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なんでもQ&Aお答えします 1981年9月号

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月刊ボディビルディング1981年9月号
掲載日:2020.06.26

バーベルやダンベルの握り方について

Q ボディビルをはじめて,まだ4ヵ月です。グリップのかたちについてお伺いします。バーベルやダンベルを持つときのグリップのかたちには,オーバー・グリップやアンダー・グリップの他にもいろいろな握り方があると聞いていまナが,どのような握り方があるのか,一応,念のためにオーバー・グリップとアンダー・グリップを含めて,できるだけ解りやすく説明してください。
 (香川県 林 一男 高校生 17歳)
 シャフトの握り方

 シャフトの握り方

A あなたのいわれるとおり,器具の握り方には,オーバー・グリップやアンダー・グリップの他にもいろいろな握り方があります。ではそれらについて説明します。

◎オーバー・グリップ
 前腕を回内した形でシャフト(またはバー)を握る方法。たとえば,床に置いてあるバーベルを手のひらを下に向けて,上からシャフトを握るとこのオーバー・グリップの握り方になる。〔写真上〕

◎アンダー・グリップ
 前腕を回外した形でシャフト(またはパー)を問る方法。たとえば,床に置いてあるバーベルを手のひらを上に向け,下から手をかけて握るとこのアンダー・グリップの握り方になる。〔写真中〕

◎リバース・グリップ
 片方の手をオーバー・グリップ,もう一方の手をアンダー・グリップにしてシャフト(またはバー)を握る方法。〔写真下〕

◎パラレル・グリップ
 左右のグリップが並行になる握り方。たとえば,両手にそれぞれダンペルを持ち,タテ向きに合わせればこのパラレル・グリップの握り方になる。ラテラル・レイズ・ライイングやダンベル・ベンチ・プレスなどは,一般的な運動法ではパラレル・グリップの状態から動作を行うようになる。なお,トライアングルを用いてチンニングを行う場合にも,左右のグリップの状態がパラレル・グリップのかたちになる。

練習時間の短縮をスーパー・セット法の採用で解消したいが

Q ボディビルを始めてから約2年になります。勤務先にボディビルの同好会があるので,仕事が終ったあと,仲間たちと職場の一隅でトレーニングに励んでいます。

 現在は,後述するスケジュールで行なっていますが,秋口からは勤務時間が少し延びるのと,帰りのダイヤの関係で,トレーニングの時問に余硲がなくなります。しかし,だからといってトレーニングの量を減らす気はありません。トレーニング時間の不足は,スーパー・セット法を取り入れることで解消したいと考えています。

 そこでお願いがあります。現在採用している運動種目を基礎にして,スーパー・セット法を取り入れたスケジュールを作っていただきたいのです。なお,万が一,スーパー・セット法を取り入れても時間的な問題が解決しない場合は,スプリットリレーティーンを採用しようかと考えています。お手数でしょうが,一応念のために,その場合のスケジュールも作っていただきたいと思います。
 (鳥取県 佐々木 昇 工員 23歳)
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A スーパー・セット法を取り入れたスケジュールから記述することにします。ただし,スーパー・セット法を取り入れることは体力的な負担が増すので,場合によっては,セット数を少なくすることでその点をカバーするようにすればよいと思います。
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 では次に,スプリットリレーティーンによるスケジュールについて記述します。
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初級者向きのダンベルによる運動3種目

Q ボディビル歴は5ヵ月,自宅でトレーニングしています。現在は下記のスケジュールで実施していますが,どうもマンネリの感がしてトレーニングに対する意欲が湧いてきません。

 そのようなわけで,この際,トレーニングに変化を与えるために,ダンベルの運動を2~3種目加えてみようかと考えていよす。初級者向きのダンベル運動を3種目ほど教えていただきたいと思います。(秋田県 八木沢保 調理士 27歳)
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A 今までとは趣きの違った連動を採用してみるというのもマンネリを解消するための1つの方法であると思います。しかし,トレーニングの有効性というものは,短期間では判断しがたいので,あまり頻繁にトレーニングの内容を変えるのは考えものであるといえます。

 したがって,トレーニングの内容を変えたいと思うときは,まず,現在行なっているトレーニング法が,有効度の面から考えて,継親するに値しないものであるかどうか,その辺のところを充分に検討してみる必要があるといえます。

 それでは,前置きはこのくらいにして,ダンベル運動について説明することにします。ただし,あなたの場合,現在行なっている6種目に,新たにダンベルの運動を3種目加えるというのは,体力的にいって少々無理があるのではないかと考えられますので,しばらく様子を見るために,次のようなスケジュールで実施してみるのがよいのではないかと考えられます。

≪トレーニング・スケジュール≫
 [註]隔目的,週3に太字の種目がダンベルの運動です。やり方については後述します。
①レッグ・レイズ(またはシット・アップ) 3セット
②スクワット 3セット
③ベンチ・プレス 3セット
④ラタラル・レイズ・ライイング 2セット
⑤オールターニット・プレス3セット
⑥ベンド・オーバー・ローイング 3セット
⑦オールターニット・カール3セット

〔註〕あなたの場合,トレーニング後の疲労度から判断して,各種目を4セットずつ行うのは少々無理があると思います。
〔ラタラル・レイズ・ライイング〕

〔ラタラル・レイズ・ライイング〕

◎ラタラル・レイズ・ライイング
<かまえ>まず,両手にそれぞれダンベルを持ち,ベンチに仰臥する。次に,腕を伸ばし,左右のダンベルを胸の土方に,並行にかまえる。〔写真参照〕
<動作>両腕を左右へ拡げるようにして,ダンベルを床の方へおろし,十分におろしたなら,両腕をつぼめるようにして元に戻す。肘をいくぶん曲げた状態で動作を行うのがよい。なお,呼吸は,腕を拡げながら息を吸い,つぼめながら吐く。
<効果>大胸筋,胸郭の拡張。
 〔オールターニット・プレス〕

 〔オールターニット・プレス〕

◎オールターニット・プレス
<角作>両手にそれぞれダンベルを持って立ち,肩の位置から左右交互にダンベルを上方ヘプレスする。〔写真参照〕

<効果>三角筋。
 〔オールターニット・カール〕

 〔オールターニット・カール〕

◎オールターニット・カール
<動作>両手にそれぞれダンベルを持ち,左右交互にカールする。この運動は,知らず知らずのうちに反動を使うようになるので,その点に留意し,できるだけ正確な動作で行うように心掛ける。〔写真参照〕
<効果>上腕二頭筋。

ボディビルを始めるために必要な器具と初心者用トレーニング・スケジュール

Q 友人2人と共同で器具を購入してボディビルを始めようと考えています。ところで,3人ともボディビルの経験がないので,差し当りどのような器具を購入したらよいのか,まったくわかりません。しかし,一応はきちんとしたかたちでボディビルを行いたいと考えています。したがって,そのような意味では,必要な器具はできるだけそろえるつもりです。

 ちなみに,メンバー3人の体位は次のとおりです。ボディビルを始めるにあたって,どのような器具をそろえればよいかお教えください。

 なお,ついでにといってはなんですが,メンバー各人に合ったトレーニング法もあわせてお教えください。
≪N・O 会社員 29歳≫
 身 長  176cm  上腕囲  31cm
 体 重  63kg  前腕囲 28.5cm
 胸 囲  91cm  大腿囲  50cm
 腹 囲  80cm  下腿囲  37cm
 腰 囲  90cm
〔註〕高校時代に硬式野球を約2年半行う。現在は,たまに軟式野球を行う程度。上腕囲は緊張時。
≪R・Y 商業 2S歳≫
 身 長  163cm  上腕囲  34cm
 体 重  62kg  前腕囲  29cm
 胸 囲  96cm  大腿囲  52cm
 腹 囲  79cm  下腿囲  38cm
 腰 囲  91cm
〔註〕とくにスポーツ経験はない。現在は時々,草野球をする程度。
≪Y・T イラストレイダー 30歳≫
 身 長  173cm  上腕囲 26.5cm
 体 重  55kg  前腕囲  25cm
 胸 囲  84cm  大腿囲  46cm
 腹 囲  81cm  下腿囲  35cm
 腰 囲  87cm
[註]スポーツを行なった経験はほとんどない。現在は1㎞~1. 5 kmのジョギングを週2度ほど実施。
(千葉県館山市 R・Y生)
A 器具についての質問からお答えします。ところで,あなた方は3人ともボディビルに関しては未経験なので,ボディビルのトレーニングを始めれば,当然,基礎的な運動から行うことになります。

 したがって,準備する器具も,当初は基礎的な運動を行うのに最少限必要と思われるものを揃えればよいことになります。しかし,同じトレーニングを行うにしても,補助的な器具の有るのと無いのとでは,運動を行う際の安全度と能率度がちがってくるので,できればその辺のところも考慮して器具を揃えるのがよいと思います。

 さいわいあなた方は「きちんとしたトレーニングを行うためには,必要な器具をできるだけ揃えたい」とのことなので,そのような趣旨にそって,器具に関するアドバイスをすることにします。

 まず初めに準備する器具について列記し,その後で個々の器具に関する説明を加えることにします。

≪準備する器具≫
①バーベル
②ダンベル
③フラット・ペンチ
④スクワット・スタンド
⑤腹筋台

 では,これらの個々について順に説明していきます。

○バーベル
 ボディビルの運動は,そのほとんどがウェイトを使用して行う運動であるといえます。したがって,バーべルのプレートは,他の器具に優先して,運動を行うのに十分な重量を取り揃えることが必要です。

 あなた方の中ではR・Yさんが最も力があると判断されるので,彼の筋力から割り出して,購入する重量を決められたらよいと思います。差しあたって60kgもあれば十分だと思います。

○ダンベル
  差し当りバーベルがあれば,ダンベルはいらないという考えもありますが,ダンベルにはダンベルなりの用途があり,トレーニングの結果次第では,すぐにも必要になるかも知れません。したがって,当初,バーベルを購入する際に,ダンベル用のシャフト2本を一緒に購入しておくのがよいと思います。

 なお,その際,購入するプレートは,あらかじめダンベルで使用するときのことを考慮して, 1.25kg, 2.5kg,5kg等,軽量のものを4枚単位で揃えておくようにされるのがよいと思います。

○フラット・ベンチ(ベンチ・プレス用のベンチ)
  ペンチ・プレスという運動は,上半身を鍛練するためには最も大切な運勣のひとつであるといえます。したがって,ベンチ・プレス用のベンチは,本式にボディビルを行う場合には欠かすことのできない器具であるともいえます。

 フラット・ベンチにもいろいろな形式のものがありますが,できればラックのついたものを購入されるのがいいです。なお,傾斜していない平らなベンチのことをフラット・ベンチといいます。

○スクワット・スタンド(スクワット用のパーベル・ラック)
 スクワットという運動は,下半身とくに大腿部を鍛練するための脚部屈伸運動で,バーベルを後ろ肩にかついだ状態で動作を行います。したがって,この運動は,動作を始める前に,まずバーベルを肩に載せることから行わなければなりません。ところが,このスクワットという運動は,その運動としての性質上,一般的にいって他の運動よりはかなり重い重量を用いて運動を行うようになります。

 そのようなわけで,実際には,運動で使用するウェイトを床から自力で持ちあげて肩にかつぐのは容易なことではなく,ときには,自分ひとりの力ではかつぐことが出来ない場合もありまナ。また,よしんば,ウェイトを肩に載せるのに他の人の力が借りられたとしても,トレーニングによって使用する重量がさらに重くなってくると,安定した体勢でかつぐのが難しくなります。

 したがって,運動を行う際の安全性を高め,また,本運動に入る前の体力的なロスをなくして,運動そのものの効果を高めるためにもスクワット・スタンドを使うようにするのがよいと思います。

○腹筋台
 腹筋運動は,床やフラット・ベンチの上でもできるので,予算がなければ無理をじてまで腹筋台を購入することはないと思います。しかし,どうしても傾斜した台の上で腹筋運動を行いたいというのであれば,ベンチ・プレス用のベンチと傾斜可能な腹筋台とが兼用になったものがあるので,それを購入されるようにしたらよいと思います。

 では次に,トレーニングに関するアドバイスに移ります。ただし,採用する運動のやり方そのものについては専門書等によって習得していただくことにして,ここではトレーニング・スケジュール例のみを記述します。

○トレーニング・スケジュール例
≪N・Oさんの場合≫
①シット・アップ
 正確な動作で行える回数×2セット
②スクワット 10回×2セット
③ペンチ・プレス 10回×3セット
④スタンディング・プレス 10回×2セット
⑤ベンド・オーバー・ローイング 10回×2セット
⑥ツー・ハンズ,カール 10回×2セット

≪R・Yさんの場合≫
 隔日的,週3回
①シット・アップ
 正確な動作で行える回数×3セット
②スクワット 10回×3セット
③ベンチ・プレス 10回×3セット
④スタンディング・プレス 10回×3セット
⑤ベンド・オーバー・ローイング 10回×3セット
(6)ツー・ハンズ・カール 10回×3セット

≪Y・Tさんの場合≫
 Y・Tさんは,他の2人よりも体力的に劣るとも考えられるので,場合によっては,2~3日おき,週2回のペースでトレーニングを行うようにするのがよいでしょう。
◇隔日的,週3回の場合
①シット・アップ
 正確な動作で最商回数1~2セット
②スクワット    10回×2セット
③ベンチ・プレス  10回×2セット
◇2~3日おき,週2回の場合
①シット・アップ
 正確な動作で行える回数×2セット
②スクワット    10回×2セット
③ベンチ・プレス  10回×2セット
④ベンド・オーバー・ローイング
          10同×2セット

 初心者の段階では,トレーニングを1人で行うよりは,2人または3人で行うほうがより安全です。また,パートナーがいれば,それだけトレーニングに対する意欲も高まるので,効果の面から考えても良い結果が得られるのではないかと思います。

 ただし,あなた方は3人が3人とも力量が異なると思われるので,その辺のところを各人がしっかりと自覚し,それぞれのペースをくずさないように留意することが大切です。

ボスクリュー・カールのやり方とその効果について

Q ボディビル歴は2年8ヵ月,自宅で1人でトレーニングしています。 ところが,この半年ほど,上腕,とくに二頭筋の発達がほとんど止ったままです。そのようなわけで,この際,少し変ったタイプのカール運動を取り入れてみようかと考えています。

 そこで,お伺いします。スクリュー・カールという運動があるそうですがそれはいったいどのようなカール種目なのでしょうか。その運動法と効果についてご説明ください。

 なお,現在の腕のサイズは36cm(バンプ・アップして)です。どちらかといえば,体脂肪の少ないタイプなので腕のキレは良いほうです。
 (札幌市 平山光男 自由業 26歳)
A スクリュー・カールとは,ダンペルを用いて行うカール運動の1種で,別名をツイスティング・カールともいいます。そして運動のやり方には,スーパイネーション(シューパイネーション)とプロネーションの2とおりの方法があり,効果の面でも多少異なります。
〔ツイスティング・カール・スーパイネーション〕

〔ツイスティング・カール・スーパイネーション〕

◎ツイスティング・カール・スーパイネーション〔写真参照〕
<かまえ>ダンベルをオーバー・グリップで持ち,立った姿勢で人腿部の前にかまえる。この場合,ダンベルを握った手の甲は前方に向く。
<動作>手首を外側へひねりながらカールを行う。
<効果>上腕二頭筋,とくに短頭に効く。

◎ツイスティング・カール・プロネイション
<かまえ>ダンベルを,アンダー・グリップで持ち,立った姿勢で大腿部の前にかまえる。この場合,先のスーパーネイションの場合とはちがって,手のひらが前方に向くようになる。

<動作>先のスーパーネイションの場合とは反対に,手首を内側にひねりながらカールを行う。

<効果>上腕二頭筋。比較的長頭に効く。上腕筋にも有効。


 回答は1959年度ミスター日本,NE協会指導部長・竹内 威先生
 トレーニング種目の実技指導は平井ボディビル・センターの熊岡健夫会長
月刊ボディビルディング1981年9月号

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