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老化をくいとめる食事法

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月刊ボディビルディング1977年4月号
掲載日:2018.08.30
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<1年ごとにちがっている>

 タ日が西に沈んでいくのをとめられないように、人間の体の老化は誰もとめることができない。不老長寿の妙薬を求めて、中国の皇帝は使者を遠く東方へ、あるいは西方へとつかわした。

 結局、どんな方法をとってもおとろえていくのは人間の宿命である。そして、20歳をこえて、28歳、29歳となるにつれて、1年1年、トレーニングが体にこたえてきつくなる。まして、50歳、60歳でトレーニングする人は、つらいだろうし、実際の体力となると若い人にはとうていかなわない。

<老化は6歳から始まる?>

 年齢と共に体力が衰えることは、握力テストや背筋力テストを行えばすぐわかる。それによるともっとも力が強いのは25歳で、26歳をすぎるとダンダン力は落ちていく。30歳は午後1時の太陽であろうか。

 セックスの能力ならばもっと若く、19歳のときがピークといわれる。昔は14歳で元服し、結婚生活に入るのが常であった。そして、19歳~20歳ぐらいまでに子供をもうける。そのかわり寿命は50歳ぐらいで「人生50年」といわれたものである。

 とくに老化の早いのが眼の遠近の調節力だといわれている。最高が6歳のとき。それをすぎると調節力はだんだん衰えてくる。だから老化はすでに6歳から始まるといわれるゆえんだ。

<体の脂肪は老化現象である>

 女性の体が脂肪のためになめらかな曲線美をつくり出すのは、赤ちゃんを暖かく育てるための本性であり、必要なことであるが、本来、筋肉を使うのが本性である男性の体が脂肪で太ってくるのは、老化現象の1つである。高い木のてっペんにある実をとるにしても、タイコ腹で太っていてはサマにならない。熱帯地方の人を見るがいい。無駄があってはならないのだ。

 ビルダーにしても、やはり年齢と共に筋肉のキレがおとろえてくる。これも皮下脂肪のためだ。どんなに肉や卵などのタンパク質を食べても、これが脂肪にかわって体内に貯えられるためである。脂肪体になるにつれて、疲れやすく、持久力がなくなる。動きが悪くなったときは、体にサビがついてないかチェックして、対策をたてることだ。いくら老化現象とはいえ、かなり進行を遅らせることができる。

<老化をふせぐポイント>

 同じ年齢の人でも、ある人は若々しく、ある人はフケて見える。この差はどうしてできるか。第一はトレーニングをしているかどうかだ。どんな簡単な体力づくりでも、それを継続しているか否かで20年の差がでてくる。体を動かすことは、若さを保つ最大の秘訣だ。もしすでにトレーニングしている人で、自分の体が脂肪太りになってきたと感じたら、各種目とも重量を少し軽くして、回数を増やすようにする。とくにシット・アップやレッグ・レイズなどの腹筋運動はできるだけ多く行うのがよい。それに3~5キロのランニングを行いたい。

 第二は食生活だ。ライスオイルやサフラワーオイルはコレステロールを予防するのに効果がある。とくに最近注目されているのがビタミンEだ。ビタミンEは酸化防止剤があり「老人ボケ」をなおすのによいと報告されている。老人ボケだけでなく、狭心症や心筋硬塞などの心臓病や、脳血栓、脳硬塞などの脳卒中にも効果があるというが、そこまでの効果があるかどうか論議中で、結論はまだ出ていない。

 ネズミの実験では、セックス能力を増し、不妊をなおすことがはっきり認められたので「トロフェロール」――すなわち不妊によいビタミン名という名前が与えられている。

 そのほか、筋肉の作用を強め、若々しい血管を保つのに効果があるとされており、アメリカのスポーツ選手でこれを使っている例も報告されている。

 食品中にビタミンEを含むものは小麦胚芽、小麦胚芽油、ピーナッツ、ゴマ、パセリ、セロリ、マーガリン、チョコレート、大豆などである。白米より麦や玄米の方が4~5倍も多いのも事実である。ただ、鉄分の多いものを同時に食べると効果が落ちるから、まぐろやくじらなどと同時に食べることは避けたい。

 このように、年々おしよせてくる老化を防ぐポイントは、適度なトレーニングと、食事法の両面作戦でいくことが肝心だ。
(健康体力研究所代表・野沢秀雄)
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月刊ボディビルディング1977年4月号

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