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なんでもQ&Aお答えします 1974年4月号

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月刊ボディビルディング1974年4月号
掲載日:2018.08.04

少しも効果がみられないが

Q ボディビルを始めてから5カ月になります。まじめにトレーニングを行なっているのですが,一向に効果があがりません。使用重量は開始当初と変らず,友人からは,かえって以前よりも痩せたみたいだとさえいわれます。それにトレーニング中にときどき気分が悪くなることがあります。効果のあがらないのは,トレーニングの方法に誤りがあるのでしょうか。

 トレーニングは1日おきに週3日。会社から帰って夕食前(6時~7時)に行なっています。運動種目,回数,セット数は次のとおりです。
 シット・アップ 10回×2セット
 スクワット 10回×2セット
 ベンチ・プレス 10回×2セット
 スタンディング・プレス 10回×2セット
 カール 10回×2セット
 以上,いくぶん余裕のある重量を使い,できるだけ正確な動作で行うようにしています。
(横浜市・町田 明)
A トレーニング後の疲労感についての記述がありませんので確たることはいえませんが,トレーニングの方法には別段悪い点はないようです。

 運動の仕方,種日数,反復回数,セット数のいずれをみても,初心者の段階としては体力的に妥当なものと思われます。にもかかわらず効果があがらないというのは,あなたの場合,文面から推察して,その原因がトレーニングの方法ではなく,多分に食事の内容と摂り方にあると考えられます。というのは,ときどきトレーニング中に気分が悪くなるそうですが,そのようなことは,栄養が不充分な状態で空腹時にトレーニングを行うときに見られる生理的な現象だからです。

 あなたの場合,トレーニング時刻か夕食前の6~7時ごろということで,空腹状態で運動を行なっているのではないでしょうか。また,文面に痩せたみたいだとありますが,そのことから考えて,平素の食事も栄養的に不充分なのではないでしょうか。

 したがって,そのような心当りがあれば,まず1日に摂る食事の内容を充実させ,充分な栄養を摂ることが必要です。そして,昼食事からトレーニング時までの時間の長いことを考慮して昼食には腹持ちのよいものを食べるかまたは,トレーニングの1時間半~2時問前に消化のよいものを軽く食べるようにするとよいでしょう。

 運動は,からだを強化し発達させる手段といえますが,食事をおろそかにして効果の得られるものではありません。このことを自覚してトレーニングを行なってください。

 現在,もしも食事の面で充分な配慮がなされているにもかかわらず,または,今後,不備な点を正しても,なおかつトレーニング中に不快感が生じるようなら,それは身体に疾患があると考えられますので,他に自覚症状がなくても,一応医師の診断を受けることをおすすめします。

ベンド・アーム・プルオーバーの安全なやり方は?

Q 以前,ベンド・アーム・プルオーバーで肩を痛めた経験があります。おそらく運動法に誤りがあったのだと思います。現在は肩の痛みもとれ,ナつかりよくなりましたので,再び同種田こ取り組みたいと考えております。ベンド・アーム・プルオーバーの安全なやり方を教えてください。(長野・古川光男,20才)
A ベンド・アーム・プルオーバーは,上半身の発達に非常に有効な種目です。それだけにビルダーとしては一度は取り組んでみる必要のある種目といえます。しかしながら,あなたのように,この述動で肩を痛めるひとが意外と多く,そのせいか,有効な種目のわりには実行している人は少ないようです。

 再開後,再び肩を痛めることのないように,初めに軽い重量で安全な動作をマスターし,それから徐々に使用重量を増加するようにしてください。

 安全な方法として,まず注意することは,運動中,とくにバーベルを床の方へ深く下ろしたときに,上腕部の内側を上に向けないようにすることです。上腕部の内側を上に向けるように行うと,床面に近い中問動作において広背筋の作川が強く感じられ,そのために肩の関節に無理な負担がかかり,それが肩を痛める原因になるわけです。

 このような危険性は,バーベルを深く下ろすほど強くなりますので,無理に深く下ろすのは慎んでください。もっとも安全な方法は,上記の中間動作において,左右の上腕が常に平行を保つように運動を行うことです。

 関節がかたくて,どうしても両肘が左右へ開き,上腕部の平行を保ちがたく,上向きがちになる場合は,関節が柔らかくなるまで左右のグリップの間隔を狹くして運助すると効果的です。また,初めの頃に,たとえバーベルが床の方へ深く下りなくとも,トレーニングを続けていくうちに,次第に深く下りるようになりますから,あせらずにじっくりと行うことが大切です。

 次に注意することは,1セット目からいきなり重い重量を使用しないことです。この運動に限らず,筋肉や関節を痛めやすい種目は,あらかじめ軽い重量でならしてから重い重量を使用するようにする必要があります。

 ベンド・アーム・プルオーバーの場合は,肩だけでなく肘を痛めるおそれもありますので,この点にも充分に留意してトレーニングしてください。

 ◆ベンド・アーム・プルオーバー   

 端から少し頭が出るようにベンチに寝て、肩幅ぐらいに握ったバーベルを,胸の位置から顔スレスレを通過させて頭の下におろし,元に戻す.注意することは顔と頭の上をゆっくり通過させ,バーベルを下ろしたところでは,広背筋から胸郭を最大限に拡張することが大切である〈効果〉胸郭拡張,広背筋,大胸筋,三角筋。

下半身のトレーニングにランニングを採用したいが

Q ボディビルを始めて2年半になります。腕と上半身は見違えるような発達を示し,デフィニションもついてきましたが,下半身が思うように発達しません。開始当初からみれば大腿囲は4cmほど太くなりましたが,デフィニションという点ではほとんど変化がありません。

 逞しく,しかも軽快な脚をつくるにはランニングがよいとききましたが,ランニングの効果,及びやり方を具体的に教えてください。(小田原市・下條嘉章)
A ランニングは脚のっけ根と下腿三頭筋の発達を促し,またアキレス腱を強化し,膝と足首をひきしめるのに有効です。したがって,下半身全体の調和をよくし,敏捷性のうかがえる印象のよい脚をつくるにはどうしてもランニングを欠かすことはできません。この点に早く気付いたことは大へんいいことです。

 えてして,ランニングは体力を消耗し,筋肉の発達を阻害すると考えられがちですが,極端に長い距離を走るのでないかぎり,そのようなことはありません。

 ランニングには,緩走(かんそう)と疾走(しっそう)とがありますが,ビルダーとしての筋肉づくりという点では,後者の方が向いているようです具体的なランニングのやり方としては
①ウォーミング・アップー400~600メートルをゆっくり走る。
②ダッシュ(疾走)-30~40メートルを全力で走る。これを4~6回くり返して行う。

 以上のようにして行えば,比較的疲労が少なく,先に述べたような効果を脚にもたらすことができます。筋肉を発達させ,形のよい脚をつくるには,前記②に示したように,ごく短い距離のダッシュが効果的で,しかも,それほど体力を消耗しないで充分な刺激を脚に与えることができますので,疲労のため他のトレーニングに支障をきたすこともあまりないのでぜひ実行してください。

 いま述べたランニングのやり方は,持久力を養成するのが目的ではなく,シャープな脚をつくるのが狙いですから,脚を力いっぱい回転させ,パワーをいかに発揮させるかということがポイントになります。極端に長い距離を走ることは持久力の養成には適していますが,ダイナミックな脚をつくるには適していません。また100メートルのダッシュを何回か繰り返すのは,非常に強度な体力を要求されますので,日常のトレーニングとしては負担が大きすぎます。

(註)ここに述べたランニングの方法はマッスル・ビルディング(筋肉を発達させる迎動法)におけるランニングであって,体力づくりに長距離走と100メートルのダッシュが不必要だということではありません。その点を誤解しないで,適宜必要に応じて長距離走と100メートルのダッシュも行うようにしてください。

器具なしでできる肩の運動は?

Q 私は32才の会社員です。勤務の都合で月に1~2度,5日ほどの日程で出張があります。ボディビルを始めてからはからだの調子も非常によく,出張期問中も器具なしトレーニングを実行している次第です。しかし,経験が浅いので,器具なしでできる肩の運動についての知識がありません。器具なしでできる肩の運動をご指導をください。(福井T・K)
A 器具を使用しないで行える肩の運動にもいろいろな種類があります。その中から,おもむきを異にする述動を2種目選んでご紹介します。

①マニュアル・レズスタンス・ショルダー・ワーク

 まず,両肘を横へ張るようにして両手を上腹部の前で上下に組み(このとき両手の指をそろえて互いに引っかけるようにする),左右両側へ引っぱり合うように力を入れます。

 次に,力を抜かないように留意しながら,組み合わせた両手を左右へ水平に移動させます。運動の動作は,肩を意識しながらできるだけ大きく両手を移動させるように行います。1セットごとに上下の組み手を変えて行なってください。

②アイソメトリックによる方法
 
 運動の方法は,両手を鴨居(または梁)の下に当て,プレスの要領で押しあげるように力を入れ,そのままの状態を6~12秒間持続させます。注意することは,いきなり力を入れると肩を痛めるおそれがあるので,徐々に力を入れるようにして,力が充分に入ったところで時間を計るようにしてください。

オールターニットの言葉の意味は?

Q ホールダーニット・プレスとか,オールターニット・カールという運動種目がありますが,そのオールターニットという言葉の意味について説明してください。(大分県・山田 勉 18才)
A オールターニット(arternate)という単語には,交互の,かるがわるの,たがいちがいの,という意味があります。したがって,ボディビルの述動の場合は,両手にそれぞれダンベルを持ち,左右交互に反復するような運動の呼称として,左右同時に反復する運動と区別するために使用されています。

 両手にそれぞれダンベルを持ち,左右交互にカールを行えばオールターニット・カール,または,左右交互にプレスを行えばオールターニット・プレスということになります。このほか,オールターニットという名称のつく運動種目としては,オールターニット・フレンチ・プレス,オールターニット・フロント・レイズ等,その他にもたくさんあります。

 普通,両手にそれぞれダンベルをもって行う運動は,オールターニットの方法が可能なので,ときには刺激を変える意味で,そのような方法による運動を行なってみるのもよいでしょう。

 ただし,ベンチ・プレスのようにバランスのとりにくい運動の場合,体力の弱い段階では危険ですから慎しんでください。
(解答は'59ミスター日本,NE協会指導部長・竹内 威)
月刊ボディビルディング1974年4月号

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