JBBAボディビル・テキスト 33
指導者のためのからだづくりの科学
各論Ⅱ(栄養について)
月刊ボディビルディング1976年6月号
掲載日:2018.07.12
日本ボディビル協会指導員審査会委員長 佐野 匡宣
5―2―2 糖質に対する考慮
食物として摂取する糖質の大半はデンプンおよびショ糖、乳糖であって、消化管内で消化され、大部分はブドウ糖に、一部は果糖、ガラクトースとなって吸収される。
吸収されたブドウ糖の一部は直ちに燃焼するが、大部分は肝臓および筋肉に、いったんグリコーゲンとなって貯蔵されたのち、必要に応じてブドウ糖となり、あるいは直接グリコーゲンから代謝に入り燃焼する。果糖やガラクトースも同様に直ちに燃焼するか、グリコーゲンとして貯えられる。
①体内貯蔵物質としての糖質
血液や細胞外液中には、おもにブドウ糖として存在しており、体内に存在するグリコーゲンおよびブドウ糖の量は、われわれ日本人(成人平均体重60㎏とみて)で約300g程度である。
②体構成成分としての糖質
これらは酸性アミノ多糖類と呼ばれるもので、アミノ基のほかに、ウロン酸や、さらにズルホン基をもつことも多い。
また糖タンパク質と呼ばれるものもあり、糖とタンパク質が比較的強く結合しており、糖質が数%から80%までのいろいろの種類がある。80%も糖質を含むものの例としては血液型ムコ多糖類がある。成分としてはグルコサミン、ガラクトサミン、マンノース、グルクロンサン、ノイラミン酸等の糖質が含まれるもので、一般に皮膚、結合組織、軟骨、腱、眼硝子体液等に含まれている。
たとえば、皮膚、結合組織、眼の水晶体、関節滑液等には、多糖類の一種であるヒアルロン酸があり、組織の防禦物質として重要なもので、L―アセチルグルコサミンとグルクロン酸の重合体で分子量20~40万のものである。
皮膚、結合組織、軟骨の成分としてのコンドロイチン硫酸もムコ多糖類でコラーゲン(蛋白質)と共存しておりコラーゲン(蛋白質)の線維構造を助けている。
血液凝固阻止作業をもつへバリンは肝臓、肺臓、胸腺、脾臓等より抽出されるが、これもズルホン基をもつ多糖類で、グルクロン酸とグルコサミンが重合したもので、硫酸がエステル結合したものである。
リポーズ、デオキシリポーズ等(五炭糖)は核酸の成分としてすべての細胞に存在している。
以上のように生理に重要なものも少なくない。しかし、糖は体内貯蔵としての量は少なく、また、体構成成分としても量的にはわずかしか存在していない。ほとんどエネルギー源として使用されるものである。
吸収されたブドウ糖の一部は直ちに燃焼するが、大部分は肝臓および筋肉に、いったんグリコーゲンとなって貯蔵されたのち、必要に応じてブドウ糖となり、あるいは直接グリコーゲンから代謝に入り燃焼する。果糖やガラクトースも同様に直ちに燃焼するか、グリコーゲンとして貯えられる。
①体内貯蔵物質としての糖質
血液や細胞外液中には、おもにブドウ糖として存在しており、体内に存在するグリコーゲンおよびブドウ糖の量は、われわれ日本人(成人平均体重60㎏とみて)で約300g程度である。
②体構成成分としての糖質
これらは酸性アミノ多糖類と呼ばれるもので、アミノ基のほかに、ウロン酸や、さらにズルホン基をもつことも多い。
また糖タンパク質と呼ばれるものもあり、糖とタンパク質が比較的強く結合しており、糖質が数%から80%までのいろいろの種類がある。80%も糖質を含むものの例としては血液型ムコ多糖類がある。成分としてはグルコサミン、ガラクトサミン、マンノース、グルクロンサン、ノイラミン酸等の糖質が含まれるもので、一般に皮膚、結合組織、軟骨、腱、眼硝子体液等に含まれている。
たとえば、皮膚、結合組織、眼の水晶体、関節滑液等には、多糖類の一種であるヒアルロン酸があり、組織の防禦物質として重要なもので、L―アセチルグルコサミンとグルクロン酸の重合体で分子量20~40万のものである。
皮膚、結合組織、軟骨の成分としてのコンドロイチン硫酸もムコ多糖類でコラーゲン(蛋白質)と共存しておりコラーゲン(蛋白質)の線維構造を助けている。
血液凝固阻止作業をもつへバリンは肝臓、肺臓、胸腺、脾臓等より抽出されるが、これもズルホン基をもつ多糖類で、グルクロン酸とグルコサミンが重合したもので、硫酸がエステル結合したものである。
リポーズ、デオキシリポーズ等(五炭糖)は核酸の成分としてすべての細胞に存在している。
以上のように生理に重要なものも少なくない。しかし、糖は体内貯蔵としての量は少なく、また、体構成成分としても量的にはわずかしか存在していない。ほとんどエネルギー源として使用されるものである。
5―2―3糖質摂取上の注意
糖質の生理的エネルギーは1g当り4カロリーとして計算されている。生体では糖質の不足は他の熱量素の分解によって補うことができる。
通常、食物として摂取する糖質の量は、1日の消費カロリーの内、われわれ日本人の場合は一般に70~75%(おもに米)であり、米国では45%といわれている。
極端な低糖食は、①脂肪の分解に伴うケトン体の生成で酸血症(アチトーシス)、ケト血症、②血糖維持のために組織タンパク質の糖への交換、すなわち糖新生による負の窒素平衡。以上2つの理由から有害である。
一方、糖質の過剰摂取は消化管に負担をかけ、その吸収に伴う水分、塩分等のため、循環器への影響があり、また、脂質への変換が起こる。すなわち糖質の多い食品のたべすぎは、身体に利用される以外の余分のものは脂肪に変わって肥満のもとになる。
単糖類や少糖類、とくにショ糖の摂取はデンプンに比べてすみやかに吸収されるため、一時的に糖過剰の状態となり、肥満。さらには高コレステロール血(動脈硬化の誘因)、糖尿病を悪化させる等の害が生じるので、糖摂取過剰にならないよう注意しなければならない。
動物の飼育実験による糖の生長促進効果は、麦芽糖、デンプン、デキストリン、乳糖、ショ糖の順であるとされており、五炭糖やガラクトースの過剰は眼の水晶体に白内障を起すことがあるといわれており注意すべきである。
線維素、寒天、ペクチン、イヌリン等は消化されない。線維素は消化管の活動に役立つが、これは粉末より線維の方がよく、腸内細菌によってある程度利用される。
いろいろな糖質のうち、白米の糖質が一番脂肪になりやすく、その次が小麦の糖質であるといわれている。
糖質は非常によく燃えて、つまり酸化してカロリーを発生するが、そのためには絶対にビタミンB1が必要で、ビタミンB1の摂取がないと、体内でのカロリー発生が妨げられる。
デンプン類、殻類、めん類等の糖質を摂りすぎると、体内で分解するために膵臓の働きが盛んになり、沢山のインスリンを分泌するが、このような食物を食べすぎると、遂には膵臓が疲れインスリンの分泌が少なくなり、分解してカロリーにならないで、血中に入り、過血糖となり、尿から出るようになる。これが糖尿病である。
また、脳は非常に複雑な働きをしているが、そのエネルギーのもとはブドウ糖でなければならない。蛮白質とか脂肪とかは脳の活動エネルギーとしては役立たないので、この点も留意する必要がある。
デンプン以外の多糖類は、大体に消化管内に分泌される消化酵素によって分解されないので難消化物とも呼んでいる。このような多糖類としてはセルローズ、へミセルローズ、ペクチン、コンニャクマンナン、アルギン酸、イヌリン、寒天、キチン、ガム質等がある。これらは肥満者に対する。やせるための低カロリー、あるいはノンカロリー食としての利用、さらには肥りすぎ予防のための食品としても、その価値が認められてきている。
糖質の過剰摂取はくれぐれも注意しなければならないが、極端な糖質の摂取制限も、体力低下をきたすだけでなく、健康上も、頭の働きの上からも有害である。また、低カロリー食品としての難消化性多糖類の利用の生理的意義が解明され、脚光を浴びるようになってきていること等、糖質に対する栄養学的意義や価値をいま一度正しく認識していただきたい。
最後に糖の甘味度について簡単にふれておきたい。糖は一般に甘味を呈するが、糖の種類によりかなり差がありまた同じ種類の糖でもα型、β型(αβの2つの型の説明はあまりに専門的になるので省略する)によって甘味度が異なる。
各種の糖の甘味度をショ糖を100として比較すると次のようになる。ただしこの中の人工甘味料(ズルチン、サッカリン)は栄養的価値はない。
通常、食物として摂取する糖質の量は、1日の消費カロリーの内、われわれ日本人の場合は一般に70~75%(おもに米)であり、米国では45%といわれている。
極端な低糖食は、①脂肪の分解に伴うケトン体の生成で酸血症(アチトーシス)、ケト血症、②血糖維持のために組織タンパク質の糖への交換、すなわち糖新生による負の窒素平衡。以上2つの理由から有害である。
一方、糖質の過剰摂取は消化管に負担をかけ、その吸収に伴う水分、塩分等のため、循環器への影響があり、また、脂質への変換が起こる。すなわち糖質の多い食品のたべすぎは、身体に利用される以外の余分のものは脂肪に変わって肥満のもとになる。
単糖類や少糖類、とくにショ糖の摂取はデンプンに比べてすみやかに吸収されるため、一時的に糖過剰の状態となり、肥満。さらには高コレステロール血(動脈硬化の誘因)、糖尿病を悪化させる等の害が生じるので、糖摂取過剰にならないよう注意しなければならない。
動物の飼育実験による糖の生長促進効果は、麦芽糖、デンプン、デキストリン、乳糖、ショ糖の順であるとされており、五炭糖やガラクトースの過剰は眼の水晶体に白内障を起すことがあるといわれており注意すべきである。
線維素、寒天、ペクチン、イヌリン等は消化されない。線維素は消化管の活動に役立つが、これは粉末より線維の方がよく、腸内細菌によってある程度利用される。
いろいろな糖質のうち、白米の糖質が一番脂肪になりやすく、その次が小麦の糖質であるといわれている。
糖質は非常によく燃えて、つまり酸化してカロリーを発生するが、そのためには絶対にビタミンB1が必要で、ビタミンB1の摂取がないと、体内でのカロリー発生が妨げられる。
デンプン類、殻類、めん類等の糖質を摂りすぎると、体内で分解するために膵臓の働きが盛んになり、沢山のインスリンを分泌するが、このような食物を食べすぎると、遂には膵臓が疲れインスリンの分泌が少なくなり、分解してカロリーにならないで、血中に入り、過血糖となり、尿から出るようになる。これが糖尿病である。
また、脳は非常に複雑な働きをしているが、そのエネルギーのもとはブドウ糖でなければならない。蛮白質とか脂肪とかは脳の活動エネルギーとしては役立たないので、この点も留意する必要がある。
デンプン以外の多糖類は、大体に消化管内に分泌される消化酵素によって分解されないので難消化物とも呼んでいる。このような多糖類としてはセルローズ、へミセルローズ、ペクチン、コンニャクマンナン、アルギン酸、イヌリン、寒天、キチン、ガム質等がある。これらは肥満者に対する。やせるための低カロリー、あるいはノンカロリー食としての利用、さらには肥りすぎ予防のための食品としても、その価値が認められてきている。
糖質の過剰摂取はくれぐれも注意しなければならないが、極端な糖質の摂取制限も、体力低下をきたすだけでなく、健康上も、頭の働きの上からも有害である。また、低カロリー食品としての難消化性多糖類の利用の生理的意義が解明され、脚光を浴びるようになってきていること等、糖質に対する栄養学的意義や価値をいま一度正しく認識していただきたい。
最後に糖の甘味度について簡単にふれておきたい。糖は一般に甘味を呈するが、糖の種類によりかなり差がありまた同じ種類の糖でもα型、β型(αβの2つの型の説明はあまりに専門的になるので省略する)によって甘味度が異なる。
各種の糖の甘味度をショ糖を100として比較すると次のようになる。ただしこの中の人工甘味料(ズルチン、サッカリン)は栄養的価値はない。
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