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★日本トップ・ビルダーの食事診断★
野沢秀雄
私のトレーニング法と食事法

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月刊ボディビルディング1981年3月号
掲載日:2020.04.20
1980年度ミスター中部日本1位 広田俊彦
年齢 23歳 ボディビル歴 7年

≪体のサイズ≫

身 長 170cm
体 重 普通時 180g 減量時 72kg
胸 囲 平 常 110cm 最 高 115cm
上腕囲 最高右 42cm 最高左 41.5cm
腹 囲 80cm 
大腿囲 右 63cm 左 62cm
カーフ 42cm

≪パワー最高記録≫
ベンチ・プレス 170kg
スクワット 205kg
デッド・リラト 200kg
フロント・プレス 125kg
カール 80kg
チンニング回数 20回

≪ジーズン・オフのトレーニング法≫

 A・B・Cの3コースを週2回ずつ実施する。つまり週6日練習して1日休む。1回の所要時間は約2時間半。セット法が主体で、シーズン・オフには低回数・低セットで実施。コンテスト前も原則的にはほとんど同じであるが、使用重量を少し軽くして反復回数を増やすのと、ポージング練習にかなり時間をかける。
記事画像1

≪ふだんの食事内容≫

朝食(8時ごろ)
 ごはん1杯(またはパン1枚)、みそ汁、ヨーグルト、プロティンジュース、(牛乳300cc、プロティン大さじ3杯、バナナ、ココア、卵3個)
間食(午前10時ごろ)
 果物、プロティンタブレット
昼食(1時ごろ)
 昼食(1時ごろ)
 ごはん、肉500g、野菜。野菜ジュース、プロティン・ジュース(牛乳食400cc、プロティン大さじ3杯)
タ食(5時ごろ)
 朝食とほぼ同じ。
間食(午後10時ごろ)
 プロティンタブレット

≪減量時の食事内容≫

朝食(8時ごろ)
 生野菜、チーズ、ビタミン剤、プロティン・ジュース(牛乳300cc、プロティン大さじ6杯、バナナ、ココア、卵3個
昼食(1時ごろ)
 肉300g、野菜ジュース、チーズ少々、レモン、ワインまたはビール少々、プロティン・ジュース(プロティン、オレンジ・ジュース)
タ食(5時ごろ)
 さばの缶詰1缶、トマト1個、ジャーム・オイル、プロティン・ジュース(朝食のものと同じ)
間食(午後10時ごろ)
 プロティン・ジュース(朝食のものと同じ)

≪食事診料≫...............野沢秀雄

 20才という若さで、史上最年少でミスター愛知コンテストに優勝し、そのあと、ミスター中部日本コンテストに連続優勝している広田俊彦選手。スラリと伸びた骨格の良さは定評がある。肩巾が広く、筋肉のカットも良いのでこれからの工夫と努力次第でミスター日本上位入賞も充分に可能である。
 昨年夏の中部日本コンテストで広田選手に逢う機会があったが、近い将来の大器を思わせるに充分であり、ぜひ活躍を期待したい。

1. ふつう時の食事内容

 朝食8時・間食10時・昼食1時・タ5時・夜10時と、1日5食に分けて食べていることは適切である。胃腸の処理力や血中栄養素量からみて、一度に多量に食べるよりも、少量ずつ回数をふやして食事をするほうが好ましい。
 総カロリー約3200カロリー、たんぱく質260gで、体重1g当り3.2g、脂肪85g、炭水化物は約330gで全体の約50%になっている。
 注目したいことは、栄養補助食品としてプロティンパウダーやプロティンタブレットをうまく用いていることである。もし肉や魚・卵などでたんぱく質を多くとろうとすると、同時に、脂肪やカロリーがふえてしまい、トータルすると栄養過剰になる心配がある。
 実際に、広田選手の食事法では昼食にとっている500gの肉が全体の20%以上の大きな比重を占めているわけだが、脂肪・カロリーの大幅増加の原因にもなっているわけだ。500gの肉にかける費用の点(約1000円)からみても結局はプロティンなどを用いた方が有利であることがわかる。
 なお、ライス、パンなど炭水化物の食品を適宜とっていることも良いことである。とくにシーズンオフのトレーニングでは、この程度の炭水化物はトレーニングや日常の仕事などのエネルギーに消耗されてしまい、脂肪になって蓄積してゆく心配はほとんどない。
 最後に、野菜・果物も相当量にとっており、良好である。当社の分析基準ではトータル80点ということになる。たんぱく質や脂肪量が過剰なので、この点、もう少し減らしてもよい。たとえば肉を500gから200g~300gにおとしても、栄養的には水準が維持される。また魚。とくに小魚類を多くとるとよい。

 2. 減量時の食事内容

 食事回数を4回に減らし、ライスやパンは食べない方法をとっている。総カロリー約2900、たんぱく質250gで、体重1kg当り3.4gは確保されている。炭水化物の量も170gで全体の約20%にまでカットダウンされている。
 ところが問題は脂肪の量が増えていることだ。これは1日に6個食べている卵と肉の脂肪、チーズに含まれる脂肪などに由来している。さばの缶詰も脂肪の点ではやや多いようであるが、これはこれで骨ごと食べられるプラス面を考えて、良い食品と判定される。
 さて、減量では80kgから72kgへと、8g脂肪がとれていて、デフィニッションを見せるのに良い効果をあげている。この食事内容そのものでは体重はそれほど減らないが、いったん目的とする体重に達してから、その体重を維持しつつ、激しいトレーニングをするのに、大変良好なプログラムである。減量の際は、往々にして、たんぱく不足や、ビタミン・ミネラルの不足に陥って、バテてしまう。「脂肪はとれたけど同時に筋肉量までおちてしまい、パワーも大幅に低下してしまう」と嘆く選手が多いが、たいていは無理な減食に原因がある。こんな選手にかぎって、肌がカサカサで精彩がないものだが、広田選手の場合は、コンディションも上々で、筋肉のバルクもあり、トレーニングもハードにこなしていることが類推される。

3. その他についてアドバイス

 トレーニングは週6日、1回に約2.5時間と、相当にきついスケジュールをこなしている。パワーの記録やカール、チンニングの回数なども高いレベルにある。トレーニング歴が約7年だから16才くらいからバーベルやダンベルの練習を開始しているわけで、体の発達時期とタイミングが合致して、現在のような立派な筋肉質の体が得られたことになる。まさに理想的な進歩ぶりである。
 23才になったばかりで、これからが体力・筋肉ともに完成されてゆく。バーベルやダンベルは遠慮せずにどんどん重い重量に挑戦してもらいたい。
 「少種目・高セット法」が主体になっており、ピラミッド方式で重量を変えながらトレーニングをおこなっている。パワーの練習法にも通じるところがあり、挙上重量を増すには良い方法とされている。この調子で、1回でも多く重いバーベルに取組んでゆくと、さらに迫力が生じるだろう。
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月刊ボディビルディング1981年3月号

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