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ミスター日本出場選手の食事法 1976年5月号

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月刊ボディビルディング1976年5月号
掲載日:2018.08.16
野沢秀雄(へルス・インストラクター)
<兵庫代表・東海林徹選手>

<兵庫代表・東海林徹選手>

①コンテストに備えて、3カ月以上前から特別食に切り換える。その内容は<表1>のとおりで、1日5食になっていることに注目したい。
②ふつうの食事は同じく<表1>のとおりで、1日4食で、ごはんも少しながら食べている。
③特別なサプルメントはプロティン,果糖、ジャームオイル、エビオス。
④コンテスト当日の朝食は知人宅で、ごはん茶わん2杯、みそ汁、卵1個、肉少々。
<表1>東海林選手の食事法

<表1>東海林選手の食事法

(講評)

以前、ミスター神奈川で優勝したときから東海林選手を知っているが、息の長いすぐれたビルダーである。とくにこの1年間、31才という年令に打ち勝って、筋肉をきたえあげ、デフィニションのすごみを出し、ミスター・アポロ優勝に続いて、ミスター日本では見事7位に入賞。その根性は同じく4位の木本選手と並んで高く評価される。
 さてその食事内容はベテラン選手だけにポイントをよくおさえている。すなわち、①回数を分けていること。②少量ずつエネルギー源になるごはん、パンを食べていること。③野菜や果物を豊富にとっていること。④プロティンをうまく利用していることなど、参考になることが多い。
 反面、卵6個、牛乳4本、肉、クジラ、チーズ、プロティン大さじ12杯というのは、かなりたんぱく質過剰と思う。同選手の懸命なトレーニングぶりを見ていないので、その程度にもよるが、76kgという体重から見ても相当オーバーである。もうひと工夫してほしい。
<三重代表・東三男選手>

<三重代表・東三男選手>

①コンテストに備えて<表2>のような特別食にする。
②ふつうの食事は<表2>のとおりだが、ほとんど一般の人と変らない。
③サプルメントはプロティンとエビオス。
④コンテスト当日はホテルでパン2切れ、紅茶、タマゴの朝食だった。
<表2>東選手の食事法

<表2>東選手の食事法

(講評)

 ミスター三重2位、年令23才、身長165cm、体重68kg、胸囲115cm、腕囲40cmという有望な新人選手である。年令が若いだけに今後の活躍が期待される。食事内容について2~3アドバイスしたい。
①量目が記入されていないので正確には分からないが、特別食にやや炭水化物が不足、ふつうの食事にはややたんぱく質が不足しているように思われる。体重をあと5kgぐらい増やすと迫力がつく。遠慮なく食べてそれだけトレーニングで燃焼してほしい。
②生野菜やフルーツが不足。ジュースよりも新鮮なものをバリバリ食べるようにした方がいい。
③夕食にプロティンを飲むのもよいがトレーニングした日の就寝前に飲むのが有効である。寝ている間に負担をかけた筋肉群にたんぱく質が働いて筋肉細胞を大きく強靱にすることが報告されている。つまり食べる回数を増やす方が体重増加によいのだ。
<東京代表・加藤一男選手>

<東京代表・加藤一男選手>

①コンテストに備えて3ヵ月以上前から<表3>のような特別食にする。
②サプリメントはプロティンと胃腸薬ビオフェルミン。
③コンテスト当日の朝食は自宅でみそ汁1杯のみ。
<表3>加藤選手の食事法

<表3>加藤選手の食事法

「トレーニングにあけ、トレーニングに暮れる」といっていいほど熱心に練習や鍛錬を続けるビルダーである。特別食もふつう食も、一流ビルダーにふさわしく、よく配慮されてはいるが、昼食や夕食は一度に多く食べすぎている。食欲があって食べるならいいけれど、無理に食べているとしたら無駄というよりマイナスである。食事は空腹感に応じて過不足なく食べるのが最高だ。そうでないと、内臓に負担をかけ、かえって疲れやすくなる。
 ふつう食の場合、卵1個と納豆を就寝少し前に食べるとよい。特別食は全般に量をへらし、同じく夜食を活かしたらよいだろう。
 コンテスト当日の朝「みそ汁1杯のみ」では戦いに勝てない。フィイトを生むのは当日の朝食だ。はげしい直前のパンプ・アップや「よーし、やったるで」という気迫は充分な朝食抜きには考えられない。
<神奈川代表・金城正勝選手>

<神奈川代表・金城正勝選手>

①コンテストに備えて約1ヵ月前から<表4>のような特別食にする。
②食事以外にサプルメントは使用しない。
③コンテスト当日の朝は自宅で生野菜とコーヒーのみ。
<表4>金城選手の食事法

<表4>金城選手の食事法

(講評)

 ミスター神奈川第1位に見事カムバックしたキャリア10年のベテラン選手である。一時プロレスに転向してはなやかな活躍のあと、再び勇姿を見せてくれた。身長170cm、体重83kg、胸囲125cm、腕囲43cmというサイズから見てわかるとおりバルク型で、しかもデフィニションもあり、とくに肩から腕と胸にかけての重厚感がすばらしい。
 ウェイトを増したあと、引きしめるために相当苦労したメニューであることがよくわかるが、あまり落しすぎるのは危険である。とくにコンテスト当日、野菜とコーヒーだけでは体がもたない。チョコレート、プロティン、砂糖、レモン、ごはん、卵、植物油などを適当にとることだ。食べてすぐ脂肪になるわけではないからエネルギー源としてキャンデーなど甘いものも良い。
 生野菜やみかんが多いことは非常によい。ビルダーにしばしば不足の傾向がみられるがぜひ見習いたいものだ。
「ミスター日本コンテスト出場選手の食事法」は紙数の都合で今月号をもって一応終了します。来月号から、おなじみのスタミナ・メニュー・シリーズが登場しますので、その中に、多数お寄せいただいた選手の方々の食事法を適宜紹介させていただきます。ご協力ありがとうございました。

右手首がなくてもトレーニングはできる!

渡辺忠宏さん
ー渡辺忠宏さんをはげまそうー
記事画像9
「アッ、いけない!」と思ったときはすでに遅く、私の右手は機械にはさまれて、その場にたおれてしまいました
 ――と語るのは兵庫県伊丹市の渡辺忠宏さん(22才)だ。この事故がもとで右手首から先を切断して失なってしまったが、そのショックから立ちなおり、現在は特別の補助具を使ってバーベル・トレーニングにはげんでいる。身長188cm、体重79kg、胸囲101cmという大柄な身体だけに、筋肉のボリュウムがつけばすごい選手になろう。
 「なかなか思うように伸びないけれど熱心にトレーニングしたり、研究したりしています。」と彼はいう。
 相当にくわしい水準で健康や体力づくりについて勉強して、あとは実際がその通りになるのを待つだけ。渡辺さんの意欲と向上心と信念に声援を送りたい。がんばってもらうように手紙やハガキを出そう。住所は下記の通り
月刊ボディビルディング1976年5月号

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