なんでもQ&Aお答えします 1978年9月号
月刊ボディビルディング1978年9月号
掲載日:2018.07.31
トレーニング・スケジュールの作り方
Q ボディビル歴は1年2カ月です。僕はボディビルを単なる体力づくりとしてではなく、一流のコンテスト・ビルダーになるために行なっている者です。しかし、ここ数カ月というものは、ほとんど進歩が見られません。そのようなわけで、トレーニング・スケジュールを作り変えてみようかと考えています。
そこで、トレーニング・スケジュールを作るに当っての基本的な考え方といったものがあれば教えていただきたいと思います。なお、僕は現在、分割法を採用しており、これから先も分割法でやっていきたいと考えていますので、そのことを考慮してお答えください。また、現在のトレーニング・スケジュールと体のサイズは次のとおりです。
◎トレーニング・スケジュール
そこで、トレーニング・スケジュールを作るに当っての基本的な考え方といったものがあれば教えていただきたいと思います。なお、僕は現在、分割法を採用しており、これから先も分割法でやっていきたいと考えていますので、そのことを考慮してお答えください。また、現在のトレーニング・スケジュールと体のサイズは次のとおりです。
◎トレーニング・スケジュール
◎現在の体のサイズ
身長 170cm 上腕囲 36cm 体重 65kg 前腕囲 30cm 胸囲 105cm 大腿囲 55cm 腹囲 73cm
(福井市 清原春樹 学生 19才)
身長 170cm 上腕囲 36cm 体重 65kg 前腕囲 30cm 胸囲 105cm 大腿囲 55cm 腹囲 73cm
(福井市 清原春樹 学生 19才)
A
現在のトレーニング・スケジュールはよくできていると思います。採用種目はあまり多くはありませんが、種目の割振りの仕方にもそう無理がなく、一見して、これといった作成上の誤りもないように思われます。
しかし、数カ月もの間、効果が得られなかったのであれば、あなたも考えておられるように、トレーニング・スケジュールを作り変えてみる必要もあるかと思います。
それでは、一応、あなたの体格と筋力から推量される、あなた自身のボディビル的な実力を考慮して質問にお答えすることにします。
まず、問題点を列挙します。
㋑2分割法と3分割法のいずれを採用すべきをか検討するに当っての心得
㋺採用種目を選択するに当っての心得
㋩各コースの種目の割振りを検討するに当っての心得
㋥個々の種目のセット数と、コース全体のセット数を検討するに当っての心得
以上が問題点ですが、㋑から項目別に少し詳しく述べてみましょう。
現在のトレーニング・スケジュールはよくできていると思います。採用種目はあまり多くはありませんが、種目の割振りの仕方にもそう無理がなく、一見して、これといった作成上の誤りもないように思われます。
しかし、数カ月もの間、効果が得られなかったのであれば、あなたも考えておられるように、トレーニング・スケジュールを作り変えてみる必要もあるかと思います。
それでは、一応、あなたの体格と筋力から推量される、あなた自身のボディビル的な実力を考慮して質問にお答えすることにします。
まず、問題点を列挙します。
㋑2分割法と3分割法のいずれを採用すべきをか検討するに当っての心得
㋺採用種目を選択するに当っての心得
㋩各コースの種目の割振りを検討するに当っての心得
㋥個々の種目のセット数と、コース全体のセット数を検討するに当っての心得
以上が問題点ですが、㋑から項目別に少し詳しく述べてみましょう。
㋑2分割法か3分割法かの検討
分割法を採用するに当って、まず2分割にすべきか、あるいは3分割にすべきかについて検討する必要があります。
トレーニング量が多くなれば、必然的に3分割法を採用せざるをえなくなるということはいえますが、トレーニング量のあまり多くない初・中級者の段階では、一般的にいって2分割法で行うのが妥当であると考えられます。3分割法のほうが、2分割法よりもトレーニング法として優れているということもありませんので、特別に3分割法にしなければならないという理由がなければ2分割法で行うのがよいと思います。
というのは、たとえ分割法の利点(交互鍛練、交互休養)を活かしたトレーニングをしていても、毎日トレーニングを行うということは、局部的な疲労からやがて全身的な疲労を招くおそれがあるからです。
したがって、上級のビルダーのように、多量のトレーニングを行い得る体力と、多量のトレーニングを行わなければならない必要性とを有さない初・中級者の場合には、あえて3分割法を採用しなければならないという必然性はありません。
あなたもそのへんのところをよく考えて、まずは2分割法(各コースを週2日ずつ実施し、3日休養)を採用する立場でトレーニング法を検討されるようおすすめします。
トレーニング量が多くなれば、必然的に3分割法を採用せざるをえなくなるということはいえますが、トレーニング量のあまり多くない初・中級者の段階では、一般的にいって2分割法で行うのが妥当であると考えられます。3分割法のほうが、2分割法よりもトレーニング法として優れているということもありませんので、特別に3分割法にしなければならないという理由がなければ2分割法で行うのがよいと思います。
というのは、たとえ分割法の利点(交互鍛練、交互休養)を活かしたトレーニングをしていても、毎日トレーニングを行うということは、局部的な疲労からやがて全身的な疲労を招くおそれがあるからです。
したがって、上級のビルダーのように、多量のトレーニングを行い得る体力と、多量のトレーニングを行わなければならない必要性とを有さない初・中級者の場合には、あえて3分割法を採用しなければならないという必然性はありません。
あなたもそのへんのところをよく考えて、まずは2分割法(各コースを週2日ずつ実施し、3日休養)を採用する立場でトレーニング法を検討されるようおすすめします。
㋺採用種目の選択
採用種目を選択するに当っては、自分の願望(目的、目標、あるいは期待)を明らかにすることが必要です。たとえば体重を増やしたい、腕を太くしたい、胸囲を大きくしたいといったように、トレーニング上の意図に則したものとして検討がなされなければなりません。
選択の順序としては、からだを部位的に分けて、自分がより重点を置く部位から順に種目を選んでいくようにしたらよいでしょう。(註:トレーニング上の順序は、採用種目が全部決まってから改めて考えるとよい)
採用種目を選択するに当って、多くの人が犯しやすいあやまちは、トレーニングの量(もしくは強度)が過度になりやすいということです。早く効果を得ようとして、とかくトレーニングの内容が欲ばったものになりがちです。したがって、採用種目を検討するに際しては、自分自身のボディビルダーとしての完成度と実力を把握した上で、現段階の自分に適した種目を選ぶようにすることが大切です。
なお、トレーニングの量(または強度)が過度になりやすいということについては、運動種目の数の他にセット数やトレーニング頻度にも関係があるので、その点についても留意する必要があります。
選択の順序としては、からだを部位的に分けて、自分がより重点を置く部位から順に種目を選んでいくようにしたらよいでしょう。(註:トレーニング上の順序は、採用種目が全部決まってから改めて考えるとよい)
採用種目を選択するに当って、多くの人が犯しやすいあやまちは、トレーニングの量(もしくは強度)が過度になりやすいということです。早く効果を得ようとして、とかくトレーニングの内容が欲ばったものになりがちです。したがって、採用種目を検討するに際しては、自分自身のボディビルダーとしての完成度と実力を把握した上で、現段階の自分に適した種目を選ぶようにすることが大切です。
なお、トレーニングの量(または強度)が過度になりやすいということについては、運動種目の数の他にセット数やトレーニング頻度にも関係があるので、その点についても留意する必要があります。
㋩採用した運動種目の割振り
採用した全種目をコース別に2分割(もしくは3分割)するに当っては、いまさらいうまでもなく分割法(スプリット・ルーティン)の基本原則であるところの交互鍛練、交互休養の趣旨に則って分割しなければなりません。分割の方法としては、一般的なものとして次に述べる3つの方法があります。
①上半身と下半身の運動に分割する方法
これはもっとも簡単な分割方法です。たとえば、Aコースとして第1日目に胸・肩・背・腕等の上半身の運動を行なったら、2日目にBコースとして大腿・下腿の運動を行うようにします。なお、腹・頸等の運動はA・B各コースのトレーニング量を考慮して、都合のよい方のコースに組み入れるようにすればよいでしょう。
また、腰部の強化種目を行う場合は、スクワット(この運動は、かなり強度の負担が腰部にかかる)に関連してBコースに組み入れるほうがよいと思われます。
②腕を基準にして分割する方法
この方法は①の分別方法と結果的にはほぼ一致します。つまり、胸・肩・背等の運動のように、比較的に腕を多く使用する運動種目と、腕自体のための運動種目をAコースとして行い、腹・脚・頸等の、ほとんど脚を使わない運動種目をBコースとして行う方法です。
③腕の使用筋を基準にして分割する方法
この方法は、腕の使用筋、つまり上腕二頭筋を主に使って行う運動と上腕三頭筋を主に使って行う運動とに分割する方法です。このような方法によれば、トレーニング・スケジュールにいろいろと変化をもたらすことができ、とくに3つのコースに分割する場合に好都合です。
たとえば、第1日目に上腕三頭筋を主に使って行う運動種目をAコースとして行い、次の日に、上腕二頭筋を主として使う運動をBコースとして行います。そして、3日目にCコースとして下半身に重点を置いた運動を行うといったようにします。
したがって、腕の使用筋を基準にして分割する場合には、上述のように、内容的にかなり密度の濃いトレーニングが可能になります。しかしどちらかといえば、あまり初・中級者向きの方法ではないので、初・中級者の場合には①か②の方法で行うのがよいと思います。
①上半身と下半身の運動に分割する方法
これはもっとも簡単な分割方法です。たとえば、Aコースとして第1日目に胸・肩・背・腕等の上半身の運動を行なったら、2日目にBコースとして大腿・下腿の運動を行うようにします。なお、腹・頸等の運動はA・B各コースのトレーニング量を考慮して、都合のよい方のコースに組み入れるようにすればよいでしょう。
また、腰部の強化種目を行う場合は、スクワット(この運動は、かなり強度の負担が腰部にかかる)に関連してBコースに組み入れるほうがよいと思われます。
②腕を基準にして分割する方法
この方法は①の分別方法と結果的にはほぼ一致します。つまり、胸・肩・背等の運動のように、比較的に腕を多く使用する運動種目と、腕自体のための運動種目をAコースとして行い、腹・脚・頸等の、ほとんど脚を使わない運動種目をBコースとして行う方法です。
③腕の使用筋を基準にして分割する方法
この方法は、腕の使用筋、つまり上腕二頭筋を主に使って行う運動と上腕三頭筋を主に使って行う運動とに分割する方法です。このような方法によれば、トレーニング・スケジュールにいろいろと変化をもたらすことができ、とくに3つのコースに分割する場合に好都合です。
たとえば、第1日目に上腕三頭筋を主に使って行う運動種目をAコースとして行い、次の日に、上腕二頭筋を主として使う運動をBコースとして行います。そして、3日目にCコースとして下半身に重点を置いた運動を行うといったようにします。
したがって、腕の使用筋を基準にして分割する場合には、上述のように、内容的にかなり密度の濃いトレーニングが可能になります。しかしどちらかといえば、あまり初・中級者向きの方法ではないので、初・中級者の場合には①か②の方法で行うのがよいと思います。
㋥各種目のセット数の決め方
各種目のセット数は、自分がより重点を置く部位の運動種目から順次決めるようにするのが妥当なようです。たとえば、胸・腕・肩・脚といった順に発達を期待するのでしたらまず胸の運動種目からセット数を決め、次いで腕・肩・脚の順に、それぞれの運動種目のセット数を決めるようにするのがよいようです。
また、1つの身体部位に2種目以上の運動を採用する場合には、それらの中で、より重要と判断される種目から順に決めていくようにすればよいでしょう。
そして、コース全体のセット数については、トレーニングによる疲労が、次回のトレーニング時までに完全に癒え、超回復が得られるように配慮して決めるようにします。
なお、セット数を決めていく場合の種目の順序と、トレーニング・コースにおける種目の順序とは必ずしも一致しないので、その点を誤解しないこと。
また、1つの身体部位に2種目以上の運動を採用する場合には、それらの中で、より重要と判断される種目から順に決めていくようにすればよいでしょう。
そして、コース全体のセット数については、トレーニングによる疲労が、次回のトレーニング時までに完全に癒え、超回復が得られるように配慮して決めるようにします。
なお、セット数を決めていく場合の種目の順序と、トレーニング・コースにおける種目の順序とは必ずしも一致しないので、その点を誤解しないこと。
ハーフ・ベンチ・プレスとフル・ベンチ・プレスの筋の作用と筋力の関係
Q ボディビル経験は1年と8カ月です。現在、ベンチ・プレスの補強運動としてハーフ・ベンチ・プレスを行なっています。ハーフ・ベンチ・プレスが強くなれば、当然、普通のフル・ベンチ・プレス強くなるものと考えて行なっているわけです。
そこでお尋ねします。ハーフ・ベンチ・プレスとフル・ベンチ・プレスとでは、筋の作用の仕方にどのような違いがあるのでしょうか。また、ハーフベンチ・プレスでどのくらいの重量があげられるようになれば、フル・ベンチ・プレスで100kgがあがるようになるでしょうか。また、ハーフ・ベンチ・プレスとフル・ベンチ・プレスの筋力的な比率はどのくらいでしょうか。(東京都 橋本克夫 会社員 24才)
そこでお尋ねします。ハーフ・ベンチ・プレスとフル・ベンチ・プレスとでは、筋の作用の仕方にどのような違いがあるのでしょうか。また、ハーフベンチ・プレスでどのくらいの重量があげられるようになれば、フル・ベンチ・プレスで100kgがあがるようになるでしょうか。また、ハーフ・ベンチ・プレスとフル・ベンチ・プレスの筋力的な比率はどのくらいでしょうか。(東京都 橋本克夫 会社員 24才)
A
フル・(レインジ)・ベンチプレスの補強運動としてハーフ・(レインジ)・ベンチプレスが有効であるということは否定できません。そして、ハーフ・(レインジ)・ベンチ・プレスが強くなればフル・(レインジ)・ベンチ・プレスも強くなるというように考えるのも決して誤りではありません。
しかし、この2つの運動種目は、運動動作の面では同系統ではあっても、筋の作用の面では必ずしも同じとはいえません。つまり、使用する筋は同じでも、その作用の仕方がちがうということです。
ベンチ・プレスのような運動の場合バーベルを深くおろした状態と、中間位置から上の状態とでは使用筋の緊張の仕方が異なります。主な使用筋であるところの大胸筋の作用の仕方についていえば、付着部に近い部分(脇に近い部分)の緊張の度合がちがってきます。大胸筋の脇に近い部分は、ベンチプレスのような運動においては、バーベルを深くおろし、両肘が下へさがるほど、運動としての効率的な緊張がより十分に与えられる傾向があるといえます。
したがって、ハーフ・(レインジ)ベンチ・プレスを、たとえフルでやるよりも重い重量を用いて行なったとしても、厳密な意味ではフル・(レインジ)・ベンチ・プレスの代替運動にはなりません。また、この2つの筋力的な関係を単純に対比させるわけにはいきません。上腕三頭筋(とくに2つの短頭)などの収縮力(筋力)の問題もあり、ハーフとフルの双方の筋力が必ずしも一定の比率を保って強くなるとは限りません。
このことを手っとり早く理解していただくためのかっこうな話があるのでお聞かせします。
かつて、筆者も、ハーフ・(レインジ)・ベンチ・プレスにこったことがあります。2カ月ほどトレーニングをした後に185kgで正確に20回が可能になりました。当初は130kgで20回でしたので、実質2カ月で50gのパワー・アップでした。しかし、フル・(レインジ)・ベンチ・プレスは当初120kgだったのが、125kgと、5kgしかパワー・アップしませんでした。このことから筆者自身も、この2つの運動における筋力が必ずしも比例しないことを知ったわけです。
その後、あるパワーリフター(東京大会での優勝経験者でベンチ・プレスのベスト記録が155kgであった)がトレーニング中に、ベンチ・プレスのフォームで180kgのバーベルをラックから試みにあげようとして、あげられなかったのを見ました。このことも、ハーフとフルの筋力が一定の関係にないことを端的に物語っているといえましょう。
以上述べたことによって、ハーフ・(レインジ)・ベンチ・プレスとフル・(レインジ)・ベンチ・プレスが運動種目としては同系統であっても、実質面ではかなりちがったところがあることをお判りいただけたと思います。したがって、あなたの質問に関して、両者の筋力的な関係を数字をもってお答えしかねることもご理解いただけると思います。
フル・(レインジ)・ベンチプレスの補強運動としてハーフ・(レインジ)・ベンチプレスが有効であるということは否定できません。そして、ハーフ・(レインジ)・ベンチ・プレスが強くなればフル・(レインジ)・ベンチ・プレスも強くなるというように考えるのも決して誤りではありません。
しかし、この2つの運動種目は、運動動作の面では同系統ではあっても、筋の作用の面では必ずしも同じとはいえません。つまり、使用する筋は同じでも、その作用の仕方がちがうということです。
ベンチ・プレスのような運動の場合バーベルを深くおろした状態と、中間位置から上の状態とでは使用筋の緊張の仕方が異なります。主な使用筋であるところの大胸筋の作用の仕方についていえば、付着部に近い部分(脇に近い部分)の緊張の度合がちがってきます。大胸筋の脇に近い部分は、ベンチプレスのような運動においては、バーベルを深くおろし、両肘が下へさがるほど、運動としての効率的な緊張がより十分に与えられる傾向があるといえます。
したがって、ハーフ・(レインジ)ベンチ・プレスを、たとえフルでやるよりも重い重量を用いて行なったとしても、厳密な意味ではフル・(レインジ)・ベンチ・プレスの代替運動にはなりません。また、この2つの筋力的な関係を単純に対比させるわけにはいきません。上腕三頭筋(とくに2つの短頭)などの収縮力(筋力)の問題もあり、ハーフとフルの双方の筋力が必ずしも一定の比率を保って強くなるとは限りません。
このことを手っとり早く理解していただくためのかっこうな話があるのでお聞かせします。
かつて、筆者も、ハーフ・(レインジ)・ベンチ・プレスにこったことがあります。2カ月ほどトレーニングをした後に185kgで正確に20回が可能になりました。当初は130kgで20回でしたので、実質2カ月で50gのパワー・アップでした。しかし、フル・(レインジ)・ベンチ・プレスは当初120kgだったのが、125kgと、5kgしかパワー・アップしませんでした。このことから筆者自身も、この2つの運動における筋力が必ずしも比例しないことを知ったわけです。
その後、あるパワーリフター(東京大会での優勝経験者でベンチ・プレスのベスト記録が155kgであった)がトレーニング中に、ベンチ・プレスのフォームで180kgのバーベルをラックから試みにあげようとして、あげられなかったのを見ました。このことも、ハーフとフルの筋力が一定の関係にないことを端的に物語っているといえましょう。
以上述べたことによって、ハーフ・(レインジ)・ベンチ・プレスとフル・(レインジ)・ベンチ・プレスが運動種目としては同系統であっても、実質面ではかなりちがったところがあることをお判りいただけたと思います。したがって、あなたの質問に関して、両者の筋力的な関係を数字をもってお答えしかねることもご理解いただけると思います。
大胸筋の上部を発達させたい
Q ボディビル歴9カ月、自宅でトレーニングをしている者です。胸の運動としてベンチ・プレスとラタラル・レイズ・ライイングを行なっていますが、どうも大胸筋の上部に筋肉がつきません。この部分の発達にはインクラインの状態で運動を行うのがよいとのことですが、そのような設備がないので困っています。フラット・ベンチだけで大胸筋の上部を発達させる方法はないものでしょうか。
(豊岡市 熊野徹 17歳)
(豊岡市 熊野徹 17歳)
A
インクライン・ベンチがあれば大胸筋の上部を比較的容易に発達させることができるのは確かです。しかし、そのような設備がないのならば、それなりの方法を考えなければなりません。インクラインの状態のようには効果が得られないかもしれませんが、3つばかり運動種目を紹介しますので実施してみてください。
インクライン・ベンチがあれば大胸筋の上部を比較的容易に発達させることができるのは確かです。しかし、そのような設備がないのならば、それなりの方法を考えなければなりません。インクラインの状態のようには効果が得られないかもしれませんが、3つばかり運動種目を紹介しますので実施してみてください。
◎ベンチ・プレス・ロゥア・ツー・ザ・アッパー・ペクツ
<かまえ>この運動はベンチ・プレスの1種です。フラット・ベンチに仰臥し、左右のグリップの間隔を普通のベンチ・プレスの場合と同じくらいにしてバーベルを握る。
<動作>バーベルをおろしたときに、シャフトが大胸筋の上部(鎖骨のすぐ下)のあたりに触れるようにベンチ・プレスを行う。シャフトの握り幅が狭すぎると、バーベルがおりにくくなるから注意。
<注意事項>この運動は、無理な重量で行うと肩を痛めるおそれがあるので、余裕のある重量で慎重に行うようにする。また、運動中に背をそらしすぎると効果が半減するので、できればベンチの上に両足をのせ、両膝を立て、背をなるたけベンチに密着させるようにして行うのがよい。
<動作>バーベルをおろしたときに、シャフトが大胸筋の上部(鎖骨のすぐ下)のあたりに触れるようにベンチ・プレスを行う。シャフトの握り幅が狭すぎると、バーベルがおりにくくなるから注意。
<注意事項>この運動は、無理な重量で行うと肩を痛めるおそれがあるので、余裕のある重量で慎重に行うようにする。また、運動中に背をそらしすぎると効果が半減するので、できればベンチの上に両足をのせ、両膝を立て、背をなるたけベンチに密着させるようにして行うのがよい。
◎ダンベルによるベンチ・プレス・ロゥア・ツー・ザ・アッパー・ペクツ
[写真1]
<動作>左右のダンベルを[写真1]のように持ち、その状態を保ったままダンベル・ベンチ・プレスを行う。
ダンベルとバーベルのちがいはあるが、先に紹介したベンチ・プレス・ロゥア・ツー・ザ・アッパー・ペクツとまったく同様な要領で運動を行う。
ダンベルとバーベルのちがいはあるが、先に紹介したベンチ・プレス・ロゥア・ツー・ザ・アッパー・ペクツとまったく同様な要領で運動を行う。
◎プッシュ・アップ・ウイズ・フィート・エレベイティッド
[写真2]
<かまえ>この運動は、[写真2]のように両足を高い所にのせて行う腕立て伏せ運動である。床に両手をつき両足をベンチや椅子の上などにのせて腕立て伏せの姿勢をとる。
<動作>頭から足までの線をまっすぐに伸ばした状態で、大胸筋の上部に負荷が十分かかるように注意して両腕を屈伸する。足の高さは、大胸筋の上部に負荷がしっくりした感じにかかる高さに定める。
<動作>頭から足までの線をまっすぐに伸ばした状態で、大胸筋の上部に負荷が十分かかるように注意して両腕を屈伸する。足の高さは、大胸筋の上部に負荷がしっくりした感じにかかる高さに定める。
[解答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内威先生]
月刊ボディビルディング1978年9月号
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