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<特集・スタミナメニュー>
ミスター日本出場選手の食事法 1976年4月号

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月刊ボディビルディング1976年4月号
掲載日:2018.08.14
野沢秀雄(ヘルス・インストラクター)

5. 塚本猛義選手(大阪代表)

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①コンテストに備えて約3カ月前から表5のような特別食に切り換える。
②ふだんのトレーニングのときの食事内容は表5参照。
③食事以外にハイプロティンとエビオスを使っている。
④コンテスト当日の朝食は、協会指定のホテルで和食定食(ごはん1杯、さかな1匹、生タマゴ1個、みそ汁1杯)
<表5>塚本選手の食事内容

<表5>塚本選手の食事内容

<講評>
168cm、72kg、胸囲110cm、腕囲41cmという体位でミスター大阪に優勝。ミスター日本にも‘74 '75と連続7位に入賞している。その迫力あるポージングは数年前から話題になっているが、昨年も力いっぱいのファイトを見せてくれた。

食事内容は、さすが一流の域に達しているだけであって充実している。特別食の場合、肉500g・たまご8個・牛乳4本・チーズ60g・ハイプロティン大さじ8杯(約56g)というようにこれだけでカロリー約2800、たんぱく質227gになる。そのうえ、ごはん・焼魚2切・りんご・エビオス等が加わるから一般の人と比較してカロリーは2倍近く、たんばく質は3倍以上になっている計算だ。

もちろんこれだけ食べる背景には塚本選手のモーレツな鍛練ぶりがあるわけで、それだけ激しいトレーニングをしない人が、単に食事方法だけを真似すると、たちまち脂肪太りになったり、血管にコレステロールがたまったり、血液が酸性になったりで心配なことが多い。

塚本選手の場合、ふつうのトレーニングのときの食事はややレベルを落としているが、カロリー・たんぱく共にかなり多い。反面、生野菜やフレッシュな果物が不足している。25才ならまだよいが、これからは同じトレーニングをしても疲れやすくなる傾向に向うので、野菜類・海藻・果物・小魚などをもっとふやすことをすすめたい。また、肉よりも納豆やプロティンなど植物性の食品の比重を多くしていけばどうだろうか?

6. 牧島進一郎選手(福岡代表)

記事画像3
①コンテストに備えての特別食はしない。表6のように3食とも会社の定食が中心である。
②サプルメントとしてハイプロティンパウダーを使用。
③コンテスト当日の朝食は、東京グリーンホテルでトースト2枚、ゆで卵1個、野菜サラダ、コーヒー。
<表6>牧島選手の食事内容

<表6>牧島選手の食事内容

<講評>
身長164cmながら体重が75kg、胸囲120cm、腕囲42cmと、見るからにガッチリした筋肉のボリュームと、それでいて力強いデフィニションも備えており、可能性を秘めたスケールの大きさを感じさせる。

食事内容は、ごはんはふつうの人と同じように食べ、不足するたんばく質をハイプロティンや牛乳で補う理想的な型になっている。「会社の定食は栄養士が献立を考え2500カロリー、たんぱく70gぐらいになっているだろう」と補足説明がついているが、ふつうの何もトレーニングをしない人の場合はこれで十分だが、すぐれた体格や体力をつくるにはこれでは不十分である。その点、牧島選手はよく考えた食事法を実行している。

なお、前記の塚本選手と同じく25才というが、今シーズンはあんぱんを止めてプロティン大さじ1杯にすればどうだろう?価格もあんぱん1個よりも安くて、バルクが付きすぎないように配慮するのに良い効果をもつのだから・・・・・・。

7. 野崎清重選手(富山代表)

記事画像5
①コンテストに備えて特別食はしない
②食事内容は表7のとおり。
③サプルメントとして従来何もしなかったが、ことしからハイプロティンを使っている。
④コンテスト当日の食事は、おにぎり1個、くじらの缶詰、牛乳500cc、みかん2個
<表7>野崎選手の食事内容

<表7>野崎選手の食事内容

<講評>
野崎選手が全国大会に登場したのはたしか3年前の「ミスター実業団」コンテストから。当時、身長は162cmながら、背筋の発達や脚の太さ、焼きこんだ肌の色など、注目を集めたことを覚えている。

昨年のコンテストでは体重72kg、胸囲120cm、腕囲43cmと、いままでの最好調の体位で試合に臨み、懸命な力のこもったポージングを見せてくれた。バルクがありながら、天性といっていいような見事なデフィニション。これは生まれつき皮下脂肪がつきにくいという恵まれた体質なのかも知れない。

だが、野崎選手もこれだけのコンディションを維持するために、相当にきびしいトレーニングが伴なうことはいうまでもない。まして25才を過ぎると、ひとりでについてくる“脂肪”という敵と戦わねばならない。チャンピオンになった榎本選手も「ちょっと気がゆるむとバルクタイプになる」というが本当に第1級のレベルを維持するのはタイへンなことだ。

食事内容はバランスがよく申し分ない。プロティンを使えば牛乳2本で4本分の栄養を充分にとれるので、トレーニングの前後に活用するのがよい。
月刊ボディビルディング1976年4月号

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