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なんでもQ&Aお答えします 1977年4月号

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月刊ボディビルディング1977年4月号
掲載日:2018.08.28

頭がスッキリする運動はないか

Q ボディビル歴1年、弱かった体力も今では人並みになりました。ボディビルをやって本当によかったと思っています。これからもずっと続けるつもりです。

 ところで、こんな質問をすると笑われるかも知れませんが、頭脳が明快になるエクササイズはないでしょうか。ありましたら教えてください。仕事が頭脳労働なので、残業で夜おそくなったときなどに行いたいと思います。(佐賀県 中田和夫 自由業 37才)
A 頭がよくなる運動はないかといわれても困りますが、頭の状態を多少なりともスッキリさせる運動はないこともありません。

 頭を使えば頭が疲れるのはあたりまえのことですが、机やテーブルに向って行う仕事で頭が冴えなくなるのには他にも少なからず原因があります。

 ふつう、頭を使うときには、頭部をじっとさせて物事を考えるので、頸すじや肩のあたりが意外に緊張します。それゆえに、長時間、頭を使っていると、頸すじや肩のあたりが少しずつこってきて血液の循環が悪くなり、頭が冴えなくなります。ましてや机やテーブルに向って行う頭脳労働の場合は、頭部が前へ傾き、頭の重みが頸や背にかかるので、そのような傾向は一層強められるものと考えられます。

 したがって、長時間にわたって頭を使う仕事をするときには、ときどき頸すじや背、肩などの緊張をほぐすような運動を適度に行うようにするとよいでしよう。頸や肩を動かしたり、軽い体操を行うのもよいですが、次に述べるようなウェイトを使って行う運動もかなり有効です。ひとつ試してみてください。


◎ラテラル・レイズ・ライイング

<かまえ>両手にそれぞれ軽量のプレートを持ち、ベンチに仰臥し、両腕を垂直に上方に伸ばす。
<動作>肘を伸ばしたまま、両腕を真横へ広げ、床の方へできるだけ深くおろす。おろしたなら、胸と腕の力を抜き、両腕を小さくはずませるように2~3度上下して胸と腕の筋を十分に伸展させる。反復の回数は、その時の気分で任意に行えばよい。
<呼吸>腕をおろしながらできるだけ深く吸い、あげながら吐く。
<注意>この運動の目的は、あくまでもストレスを解消することにあるので、使用するウェイトはごく軽量のもの(1.25~2.5キロのプレート)を使用して行うようにする。また、反復回数も筋力的にほとんど負担にならない程度に止どめる。プレートの持ち方は、穴に親指を差し入れて保持するようにする。


◎ストレート・アーム・プルオーバー
<かまえ>両手にそれぞれ軽量のプレートを持ち、ベンチに仰臥し、両腕を垂直に上方へ伸ばす。
<動作>両手の間隔を肩幅よりも狭い間隔に保って、肘を伸ばしたまま、両腕を頭の先、床の方へおろす。おろしたなら、腕と上体の力を抜いて十分に胸と腕のすじを伸ばす。反復回数はラテラル・レイズ・ライイングの場合と同様、その時の気分で任意にやればよい。
<呼吸>腕をおろしながらできるだけ深く吸い、あげながら吐く。
<注意>ラテラル・レイズ・ライイングの場合と同じ。

初心者に適したトレーニング量

Q ボディビル歴1年、自宅でトレーニングしている者です。現在のスケジュールは下記のとおりです。
記事画像1
 以上を隔日的に週3回実施しています。1回のトレーニングの所要時間は1時間半、終了後の疲労感は少しぐったりとするといった感じです。

 ところで、最近、17才になる弟もボディビルを始めたのですが、私の意見を聞かずに、使用重量だけを軽くして私と同じスケジュールでトレーニングを行なっています。私がいくら「無理だ」といって聞かせても、勝気な弟は一向に私のいうことを聞きません。私のキャリアが1年ぐらいなので、馬鹿にしているようです。

 しかし、私としては心配でしかたがありません。事実、トレーニングが終った後は口をきくのもおっくうになるぐらい疲れているようです。このままでは健康を害することにもなりかねません。私がボディビルを行なっているかぎり弟も続けると思いますので、私は弟のために、いっそボディビルをやめてしまおうかとも考えています。

 そこでお願いですが、現在のスケジュールが弟にとって無理であることをQ&Aの欄でなんとか説得していただければ、弟も得心がいくのではないかと考えています。

 なお、私自身のトレーニング法につきましても何かお気づきの点がありましたらアドバイスをお願いします。私と弟の体位は次のとおりです。
記事画像2
(千葉県 戸倉浩一 学生 21才)
A 「親の心、子知らず」ならぬ「兄の心、弟知らず」といったところですね。お兄さんとすれば本当に心配のことと思います。

 あなたの場合は2人ですが、とかく小人数で一緒にトレーニングを行う場合は、誰かしらのトレーニングの内容が、強度的に、または量的に不適切になってしまうことがよく見うけられます。多人数で行う場合には、筋力別にあるいはキャリア別にグループをつくってトレーニングができるので、トレーニングの内容があまり不適切になることはありません。しかし、小人数で行う場合は、とりわけあなたのように2人きりで行う場合は、2人の力量に隔たりがあると、得てして体力の弱い者の方が無理なトレーニングを行うようになるものです。

 したがって、小人数で行う場合には各人が自己の体力をよく自覚した上で、それぞれ自分自身に適すると考えられる内容のトレーニングを行うことが大切になります。あなた方の場合、あなたにそのような自覚があっても、弟さんにはまるでないようです。といっても、あなた自身のトレーニング法にまったくの問題がないということではありません。そのことについては後でふれることにします。

 ともあれ、弟さんの体力を体位から推定するかぎり、弟さんがあなたと同じスケジュールでトレーニングを行うというのは気違いざたといえます。からだを疲労させるためにトレーニングを行なっているようなもので、そのまま続けていくと、あなたも心配しておられるように健康を害することになりかねません。よしんば健康を害することがないとしても、トレーニングの順調な成果を期待することは難しいといえます。

 ボディビルは実施者の体力に応じて多少余裕のある範囲内でトレーニングを行うのがよく、とくに初心者においては、肉体的に強度な苦痛をともなうことのない程度にトレーニングを行うのが原則といえます。無理をして消耗しすぎると、かえって効果が得られなくなります。

 そのような意味で、弟さんのトレーニング内容をただちに改める必要があると思います。負けん気を出して無理なトレーニングを行なっても決してよい結果は得られないでしょう。それよりも、現在の体力をよく自覚し、すなおな気持で余裕のあるトレーニングを行うことが大切です。弟さんの体力に適切と考えられるスケジュールを記しておきますので参考にしてください。
記事画像3
 以上のように、4種目、各2セットが妥当と思われます。なお、各種目の使用重量は、ジムの練習者の中で入会時に弟さんと同程度の体位を有した者がトレーニングの開始時に用いたものです。

 今までのトレーニング量と比較すれば、あまりにも少ないと思われるかも知れませんが、上記のスケジュールで実際に効果を得ている人が大勢いることですから、あせらずにしばらくの間このスケジュールで実施してみてください。そして、これから先、トレーニーングを続けていく上での目標として、とりあえず次に示すことを目安とされるよう指示してください。


<目標第1段階>
①ベンチ・プレス=体重の80%の重量を用いて、正確な動作で10回×2セット。
〔スタンディング・ロー〕

〔スタンディング・ロー〕

〔エンド・オブ・バー・ローイング〕

〔エンド・オブ・バー・ローイング〕

②スクワット=体重と同じか、もしくはそれ以上の重量を用いて、正しいフォームで10回×2セット。

 上記の目標に到達したら、各種目を3セットずつ行うようにしていき折をみて、ベント・オーバー・ローイングとカールを採用種目に加える。


<目標第2段階>
①ベンチ・プレス=体重と同重量、もしくはそれ以上の重量を用いて正確な動作で10回×2セット。
②スクワット=体重の120%以上の重量を用いて、正しいフォームで10回×2セット。

 上記の目標に到達したならば、初級者の段階を終了したものとして、体力的に強度な負担とならない範囲で採用種目を少しずつ増加する。また、場合によっては採用種目を入れかえたりして、スケジュールを改めるのもよい。

 では弟さんのことはこれぐらいにして、あなた自身のトレーニングについてアドバイスすることにしましょう。

 まず、トレーニング量についていわせていただきますが、少々多いのではないかと思います。11種目各3セット、合計33セットは、現在の体位から推察されるあなたの体力ではいささか多い気がします。トレーニングの終了後に少なからずぐったりすると書いてありますが、トレーニングのたびごとにぐったりするほど疲れるのであればセット数を少し減らすのがよいと思われます。

 採用種目の組み方が、主要な部位の運動を2種目ずつ行うようにしてあるのは大変よいことですので、そのところは今のままでよいでしょう。したがって、トレーニング量を減らす必要がある場合は、種目を減らすことを考えないで、セット数を減らすことを考えた方がよいと思います。その場合、全種目にわたって1セットずつ減らすというのも問題があると思われますので種目によって減らすようにするのがよいでしょう。

 その減らし方の一方法として、各部位における2番目の種目に限って1セット少なくするといった方法を採るのもよいでしよう。つまり、あなたのスケジュールの場合なら、ダンベル・ベンチ・プレス(胸の種目)、スタンディング・ロー(肩の種目)、エンド・オブ・バー・ローイング(背筋の種目)、ダンベル・カール(上腕二頭筋の種目)等のセット数を筋力的な消耗具合に応じて減らすことを考えたらよいと思います。

 次に、運動のやり方そのもので、多少疑問が感じられることがらについてふれることにします。

 あなたのスケジュール表を見て感じることは、スタンディング・ローとエンド・オブ・バー・ローイングの使用重量が他の種目の使用重量と比較して少々重すぎるのではないかということです。そして、そのことから推察すると、上記2種目の運動動作が不正確なのではないかとも考えられます。実地に大勢の人を指導してきた私の経験からすれば、この判断におそらく間違いはないと思います。したがって、一応誤った動作で上記の2種目の運動を行なっているものと考えて、それら2種目の動作上の誤りやすい点を指摘するとともに、正確なやり方を説明しておくことにします。


◎スタンディング・ロー
①バーベルを引き上げるときに、必要以上に背を彎曲させたり、また肩を前方へ出したりしないようにする。バーベルを引き上げるときに背を彎曲しすぎると、三角筋にあまり効かずに僧帽筋に効いてしまう。また、肩を前方へ出しすぎる場合も同様なことがいえる。
②三角筋に充分に効かすためには背すじをまっすぐに伸ばし、胸を張り両肩を後方へ引きつけるようにしてバーベルを引き上げる。僧帽筋を誇張するようなフォームでは、僧帽筋には効いても三角筋にはあまり効かなくなるので注意。三角筋に効かすには、肩甲骨をできるだけ正常の位置に固定させた状態で運動を行うようにする。
③引き上げ動作の要点は、腕力でバーベルを引き上げるというよりも、肘から先の力を抜くようにして、肘でバーベルを吊るし上げるように動作する。したがって、引き上げたときには、肘を高くあげることに留意すればよく、バーベルの高さにはこだわらなくてよい。バーベルが肘よりも高くあがるようなやり方は、腕力にたよったやり方であり、正確な動作とはいえない。
④使用重量を欲ばりすぎると正確な動作が行えなくなるので注意。いくら重い重量を用いても、的確に三角筋を刺激できなければ運動の意味がなくなる。〔写真参照〕

 なお、このことは、スタンディング・ローを、あくまでも三角筋のための運動として行う場合について述べたのであるから、僧帽筋の運動として行うときはその限りではない。


◎エンド・オブ・バー・ローイング
①この運動で最も犯しやすい誤りは、固有背筋の力、または腕力によってウェイトを持ちあげることである。そのような誤りを犯かさないためには運動中、終始、腰の角度を固定させて、腕(とくに肘から先)の力をできるだけ抜き、指だでけバーを吊るすようにして、肘でウェイトを引き上げるように動作をする。
②次いで犯しやすい誤りは、運動中に上体を起こしすぎてしまうことと、バーを握ったグリップを胸のあたりに引きつけるように動作することである。(みぞおちの下あたりに引きつけるのが正しいやり方)

 運動中に上体を起こしすぎると広背筋にはあまり効かずに、僧帽筋や肩甲骨のあたりにある筋に効いてしまうこともあるので注意する。またグリップを胸のあたりに引きつけるように動作を行う場合も、広背筋にはあまり効かずに、どちらかというと、菱形筋や肩甲挙筋(肩甲骨のあたりにある筋)に効くようになる。したがって、広背筋に的確に刺激を与えるためには、上体の前傾度、およびグリップと両足の位置には十分な注意をはらって運動を行うことが大切である。

 いまさらつけ加えるまでもないが、スタンディング・ローの場合と同様に、無理な重量の使用はくれぐれも慎しむことである。〔写真参照〕

前脛骨筋を発達させる方法

Q 一流ビルダーの脚を見ると、脚のスネの部分にある筋の発達が顕著ですが、あれはなんという筋でしょうか。また、その筋を発達させるにはどんな運動を行えばよいでしょうか。
(岩手県 佐藤芳夫 会社員 23才)
A それは前脛骨筋という筋で、足首をいわゆるスネの方へ屈したり、足底を内側へ向けたりするときに作用します。

 一流ビルダーでも、実際にこの筋の強化トレーニングを行なっている人は少ないようですが、お問い合わせのことでもあるので、一応、その運動種目について述べることにします。


◎スタンディング・トウ・レイズ
 バーベルを両肩にかついで立ち、踵を支点にして足の背(甲)をあげる。つまり、カーフ・レイズ(つま先を支点にして踵をあげる運動)の場合とは反対に、踵を支点にしてつま先をあげるようにする。


◎シーテッド・トウ・レイズ
 ベンチに腰をかけ、足の甲に鉄アレーなどのウェイトをのせ、踵を支点にして足の甲を上へそらしあげる運動。

 以上ですが、あまり細かい部分に気をつかわずに、のびのびトレーニングしてください。
〔解答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生〕
月刊ボディビルディング1977年4月号

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