なんでもQ&Aお答えします 1981年1月号
月刊ボディビルディング1981年1月号
掲載日:2020.03.16
体重の割にからだが大きく見えないが
Q ボディビル歴は1年3ヵ月、自宅でトレーニングしています。ところで問題が3つあります。というのは、①体重の割にからだがいまひとつ大きく見えない ②腕の部分が細すぎる ③腹囲が大きすぎる。
現在の体位とトレーニング・スケジュールは次のとおりです。よきアドバイスをお願いします。
≪現在の体位≫
身長 173㎝ 上腕囲 28㎝
体重 71㎏ 大腿囲 57㎝
胸囲 100㎝ 腹囲 80㎝
≪トレーニング・スケジュール≫
――1日おき、週3日――
①シット・アップ 20回×2セット
②ベンチ・プレス 30㎏ 10回×5セット
③スクワット 30㎏ 10回×5セット
④ベント・アーム・プルオーバー 30㎏ 10回×3セット
⑤プレス・ビハインド・ネック 30㎏ 10回×3セット
⑥ベント・オーバー・ローイング 30㎏ 8回×3セット
⑦バーベル・カール 25㎏ 10回×2~3セット
[註] 疲労は翌日までには回復する。
≪新たに採用するトレーニング・スケジュール≫
①クロス・ベンチ・シット・アップ 30回×1セット
②ベンチ・プレス 35㎏ 10回×5セット
③スクワット 30~32.5㎏ 10回×5セット
④ベント・アーム・プルオーバー 30㎏ 10回×5セット
⑤ベント・オーバー・ローイング 30~32.5㎏ 10回×3セット
⑥プレス・ビハインド・ネック 30㎏ 10回×3セット
⑦インクライン・バーベル・カール 22.5~25㎏ 10回×2セット
⑧アーム・ランジ 重量未定 10回×1~2セット
(千葉県 浅野 厚 22歳)
現在の体位とトレーニング・スケジュールは次のとおりです。よきアドバイスをお願いします。
≪現在の体位≫
身長 173㎝ 上腕囲 28㎝
体重 71㎏ 大腿囲 57㎝
胸囲 100㎝ 腹囲 80㎝
≪トレーニング・スケジュール≫
――1日おき、週3日――
①シット・アップ 20回×2セット
②ベンチ・プレス 30㎏ 10回×5セット
③スクワット 30㎏ 10回×5セット
④ベント・アーム・プルオーバー 30㎏ 10回×3セット
⑤プレス・ビハインド・ネック 30㎏ 10回×3セット
⑥ベント・オーバー・ローイング 30㎏ 8回×3セット
⑦バーベル・カール 25㎏ 10回×2~3セット
[註] 疲労は翌日までには回復する。
≪新たに採用するトレーニング・スケジュール≫
①クロス・ベンチ・シット・アップ 30回×1セット
②ベンチ・プレス 35㎏ 10回×5セット
③スクワット 30~32.5㎏ 10回×5セット
④ベント・アーム・プルオーバー 30㎏ 10回×5セット
⑤ベント・オーバー・ローイング 30~32.5㎏ 10回×3セット
⑥プレス・ビハインド・ネック 30㎏ 10回×3セット
⑦インクライン・バーベル・カール 22.5~25㎏ 10回×2セット
⑧アーム・ランジ 重量未定 10回×1~2セット
(千葉県 浅野 厚 22歳)
A あなたがボディビルを開始したときの各部のサイズがわかれば、この1年3ヵ月の間にどのように変化したかがわかり、アドバイスもしやすいのですが、現在の体位だけでは、的確なアドバイスが出来るかどうかわかりません。私なりに推測して、①から順に意見を述べさせていただきます。
①体重の割にからだが大きく見えない
この理由としては、次のことが考えられます。つまり、現在のあなたのからだは、比較的体脂肪の多いからだで、実質的な面での発達(筋肉の発達)が弱いのではないか、ということです。このことは、現在のあなたの体位と各種目の使用重量によって、容易に推察できます。
そして、そのように、筋肉よりも脂肪のまさったからだつきで、しかも、あなたのように腹囲が大きい場合には、体重が同じでも、筋肉質のからだの人より小さく見えるものです。
②腕の部分が細い
腕が細いのは、この部分に対する運動法それ自体に原因があると思います。あなたは現在、25㎏の重量をバーベル・カールで使用していますが、これはベンチ・プレスの使用重量と比較して考えても、また、上腕そのもののサイズから考えてみても明らかに重すぎると思います。
つまり、あなたは、自分の力量以上の不当な重量を使用し、反動を使って、誤った方法でカールを行なっているものと考えられます。
反動を使って行う方法も、それなりに運動としてのポイントを押えてやれば効果も得られるのですが、あなたの場合は、そのようなやり方にほど遠いものと思われます。したがって今後は、今のようなやり方を改めて、もっと軽い重量で、反動を使わずにきちんとした動作で運動を行うように心掛けてください。
③腹囲が大きすぎる
腹囲がありすぎるというのは、おそらく腹の周りに脂肪が乗っているからでしょう。したがって、この場合、腹囲を小さくするには腹の周りの脂肪を落さなければなりません。しかし、あなたの場合は、全身的にかなり脂肪が乗っていると考えられるので、腹の運動をしただけではなかなか腹囲が小さくならないと思います。
つまり、あなたのような場合は、腹の脂肪を落すにしても、からだ全体の脂肪を落すように心がけなければなりません。他の部分の脂肪が落ちないで腹の脂肪だけがすっきり落ちるなんていうことはまずあり得ません。脂肪が落ちればそれだけからだも小さくなるでしょうが、それは当然のことであり、形のよいからだつきにするためにはいたしかたがないことです。
ところで、あなたが新たに採用されようとしているトレーニング・スケジュールには、いささか問題があるようです。そのようなわけで、多少手直しをしたスケジュール<例>を載せておきますので参考にしてみてください。
≪トレーニング・スケジュール例≫
①クロス・ベンチ・シット・アップ 30回×1~2セット
②スクワット 8~10回×4セット
③ベンチ・プレス 7~8回×4セット
④ベント・アーム・プルオーバー 8~10回×3セット
⑤ベント・オーバー・ローイング 8~10回×3セット
⑥プレス・ビハインド・ネック 7~8回×3セット
⑦インクライン・ダンベル・カール 8~10回×3セット
⑧ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス8~10回×2セット
[註]本心をいえば、あなたの場合、8種目の運動は多すぎるのではないかとも考えられます。できれば、今のところは◎印の6種目だけにし、ベンチ・プレスとスクワットの力量をせめて下記の目標に達してからは他の2種目を加えるようにするのがよいかと思います。
≪目標≫
ベンチ・プレス 55㎏で8回
スクワット 60㎏で10回
①体重の割にからだが大きく見えない
この理由としては、次のことが考えられます。つまり、現在のあなたのからだは、比較的体脂肪の多いからだで、実質的な面での発達(筋肉の発達)が弱いのではないか、ということです。このことは、現在のあなたの体位と各種目の使用重量によって、容易に推察できます。
そして、そのように、筋肉よりも脂肪のまさったからだつきで、しかも、あなたのように腹囲が大きい場合には、体重が同じでも、筋肉質のからだの人より小さく見えるものです。
②腕の部分が細い
腕が細いのは、この部分に対する運動法それ自体に原因があると思います。あなたは現在、25㎏の重量をバーベル・カールで使用していますが、これはベンチ・プレスの使用重量と比較して考えても、また、上腕そのもののサイズから考えてみても明らかに重すぎると思います。
つまり、あなたは、自分の力量以上の不当な重量を使用し、反動を使って、誤った方法でカールを行なっているものと考えられます。
反動を使って行う方法も、それなりに運動としてのポイントを押えてやれば効果も得られるのですが、あなたの場合は、そのようなやり方にほど遠いものと思われます。したがって今後は、今のようなやり方を改めて、もっと軽い重量で、反動を使わずにきちんとした動作で運動を行うように心掛けてください。
③腹囲が大きすぎる
腹囲がありすぎるというのは、おそらく腹の周りに脂肪が乗っているからでしょう。したがって、この場合、腹囲を小さくするには腹の周りの脂肪を落さなければなりません。しかし、あなたの場合は、全身的にかなり脂肪が乗っていると考えられるので、腹の運動をしただけではなかなか腹囲が小さくならないと思います。
つまり、あなたのような場合は、腹の脂肪を落すにしても、からだ全体の脂肪を落すように心がけなければなりません。他の部分の脂肪が落ちないで腹の脂肪だけがすっきり落ちるなんていうことはまずあり得ません。脂肪が落ちればそれだけからだも小さくなるでしょうが、それは当然のことであり、形のよいからだつきにするためにはいたしかたがないことです。
ところで、あなたが新たに採用されようとしているトレーニング・スケジュールには、いささか問題があるようです。そのようなわけで、多少手直しをしたスケジュール<例>を載せておきますので参考にしてみてください。
≪トレーニング・スケジュール例≫
①クロス・ベンチ・シット・アップ 30回×1~2セット
②スクワット 8~10回×4セット
③ベンチ・プレス 7~8回×4セット
④ベント・アーム・プルオーバー 8~10回×3セット
⑤ベント・オーバー・ローイング 8~10回×3セット
⑥プレス・ビハインド・ネック 7~8回×3セット
⑦インクライン・ダンベル・カール 8~10回×3セット
⑧ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス8~10回×2セット
[註]本心をいえば、あなたの場合、8種目の運動は多すぎるのではないかとも考えられます。できれば、今のところは◎印の6種目だけにし、ベンチ・プレスとスクワットの力量をせめて下記の目標に達してからは他の2種目を加えるようにするのがよいかと思います。
≪目標≫
ベンチ・プレス 55㎏で8回
スクワット 60㎏で10回
危険を伴わない胸と脚の運動は?
Q 僕は14歳の中学生です。1年ほど前にトレーニングを始めたのですが、まだ力が弱いためにベンチ・プレスやスクワットなどの重い重量を扱う種目は恐いので、軽い重量でビクビクしながら練習しています。
それでおたずねしますが、危険がともなわずにできる胸と脚の運動があったら教えてください。なお、ぼくのような年齢でも、トレーニング・ジムに入会できるでしょうか。専門のコーチについてトレーニングしたいと思っています。 (越谷市 Y・M 中2)
それでおたずねしますが、危険がともなわずにできる胸と脚の運動があったら教えてください。なお、ぼくのような年齢でも、トレーニング・ジムに入会できるでしょうか。専門のコーチについてトレーニングしたいと思っています。 (越谷市 Y・M 中2)
A ベンチ・プレスとスワットは、初心者が自宅で1人で行うのには、確かにあなたのいわれるとおり危険がともなう運動であるといえます。しかし、ボディビルにおける運動というものは、ほとんど重量を負荷して行うので、これらの2種目に限らず、大なり小なり危険がともなうものです。
どのような運動でも、使用重量の面で、あるいは反復回数の面で、適切さを欠いて無理をすればするほど危険性が増大します。したがって、運動というものは、その安全性をより高めるためには、実施者の体力および経験の長短にかかわらず適度に無理なことをしないようにする必要があります。
とはいえ、あなたのように年令が若くて骨格が未成熟な場合には、たとえ無理なことをしないにしても、重たい重量を扱うような運動は行わない方が無難であるともいえます。とくにスクワットは、使用重量に無理がなくても誤ったフォームで運動を行うと、脚の関節や腰を痛めるおそれがあるので充分注意しなければなりません。
では、あなたの質問にお答えして、比較的安全度の高い胸の運動と脚の運動を紹介することにします。
どのような運動でも、使用重量の面で、あるいは反復回数の面で、適切さを欠いて無理をすればするほど危険性が増大します。したがって、運動というものは、その安全性をより高めるためには、実施者の体力および経験の長短にかかわらず適度に無理なことをしないようにする必要があります。
とはいえ、あなたのように年令が若くて骨格が未成熟な場合には、たとえ無理なことをしないにしても、重たい重量を扱うような運動は行わない方が無難であるともいえます。とくにスクワットは、使用重量に無理がなくても誤ったフォームで運動を行うと、脚の関節や腰を痛めるおそれがあるので充分注意しなければなりません。
では、あなたの質問にお答えして、比較的安全度の高い胸の運動と脚の運動を紹介することにします。
<胸の運動>
◎ラタラル・レイズ・ライイング
<かまえ>両手にそれぞれダンベルを持ってベンチに仰臥し、腕を伸ばしてダンベルを胸の上方にかまえる。
<動作>肘を伸ばしたまま、あるいはいくぶん曲げた状態で両腕を左右横へ拡げるようにしてダンベルをおろし、十分におろしたなら元の位置へあげ戻す。[写真参照]
大胸筋のためには、肘を伸ばしたままで行うよりも、いくぶん曲げた状態で動作を反復するのがよい。
<呼吸>ダンベルをおろしながら息を吸い、あげ戻しながら息を吐く。
<かまえ>両手にそれぞれダンベルを持ってベンチに仰臥し、腕を伸ばしてダンベルを胸の上方にかまえる。
<動作>肘を伸ばしたまま、あるいはいくぶん曲げた状態で両腕を左右横へ拡げるようにしてダンベルをおろし、十分におろしたなら元の位置へあげ戻す。[写真参照]
大胸筋のためには、肘を伸ばしたままで行うよりも、いくぶん曲げた状態で動作を反復するのがよい。
<呼吸>ダンベルをおろしながら息を吸い、あげ戻しながら息を吐く。
〔スティッフ・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング〕
◎ディップ
<かまえ>平行棒の間に入り、両腕を伸ばした状態で体を浮かして体重を支える。
<動作>体重を支えたまま両腕を屈伸させて、体を平行棒の間で上下させる。筋力が弱い場合には、台などの上に両足を載せ、体重を調節して行うようにすればよい。
また、平行棒がない場合は、机や椅子を利用して行うとよい。
<呼吸>腕を屈しながら息を呼い伸ばしながら吐く。
◎プッシュ・アップ・ビトウィーン・ボックスィズ〔写真参照〕
<動作>2つの箱(または台)の上に両手を付き、その間に胸を静めるようにしてプッシュ・アップ(腕立て伏せ運動)を行う。なお、動作は落付いてていねいに行う。また上体、腰、足の線を常にまっすぐにさせた状態で運動を行うようにする。
以上が比較的安全度の高い胸の運動です。その他の運動としては、シーザーズ・クリップ、またはダンパーを内方向へ押しちぢめる運動などが効果的です。ただし、実際に採用するのは、今の段階では1~2種目にとどめるのが無難です。
<かまえ>平行棒の間に入り、両腕を伸ばした状態で体を浮かして体重を支える。
<動作>体重を支えたまま両腕を屈伸させて、体を平行棒の間で上下させる。筋力が弱い場合には、台などの上に両足を載せ、体重を調節して行うようにすればよい。
また、平行棒がない場合は、机や椅子を利用して行うとよい。
<呼吸>腕を屈しながら息を呼い伸ばしながら吐く。
◎プッシュ・アップ・ビトウィーン・ボックスィズ〔写真参照〕
<動作>2つの箱(または台)の上に両手を付き、その間に胸を静めるようにしてプッシュ・アップ(腕立て伏せ運動)を行う。なお、動作は落付いてていねいに行う。また上体、腰、足の線を常にまっすぐにさせた状態で運動を行うようにする。
以上が比較的安全度の高い胸の運動です。その他の運動としては、シーザーズ・クリップ、またはダンパーを内方向へ押しちぢめる運動などが効果的です。ただし、実際に採用するのは、今の段階では1~2種目にとどめるのが無難です。
〔プッシュ・アップ・ビトウィーン・ボックスィズ〕
<脚の運動>
◎シングル・レッグ・スクワット
<動作>重量を用いずに片脚だけの屈伸を行なう。バランスがとりにくい場合は、ベンチなどの上に乗って行うと運動がやりやすくなる。
さし当って上記の運動を行うのがよいと思います。なお、重量を肩にかつがずに空身で行うスクワット運動(ヒンズー・スクワット)もありますが、あなたくらいの年齢では無理をすると腰の骨を痛めるおそれもあるので、あまりおすすめできません。その他では自転車で坂を登るのも効果的です。
ジムに入会する件については、それぞれのジムに、ジムとしての方針とか規則があるので、直接入会を希望するジムの方に訊いてください。
<動作>重量を用いずに片脚だけの屈伸を行なう。バランスがとりにくい場合は、ベンチなどの上に乗って行うと運動がやりやすくなる。
さし当って上記の運動を行うのがよいと思います。なお、重量を肩にかつがずに空身で行うスクワット運動(ヒンズー・スクワット)もありますが、あなたくらいの年齢では無理をすると腰の骨を痛めるおそれもあるので、あまりおすすめできません。その他では自転車で坂を登るのも効果的です。
ジムに入会する件については、それぞれのジムに、ジムとしての方針とか規則があるので、直接入会を希望するジムの方に訊いてください。
初心者のスケジュールのつくり方と、分割法の採用について
Q ボディビル歴は5ヵ月です。初めは自宅で1人でやっていたのですが、現在はジムに通ってトレーニングしています。ジムでは主に運動のフォームや呼吸法などを指導してもらい、トレーニング・スケジュールは自分で作成したものを実施しております。現在実施しているスケジュールは次のようなものです。
≪トレーニング・スケジュール≫
(週間頻度―4日)
☆柔軟体操
①スクワット 60~120㎏ 15~1回×8セット
②ベンチ・プレス 50~90㎏ 15~1回×8セット
③カーフ・レイズ・オン・マシーン 100㎏
10~8回×8セット
④ダンベル・ベンチ・プレス 25㎏ 10回×3セット
⑤ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング
15㎏ 8回×2セット
⑥フロント・プレス 45㎏ 8回×3セット
⑦シーテッド・ダンベル・プレス 20㎏ 8回×2セット
⑧バック・プレス 40㎏ 8回×3セット
⑨スタンディング・ロー 35㎏ 10回×3セット
⑩ワン・ハンド・プリーチャーズ・ベンチ・カール
15㎏ 10回×5セット
⑪ワン・ハンド・フレンチ・プレス 15㎏ 10回×5セット
⑫ツー・ハンズ・カール 40㎏ 10回×3セット
⑬リバース・カール 2セット
{⑭サム・アップ・カール 2セット
⑮シット・アップ 2セット
[註] ②③,⑩⑪,⑬⑭⑮はスーパー・セット。トレーニング後の疲労感は少しあるが翌日には解消する。また、痛みが各部に走ることもあるが、痛みのないところには発達はないと考え、そのまま続行している。なお、蛋白質は牛乳やプロンティンなどによって、毎日充分に摂取している。
ところで、最近、トレーニングに関して疑問が出てきたので、お答えいただきたいと思います。
①現在実施しているトレーニング・スケジュールに、どこか問題があるでしょうか。
②分割法というトレーニング法は、ビルダーとしてどの程度の段階になってから行うのがいいでしょうか。また、採用するとすれば、どのようにすればよいでしょうか。
≪現在の体位≫
身 長 172㎝ 上腕囲 38㎝
体 重 72㎏ 前腕囲 30㎝
胸 囲 105cm 大腿囲 62cm
腹 囲 75㎝ 下腿囲 41㎝
(大阪市 S・S 学生 16歳)
≪トレーニング・スケジュール≫
(週間頻度―4日)
☆柔軟体操
①スクワット 60~120㎏ 15~1回×8セット
②ベンチ・プレス 50~90㎏ 15~1回×8セット
③カーフ・レイズ・オン・マシーン 100㎏
10~8回×8セット
④ダンベル・ベンチ・プレス 25㎏ 10回×3セット
⑤ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング
15㎏ 8回×2セット
⑥フロント・プレス 45㎏ 8回×3セット
⑦シーテッド・ダンベル・プレス 20㎏ 8回×2セット
⑧バック・プレス 40㎏ 8回×3セット
⑨スタンディング・ロー 35㎏ 10回×3セット
⑩ワン・ハンド・プリーチャーズ・ベンチ・カール
15㎏ 10回×5セット
⑪ワン・ハンド・フレンチ・プレス 15㎏ 10回×5セット
⑫ツー・ハンズ・カール 40㎏ 10回×3セット
⑬リバース・カール 2セット
{⑭サム・アップ・カール 2セット
⑮シット・アップ 2セット
[註] ②③,⑩⑪,⑬⑭⑮はスーパー・セット。トレーニング後の疲労感は少しあるが翌日には解消する。また、痛みが各部に走ることもあるが、痛みのないところには発達はないと考え、そのまま続行している。なお、蛋白質は牛乳やプロンティンなどによって、毎日充分に摂取している。
ところで、最近、トレーニングに関して疑問が出てきたので、お答えいただきたいと思います。
①現在実施しているトレーニング・スケジュールに、どこか問題があるでしょうか。
②分割法というトレーニング法は、ビルダーとしてどの程度の段階になってから行うのがいいでしょうか。また、採用するとすれば、どのようにすればよいでしょうか。
≪現在の体位≫
身 長 172㎝ 上腕囲 38㎝
体 重 72㎏ 前腕囲 30㎝
胸 囲 105cm 大腿囲 62cm
腹 囲 75㎝ 下腿囲 41㎝
(大阪市 S・S 学生 16歳)
A トレーニングを始める前の体位が不明なので、5ヵ月間にどのくらいの効果が得られたのか判りません。しかし、16歳という年齢にしては非常に立派な体格をしておられるようです。今後の精進次第ではビルダーとして大成する可能性も大いにあると思われます。では質問にお答えすることにします。
<1>トレーニング・スケジュールの問題点
①トレーニング頻度が多すぎはしないか。
②痛みが走ると書いてあるが、そんな状態になるまでトレーニングを行うことの是否。
③背・腰・首などの運動を採用していないのはなぜか。
以上の問題点は、ボディビルのトレーニングにおける基本的なセオリーに関することがらといえます。それでは①から順に考えてみることにしましょう。
①トレーニング頻度
いまさらいうまでもなく、ボディビルのように筋の肥大と筋力の強化を目的をする運動においては、その効果は、トレーニングを行なっている時にではなく、トレーニング後の休養時に得られます。そして、トレーニングの効果を得るには、通常、前回と次回のトレーニングの間に1~3日くらいの休養日を置くようにするのがよいと考えられています。
あなたは現在、同一内容のトレーニングを、それもかなりハードなトレーニングを週4回行なっていますが、これは、上述のセオリーに照してみると頻度が多すぎるということがいえます。回復力にも個人差があるので一概にはいえませんが、あなたの場合、からだに痛みが走る状態になるまでトレーニングを行なっていることでもあり、そのことを考え合わせると週3回でも多すぎるのではないかとさえ思われます。
どんなに熱心にトレーニングをしても、休養が不十分ではトレーニングの効果は得られません。このことを自覚して、トレーニングの頻度についてよく考えてみる必要があると思います。
②筋肉の痛みについて
トレーニングの方法については、人それぞれの考えや仕方があるので痛みが走る状態になるまでトレーニングをしたからといって、いちがいに誤りであると断定するわけではいかないと思います。あなたは「痛みのないところに発達はないと思う」と考えておられるようですが、このことは、あなたなりにはっきりとしたデータと確信があってのことでしょうか。ただなんとなくそう思っているのでしたら、それは非常に思慮がないことです。大勢の人の中には、あなたが思っておられるようなやり方で効果をあげた人もいるかも知れません。しかしそれは、抜群の回復力があって初めて可能なことであるといえます。あなたの場合、そのような抜群な回復力があるのかどうか、そのところが問題です。
ボディビルというものは、ただやみくもにトレーニングを行えばよいといったものではありません。トレーニングの目的は、的確にかつ、上手に筋を刺激することであって、過度に筋を痛めつけることではありません。
過度に筋を痛めつける方法は、あるいは一時期効果が得られるかもしれません。しかし、そのような方法を継続して行えば必ずや筋が過度に疲労し、長い目で見れば決してよい結果は得られないでしょう。外国のビルダーの中にはそのような方法を推奨する人達も確かにいます。しかし、あえていわしていただけば、外国ビルダーの場合はステロイドを使用しているとの噂もあるので、ステロイドを使っていない者が彼らの推奨する方法をうのみにしてまねするのは問題があるといえます。ステロイドの使用にはいろいろと副作用の危険がともない、まかりまちがえば廃疾者になるおそれもあります。ボディビル本来の目的からすれば、ステロイドの使用は邪道であり、真のボディビルダーをもって任ずる者はその使用を恥べきであるといえます。
③背・腰・首の運動がないが
あなたのトレーニング・コースには背・腰・首などの部位の運動がありませんが、これはなんらかの意図があってのことでしょうか。
腰と首の部位についてはともかくとしても、背の運動だけは行なったほうがよいと思います。しかし、実際問題として、現行のメニューでも手いっぱいと思われるので、その上に背の運動まで加えるのはあまりよい方法とはいえないでしょう。
現行のトレーニング量そのものにも問題があると思われるので、場合によっては減らすことも考えなくてはなりませんが、そのことはさておいても、この際、分割法を採用されるのがよいかと思います。
②痛みが走ると書いてあるが、そんな状態になるまでトレーニングを行うことの是否。
③背・腰・首などの運動を採用していないのはなぜか。
以上の問題点は、ボディビルのトレーニングにおける基本的なセオリーに関することがらといえます。それでは①から順に考えてみることにしましょう。
①トレーニング頻度
いまさらいうまでもなく、ボディビルのように筋の肥大と筋力の強化を目的をする運動においては、その効果は、トレーニングを行なっている時にではなく、トレーニング後の休養時に得られます。そして、トレーニングの効果を得るには、通常、前回と次回のトレーニングの間に1~3日くらいの休養日を置くようにするのがよいと考えられています。
あなたは現在、同一内容のトレーニングを、それもかなりハードなトレーニングを週4回行なっていますが、これは、上述のセオリーに照してみると頻度が多すぎるということがいえます。回復力にも個人差があるので一概にはいえませんが、あなたの場合、からだに痛みが走る状態になるまでトレーニングを行なっていることでもあり、そのことを考え合わせると週3回でも多すぎるのではないかとさえ思われます。
どんなに熱心にトレーニングをしても、休養が不十分ではトレーニングの効果は得られません。このことを自覚して、トレーニングの頻度についてよく考えてみる必要があると思います。
②筋肉の痛みについて
トレーニングの方法については、人それぞれの考えや仕方があるので痛みが走る状態になるまでトレーニングをしたからといって、いちがいに誤りであると断定するわけではいかないと思います。あなたは「痛みのないところに発達はないと思う」と考えておられるようですが、このことは、あなたなりにはっきりとしたデータと確信があってのことでしょうか。ただなんとなくそう思っているのでしたら、それは非常に思慮がないことです。大勢の人の中には、あなたが思っておられるようなやり方で効果をあげた人もいるかも知れません。しかしそれは、抜群の回復力があって初めて可能なことであるといえます。あなたの場合、そのような抜群な回復力があるのかどうか、そのところが問題です。
ボディビルというものは、ただやみくもにトレーニングを行えばよいといったものではありません。トレーニングの目的は、的確にかつ、上手に筋を刺激することであって、過度に筋を痛めつけることではありません。
過度に筋を痛めつける方法は、あるいは一時期効果が得られるかもしれません。しかし、そのような方法を継続して行えば必ずや筋が過度に疲労し、長い目で見れば決してよい結果は得られないでしょう。外国のビルダーの中にはそのような方法を推奨する人達も確かにいます。しかし、あえていわしていただけば、外国ビルダーの場合はステロイドを使用しているとの噂もあるので、ステロイドを使っていない者が彼らの推奨する方法をうのみにしてまねするのは問題があるといえます。ステロイドの使用にはいろいろと副作用の危険がともない、まかりまちがえば廃疾者になるおそれもあります。ボディビル本来の目的からすれば、ステロイドの使用は邪道であり、真のボディビルダーをもって任ずる者はその使用を恥べきであるといえます。
③背・腰・首の運動がないが
あなたのトレーニング・コースには背・腰・首などの部位の運動がありませんが、これはなんらかの意図があってのことでしょうか。
腰と首の部位についてはともかくとしても、背の運動だけは行なったほうがよいと思います。しかし、実際問題として、現行のメニューでも手いっぱいと思われるので、その上に背の運動まで加えるのはあまりよい方法とはいえないでしょう。
現行のトレーニング量そのものにも問題があると思われるので、場合によっては減らすことも考えなくてはなりませんが、そのことはさておいても、この際、分割法を採用されるのがよいかと思います。
<2>分割性の採用について
ビルダーとしてどのくらいの段階になったら分割法を採用するのがよいか、といった時期的なことについては別にはっきりしたきまりがあるわけではありません。分割法というものは、ビルダー各人の種々の事情を考慮して採用されるものです。したがって、人によって分割法を採用するに適した時期、または、採用しなければならない時期は異なってきます。
分割法は、通常、次に示すことがらを解決するために採用されます。
①トレーニングの強度、および量的な負担を軽減するため。
②トレーニングの強度、および量的な充実度を増加するため。
③トレーニングの時間的な問題を解決するため。
もとより、ビルダー各人の有する種々の事情によって、上述したことがらを単一にではなく、総合した問題として解決するために分割法を採用する場合もあります。
あなた自身の場合についていえば、①②の事情によって、あなたはすでに分割法を採用したほうがよいと考えられる段階にきていると思われます。(注:その理由については、<1>の質問に関する解答の中に含まれているので、必要とあれば読み返してください)
分割法によるトレーニング・スケジュールの作り方は専門書を読んでいただければ解ると思います。したがって、ここでは、誌面の都合もあるので省略いたします。そのかわりに、あなたの場合を考慮したスケジュール<例>を記述しておきますので参考にしてください。いずれにしても、まだ16歳と年令も若いのであせらずトレーニングを継続してください。
≪トレーニング・スケジュール例≫
(分割法。A,B,各コースとも週に2日ずつ実施)
Aコース――
◎腹の運動
①シット・アップ
②レッグ・レイズ
◎胸の運動
③ベンチ・プレス
④ダンベル・ベンチ・プレス
⑤ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング
⑥ディップ
◎肩の運動
⑦フロント・プレス
⑧シーテッド・ダンベル・プレス
⑨バック・プレス
⑩サイド・レイズ
◎上腕三頭筋の運動
⑪フレンチ・プレス・ライイング
⑫ワン・ハンド・フレンチ・プレス・スタンディング
⑬ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス
Bコース――
◎腹の運動(ウォーム・アップ程度)
①シット・アップ
◎大腿の運動
②スクワット
◎下腿の運動
③カーフ・レイズ・オン・マシーン
◎背の運動
④チンニング
⑤ラット・マシーン・プルダウン
⑥ベント・オーバー・ローイング
◎腰の運動
⑦デッド・リフト
◎上腕二頭筋および上腕筋の運動
⑧ツー・ハンズ・カール
⑨サム・アップ・カール
⑩ワン・ハンド・プリーチャーズ・カール
◎前腕の運動
⑪リバース・カール
⑫リスト・カール
(注;必要とあらば首の運動を,体力的に負担の軽いと思われるコースに組み入れる。なお,各種目のセット数は,体力的に過度とならない範囲で決める)
〔回答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生〕
分割法は、通常、次に示すことがらを解決するために採用されます。
①トレーニングの強度、および量的な負担を軽減するため。
②トレーニングの強度、および量的な充実度を増加するため。
③トレーニングの時間的な問題を解決するため。
もとより、ビルダー各人の有する種々の事情によって、上述したことがらを単一にではなく、総合した問題として解決するために分割法を採用する場合もあります。
あなた自身の場合についていえば、①②の事情によって、あなたはすでに分割法を採用したほうがよいと考えられる段階にきていると思われます。(注:その理由については、<1>の質問に関する解答の中に含まれているので、必要とあれば読み返してください)
分割法によるトレーニング・スケジュールの作り方は専門書を読んでいただければ解ると思います。したがって、ここでは、誌面の都合もあるので省略いたします。そのかわりに、あなたの場合を考慮したスケジュール<例>を記述しておきますので参考にしてください。いずれにしても、まだ16歳と年令も若いのであせらずトレーニングを継続してください。
≪トレーニング・スケジュール例≫
(分割法。A,B,各コースとも週に2日ずつ実施)
Aコース――
◎腹の運動
①シット・アップ
②レッグ・レイズ
◎胸の運動
③ベンチ・プレス
④ダンベル・ベンチ・プレス
⑤ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング
⑥ディップ
◎肩の運動
⑦フロント・プレス
⑧シーテッド・ダンベル・プレス
⑨バック・プレス
⑩サイド・レイズ
◎上腕三頭筋の運動
⑪フレンチ・プレス・ライイング
⑫ワン・ハンド・フレンチ・プレス・スタンディング
⑬ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス
Bコース――
◎腹の運動(ウォーム・アップ程度)
①シット・アップ
◎大腿の運動
②スクワット
◎下腿の運動
③カーフ・レイズ・オン・マシーン
◎背の運動
④チンニング
⑤ラット・マシーン・プルダウン
⑥ベント・オーバー・ローイング
◎腰の運動
⑦デッド・リフト
◎上腕二頭筋および上腕筋の運動
⑧ツー・ハンズ・カール
⑨サム・アップ・カール
⑩ワン・ハンド・プリーチャーズ・カール
◎前腕の運動
⑪リバース・カール
⑫リスト・カール
(注;必要とあらば首の運動を,体力的に負担の軽いと思われるコースに組み入れる。なお,各種目のセット数は,体力的に過度とならない範囲で決める)
〔回答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生〕
月刊ボディビルディング1981年1月号
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