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中尾達文のパワー人生

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月刊ボディビルディング1977年10月号
掲載日:2018.06.28
努力と汗の足跡
<川股 宏>

◇友情に支えられてジム開設◇

 中尾はジムの開設にあたって、友情がどんなにありがたいものであったか、
しみじみ語っている。
「大学出たての青二才が、いくらボディビルに熱意があったからといって、
熱意だけではどうにもなりません。
曲りなりにもジムをつくり、今日までやってこれたのは友人の温かい支援があったからなんです。
正直なとこ、ジムのオーナーといっても、私ほど会員に”オンブにダッコ”の
オーナーもいないと思いますね。
本当にいつも心の中でみんなに感謝しているんです。」
 昭和46年の年の瀬、やっと鉄工所の跡地を借り、
会社の屋上の練習場から器具を移して正式にジムとしてオープンしたが、
この開設の支えとなってくれたのは、中尾をしたってついてきてくれた
10名ほどの同好会員である。
次男の文士っ君を抱いてよきパパぶりをみせる中尾

次男の文士っ君を抱いてよきパパぶりをみせる中尾

 しかし、ジムを開設したといっても、当時の中尾は会社をやめたわけではなかった。
つまり、昼間は会社に出勤し、夕方からジムに出ていたのである。
 「いつかジム一本でやっていきたいなぁ」
という強い希望を中尾はもっていた。
そうでなければ、適切なコーチも自分の練習も充分にできない。
どんなことをしても、もう少し会員を集めなければ一本立は無理である。
 「おい見ろよ!変なヤツがいるぜ。いつも電車に向かって裸で手をふっているんだ。
それにしてもすごい体をしているなぁ」
 「それに、ときどきドリフターズの”8時だよ全員集合”で
よくやるハイポーズみたいなことをするんだ」
 
 電車の乗客が変に思うのも無理はない。
中尾が少しでも会員を増やそうとジムの近くを通る電車に向かって
裸でアピールしていたのだ。
 年が明けてすぐ、長男泰史君も生まれ、親子3人が生活しながら、
まだまだ不足の器具もそろえなければならない。
中尾にとって金をかけての宣伝はできない。
もっとも金のかからない宣伝法が、自分の体を見せて、
ボディビルのよさを知ってもらうことだったのである。
こんな状態だったから、夜中に「会員募集」のポスターを電柱にはって歩いたりもした。
そして、電力会社から
「電柱を無断で使用しては困る。始末書を提出しなさい!」
との注意を受けたことも再三あった。

 ジムを開設して6ヵ月ほどした頃、生活もメドも立たないまま、
中尾は奥さんにも相談せず会社をやめ、二足のワラジと訣別した。
 一見、男らしく思える決心とは裏腹に、生活苦に直面することはわかっていた。
それたがめには中尾はなんでもする覚悟ができていた。
「新聞配達、八百屋の手伝い、手当たり次第になんでもした。
生活苦と足りない器具を補うために必死で頑張りました。
生活苦とは逆に、気分的にはいつも青空のような爽快感がありました。
目標をもって、それに邁進することはほんとうに素晴らしいことだとつくづく感じました」
と当時をなつかしむように中尾は語る。

◇強い筋肉と強い精神◇

「ボディビル・ジムはもうからん」とよく人はいう。
しかし、あえて中尾にこの割の合わない仕事に情熱を傾けさせるものはなんであろうか。
それは中尾自身がボディビルの体験を通してつかんだ自信と理想があるからだ。
 「第一に、ボディビルの真価は、各人の体力に応じたプログラムによって逞しい肉体をつくりあげる過程において、健全な精神も要請されるという点にあると思います。
 第二になんといってもビルダーはすごみのある筋肉をつくるべきです。
とくにコンテスト・ビルダーなら、力士やプロレスラー、柔道の選手など足元にも寄せつけないほど、
隆々たる筋肉でなければいけないというのが私の持論です。
またパワーに関しても、どんな世の中の力自慢が来ても
問題にしないくらいの力を持たなければいけないと思っています」
 という中尾は、自分に対してもぜったいに妥協しない徹底した厳しさを要求する。
だからビルダーではセルジオ・オリバのあの筋量と迫力が好きであり、
プロレスラーでは、アントニオ猪木の育ての親でプロレスの神様といわれる
カール・ゴッチが好きだという。
練習の鬼といわれるゴッチの、あのひたむきにトレーニングに打ち込み、
きびしく後進を指導する態度に共感をおぼえるという。
昭和51年度ミスター四国コンテストに優勝したときの中尾

昭和51年度ミスター四国コンテストに優勝したときの中尾

◇パワー・トレーニング◇

 世界新記録をもつ中尾のパワーや見事な体をつくった秘密、
というと、さも変った方法があるような気がするが、
彼の答えからは何ら目あたらしいものは得られない。

 ではつぎに中尾の日常のトレーニング信条を紹介しよう。
中尾のトレーニング信条は
 ①トレーニングするときは、そのほかのすべてのことを忘れて、
  バカになったくらいトレーニングに打ち込むこと。

 ②常に節制すること。節制なくしてトレーニングの効果は無しと知れ。

 ③食事には充分気をくばれ。

 ④自己暗示というイメージ・トレーニングを重視せよ。
  心もトレーニングが必要と知れ。

 こんなごく当然と思える信条を中尾は実際に
どんな形態で実行しているのだろうか。
それをつぎに具体的に紹介しよう。
まず、トレーニングにあたっては、
 
 ①1~3回くらいしか反復できない重量を用いる。

 ②ダンベルの重いものを補助的に用いて多角的な刺激をねらう。

 ③呼吸方法を重視する。

 ④運動フォームをしっかりと固める。

 ⑤いついかなるときでも精神集中ができるようにする。

パワーリフティング3種目のトレーニングのやり方は次のようである。
これは今年のJBBAおよびJPA全日本パワーリフティング選手権大会の前に行った方法である。

◇スクワット(週3回)
 ☆ウォーミングアップ
記事画像3
 ウォーミングアップは、ひざ、腰、股等の関節部位を徹底して入念に曲げ伸ばす。
 スクワットの動作は、パワーリフティングの競技にのっとって完全なフルスクワットを行う。
練習中の最高記録は230Kgで1回と、少ししゃがみ方が浅かったが240Kgに成功したことがある。
7~8セット目に、その日のベスト記録に挑戦してみる。
そしてまた少しずつ重量を下げていく。
 スクワットのあとでレッグ・カールとレッグ・エクステンションを
それぞれ30~60Kgで10~5回×3~5セット行う。


◇ベンチ・ブレス(週3回)
 ☆ウォーミングアップ
記事画像4
 ベンチ・ブレスの練習中の最高記録は187.5Kgで1回成功。
また体重76Kgくらいで160Kgを連続6回拳上。
90Kgなら、いつでも連続50回の拳上が可能。
 ベンチ・ブレスのあとで
インクライン・ベンチ・ブレスを80~130Kgで3~8回×3~5セット行い、
最後にダンベル・ベンチ・ブレスを次のようにやってしめくくる。
記事画像5
◇デッド・リフト(週1~2回)
 ☆ウォーミング・アップ
記事画像6
 このあとで、ハイパー・バック・エクステンションを3~5セット行う。
中尾のスクワット(1977JBBA全日本選手権)とデッド・リフト(1977JPA全日本選手権)

中尾のスクワット(1977JBBA全日本選手権)とデッド・リフト(1977JPA全日本選手権)

◇呼吸法

 中尾はパワー発揮と呼吸方法の関係を非常に重視している。
そして、ベンチ・ブレスでは胸式呼吸、スクワットでは腹式呼吸を基本にしている。
また、いずれの場合も、ラックからバーベルをはずした時点から試技が終了するまで
全然呼吸をしないノーブレッシング方式をとっている。
 つまり、ベンチ・ブレスでいえば、ラックからバーベルをはずす前に、
思いきり大きく息をすいこんで胸を力一杯ふくらました状態で、ゆっくりシャフトを胸までおろし、
息をこらえたままで押し上げる。この動作中、一切呼吸をしないのが中尾のノーブレッシング方式である。

◇食事はバランスを重視◇

 中尾は一度大病をわずらったことがある。
それ以来、日常の生活全般にわたって節制に努めている。
 「私は健康のありがたさを身にしみて感じています。
だから酒もタバコも口にしません。そして、つねに偏食せずバランスを重視した食事に心掛けています。
 ふだんはごはん、めん類、パン、野菜、魚、肉、果物など、なんでも好き嫌いなく食べます。
そして、パワーの大きな大会の1ヶ月くらい前から、
タンパク質の多い魚や肉を多めにとり、プロティンもとります。
とくに果物は大好きで皆んながびっくりするくらいよく食べます。
それから海藻や野菜も他の人より相当多くとっていると思います」
 中尾の食事法を聞いて私は、偉大な水泳選手であったマレイ・ローズの
海藻、野菜、植物性タンパク質中心の食事法を思い出した。
 筋肉を大きくしたい一心でタンパク質中心の食事に偏ることは、
長い目で見た場合、決して体によいとはいえない。
直接筋肉には関係が少ないように思える果物や野菜、
海藻といった自然のものから活きたビタミンやミネラルをとる食事によって健康は得られる。
彼はこの健康をもとに40才くらいまでパワーリフターの現役として頑張り、自己の限界に挑戦したいという。

◇イメージ・トレーニング◇

 自分の欲望を達したいというときに念仏をとなえれば、それがかなえられると信じ、
一日中、一心不乱に念仏三昧、これを仏教では他力本願というが、いくら念仏をとなえても、それだけでは逞しい筋肉も強いパワーも生まれるはずがない。
 自己暗示にもこれと同じことがいえる。
「いつかきっと俺も…」と想像ばかりしていても結果は妄想狂となるばかりである。
中尾の自己暗示には、必ず計画と実行が伴う。

たとえば、
 ○自分は1ヶ月後にこれだけの重量を必ず挙げてみせる、と心にいいきかせる。

 ○目標達成のためのトレーニング・プログラムをつくる。

 ○プログラムにそって力の限りトレーニングを実施する。

 だが、生身の身体を持つ人間であってばみれ、
時にはプログラムどおり実施することが苦しくなったり、疲れが出ていやになってしまう時がある。
こんなとき中尾は、目標記録が達成できたときの晴れやかな姿を想像したり、
このプログラムを実行しさえすれば必ず目標記録は達成できるんだと、
再三再四心にいいきかせるという。

 そして、そのイメージ・トレーニングの効果について、中尾は、
「やはりパワーリフティングのようなメンタルな面を多分にもつトレーニングには、
とくに自己暗示を使った心理的な面が大切だと思い、いつも実行しているんです」
と語っている。
トレーニングばかりでなく、中尾は自分の将来のすべてにわたって、
綿密な夢とプラン、そして実行を生活に取りいれてつねに心のトレーニングを欠かさない毎日である。
 ボディビルは体を改造するのはもちろんだが、比較的単純なトレーニングだけに、
これをコツコツ長く続けることは”ねばり強い精神”をきずくことにつながる。
”ローマは一日にして成らず”のたとえのとおり、世界新記録は一日にしてなったのではない。

◇悔いのない生き方◇

 ”石橋をたたいて渡る”ということわざがあるが、
世の中には石橋をたたいても渡らない人が意外に多い。
危険をおそれ、保守的になるからだ。
そして、そんな人はいつも”石橋を渡らなかった”ことを後悔する。

 こんな生き方を中尾は嫌う。
「人生で何が貴重かといえば、悔いのない人生を送ることです。
とくに、若さと燃えるような情熱の二度とない青春を思いっきり何かにぶつけて、
のちのち自分の生きざまを振り返ったとき悔いが残らないように生きたいものです。
大学を出て一年半、女房、子供をかかえながらジム開設にふみきったのも、
こんな気持ちからなんです」

 彼の生き方には”開き直った人生”とでもいうのか、
”良いと思ったらやりとおす”そうすれば必ずなんとかなるという気持ちがある。

 ”開きなおった人生”について中尾は
「どうせボディビル・ジムの経営というものは他の商売のように、財産を残すというものではないことはわかっています。
どうせ食べるのが精一杯の毎日。これ以上貧乏になることもない。
それなら思いきって好きなボディビルに青春と人生の夢を託そうと思ったんです」
と熱っぽく語る。

 そんなに大きくなくてもいいから、サウナのついた、
総合的なプログラミングのできる充実したトレーニング場を作るのが夢であり、
そして、自分のジムから日本を代表するようなビルダーやリフターを育てるのが
彼の夢でもあり生きがいだともいう。

 中尾の夢は、彼のトレーニング・プログラム同様、
決して妄想的なものではない。
ボディビルという自分の実践した、現実のワクの中を一歩一歩前進し、
努力し、着実で実現可能な夢を追う。

四国の若いパワーリフター中尾に心から拍手を送りたい(終)
月刊ボディビルディング1977年10月号

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