なんでもQ&Aお答えします 1976年8月号
月刊ボディビルディング1976年8月号
掲載日:2018.04.16
前腕の発達を促すには
Q ボディビル歴4年、上腕に比べて前腕が細いので悩んでいます。前腕の腹に当る部分の発達はまあまあですが、横腹と背に当る部分はまるっきり駄目です。
現在、バーベルを使ってやるリスト・カールとリバース・リスト・カールの2種目をそれぞれ3セットずつ行なっています。ちなみに今までにやったことのある前腕のための運動種目は下記のとおりですが、どれもこれも前腕の横腹と背に当る部分にはたいして効かなかったようです。この部分に有効な運動種目をご紹介ください。
◎現在までに採用したことのある前腕の運動種目(現在行なっている種目も含む)。
①リスト・カール・ウイズ・バーベル
②リスト・カール・ウイズ・ダンベル
③ストレート・アーム・リスト・カール・ウイズ・バーベル
④リバース・リスト・カール・ウイズ・バーベル
⑤リバース・リスト・カール・ウイズ・ダンベル
⑥ストレート・アーム・リベース・リスト・カール・ウイズ・バーベル
⑦リスト・ローラー・エクササイズ
(山梨県大月市 城田完二 23歲)
現在、バーベルを使ってやるリスト・カールとリバース・リスト・カールの2種目をそれぞれ3セットずつ行なっています。ちなみに今までにやったことのある前腕のための運動種目は下記のとおりですが、どれもこれも前腕の横腹と背に当る部分にはたいして効かなかったようです。この部分に有効な運動種目をご紹介ください。
◎現在までに採用したことのある前腕の運動種目(現在行なっている種目も含む)。
①リスト・カール・ウイズ・バーベル
②リスト・カール・ウイズ・ダンベル
③ストレート・アーム・リスト・カール・ウイズ・バーベル
④リバース・リスト・カール・ウイズ・バーベル
⑤リバース・リスト・カール・ウイズ・ダンベル
⑥ストレート・アーム・リベース・リスト・カール・ウイズ・バーベル
⑦リスト・ローラー・エクササイズ
(山梨県大月市 城田完二 23歲)
A
前腕にはいろいろな働きをする多種の筋があります。手首を掌側方向へまげる屈筋群、手首を背側方向へ反らす伸筋群、手首を内方向へひねる回内筋群、手首を外方向へまわす回外筋、それに手を開いたり握ったりするときに作用する深指屈筋、総指伸筋等です。
したがって、前腕の発達を促すにはまず、前腕の作用上の特質をよくつかみ、その上で適切と思われる運動を選んで行わなければなりません。
あなたがこれまでに行なった前腕の運動種目は、リストローラー・エクササイズを除いては、屈筋群か伸筋群のどちらかを主に鍛練する種目です。しかもそれらの種目は、多少運動のフォームが変わってはいても、だいたい同じ方向からしか前腕を刺激できないものです。
つまり、普通のリスト・カールとストレート・アーム・リスト・カールとでは、多少、運動のフォームが変わってはいますが、前腕自体の運動としては似たようなもので、両者とも、屈筋群を同じ方向から刺激するものです。
このことは、リバース・リスト・カールとストレート・アーム・リバース・リスト・カールについても同じことがいえます。つまり、この2つの運動種目は、伸筋群を鍛練するための種目ではありますが、伸筋群を同じ方向から刺激するという点では似たようなものです。
そして、このような傾向は、使用器具を使い分けたとしてもさして変わりません。動きが違えば多少の変化は与えられるでしようが、同一の筋を同じ方向から刺激するという点で大きな変化はないということです。
肘を伸した状態で運動を行うとか、まげた状態で行うとかといったことは効果の面では、上部と下部の問題になります。
たとえば、普通のリスト・カールとストレート・アーム・リスト・カールを比較した場合、両者とも同一の筋群(この場合は屈筋群)を鍛えるにしても、前者はどちらかといえば下部の方に強く効き、後者は上部の方に強く効く傾向があります。したがって、あなたが今までに行なってきた運動は、大すじにおいては似たような運動になります。つまり、運動としては内容的に単調であったということです。
あなたが希望しておられるように、前腕の横腹に当る部分や、背に当る部分の発達を促すには、内容的にもっと変化のある運動を行うようにしなければなりません。
前腕の筋は、屈筋群にしても伸筋群にしても、手首を回内した状態でまげるのと(または反らす)、回外した状態でまげる(または反らす)のとでは強く作用する部分が異なってきます。つまり、手首の回内度、回外度に変化をつけることによって、屈筋群、伸筋群に違った方向から刺激を与えることができるということです。
前腕を鍛練するに当っては、このことが重要なポイントになります。あなたの場合、その点の配慮が欠けていたように思われます。屈筋群の運動にしても、伸筋群の運動にしても、回内度または回外度がほとんど同じ傾向の運動であったということです。
あなたが発達を希望しておられる横腹に当る部分に効かすには、手首を回内した状態でリスト・カールを行うのがよく、また、背に当る部分については、手首を回外した状態で行うリバース・リスト・カールを行なってみる必要もあると思います。
では、それらの運動を含めて、趣きの違った前腕の運動を紹介します。
◎スタンディング・バーベル・リスト・カール・ウイズ・オーバー・グリップ
バーベルをオーバー・グリップで持ち、立った姿勢で上体を少し前傾させ、両腕は伸ばしたまま、手首だけでバーベルを内側へ巻き込む。つまり、バーベルを体の前にぶら下げた状態で行うリスト・カール。<効果>屈筋、とくに横腹に当る部分に有劾。
◎スタンディング・ダンベル・リスト・カール
両手にそれぞれダンベルを持ち、掌が内側へ向くようにして体の横にぶら下げる。両腕は伸ばしたまま、手首だけでダンベルを内側へ巻き上げる。<効果>屈筋、とくに掌側の部分に有効。
◎スタンディング・ダンベル・リバース・リスト・カール
スタンディング・ダンベル・リスト・カールと同じかまえから、手首だけを反らしてダンベルを外側へ上げる。普通のリバース・リスト・カールは手首を回内した状態で運動を行うが、この運動は、正常な状態で運動を行うようにする。したがって伸筋に対する刺激も異なってくる。<劾果>伸筋。
◎ワン・ハンド・リバース・リスト・カール
片方の手にダンベルを持ち、床に膝をついて体を伏せるようにして、あらかじめ置いてあったベンチの上にダンベルを持った方の前腕を載せる。このとき、前腕の腹に当る部分がきちんとベンチに密着するようにする。その状態で、手首だけを反らしてダンベルを上側にあげる。<効果>伸筋。(スタンディング・ダンベル・リバース・リスト・カールと多少、上部、下部の違いはあるが、だいたい同じ部分に効く)
◎レバレッジ・バー・エクササイズ
レバレッジ・バー(ダンベル・シャフトの片側だけにプレートをとり付けたもの)を使って行う運動で、次のような多様のやり方がある。
①フロント・レイズ
レバレッジ・バーのプレートの付いていない方の端を握り、立った姿勢で腕を下へ伸ばしたまま、プレートの付いている方の先端を前方で上下させる。〔写真1参照〕<効果>伸筋。
②バック・レイズ
フロント・レイズと同様な姿勢でプレートの付いている方を後ろへ向けてバーを握り、後方で上下させる。〔写真2参照〕<効果>屈筋、伸筋。(とくに横腹に当る部分に有効)
③ツイスティング
フロント・レイズと同様にレバレッジ・バーを握り、ベンチに腰を掛け、膝の上に前腕をのせて固定し、バーをまっすぐに立てた状態から左右真横へ交互に倒しては元の状態に戻す。〔写真3参照〕<效果>回内筋群、回外筋群、屈筋、伸筋。
④ペンデュラム・モーション
バック・レイズと同様にレバレッジ・バーを掘り、ベンチに腰を掛け、膝の上に前腕をのせて固定する。この場合、レバレッジ・バーはツイスティングのときとは違って、バーの先端を下へ向けてぶら下げた状態になる。その状態から手首をひねってバーを時計の振子のように左右に振る。ただし、反動や加速はできるだけ使わないように留意する。〔写真4参照〕<劾果>回内筋群、回外筋群、屈筋、伸筋。(ツイスティングと似たような動作であるが、効き方が違う)
◎ワン・ハンド・ハンギング
チニング・バーにタオルを巻いて片手でぶらさがる運動。実際に行なってみればよくわかるが、かなり困難な運動である。タオルを厚く巻くほどに困難度が増す。<効果>深指屈筋。
以上、他にも運動がなくはありませんが、だいたい上述の運動を行えば、かなり満足のいくトレーニングの内容になると思います。もちろん、すべての運動種目を行うのは大変ですから、実際に自分で試してみて気にいった種目を2~4種目行うのがよいと思います。
なお、他の運動としては、ベント・アーム・プルオーバーを多回数(20回ぐらい)にして行うのが、横腹に当る部分と深指屈筋によく効くようです。また、ハンド・グリッパーやゴムまりを使って握力の運動を行うのも深指屈筋に有効です。
〔解答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生〕
前腕にはいろいろな働きをする多種の筋があります。手首を掌側方向へまげる屈筋群、手首を背側方向へ反らす伸筋群、手首を内方向へひねる回内筋群、手首を外方向へまわす回外筋、それに手を開いたり握ったりするときに作用する深指屈筋、総指伸筋等です。
したがって、前腕の発達を促すにはまず、前腕の作用上の特質をよくつかみ、その上で適切と思われる運動を選んで行わなければなりません。
あなたがこれまでに行なった前腕の運動種目は、リストローラー・エクササイズを除いては、屈筋群か伸筋群のどちらかを主に鍛練する種目です。しかもそれらの種目は、多少運動のフォームが変わってはいても、だいたい同じ方向からしか前腕を刺激できないものです。
つまり、普通のリスト・カールとストレート・アーム・リスト・カールとでは、多少、運動のフォームが変わってはいますが、前腕自体の運動としては似たようなもので、両者とも、屈筋群を同じ方向から刺激するものです。
このことは、リバース・リスト・カールとストレート・アーム・リバース・リスト・カールについても同じことがいえます。つまり、この2つの運動種目は、伸筋群を鍛練するための種目ではありますが、伸筋群を同じ方向から刺激するという点では似たようなものです。
そして、このような傾向は、使用器具を使い分けたとしてもさして変わりません。動きが違えば多少の変化は与えられるでしようが、同一の筋を同じ方向から刺激するという点で大きな変化はないということです。
肘を伸した状態で運動を行うとか、まげた状態で行うとかといったことは効果の面では、上部と下部の問題になります。
たとえば、普通のリスト・カールとストレート・アーム・リスト・カールを比較した場合、両者とも同一の筋群(この場合は屈筋群)を鍛えるにしても、前者はどちらかといえば下部の方に強く効き、後者は上部の方に強く効く傾向があります。したがって、あなたが今までに行なってきた運動は、大すじにおいては似たような運動になります。つまり、運動としては内容的に単調であったということです。
あなたが希望しておられるように、前腕の横腹に当る部分や、背に当る部分の発達を促すには、内容的にもっと変化のある運動を行うようにしなければなりません。
前腕の筋は、屈筋群にしても伸筋群にしても、手首を回内した状態でまげるのと(または反らす)、回外した状態でまげる(または反らす)のとでは強く作用する部分が異なってきます。つまり、手首の回内度、回外度に変化をつけることによって、屈筋群、伸筋群に違った方向から刺激を与えることができるということです。
前腕を鍛練するに当っては、このことが重要なポイントになります。あなたの場合、その点の配慮が欠けていたように思われます。屈筋群の運動にしても、伸筋群の運動にしても、回内度または回外度がほとんど同じ傾向の運動であったということです。
あなたが発達を希望しておられる横腹に当る部分に効かすには、手首を回内した状態でリスト・カールを行うのがよく、また、背に当る部分については、手首を回外した状態で行うリバース・リスト・カールを行なってみる必要もあると思います。
では、それらの運動を含めて、趣きの違った前腕の運動を紹介します。
◎スタンディング・バーベル・リスト・カール・ウイズ・オーバー・グリップ
バーベルをオーバー・グリップで持ち、立った姿勢で上体を少し前傾させ、両腕は伸ばしたまま、手首だけでバーベルを内側へ巻き込む。つまり、バーベルを体の前にぶら下げた状態で行うリスト・カール。<効果>屈筋、とくに横腹に当る部分に有劾。
◎スタンディング・ダンベル・リスト・カール
両手にそれぞれダンベルを持ち、掌が内側へ向くようにして体の横にぶら下げる。両腕は伸ばしたまま、手首だけでダンベルを内側へ巻き上げる。<効果>屈筋、とくに掌側の部分に有効。
◎スタンディング・ダンベル・リバース・リスト・カール
スタンディング・ダンベル・リスト・カールと同じかまえから、手首だけを反らしてダンベルを外側へ上げる。普通のリバース・リスト・カールは手首を回内した状態で運動を行うが、この運動は、正常な状態で運動を行うようにする。したがって伸筋に対する刺激も異なってくる。<劾果>伸筋。
◎ワン・ハンド・リバース・リスト・カール
片方の手にダンベルを持ち、床に膝をついて体を伏せるようにして、あらかじめ置いてあったベンチの上にダンベルを持った方の前腕を載せる。このとき、前腕の腹に当る部分がきちんとベンチに密着するようにする。その状態で、手首だけを反らしてダンベルを上側にあげる。<効果>伸筋。(スタンディング・ダンベル・リバース・リスト・カールと多少、上部、下部の違いはあるが、だいたい同じ部分に効く)
◎レバレッジ・バー・エクササイズ
レバレッジ・バー(ダンベル・シャフトの片側だけにプレートをとり付けたもの)を使って行う運動で、次のような多様のやり方がある。
①フロント・レイズ
レバレッジ・バーのプレートの付いていない方の端を握り、立った姿勢で腕を下へ伸ばしたまま、プレートの付いている方の先端を前方で上下させる。〔写真1参照〕<効果>伸筋。
②バック・レイズ
フロント・レイズと同様な姿勢でプレートの付いている方を後ろへ向けてバーを握り、後方で上下させる。〔写真2参照〕<効果>屈筋、伸筋。(とくに横腹に当る部分に有効)
③ツイスティング
フロント・レイズと同様にレバレッジ・バーを握り、ベンチに腰を掛け、膝の上に前腕をのせて固定し、バーをまっすぐに立てた状態から左右真横へ交互に倒しては元の状態に戻す。〔写真3参照〕<效果>回内筋群、回外筋群、屈筋、伸筋。
④ペンデュラム・モーション
バック・レイズと同様にレバレッジ・バーを掘り、ベンチに腰を掛け、膝の上に前腕をのせて固定する。この場合、レバレッジ・バーはツイスティングのときとは違って、バーの先端を下へ向けてぶら下げた状態になる。その状態から手首をひねってバーを時計の振子のように左右に振る。ただし、反動や加速はできるだけ使わないように留意する。〔写真4参照〕<劾果>回内筋群、回外筋群、屈筋、伸筋。(ツイスティングと似たような動作であるが、効き方が違う)
◎ワン・ハンド・ハンギング
チニング・バーにタオルを巻いて片手でぶらさがる運動。実際に行なってみればよくわかるが、かなり困難な運動である。タオルを厚く巻くほどに困難度が増す。<効果>深指屈筋。
以上、他にも運動がなくはありませんが、だいたい上述の運動を行えば、かなり満足のいくトレーニングの内容になると思います。もちろん、すべての運動種目を行うのは大変ですから、実際に自分で試してみて気にいった種目を2~4種目行うのがよいと思います。
なお、他の運動としては、ベント・アーム・プルオーバーを多回数(20回ぐらい)にして行うのが、横腹に当る部分と深指屈筋によく効くようです。また、ハンド・グリッパーやゴムまりを使って握力の運動を行うのも深指屈筋に有効です。
〔解答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生〕
〔レバレッジ・バー・エクササイズ〕
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