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なんでもQ&Aお答えします 1978年10月号

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月刊ボディビルディング1978年10月号
掲載日:2018.08.28

三角筋と広背筋を発達させたい

Q ボディビルを始めて約1年たちます。その結果、胸・腕・脚などに関しては自分なりに十分納得できる効果が得られたと考えています。しかし、肩(三角筋)と背(広背筋)の発達については少なからず不満を持っています。

 三角筋は横の部分の発達が悪く、そのため肩幅が狭く見えます。また、広背筋は、全体的に発達が悪く、上体がまったくビルダー的な体形に見えません。

 そこでお伺いします。三角筋の横の部分の発達と、広背筋のバルクを増すはどのような運動を行ったらよいでしょうか。有効な運動種目とトレーニング法をお教えください。

 なお、私が現在実行しているトレーニング・スケジュール、および現在の私の体位は下記のとおりです。

<トレーニング・スケジュール>
(1日おき週3回、1回40~50分)
トレーニング後の疲労感は適度

トレーニング後の疲労感は適度

<体位>
身 長 166cm
体 重 60.5kg
胸 囲 96cm
腹 囲 80cm
上腕囲 33cm
前腕囲 27cm
大腿囲 56cm

(福岡市・丸井栄二 会社員 26歳)
A 1年程度のトレーニングではそうそうビルダー的な体形になるものではありません。肩も背も、もっとトレーニングを積んでいけば、あなたが考えておられるような形に発達してきます。

 したがって、いまここで、肩と背の発達に関して必要以上に不満を抱くのは時間的に早すぎるのではないかと思いますが、一応、質問について参考までにお答えすることにします。ただしあなたの実力が中級者程度と目されるので、それに見合った運動種目と運動法について述べることにします。

◇三角筋の横の部分に有効な運動

①スタンディング・ロー[写真参照]

 この運動は、やり方がまずいと三角筋にはあまり効かずに僧帽筋に効いてしまうので注意事項に留意してください。

<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで持ち、大腿部の前にぶらさげる。左右のグリップの間隔は1~2こぶしくらいがよい。

<動作>両肘を横斜め前方へ引き上げるような感じで腕を屈し,バーベルを首の高さまで引き上げる。

<注意事項>背を彎曲させて行うと、三角筋よりも僧帽筋に効いてしまうので注意すること。三角筋(とくに横の部分)に効かすには、胸を張り肩甲骨を正常な位置にできるだけ止めたまま、腕の上下動作を行うようにする。

 また、バーベルを引き上げるとき(および引き上げたとき)に、左右の前腕を肘よりも高く上げると、三角筋(とくに横の部分)に対する効果が減少するので注意。三角筋に効かすには、あくまでもバーベルをぶらさげた感じで、両肘で引き上げるように行う。
[スタンディング・ロー]

[スタンディング・ロー]

②コンビネーション・プレス(フロント・プレス/バック・プレス・コンビネーション)

 この運動は、フロント・プレスとバック・プレスを1回ごとに交互に行う運動です。

<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで持ち、クリーンして肩の前にかまえる。左右のグリップの間隔はバック・プレスに適した間隔がよい。

<動作>まず、バーベルを頭上へ挙上する。挙上したら首のうしろ側へおろす。次いで、首のうしろ側から挙上して、今度は前におろす。つまりフロント・プレスとバック・プレスを連続して交互に行う。

③コンビネーション・ハーフ・プレス

 この運動は前項②の運動を、ハーフ・プレスの範囲で行う運動です。

<かまえ>前項②の運動と同じ。

<動作>バーベルを完全に挙上しないで、頭上すれすれに前からうしろへ移動させて首の後方へおろし、次いで逆の動作をたどって前へ戻す。

<注意事項>バーベルを前後(またはうしろから前)に移動する動作においては、両肘の前後の動きをできるだけ大きくするように留意する。つまり、肘で重量を保持するような感じでバーベルを移動し、前後の動きの幅を大きくする。

 なお、この運動は、いくぶんゆっくりとした動作で行うほうがよいように思われる。

◇広背筋のための運動種目

①レバレッジ・バー・ローイング

 この運動は、バー・ローイングともいい、広背筋鍛練用のレバレッジバーを使用して行う運動です。備え付けのレバレッジ・バーがないときは、バーベル・シャフトの一方にだけプレートを取り付けたもので代替するとよいでしょう。

<かまえ>上体を前倒した姿勢でレバレッジ・バーをまたぎ、両手を組み合わせてバーの上端を下から握る。

<動作>上体の前倒姿勢を固定したまま、両腕の力をできるだけ抜き、肘で引き上げるような感じで、バーを体の方へ引き寄せ上げる。

<注意事項>バーを引き上げたときにグリップが中腹部(みぞおちとヘソの中間あたり)にくるように行うのがよい。したがって、両足の位置はそのことを考慮して定めるようにする。また、上体を水平よりもいくぶん起こした姿勢で運動を行うのがよい。

②ストラッドル・バーベル・ローイング[写真参照]

<かまえ>床に置いたバーベルをまたいで立ち、上体を前倒し、両手を組み合わせてシャフトの中心部を下から握る。

<動作>前倒した上体を床とほぼ平行の状態を保ったまま、バーベルを床から浮かし、バランスをとりながら腕を屈して体の方へ引き上げる。このとき腕の力はできるだけ抜くようにして、肘でバーベルを引き上げる感じで行う。

<注意事項>バーベルを上げ下げするときに、できるだけ前後にゆさぶらないように注意する。バーベルを引き上げたときに、グリップが中腹部あたりにくるように動作を行うのがよい。胸の方へ引き上げると効果が半減するので注意。

 なお、引き上げたときに、バーベルが体に触れなくとも別にかまわない。要は、バーベルを引き上げたときに、広背筋が十分に収縮した感じが得られればよい。
[ストラッドル・バーベル・ローイング]

[ストラッドル・バーベル・ローイング]

③ストラッドル・ダンベル・ローイング

 この運動は、②のストラッドル・バーベル・ローイングの動作をダンベルを使用して行う運動です。ダンベルはバーベルと違って丈が短いので、バランスをとるための労力が不要となり、バーベルで行う場合に比べて運動がやりやすくなるのがこの運動の利点といえます。しかし、その反面、ダンベルを引き上げたときに、場合によってはプレートがじゃまになるといったこともあります。

 運動のやり方は、バーベルとダンベルの違いはありますが、ストラッドル・バーベル・ローイングとまったく同じです。

  ――×――×――×――

 以上、中級者向きと思われる三角筋(とくに横の部分)と広背筋のための運動種目の中から、比較的容易に使用筋に刺激を与えることのできる運動を選んで紹介しました。

 三角筋の横の部分に有効な運動種目としてはサイド・レイズやワイド・グリップ・ダンベル・プレスなどもありますが、これらの種目は運動としての難度が高く、中級者向きとはいえませんので、説明を省略しました。

 また、広背筋の種目であるところのチンニングとラット・マシーン・プルワークに属する運動については、これらの運動で使用する設備の有無が不明なのでこれも省略しました。
記事画像4

サーキット・トレーニングにおける運動種目の配列順序

Q ボディビルを始めて6ヵ月になります。動機は日常生活における活動力を強化したいと思ったからです。現在は6種目の基礎的な運動をセット・システムで行なっています。しかし、今後は、持久力の強化も含めて、活動力をより強化するためにサーキット・トレーニングを行いたいと考えています。

 現在採用している運動種目は下記の6種目ですが、とりあえずその6種目によるサーキット・トレーニングを行なってみようと思います。運動種目の配列順序をどのようにして行えばよいでしょうか。

<現在採用している運動種目>
①シット・アップ
②ベンチ・プレス
③バック・プレス
④ベント・オーバー・ローイング
⑤ツー・ハンズ・カール
⑥スクワット
(東京都 久松洋一 会社員 27歳)
A 日常生活における活動力を強化するためにサーキット・トレーニングを行うというのは目的にたいへん合った運動法であるといえます。

 サーキット・トレーニングは、多種目の運動を1セットずつ、つぎつぎと出来るだけ休息をとらないようにして連続的に巡回して行うトレーニング法です。したがって、運動種目を配列するにあたっては、連続して同じ部位の筋を強度に使用しないように配慮して順序を決めることが大切です。

 この配慮を怠たると、筋力的な意味で(呼吸上の問題としてではなく)各種目をつぎつぎと連続的に行うことが不可能になり、トレーニングを中断しなければならなくなります。途中で必要以上にトレーニングを中断してはサーキット・トレーニングの意味がなくなってしまいます。

 では、運動種目の順序についてお答えするまえに、その順番の決め方について述べることにします。

<運動種目の順番の決め方>

①採用する各運動種目の使用筋を仕分けする

 運動種目の順番を決めるに当っては、まず採用する各種目の使用筋について仕分けする必要があります。つまり、採用するそれぞれの運動種目が、どのような筋を主に使って行う運動であるかについて考える必要があります。

 では次に、いまあなたが採用している運動種目の使用筋をあげてみましょう。(【】で囲んだものが主たる使用筋)

 ①シット・アップ(【腹筋】)
 ②ベンチ・プレス(【大胸筋】、上腕三頭筋、三角筋)
 ③バック・プレス(【三角筋、僧帽筋】、上腕三頭筋)
 ④ベント・オーバー・ローイング(【広背筋】、固有背筋)
 ⑤ツー・ハンズ・カール(【上腕二頭筋】、前腕の屈筋)
 ⑥スクワット(【大腿四頭筋、固有背筋、大殿筋】)

②連続して同じ部位の筋を強度に使用することのないように考慮する

 ①の項で述べたように、各種目の使用筋について仕分けしたら、次にその使用筋が連続して使われることのないように運動種目を配列する。

<配列例>
 ①シット・アップ(【腹筋】)
 ②スクワット(【大腿四頭筋、固有背筋、大殿筋】)
 ③ベンチ・プレス(【大胸筋】、上腕三頭筋、三角筋)
 ④ベレト・オーバー・ローイング(【広背筋】、固有背筋)
 ⑤ツー・ハンズ・カール(【上腕二頭筋】、前腕の屈筋)
 ⑥バック・プレス(【三角筋、僧帽筋】、上腕三頭筋)

  ――×――×――

 以上がサーキット・トレーニングにおいて、採用種目の順序を決める際に考慮しなければならない事項です。そして、②の項の配列例が、そのままあなたの質問に対する答えということにもなりますが、一応、自分なりにいろいろ考えてみてください。

 なお、参考までに申し添えておきますが、サーキット・トレーニングの場合、各種目の反復回数は、どちらかといえばあまり低回数は適さないように思われます。

2分割によるトレーニング・コース

Q ボディビル歴は1年です。私は現在、下記のようなトレーニング・スケジュールを実行していますが、これからは分割法を採用してトレーニングをしようと考えています。つきましては、参考までに現在採用している運動だけを使った分割法をご教示いただきたく思います。なお、分割は2分割でお願いします。

①ジャンピング・スクワット(重量を用いないで)
②ベンチ・プレス
③バック・プレス
④ベント・オーバー・ローイング
⑤バーベル・カール
⑥スクワット
⑦デッド・リフト
⑧スタンディング・ロー
⑨シット・アップ

(青森県 高田明広 学生 20歳)
A 分割法のトレーニング・スケジュールを作るに当っての留意すべきことがらは、9月号のQ&A欄に詳しく記述してありますので、必要な場合はそれを参考にしてください。

 では、早速あなたのご質問にお答えすることにします。

◎分割例(I)

Aコース(月曜・木曜)
 ①ベンチ・プレス
 ②ベント・オーバー・ローイング
 ③バック・プレス
 ④スタンディング・ロー
 ⑤バーベル・カール

Bコース(火曜・金曜)
 ①シット・アップ
 ②スクワット
 ③ジャンピング・スクワット
 ④デッド・リフト

[註]この分割例は、上体の運動種目をAコース、腹および脚・腰の種目をBコースとして分割。

◎分割例(Ⅱ)

Aコース(月曜・木曜)
 ①シット・アップ
 ②ベンチ・プレス
 ③バック・プレス
 ④スタンディング・ロー
 ⑤バーベル・カール

Bコース(火曜・金曜)
 ①スクワット
 ②ジャンピング・スクワット
 ③ベント・オーバー・ローイング
 ④デッド・リフト

[註]この分割例では、ベント・オーバー・ローイングを、固有背筋を使うことを考慮してBコースの方に組入れた。また、同様な意味で、バーベル・カールを、スタンディング・ロー(この運動は、上腕二頭筋と上腕筋をかなり強く使う)に関連させてAコースにした。

 以上、分割例を2とおり記しましたが、分割の仕方は他にもありますので自分に適した方法を研究してみてください。

 なお、一言つけ加えさせていただくとすれば、上腕三頭筋の運動として、フレンチ・プレスに類する運動か、あるいはナロウ・グリップ・ベンチ・プレスを行うことをおすすめします。
「解答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生」
月刊ボディビルディング1978年10月号

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