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なんでもQ&Aお答えします 1979年5月号

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月刊ボディビルディング1979年5月号
掲載日:2018.11.24

努力しても効果がないのは体質か?

Q ボディビルを始めて6ヵ月、自宅で1人でトレーニングを行なっています。開始時より現在まで、下記のスケジュールでトレーニングしていますが、あまり効果があがりません。体位も思ったより増えず、また、体重も増えません。どうしてでしょうか。体質的にいって、私はボディビルに向かないからだなのでしょうか。もし体質的に向かないのであれば、このままボディビルを続けていっても無駄だと思うのですが、いかがでしょうか。以上のことについてお答えください。

<トレーニング・スケジュール>
特別のことがない限り週7日実施。
記事画像1
(トレーニング後の疲労感は強)

<体位の変化>
記事画像2
(註)体重は、開始後1ヵ月くらいたったとき56kgになったが、その後、またもとに戻ってしまいました。
(三重県 阿部一弘 学生 17歳)
A まず、効果があがらなかったことについて検討してみたいと思います。その原因として第1に考えられることは、トレーニングが内容的に不適当だったのではないかということです。そして第2が休養の不足、第3が栄養の問題ということになります。

それ以外の原因としては身体的な疾患が考えられます。しかし、栄養の問題と身体的疾患については、ご質問の文面になにもふれておられませんのでそれらのことは除外して、第1と第2のことがらについて意見を述べることにしたいと思います。

トレーニングの問題と休養の問題は切り離して考えるよりも、2つの問題の間には密接な関係があるので、関連づけて説明していきます。

まず、あなたのトレーニング・スケジュールを拝見して最も強く感じることは、トレーニングの量と週間頻度が多すぎるということです。

ボディビルというものは、トレーニングをたくさん行いさえすれば、効果が多く、また早く得られるといった単純な運動ではありません。ボディビルで効果を得るためには、各人の体力に応じて適度なトレーニングを行うようにしなければなりません。過度な消耗がともなうようなトレーニングのやり方は、決して良い結果をもたらしません。初心者や体力の弱い人の場合にはとくにそのような傾向が強いといえます。

あなたの体力は、体位から推測するかぎり水準よりもかなり下位にあると判断されますので、大幅にトレーニング量を減らす必要があると思います。なお、トレーニングの内容については今月号の吉沢光次さんへの回答欄を参考にしてください。

次に、トレーニングの週間頻度ですが、これは、1日に行うトレーニングの量および強度と切り離しては論じられません。

ふつう、1日に行うトレーニングの量を多くすればするほど、それにつれてからだの消耗する度合も強くなるので、回復、超回復といった効果を得るために要する時間も長くなります。つまり、1日に行うトレーニングの量、および強度を増すにつれて、トレーニングを行う日の間隔を長く空ける必要が生じてきます。いいかえれば週間頻度を少なくしなければならないということです。

したがって、トレーニングの週間頻度を決定するには、前回のトレーニングによる消耗が、次回のトレーニング時までに回復、および超回復し得るかどうか、その辺のところを配慮して決めるようにしなければなりません。

ふつう、筋力の強化および筋の肥大を目的としてボディビルを行う場合には、1~2日置きのペースで週3日かあるいは2~3日置きの週2日の頻度がよいとされています。つまり、回復および超回復をうまくとらえるためには、週2日、あるいは週3日というサイクルでトレーニングするのが最も妥当だということです。

では最後に、体質についての質問にお答えします。

あなたが考えておられるように、ボディビルの効果というものは、誰に対しても一様にもたらされるというものではなく、実施者の身体的素質によってかなりの差異が生じてきます。しかし、だからといって、あなたが素質の面でボディビルに反応しにくいからだであると決めてしまうのは早計であるといわざるを得ません。

あなたの場合、効果が思うように得られなかったのは、トレーニングの方法に誤りがあったことが原因だと思われますので、トレーニング法を改善することによって多分に効果があるが可能性があるといえます。

したがって、このままボディビルを続けても無駄なのではないだろうか。といったようなつまらないことを考えずに、あせらず、じっくりとトレーニングに励んで欲しいと思います。

大殿筋の形をよくするトレーニング法

Q ボディビルを始めてから8ヵ月ほどになります。私がボディビルを始めた理由は、筋肉が隆々とした、いわゆるボディビルダー的なからだになるためではなく、細くても均整のとれた逞しいからだになりたいからです。

現在は1日おきにウェイト・トレーニングを行い、間の日には5~6kmのロード・ワークを行なっています。

そこでお尋ねしますが、私の大殿筋はけっこう発達しているのですが、ヒップ全体の形が余りよくありません。ヒップの中ほどから下部の方の筋の発達が片寄った感じで、ヒップが下がって見えます。

現在採用している下半身のためのトレーニング法は、下記のとおりですがヒップの形が上述のような形になるのはトレーニング法に問題があるからでしょうか。それともほかに原因があるのでしょうか。殿部の形をよくするためのアドバイスをお願いします。

<現在の下半身のトレーニング法>
記事画像3
以上の3種目を1日おきに週3回実施し、間の日に5~6kmのロード・ワークを行う。

<現在の下半身のサイズ>
大腿囲 49cm
下腿囲 35cm
腰囲 86cm
腹囲 68cm

(秋田県 斎藤秀男 会社員 21歳)
A 大殿筋の発達が中ほどから下部にかたよって発達しているため、ヒップが下がって見えるとのことですが、あなたの場合、殿部がそのような形になったのには、次の2つのことがらが原因として考えられます。

㋑大殿筋そのものの形態を含む腰部から下半身にかけての先天的な体形が原因している。

㋺トレーニング法に原因がある。

しかしながら㋑については、あなたのからだを実際に見なければなんともいえないので、ここでは、一応、㋺のトレーニング法上の問題にしぼって原因を追究してみたいと思います。

トレーニング法の問題としては、あなたの殿部のかたよった発達の原因を追究する場合、まず最初に考えられるのは、レッグ・プレスの運動の仕方の問題です。

あなたは現在レッグ・プレスを120~150kgを使用して10~15回行なっているとのことですが、あなたの大腿部のサイズ49cmから考えるとだいぶ重すぎるように思われます。反動が利用できないレッグ・プレスのような運動について、このようなことをいうと、いささか変に思われるでしょうが、あなたが重すぎる重量を使用していることには、おそらく間違いはないと思います。

レッグ・プレスという運動は、ちょっとしたフォームのちがいで、使用可能な重量が大幅に変化します。

つまり、レッグ・プレス・マシーンの押し上げ板の下に仰臥したとき、殿部を深く入れるのと浅く入れるのとでは、使用可能な重量が違ってきます。どちらかといえば、浅く入れるよりも深く入れる方がより重い重量が使用できます。ただし、極端に深くする場合はその限りではありません。

そして、浅くして行う場合と、深く入れて行う場合とでは、当然ながら効果の面でも多少のちがいが生じてきます。大腿四頭筋に関しては浅くして行うほうがよく、深くして行う場合には大殿筋に与える効果が強くなります。しかし、ここで問題になるのは、深くして行う場合に大殿筋に与える効果が増大するといっても、その効果がどちらかといえば中ほどから下部の方へかたよるきらいがあるということです。

あなたの場合、前述したように、大腿部のサイズに比してレッグ・プレスの使用重量が重すぎるようなので、腰を深く入れたフォームで運動を行なっているように考えられます。そして、そのことが大殿筋のかたよった発達の原因になっているとも判断されるので運動のフォームを改めるか、またはレッグ・プレスをトレーニング・コースから除外するのがよいかと思います。

次に、もう1つの原因として考えられるのが運動種目の不足です。

あなたは現在、スクワットを採用しておられませんが、スクワットは、大殿筋全体の発達に非常に有効な運動種目です。あなたのヒップが下がって見えるというのも、ひとつにはスクワットの不採用に原因があるかもしれません。したがって、格別の理由がなければ、ぜひスクワットを採用することをおすすめします。

以上、大殿筋のかたよった発達の原因として考えられることがらについて述べましたが補助運動として、次に説明する運動を行なってみるのもよいでしょう。

◎サイド・キック

<動作>直立姿勢で、膝を伸ばしたま、片足を横へあげる。
<効果>この運動は、大殿筋だけでなく、中殿筋にも非常に効く。中殿筋を発達させることは、ヒップの形をよくする。

◎バック・キック
<動作>直立姿勢、または上体をいくぶん前傾させた姿勢で、片脚を伸ばしたまま後方へあげる。
<効果>大殿筋のとくに中ほどから上部に効く。中殿筋にも有効。

◎プローン・レッグ・スプリット
<動作>床にうつ伏せになり、両脚を伸ばしたまま床から浮かし、股を左右横へ開くようにする〔写真参照〕
<効果>この運動は、実際に行なってみれば、実感としてヒップ・アップに有効なことがよくわかる。
プローン・レッグ・スプリット

プローン・レッグ・スプリット

初心者のトレーニング・スケジュール

Q ボディビルの経験はまったくありません。別に将来コンテストに出ようというのではなく、なんとかもう少しガッシリしたからだになりたいと思い、ボディビルを始めることにしたわけです。

そこでお伺いします。私の現在の体位は下記のとおりですが、最初はどのようなスケジュールでトレーニングをすればよいでしょうか。私に適すると思われるスケジュール例をご教示ください。

<現在の体位>
身長 171㎝ 上腕囲 27㎝
体重 55kg 前腕囲 26㎝
胸囲 85㎝ 大腿囲 46cm
腹囲 70cm

(石川県 吉沢光次 会社員 27歳)
A ふつう、ボディビルに関する雑誌や書籍には、「初心者のためのトレーニング・スケジュール例」といったものが記載されています。したがって、そのような用例を参考にしてトレーニングを行うようにするのもよいと思います。

しかし、あなたの場合、卒直にいって体位が一般人としての平均よりもかなり下まわるので、体力的にも相当のハンデがあると思います。

ふつう始めてトレーニングをする人の場合は、6~8種目くらいの運動を2セットずつ程度実施するのですが、あなたの場合は、それよりかなり割引いた内容で行う必要があると考えられます。そのことを具体的に示せば、だいたい次のような内容のスケジュールになります。

<トレーニング・スケジュール>例1
隔日的、週3日のペース。または、2~3日置き、週2日。

①シット・アップ(またはレッグ・レイズ)
正確な動作で行える回数で1~2セット。ただし、1セットの反復回数が30~40回を越える場合には、1セットにしてもよい。

②スクワット
15~20kg 15回×2セット(スタミナを養成する意味で15回くらいの多回数で行う)

③ベンチ・プレス
15~17.5kg 10回×2セット

④スタンディング・プレス(または、スタンディング・ロー)
10~12.5g 10回×2セット

<トレーニング・スケジュール>例2
隔日的、週3日。または2~3日置き週2日。

①シット・アップ(またはレッグ・レイズ)
正確な動作で行える回数で1セット

②スクワット
15~20kg 15回×1セット

③ベンチ・プレス
15~17.5kg 10回×1セット

④ベント・オーバー・ローイング
12.5~15kg 10回×1セット

⑤スタンディング・プレス(または、スタンディング・ロー)
10~12.5kg 10回×1セット

⑥ツー・ハンズ・カール
10kg 10回×1セット

 あなたの場合、当初は、以上のような内容のスケジュールでトレーニングするのが適当かと思います。

 例1は、採用種目を最も基礎的な4種目にしぼって2セットずつ、例2の方は、一応、全身的な基礎種目を6種目採用して各1セットずつ行うようになっていますが、いずれにしても、普通の場合のトレーニング・スケジュールよりはだいぶ割引いた内容になっています。

 いかに体力が平均以下であるからといっても、普通の場合よりも割引いた内容のトレーニングを行うことはいささか抵抗を感じるかもしれません。しかし、しばらくの間は焦らずにがまんしてコツコツと基礎的トレーニングを行うことがよいことなのです。

 早く効果を得ようとして、体力的に余裕のないトレーニングをすることはトレーニング時における一時的な満足感は得られても、効果の面ではあまりよい結果は得られません。体力の弱い人の場合、トレーニングをやり終わって、少しもの足りなさを感じるくらいの方が、かえって良い結果につながります。

 したがって、当分の間(ベンチ・プレスが体重の70%程度の重量で、スクワットが体重の80%程度の重量で、それぞれ10回くらい行なえるようになるまで)は、自分の気持を押え、やり過ぎることのないように留意してトレーニングを続けるようにしてください。
〔回答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内威先生〕
月刊ボディビルディング1979年5月号

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