありません。しかし、あなたのように、大胸筋の発達が、あなた自身不満とする形状でなされたからには、それを修正するために、今までの運動法を誤りとして改めなければなりません。
あなたが現在行なっているベンチ・プレスの運動法は、双方とも大胸筋の外郭の部分の発達を促すには適していないといえます。つまり、①の方法はどちらかというと、中部からややワキに寄った部分を中心として大胸筋の発達を促します。また、②の方法は、そのものずばり、大胸筋の中央の部分を集中的に発達させるのに有効な方法だからです。
したがって、あなたが現在行なっている方法は、いずれも大胸筋の中央の部分には効くが、外郭の部分にはあまり効かないということがいえます。あなたも考えておられるように、大胸筋の今の形状をなおすには、外郭の部分の発達を促すことが必要です。そのためには、大胸筋の中央の部分の発達を集中的に促す現在の方法を改め、外郭により強く効く方法で運動を行うようにしなければなりません。
◆外郭の部分の発達を促すべンチ・プレスの方法
①シャフトを握るときのグリップの間隔は、両腕を左右に伸ばした状態における両肘の間隔より半こぶしぐらいずつ狭くする。つまり、このぐらいの幅に握るのが、バーベルを胸の上におろしたときに最も深く肘が下へさがるからである。大胸筋は、その作用の仕方からいって、肘が深くさがるほど外郭の部分が強く緊張する傾向があります。したがって、グリップの間隔は広すぎても、また、狭すぎても肘が下へ十分にさがらなくなるのでよくない。
②胸郭が厚い人の場合は、両膝を曲げてベンチの上に足をのせ、背をできるだけべンチに密着させて運動を行うようにするとよい。
上腕囲の発達が止まってしまった
Q ボディビルを始めてから約1年になります。発達の経過は自分なりに判断して、決して悪いものではないと思っています。開始前に比べて胸囲は10cmほど大きくなり、大腿囲も7cm太くなっています。肩の隆起も最近は見られるようになりまたウエストもしまってビルダーらしい体形になりつつあります。
ただひとつ残念なのは、半年ほど前から上腕囲の発達が止まったままであることです。自分でも大きくする方法をいろいろ考えて試してはいるのですが、いっこうに成果があがりません。いまでは、もう何が何だかさっばりわからなくなってしまいました。
そんなわけで、思いあまって次の2点についておうかがいする次第です。
①他の部分の発達は順調なのに、なぜ上腕のみがほとんど発達しないのか。
②小生の場合、腕を発達させる打開策はあるか。あるとすればどのような方法で行えばよいのか。
以上、実際にワラにもすがりたい心境ですので、なにとぞよき解答とアドバイスをお願いします。
<発達の経過>
ただひとつ残念なのは、半年ほど前から上腕囲の発達が止まったままであることです。自分でも大きくする方法をいろいろ考えて試してはいるのですが、いっこうに成果があがりません。いまでは、もう何が何だかさっばりわからなくなってしまいました。
そんなわけで、思いあまって次の2点についておうかがいする次第です。
①他の部分の発達は順調なのに、なぜ上腕のみがほとんど発達しないのか。
②小生の場合、腕を発達させる打開策はあるか。あるとすればどのような方法で行えばよいのか。
以上、実際にワラにもすがりたい心境ですので、なにとぞよき解答とアドバイスをお願いします。
<発達の経過>
<現在のトレーニング・スケジュール>
(隔日的,週3日)
(隔日的,週3日)
以上のとおりです。トレーニング後の疲労は快よいものです。また、翌日にも滅多に疲れが残りません。食事の内容は、蛋白質の摂取1日90gを目標とし、それにビタミン、カルシウム等他の栄養素のバランスにも気を配っています。 (埼玉県 会田安雄 23歳)
A 上腕部のみが、全体の発達にともなっていないとのことですが、そのような現象は決してめずらしいことではありません。ボディビルを行う多くの人たちが、からだが発達していく過程でしばしば見られる現象です。
からだの発達は、つねに全身的になされるとかぎったものではなく、むしろ、あなたの場合のように、部分的な沈みをともなった発達の経過をたどることのほうが多いといえます。そういったわけですから、あなたも、あまり思いつめて考えずに気を楽に持つことです。ワラにもすがりたいという心境は解らぬでもありませんが、あなたの場合、ある意味では、気持のゆとりのなさが原因になっているとも考えられるので、ことさら気を楽にする必要があります。
では、推察される原因と、その打開策について述べるとします。
まず、原因として考えられることは上腕囲との比較から考察して、上腕の運動で使用する重量が重すぎるのではないかということです。このことは、あくまでも推察の域を出ませんが、おそらくまちがってはいないでしょう。
筋の発達を促すには、ただ使用重量を重くして運動を行いさえすればよいといったものではなく、また、トレーニング量を多くすればこと足りるといったものでもありません。なによりもまず、筋を十分に刺激することが必要で、そのためには、的確な動作で運動を行うようにしなければなりません。使用重量を欲ばりすぎると動作が雑になり、かえって筋を十分に刺激することができなくなります。
あなたの場合、上腕部以外の部位の発達が順調に得られたのは、運動を的確な動作で行うことのできる適切な重量を用いてトレーニングを行なったからでしょう。このことは、やはり体位との比較から容易に推察できます。
それにひきかえ、上腕部の発達のみがほとんど得られなかったのは、的確な動作で行うには無理と思われる重量を使用して運動を行なったからと考えられます。
したがって、あなたの場合、この6ヵ月間に、からだの発達の仕方に部分的なひずみが生じたのは、①上腕部のための運動の使用重量を欲ばりすぎた。
②そのために、運動の動作が不正確になった。この2点に原因があると判断されます。それにもうひとつ原因として加えるなら、気持にゆとりがなかったことではないでしょうか。前にもふれたように、気持にゆとりがなかったことが、ある意味では最大の原因かもしれません。推測ではありますが、効果を焦る気持から、いつしか腕の筋力にともなわない無理な重量を用いることになり、運動の動作が不正確になったのではないでしょうか。そして、その結果、かえって効果が得られなくなったことから、焦りの気持がいっそうつのり、使用重量をさらに無理なものへと増量していく悪循環に陥ち入ったのではないでしょうか。そのような悪循環に落ち入ると、どこかでそれを断ち切らないかぎり絶対にといっていいほど、トレーニングの効果は得られなくなります。もし、上述した推測が当っているとすれば、①と②の誤りを来たしたおおもとの原因は、運動法というよりも、気持のゆとりがなかったことであるといえます。
トレーニングの効果というものは、もちろん、実際にトレーニングを一定期間行なってみなければわかりません。しかし、よい結果を得るためには事前に、自分が行おうとしているトレーニング法(または行なっているトレーニング法)が、よい結果を得るに適したものであるかどうか十分に検討し、正しいと判断した上で行うことが大切です。それには、ボディビルの正しい知識と、個別性を把握することのできる経験とが必要ですが、それにも増して、トレーニングの適・不適を客観的に判断するための心のゆとりが必要です。心にゆとりがないと、得てしてトレーニングの方法が欲ばったものになるので十分に留意しなければなりません。
以上、推察される原因の究明と、気持の持ち方について述べましたが、それでは、現状を打開する実際的な方法について述べるとしましょう。なお、あなたの場合、腕以外の部位が順調に発達しているということから、全身的な蓄積疲労がないものと判断し、その見地から述べることにします。
まず、打開策の要点は、先に述べた原因から、
①使用重量を軽くする。
②適確な動作で運動を行う。
の2点になります。
①運動で使用する重量は、後述するチーティング・スタイルによる場合も含めて、筋を的確に刺激することのできる動作を正確に行えるものを使用する。そのためには、採用する各運動種目の正しい動作を習得する必要がある。
的確な動作とは、すなわち正確な動作のことであるが、反動を使わなければ全て正確な動作であるということではない。反動を使わずに動作を行なっても、運動法として不正確なこともあれば、その反対に反動を作っても正確と認められる動作もある。つまり、運動の動作の正確か不正確かの判定は、反動を使わずに行うか(ストリスト)、あるいは反動を使って行うか(チーティング)によるのではなく、あくまでも、発達を意図する筋に的確に刺激が与えられるかどうかによる。
したがって、正確な動作で運動を行うためには、各種目の運動法のポイントをよくのみこんでおくことが必要である。とくに、上腕部のための運動は、ちよっとした肘の位置と向きのちがいによって効果が半減してしまうこともある。
からだの発達は、つねに全身的になされるとかぎったものではなく、むしろ、あなたの場合のように、部分的な沈みをともなった発達の経過をたどることのほうが多いといえます。そういったわけですから、あなたも、あまり思いつめて考えずに気を楽に持つことです。ワラにもすがりたいという心境は解らぬでもありませんが、あなたの場合、ある意味では、気持のゆとりのなさが原因になっているとも考えられるので、ことさら気を楽にする必要があります。
では、推察される原因と、その打開策について述べるとします。
まず、原因として考えられることは上腕囲との比較から考察して、上腕の運動で使用する重量が重すぎるのではないかということです。このことは、あくまでも推察の域を出ませんが、おそらくまちがってはいないでしょう。
筋の発達を促すには、ただ使用重量を重くして運動を行いさえすればよいといったものではなく、また、トレーニング量を多くすればこと足りるといったものでもありません。なによりもまず、筋を十分に刺激することが必要で、そのためには、的確な動作で運動を行うようにしなければなりません。使用重量を欲ばりすぎると動作が雑になり、かえって筋を十分に刺激することができなくなります。
あなたの場合、上腕部以外の部位の発達が順調に得られたのは、運動を的確な動作で行うことのできる適切な重量を用いてトレーニングを行なったからでしょう。このことは、やはり体位との比較から容易に推察できます。
それにひきかえ、上腕部の発達のみがほとんど得られなかったのは、的確な動作で行うには無理と思われる重量を使用して運動を行なったからと考えられます。
したがって、あなたの場合、この6ヵ月間に、からだの発達の仕方に部分的なひずみが生じたのは、①上腕部のための運動の使用重量を欲ばりすぎた。
②そのために、運動の動作が不正確になった。この2点に原因があると判断されます。それにもうひとつ原因として加えるなら、気持にゆとりがなかったことではないでしょうか。前にもふれたように、気持にゆとりがなかったことが、ある意味では最大の原因かもしれません。推測ではありますが、効果を焦る気持から、いつしか腕の筋力にともなわない無理な重量を用いることになり、運動の動作が不正確になったのではないでしょうか。そして、その結果、かえって効果が得られなくなったことから、焦りの気持がいっそうつのり、使用重量をさらに無理なものへと増量していく悪循環に陥ち入ったのではないでしょうか。そのような悪循環に落ち入ると、どこかでそれを断ち切らないかぎり絶対にといっていいほど、トレーニングの効果は得られなくなります。もし、上述した推測が当っているとすれば、①と②の誤りを来たしたおおもとの原因は、運動法というよりも、気持のゆとりがなかったことであるといえます。
トレーニングの効果というものは、もちろん、実際にトレーニングを一定期間行なってみなければわかりません。しかし、よい結果を得るためには事前に、自分が行おうとしているトレーニング法(または行なっているトレーニング法)が、よい結果を得るに適したものであるかどうか十分に検討し、正しいと判断した上で行うことが大切です。それには、ボディビルの正しい知識と、個別性を把握することのできる経験とが必要ですが、それにも増して、トレーニングの適・不適を客観的に判断するための心のゆとりが必要です。心にゆとりがないと、得てしてトレーニングの方法が欲ばったものになるので十分に留意しなければなりません。
以上、推察される原因の究明と、気持の持ち方について述べましたが、それでは、現状を打開する実際的な方法について述べるとしましょう。なお、あなたの場合、腕以外の部位が順調に発達しているということから、全身的な蓄積疲労がないものと判断し、その見地から述べることにします。
まず、打開策の要点は、先に述べた原因から、
①使用重量を軽くする。
②適確な動作で運動を行う。
の2点になります。
①運動で使用する重量は、後述するチーティング・スタイルによる場合も含めて、筋を的確に刺激することのできる動作を正確に行えるものを使用する。そのためには、採用する各運動種目の正しい動作を習得する必要がある。
的確な動作とは、すなわち正確な動作のことであるが、反動を使わなければ全て正確な動作であるということではない。反動を使わずに動作を行なっても、運動法として不正確なこともあれば、その反対に反動を作っても正確と認められる動作もある。つまり、運動の動作の正確か不正確かの判定は、反動を使わずに行うか(ストリスト)、あるいは反動を使って行うか(チーティング)によるのではなく、あくまでも、発達を意図する筋に的確に刺激が与えられるかどうかによる。
したがって、正確な動作で運動を行うためには、各種目の運動法のポイントをよくのみこんでおくことが必要である。とくに、上腕部のための運動は、ちよっとした肘の位置と向きのちがいによって効果が半減してしまうこともある。
〔解答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内威先生〕
月刊ボディビルディング1975年11月号
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