正しい栄養シリーズ 果物
果物のカロリーとビタミン
月刊ボディビルディング1978年9月号
掲載日:2018.07.18
国立競技場トレーニングセンター
木村利美
木村利美
☆果物はビタミンの宝庫☆
夏から秋にかけて、いろいろな果物が出まわる時期である。秋は「天高く馬こえる」といわれるように、食欲が増し、健康増進、体力アップに最適な季節であるが、食生活の面では、果物が一役かっているようである。
果物は、すぐれた味覚と高い香りで食生活にリズムを与え、食欲を増進すると同時に、ビタミンA・C・Bの供給源にもなっている。
ビタミンAは、カロチンの形で含まれているが(カロチンの1/3がビタミンA効力として働く)、黄色い果物に多く、あんず、柿、びわ、メロン、プラム等にたくさん含まれている。
ビタミンCを多く含むものには、イチゴ、パイナップル、かんきつ類、柿等があげられる。
ビタミンB類は、果物全般に含まれている。また、熱帯地方でとれる果物は一般に栄養価が高く、種々の酵素類を多く含んでいる。とくにパイナップルやバナナ等はビタミンCがたっぷりで、その上、たんぱく質の消化酵素を含んでいるので、肉食のデザートにびったりである。
その他、果物にはカルシウム、ナトリウム、リン、鉄等の無機質や糖質、繊維が含まれている。繊維は腸の働きを良くし消化を助ける作用がある。
筋肉を動かして、体熱が出ると、ビタミンCの消耗がはげしくなる。ところが、ビタミンCの特徴として、余分なものはすぐ排泄されてしまうので、体内にはあまり貯えられていない。そこで、1日の活動の前、つまり朝、ビタミンCを摂るのが合理的なわけである。「朝の果物は金」という言葉があるが、このようなことをいったものであろう。
普通、朝の献立には、どうしてもビタミン類が不足しがちである。ごはんに卵、みそ汁、のりとか、パンに牛乳といった場合が多いからである。
栄養のバランスからいうと、朝食に野菜をたくさん摂るのが理想的であるが、野菜は調理に時間がかかるので、忙しい朝には、つい献立から省きたくなる。そこで、手っとり早く、生で食べられる果物でビタミン補給をしようというわけである。
しかし、ここで気をつけなければいけないのは、「果物は野菜のかわりにはならない」ということである。
たしかに、果物にはビタミン類が多く含まれていて、水々しく、一見、野菜と同一のもののようであるが、ビタミンの構成、その他、微妙な成分の相違があり、野菜とはぜんぜん別種のものと考えた方が良さそうである。さっきの「朝の果物は金」というのも、食べないよりはよい、というくらいに解釈して、あくまでも、ビタミン摂取の基盤は野菜に重点をおくようにしたいものである。そして、果物は不足分を補うもの、また、芳香、美味な口あたりを楽しむものとして扱うのが妥当であろう。
「私は野菜はきらいだが、そのかわり果物をたくさん食べているから大丈夫だ」とすましている人がいるが、これはまったくナンセンスである。
果物は、すぐれた味覚と高い香りで食生活にリズムを与え、食欲を増進すると同時に、ビタミンA・C・Bの供給源にもなっている。
ビタミンAは、カロチンの形で含まれているが(カロチンの1/3がビタミンA効力として働く)、黄色い果物に多く、あんず、柿、びわ、メロン、プラム等にたくさん含まれている。
ビタミンCを多く含むものには、イチゴ、パイナップル、かんきつ類、柿等があげられる。
ビタミンB類は、果物全般に含まれている。また、熱帯地方でとれる果物は一般に栄養価が高く、種々の酵素類を多く含んでいる。とくにパイナップルやバナナ等はビタミンCがたっぷりで、その上、たんぱく質の消化酵素を含んでいるので、肉食のデザートにびったりである。
その他、果物にはカルシウム、ナトリウム、リン、鉄等の無機質や糖質、繊維が含まれている。繊維は腸の働きを良くし消化を助ける作用がある。
筋肉を動かして、体熱が出ると、ビタミンCの消耗がはげしくなる。ところが、ビタミンCの特徴として、余分なものはすぐ排泄されてしまうので、体内にはあまり貯えられていない。そこで、1日の活動の前、つまり朝、ビタミンCを摂るのが合理的なわけである。「朝の果物は金」という言葉があるが、このようなことをいったものであろう。
普通、朝の献立には、どうしてもビタミン類が不足しがちである。ごはんに卵、みそ汁、のりとか、パンに牛乳といった場合が多いからである。
栄養のバランスからいうと、朝食に野菜をたくさん摂るのが理想的であるが、野菜は調理に時間がかかるので、忙しい朝には、つい献立から省きたくなる。そこで、手っとり早く、生で食べられる果物でビタミン補給をしようというわけである。
しかし、ここで気をつけなければいけないのは、「果物は野菜のかわりにはならない」ということである。
たしかに、果物にはビタミン類が多く含まれていて、水々しく、一見、野菜と同一のもののようであるが、ビタミンの構成、その他、微妙な成分の相違があり、野菜とはぜんぜん別種のものと考えた方が良さそうである。さっきの「朝の果物は金」というのも、食べないよりはよい、というくらいに解釈して、あくまでも、ビタミン摂取の基盤は野菜に重点をおくようにしたいものである。そして、果物は不足分を補うもの、また、芳香、美味な口あたりを楽しむものとして扱うのが妥当であろう。
「私は野菜はきらいだが、そのかわり果物をたくさん食べているから大丈夫だ」とすましている人がいるが、これはまったくナンセンスである。
☆果物も食べすぎればふとる☆
果物はビタミン類のほかに、糖分も多く含んでいる。ほとんどの果物が10%以上の糖分を含んでいて、これが野菜と決定的に違うところである。そして、甘くて口あたりがいいので、ついついたくさん食べすぎてしまう。
野菜と果物を同一視している人は、10%以上の糖質を含んだ果物を、たくさん食べているのだから、即、肥満につながるわけである。また、糖質と同時に、水分もたっぷりとることになりますます水ぶとりになってしまう。
とくに、柿、バナナ、ブドウなどは20%以上の糖質が含まれているので、肥満防止という点からいうと、これらは要注意の果物である。
最近は、すべての果物が昔より甘くなってきている。遠い昔の、我々の先祖は、山野に自生する果実類を重要な食料としていたわけであるが、現在では、それらを次第に改良して、栽培するようになり、口あたりのいいものになっている。それは、とりもなおさず糖分、水分が増えてきていることであり、果物本来の成分がうすれてきているともいえるようである。
糖質の問題もさることながら、漢方的な見方をすると、果物は非常に陰性のの強い食物であり、身体を冷やす作用があるので、虚弱体質の人や、普通の人でも、冬場に食べすぎたりすると、体力を弱める結果になる。
毎日のように運動をして、身体をあたためて、汗を流している体力のある人なら、少々食べすぎても大丈夫だが一般の人、とくに女性では、果物の食べすぎが原因で肥満になり、体調をくずす場合もあるので、要注意。
一昔前の、食糧難の時代ならいざしならず、現在では、むしろこれらの食べすぎを警戒しなければならないようである。
以上のことを考え、さらに、次にあげるカロリーとビタミンの含有量を参考にして、果物を上手に食生活にとり入れていただきたい。
野菜と果物を同一視している人は、10%以上の糖質を含んだ果物を、たくさん食べているのだから、即、肥満につながるわけである。また、糖質と同時に、水分もたっぷりとることになりますます水ぶとりになってしまう。
とくに、柿、バナナ、ブドウなどは20%以上の糖質が含まれているので、肥満防止という点からいうと、これらは要注意の果物である。
最近は、すべての果物が昔より甘くなってきている。遠い昔の、我々の先祖は、山野に自生する果実類を重要な食料としていたわけであるが、現在では、それらを次第に改良して、栽培するようになり、口あたりのいいものになっている。それは、とりもなおさず糖分、水分が増えてきていることであり、果物本来の成分がうすれてきているともいえるようである。
糖質の問題もさることながら、漢方的な見方をすると、果物は非常に陰性のの強い食物であり、身体を冷やす作用があるので、虚弱体質の人や、普通の人でも、冬場に食べすぎたりすると、体力を弱める結果になる。
毎日のように運動をして、身体をあたためて、汗を流している体力のある人なら、少々食べすぎても大丈夫だが一般の人、とくに女性では、果物の食べすぎが原因で肥満になり、体調をくずす場合もあるので、要注意。
一昔前の、食糧難の時代ならいざしならず、現在では、むしろこれらの食べすぎを警戒しなければならないようである。
以上のことを考え、さらに、次にあげるカロリーとビタミンの含有量を参考にして、果物を上手に食生活にとり入れていただきたい。
果物のカロリーとビタミン含有量(可食部100g当り)
月刊ボディビルディング1978年9月号
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